JPS63533B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 糸仮撚装置において、糸走行速度の高速化に伴
つて、糸に好ましい熱を与える為に糸加熱器が長
大となつた。しかし乍ら一方では糸から発生する
油煙で加熱器表面が汚され、糸切れの発生を招く
問題が起こつた。

その為加熱器を水平や傾斜して配置するよりも
垂直に配置することが加熱器の汚れを防止する為
に望ましいとされるのであるが、給糸ボビンより
引出された糸は垂直の予備加熱器に通される場合
糸は予備加熱器の上方から引出された後ガイドピ
ンによつて変向され、通路を隔てた他側で移され
る。上記予備加熱器上方に設けられた上記糸ガイ
ドピンは加熱によつて糸から発生し、予備加熱器
から上昇して逃げる煙（この煙状油剤の量は75デ
ニールの糸を700m／minで操業した場合、0.35〜
0.82ｇ／hour、150デニールの糸を700m／minで
操業した場合には、0.70〜1.63ｇ／hour、300デ
ニールの糸を500m／minで操業した場合には1.00
〜2.33ｇ／hourと試算される。）によつて汚れ、
特に垂直に立設した加熱器は、発生する煙の煙突
作用をなし、加熱器上端部の糸ガイドピンが汚
れ、また加熱器を傾斜して配置した場合よりも汚
れがひどく、又接触する糸によつても汚される。
このような汚れた糸ガイドピンに糸を掛けたまま
糸の走行を始めれば糸ガイドピンと糸との接触点
において発生する大なる摩擦力によつて糸は容易
に切断するという新たな問題点が発生した。

本発明は糸加熱器の前方近傍に糸走行開始時専
用の糸ガイドピンを新たに設けることによつて、
糸走行開始の際には、通常運転の状態で糸を案内
するガイドピンとは異る、加熱器からの煙の通路
を外れた位置に設けた上記糸ガイドピンに糸を掛
けうるようになし、もつて上記欠点を解消するこ
とを目的とするもので、以下本発明の実施例を図
面に従つて説明する。

１はクリール２上に支持された給糸ボビンで、
給糸ボビン１より引出された糸Ｙは糸ガイド管
３、テンシヨン装置４、第１デリベリローラ５、
予備加熱器６、糸ガイドピン７，８、バルーン抑
制板９、冷却装置１０、バルーン抑制装置１１、
糸仮撚スピンドル１２、第２デリベリローラ１
３、第２糸加熱器１４、第３デリベリローラ１
５、オイリング装置１６を経て捲取装置１７によ
つて捲取られる。上記糸ガイドピン７，８はガイ
ド管１８中に上下動可能に支持された操作ロツド
１９の上端に支持したレバー２０上に設けられて
おり、冷却装置１０は本体２１と蓋板２２よりな
り、給水管２３から排水管２４へ流れる水中に糸
Ｙを通して糸を冷却する。仮撚スピンドル１２は
２本のエンドレス走行ベルト１２ａ，１２ｂより
なり、両ベルト間で糸をニツプして糸を仮撚す
る。バルーン抑制装置１１は固定ブラケツト２５
にピン２６で支持したアーム２７に固着したバル
ーン抑制板２８を有している。

上記アーム２７には別に先端に糸ガイド２９を
設けたアーム３０が固着されている。３１は第１
デリベリローラ５の開閉操作ロツドである。

３２はガイド管１８を予備加熱器６に固着する
支片３３上に固定した糸ガイドピン、３４，３５
は冷却装置１０の蓋板２２に突設した糸ガイドピ
ンで蓋板２２を２２ａ位置に開いた時、ピン３
４，３５はそれぞれ３４ａ，３５ａ位置となる。

バルーン抑制装置１１のブラケツト２５とアー
ム２７を結ぶスプリング３６は糸仮撚中は第２図
示位置にあつてアーム２７をピン２６の回りに時
計針方向に付勢しているが、アーム２７を鎖線位
置２７ａに回動すればスプリング３６がピン２６
の第２図右側に位置を変え、アーム２７を逆に反
時計針回りに付勢してブラケツト２５の突起３７
に当接してアーム２７を固定する。

糸掛時には操作ロツド１９を下位置１９ａに下
げておき、冷却装置の蓋板２２を開位置２２ａに
開いておき、バルーン抑制装置１１のアーム２７
を２７ａ位置とし、第１デリベリローラ５、第２
デリベリローラ１３を開としておく。この時糸ガ
イドピン７は７ａで示す如く糸ガイドピン３２の
下方にあり、糸ガイドピン３４は第１図、第２図
３４ａ，３５ａ位置にあり、糸ガイド２９は第１
図、第２図２９ａ位置にあり、給糸ボビン１より
引出された糸Ｙは第１図実線Yaで示す通りテン
シヨン装置４から糸ガイドピン３２、糸ガイドピ
ン３４ａ，３５ａ、糸ガイド２９ａ、糸ガイドピ
ン３８に掛けられ、第２糸加熱器１４を通つてサ
クシヨン管３９に吸引保持される。この時糸Ya
は予備加熱器６、バルーン抑制板９、バルーン抑
制板２８のいずれにも接触しない。

この状態で第２デリベリローラ１３が閉されて
糸が静止状態から走行を始める。この時糸ガイド
ピン３２は予備加熱器６の前方に設けられて、予
備加熱器６から出る煙によつて汚されることがな
く、又ガイドピン３４ａ，３５ａによつて糸が冷
却装置１０の流水から離されており、且つ上記の
如く糸が予備加熱器６、バルーン抑制板９、バル
ーン抑制板２８のいずれにも接触していないので
糸の接触部は極くわずかで、従つて糸の接触部に
おける静摩擦は極めて低く糸の走行始めの糸切現
象が防止される。

バルーン抑制装置１１のアーム２７には軸４０
を中心にレバー４４と一体に回動し得るカム４１
が設けられており、カム４１は円弧状部４１ａと
平滑部４１ｂよりなつており、上記糸の走行始め
の後第２図においてレバー４４を４４ａの位置に
回動してアーム２７を２７ａ位置から時計針回り
に回動する。この時スプリング３６がピン２６を
越えることによりスプリング３６がアーム２７を
時計針回りに付勢し、上記円弧状部４１ａがブラ
ケツト２５に支持したアジヤストボルト４２に当
接することによりアーム２７が２７ｂ位置に固定
され、糸ガイド２９が２９ｂ位置となる。この時
糸は第２図Ybで示す如くアーム２７に一体に固
着したピン４３によつて屈曲ガイドされてバルー
ン抑制板２８には未だ接触しないが、糸ガイド２
９ｂにより仮撚ベルト１２ａ，１２ｂの接触部の
端に導入され、定常状態より少ない撚数の仮撚
（以下半撚と称する。）が糸に付勢される。上記半
撚状態によつて糸接触点の摩擦力は著るしく減少
するが、該半撚状態の下で第１デリベリローラ５
を閉じて走行糸に所定の張力を付与する。

次いで操作ロツド１９を引き上げ、糸ガイドピ
ン３２に掛つていた糸を糸ガイドピン７，８で拾
い上げ、糸を第１図YaからＹの位置へガイドし
予備加熱器６へ導入すると共にバルーン抑制板９
に接触させる。

この後冷却装置の蓋２２を閉じて糸を冷却水中
へ浸すと共にピン４３から外してバルーン抑制板
２８に接触させた後、レバー４４を第２図４４ａ
から４４位置へ回動することによりカム４１の平
滑部４１ｂがボルト４２に当接して糸ガイド２９
が２９ｂ位置より２９位置へ移動し、糸が仮撚ベ
ルト１２ａ，１２ｂ接触部の中央にガイドされ、
糸に定常状態の全撚の仮撚が付与される。

この後糸を第３デリベリローラ１５からオイリ
ングローラ１６を経て捲取装置１７へ導く。

以上のように本発明によれば、加熱器１６から
特に多量の煙が出る糸走行開始時には、糸は該煙
の通路ではない加熱器の前方位置に設けた常に汚
れていない糸走行開始時専用の糸ガイドピン３２
に掛け得るので、糸走行開始時の糸切をほとんど
無くすことができ、作業時間の低減を計ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の正面図、第２図は冷却装
置、バルーン抑制装置部分の詳細を示す図であ
る。 ６……糸加熱器、７，８……糸ガイドピン、１
９……操作ロツド、３２……糸ガイドピン、Ya
……糸掛時の糸、Ｙ……通常運転時の糸、３３…
…支片。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 長大でかつ少なくとも糸仮撚中は煙突状に閉
   じられた糸予備加熱器を垂直に立設し、該加熱器
   に略沿つて昇降する操作ロツド上に糸ガイドピン
   を有し、通常の糸走行時には上記糸ガイドピンが
   上記加熱器上端部に位置決めされる糸仮撚装置で
   あつて、上記操作ロツド上の糸ガイドピンの最上
   位置よりも下位で、操作ロツド上の糸ガイドピン
   の最下位置よりも上位の高さ位置で、かつ上記加
   熱器の煙の非作用位置に上記糸ガイドピンとは別
   の糸掛用糸ガイドピンを設け、操作ロツドの上昇
   途次に、支片を介して糸予備加熱器に固定される
   糸掛用糸ガイドピンに掛けられた糸を操作ロツド
   上のガイドピンがすくい上げるようにしたことを
   特徴とする糸仮撚装置。