JPS6352440B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は高周波加熱装置の加熱室内に於ける加
熱効率及び電波加熱分布の改善に関するものであ
る。

従来例の構成とその問題点 従来から高周波加熱装置の加熱室内の電波分布
の均一化を図る方法として食品載置台を回転させ
るターンテーブル方式があるが、従来のこの方式
では電波を加熱室上部から放射する構造である
為、電波の放射源から食品までの距離が遠く、従
つて電波は食品に吸収される前に何回も加熱室壁
面で反射をくり返し、ある程度減衰してから食品
に吸収される為、加熱効率が悪いという欠点があ
つた。この欠点をカバーする為に加熱室底壁のほ
ぼ中央部にダイポールアンテナを設け、これをタ
ーンテーブルの回転軸に兼用してターンテーブル
の底から電波を放射する方法が提案された。この
場合の欠点はダイポールアンテナからの電波は主
に食品の底部中央付近を強く加熱し、その他の部
分、特に端の部分及び上部中央部分の加熱が弱い
という事である。これはダイポールアンテナから
放射された電波を端の方までガイドする手段がな
い為にほとんどの電波がすぐ近くの食品に吸収さ
れてしまう為である。

発明の目的 本発明は上記従来の問題点を解消するもので、
ターンテーブルの底からターンテーブルの半径方
向にコントロールされた電波放射を行なう事によ
り、加熱効率が良く、電波加熱分布性能の良い高
周波加熱装置を提供する事を目的とする。

発明の構成 上記目的を達成する為に本発明は食品を収納す
る加熱室と、前記加熱室に高周波を供給する高周
波発振器と、前記高周波発振器によつて発振され
た高周波を伝送する伝送手段と、前記伝送手段と
前記加熱室とを加熱室底壁面上で結合するアンテ
ナユニツトと、食品を載せる為の食品載置台と、
前記食品載置台を回転させる為の回転軸とを備
え、前記アンテナユニツトはアンテナが結合され
る加熱室の壁面に対して略垂直な垂直成分と、平
行な水平成分とからなり、かつ前記アンテナの垂
直成分の中心と、前記食品載置台の回転軸の中心
とを一致させない構成にするものであり、食品載
置台の下にアンテナの水平成分を設ける事及びそ
の位置、寸法を変える事によつて、食品載置台上
の平面的及び立体的な電波分布の均一化をはかる
事が出来るという効果を有するものである。

実施例の説明 以下本発明の一実施例について図面に基づいて
説明する。

１は本体であり、内部に加熱室２がある。３は
加熱室の前面開口部を開閉自在とするドアであ
る。

高周波発振器１２によつて発振された電波は導
波管４によつて伝送され、加熱室底壁上に設けら
れたアンテナユニツト５から加熱室内部に放射さ
れる。アンテナユニツト５は加熱室底壁に対して
垂直な垂直成分６と、水平な水平成分７とよりな
り、加熱室底壁の略中央部に設けられた食品載置
台１３の回転軸９の中心からずれた点に設けられ
ている。

８はアンテナの垂直成分６が貫通する加熱室底
壁の開口部を封口する為の封口板で同時にアンテ
ナユニツトを支える為の働きをしている。食品載
置台１３の回転軸９は軸受１０によつて回転軸支
され、モータ１１のシヤフトに直接接続されてい
る。

アンテナの水平成分７の寸法は第３図にアンテ
ナ上の電界の強さを二点鎖線で示すように約１1/
２波長が励振されるように設定されている。又食
品載置台１３の回転軸９の中心はアンテナの水平
成分７の中心線上又はその近傍でしかもアンテナ
上の電界最大点又は最少点からアンテナの水平成
分７にそつて約λ／８ずれた点に設定されてい
る。

以下上記構成における作用について説明する。

高周波発振器１２によつて発振され、導波管４
によつて導かれた電波はアンテナの垂直成分６を
経て、アンテナの水平成分７より主に放射され
る。アンテナのすぐ上には回転式の食品載置台１
３が設けられている為、アンテナから放射された
電波はその殆んどが加熱室壁面等で反射される事
なく、直接食品に吸収され、従つて損失が少な
く、加熱効率が良い。

又、食品載置台１３の回転軸の中心はアンテナ
上の電界分布の最大点又は最少点からλ／８アン
テナにそつてずれた点に設けられている為、食品
載置台１３のある回転角度に於いてアンテナの電
界最少点（最大点）の真上になる食品は、食品載
置台１３がその点から180゜回転すると今後は電界
最大点（最少点）の真上にくる為、180゜回転する
毎に電界の最大点と最少点の上を交互に通過する
事になり、この結果、各部分が平均化されたほぼ
均一の加熱分布を得る事が出来る。又アンテナの
垂直成分６の中心と食品載置台１３の中心が一致
している場合は食品載置台１３の中心部分の電界
が強くなりやすい為、中心部の加熱が他の部分に
比べて強くなり過ぎるが、本実施例の場合は食品
載置台１３の中心をアンテナの垂直成分６の中心
からずらし、しかも電界の最大点と最少点のほぼ
中間点に選んである為、中央部分の加熱も他の部
分とほぼ等しく均一にする事が出来る。

発明の効果 本発明によれば次の効果を得る。

(1) 電波の放射源であるアンテナが食品載置台の
すぐ下に設けられている為、放射された電波の
殆んどが直接食品に吸収され、従つて電波のロ
スが少なく、加熱効率が良い。

(2) 食品載置台の中心をアンテナの垂直成分の中
心からずらせた位置にしてある為、食品載置台
の中心部分の加熱を押さえ、他とほぼ等しく均
一に加熱するようにする事が出来る。

(3) 食品載置台の中心がアンテナの水平成分にそ
つてその電界分布の最大点又は最少点からλ／
８の点に設定してあるので、食品載置台の上に
置かれた食品は180゜回転する毎に電界の最大点
と最少点を交互に通過する事になり、従つて全
ての部分が平均化され、均一に加熱する事が出
来る。

(4) アンテナの垂直成分が、食品載置台の中心と
ずれている為、導波管としてはその全長を短か
くする事が出来、従つて安価に作る事が出来
る。

(5) アンテナの垂直成分の中心と食品載置台の中
心が一致している場合は、アンテナと同軸上に
導波管内に誘電体材料よりなる回転軸を通す必
要があるが、アンテナの導波管内の先端は非常
に高電界になつており、そこへ誘電体の回転軸
が設けられると誘電体の部分へ更に電界が集中
する為、この部分の電界が異常に高くなり、そ
の結果スパークと呼ばれる放電現象を生じ、ア
ンテナ及び回転軸等を損傷してしまうという危
険があるが、本発明の構成ではアンテナの先端
は空間ギヤツプのみとなる為、前記のような異
常な電界集中によるスパーク等も防ぐ事が出来
る。

(6) 食品載置台の回転軸の所まで導波管がのびて
いない為、回転軸にモータやプーリ等を接続す
る事によつて製品全体の高さ寸法をあまり大き
くする必要がなく、製品をコンパクトに作る事
が出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例である高周波加熱装
置の外観斜視図、第２図は同断面図、第３図は同
要部拡大断面図である。 １……本体、２……加熱室、４……導波管、５
……アンテナユニツト、６……アンテナの垂直成
分、７……アンテナの水平成分、９……食品載置
台の回転軸、１２……高周波発振器、１３……食
品載置台。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 食品を収納する加熱室と、前記加熱室に高周
   波を供給する高周波発振器と、前記高周波発振器
   によつて発振された高周波を伝送する伝送手段
   と、前記加熱室と前記伝送手段とを加熱室底壁面
   上で結合するアンテナユニツトと、前記食品を載
   せる為の食品載置台と、前記食品載置台を回転さ
   せる為の回転軸とを備え、前記アンテナユニツト
   は、アンテナが結合される前記加熱室の壁面に対
   して略直角な垂直成分と、平行な水平成分とから
   なり、かつ前記アンテナの垂直成分の中心と前記
   食品載置台の回転軸の中心とをずらす構成とした
   高周波加熱装置。 ２ 食品載置台の回転軸の中心をテンテナの水平
   成分にそつてその電界最大点又は最少点からλ／
   ８ずれた点に設けた特許請求の範囲第１項記載の
   高周波加熱装置。 ３ 食品載置台の回転軸のある部分まで導波管を
   延長しない構成とした特許請求の範囲第１項記載
   の高周波加熱装置。