JPS635323Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はVTR（ビデオテープレコーダ）におい
て特殊再生時に発生するノイズを低減させるノイ
ズ低減回路に関するものである。

一般にアジマス記録方式を用いたヘリカルスキ
ヤン型VTRにおいて、スチル再生、スローモー
シヨン再生、高速画像再生等、記録時とは異なる
テープ速度で再生する特殊再生を行なう場合、記
録時と再生時とでテープとビデオヘツドとの相対
速度が異なるため、ビデオヘツドは隣接する記録
トラツクをまたいでトレースする形となりアジマ
スの異なる記録トラツクをトレースする際にノイ
ズが発生し、これが再生画面上、ノイズバンドと
して現われ非常に見づらいものとなつていた。

このノイズバンドの周波数の分布は映像信号帯
域（3.6〜4.8MHz）内のみならず帯域外（２〜
10MHz）にも及ぶため映像信号帯域以下のノイズ
は同期信号を妨害し、また、帯域以上のノイズは
再生画面上、白く輝くノイズとなり特に目立つも
のとなつていた。

このため、従来では映像信号帯域外のノイズを
低減すべく輝度信号再生系におけるFM復調器の
復調特性を特殊再生時に変化させて再生画面上、
白く輝やくノイズを黒くなるように復調しノイズ
を目立たなくする方法が採用されている。

次に上述のノイズ低減方法を採用した輝度信号
再生系の概略ブロツク図を第１図に示す。ビデオ
ヘツド１より取り出された再生信号は再生ヘツド
アンプ２で増巾されると共に輝度信号及び色信号
に分離され、分離された輝度信号は、ドロツプア
ウト検波回路３、ガラス遅延線等より成る1H遅
延線４及び第１切換スイツチ５とで構成されるド
ロツプアウト補償回路６において、ドロツプアウ
ト発生時にドロツプアウト検波回路３出力により
第１切換スイツチ５が接点ｂから接点ａに切換え
られ1H遅延信号が出力されることによつてドロ
ツプアウト補償がなされた後、復調特性切換信号
により通常再生時と特殊再生時とで復調特性が変
化するFM復調器７でFM復調され、ローパスフ
イルタ８及びデイエンフアシス回路９を通過して
再生輝度信号として出力され、図示省略した色信
号処理回路で処理された再生色信号と混合され
る。尚、通常、前記ドロツプアウト補償回路６は
特殊再生時には接点ｂに固定され動作しない構成
としている。

前記FM復調器７の復調特性は、第２図に図示
する如く復調特性切換信号により通常再生時と特
殊再生時とで切換えられ、通常再生時には実線で
示すように周波数に比例した復調レベルが得られ
る直線性を有し、また、特殊再生時には一点鎖線
で示すように一定の周波数レベル以上（映像信号
帯域以上の周波数）については前述の直線的な特
性を反転して復調レベルが低下するような、すな
わち再生画面上、白く輝くノイズ成分を黒く復調
するような非直線性を有する。

しかし、上述のノイズ抵減方法ではFM復調器
の復調特性を通常再生時と特殊再生時とで変化さ
せる必要があり、またFM復調器の部品のばらつ
きにより特殊再生時の復調特性における非直線部
分の特性が変化しやすく、また、高域のみを急峻
にレベル低下させると画面のヤブレ現象（FM反
転現象）が起こる。更に上述のノイズ低減方法で
は映像信号帯域以下のノイズは低減できないので
ノイズによる同期信号の妨害という問題は解消で
きない。

また、LCフイルタを使用して映像帯域外のノ
イズを低減する方法も考えられるが、この場合、
フイルタの高域しや断特性を急峻にすることが困
難であるためあまり実用的ではない。

本考案は上述の欠点を解消すべくなされれもの
であり、特殊再生時に発出するノイズの内、映像
信号帯域外のノイズ成分を、遅延線の通過帯域特
性を利用して低減する新規且つ有効なノイズ低減
回路を提供するものである。

以下、第３図に従つて本考案の一実施例を説明
する。

本考案はガラス遅延線等の遅延線の持つ通過帯
域特性を利用し、特殊再生時におけるFM復調輝
度信号を遅延線に通して帯域制限することによつ
て映像信号帯域外のノイズ成分を低減するもので
あり、本実施例ではこのノイズ成分の低減に用い
る遅延線を、ドロツプアウト補償回路を構成する
1H遅延線と兼用するようにしている。尚、第１
図と同一部分には同一図番を付し説明を省略す
る。

図中、１０はドロツプアウト補償回路６を構成
する第１切換スイツチ５出力と1H遅延線４出力
とを入力とする第２切換スイツチで、図示省略し
たシステムコントロール回路より出力される切換
信号により通常再生時と特殊再生時とで前記２入
力を選択的に切換えて出力する。この第２切換ス
イツチ１０は前記ドロツプアウト補償回路６と通
常の直線的な復調特性を有するFM復調器７′と
の間に介挿される。前記1H遅延線４の通過帯域
特性は第４図に示す如く例えば4.43±1.5MHz程
度であり、画面のヤブレ現象を起こすことなく適
当な帯域制限が可能である。

次に上述の構成回路の動作について説明する。
まず、通常再生時、第２切換スイツチ１０は接点
ｄ側に倒されており、再生ヘツドアンプ２より出
力される輝度信号はドロツプアウト補償回路６に
おいてドロツプアウト発生時のみ1H遅延線４を
通されて第２切換スイツチ１０の接点ｄを介して
FM復調器７′に入力される。

一方、特殊再生時、切換信号により第２切換ス
イツチ１０は接点ｃ側に切換えられると共に第１
切換スイツチ５が接点ｂ側に固定されドロツプア
ウト補償回路を動作させないようにする。従つ
て、再生ヘツドアンプ２より出力された２〜10M
Hzにわたつてノイズが分布する輝度信号は、常時
1H遅延線４を通過し、4.43±1.5MHz程度に帯域
制限されることによつて映像信号帯域外のノイズ
成分が低減され、第２切換スイツチ１０の接点ｃ
を介してFM復調器７′に入力されてFM復調され
ることによつて高域の白く輝やくノイズが視覚的
に軽減されることになる。

尚、特殊再生時、輝度信号のみを1H遅延線に
通すので色信号との間で1Hのずれが生じること
になるが、再生画面では実用上問題とはならない
ことが確認されている。また、本実施例では1H
遅延線をドロツプアウト補償回路のものと兼用し
たが、ノイズキヤンセラ回路の1H遅延線を兼用
しても良く、更に両者を兼用した1H遅延線でも
使用できる。

上述の如く本考案によれば特殊再生時に、FM
復調前の輝度信号をガラス遅延線等の遅延線に通
して帯域制限することによつて、特殊再生時に発
生する映像信号帯域外に及ぶノイズ成分を低減さ
せることができるので、同期信号を妨害すること
なく、また、再生画面上、ヤブレ現象を起こすこ
となくノイズバンドを視覚的に軽減させることが
できる。

また、帯域制限用の遅延線にドロツプアウト補
償回路の1H遅延線を兼用した場合、従来回路に
切換スイツチ１個を付加するだけで良く、非常に
安価に回路を構成することができ実用的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の輝度信号再生系の概略ブロツ
ク図、第２図は従来例のFM復調器の復調特性を
示す図、第３図は本考案の一実施例におけるノイ
ズ低減回路の概略ブロツク図、第４図は1H遅延
線の通過帯域特性図である。 主な図番の説明、４……1H遅延線、１０……
第２切換スイツチ、７，７′……FM復調器。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 再生輝度信号経路中のFM復調器の前段に、
   所定の通過帯域特性を有する遅延線を配すると
   共に通常再生時には前記遅延線を通さない信号
   経路を選択し特殊再生時には前記遅延線を通し
   た信号経路を選択する切換スイツチを配したこ
   とを特徴とするノイズ低減回路。 (2) 前記遅延線にドロツプアウト補償回路及び若
   しくはノイズキヤンセラ回路の1H遅延線を兼
   用してなる登録請求の範囲第１項記載のノイズ
   抵減回路。