JPS6351046B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、その膜壁が流体混合物に対して選択
透過性を有する中空糸を特定の平板状集束体とし
て成形した中空糸型流体分離エレメント及びその
製造方法に関する。

選択透過性を有する膜を用いて流体混合物の成
分を分離する方法には、気体透過、液体透過、透
析、限外ろ過、逆浸透およびパーベーパレーショ
ンなどがある。特に近年は省エネルギー、公害対
策の抜本的改善に対する社会的要望から高分子分
離膜による酸素富化空気の製造技術が大きくクロ
ーズアツプされて来た。しかるに膜による混合ガ
ス流体からの成分の分離技術は、海水淡水化、排
水中からの有価物回収などの液相分離の技術と比
較しまだ緒についたばかりである。

これらの流体分離用エレメントとしては、中空
糸型、チユーブラー型、スパイラル型あるいは平
板型等があるが、その中でも中空糸型がその有効
面積の大きさ、体積効率等の点で優れたものであ
る。

この様な中空糸型流体分離モジユールは、例え
ば選択透過性中空糸を主体とするエレメント原料
流体用流路、透過流体用流路、該エレメントを支
持する管板及び外套筒体等より構成されるもので
あるが、その構成に当つては数万本の中空糸、例
えば外径800μ、内径500μを収束した支持筒に内
蔵し、かつ所望の充填密度（例えば40％）を保持
し、管板に固定するという極めて煩雑な作業工程
を有する。更に大規模なモジユール（例えばモジ
ユール長に比例的に被処理流体の圧力損失が増加
するため、長さは短かい程よく、従つて太くなる
方向にある）に於いては数百万本の中空糸の収束
を要し、操作が複雑で中空糸の単糸切れの起りや
すい従来の製造方法では、その構成は不可能であ
る。

そこで本発明者等は、この様に非常に多量の中
空糸を扱う極めて煩雑な製造工程を簡略化し、所
望の分離エレメントの規模いかんにかかわらず一
定の方式によつて行ないうる方法による中空糸型
流体分離エレメントを得ることを目的として鋭意
研究した結果、多量の中空糸群を平板状集束体と
して取り扱うことが有効であることを見い出し本
発明に到達した。

すなわち本発明は、２枚の薄い通気性シート状
物及びその間に平板状に多層に配列された、流体
混合物に対して選択透過性を有する中空糸束から
なり、周囲が実質的に封じられた平板状集束体を
形成し、１個又は複数個の該平板状集束体をその
中空糸の軸方向と実質上垂直な方向にスパイラル
状に巻込み全体をほぼ円柱状にした後、すくなく
ともその１端を固化材により固化成形せしめて流
密構造となし、さらにその部分に該中空糸の開口
部を設けたことを特徴とする中空糸型流体分離エ
レメント；及び該中空糸型流体分離エレメントの
製造方法である。

以下、本発明についてさらに詳細に説明する。

本発明では、流体混合物に対して選択透過性を
有する中空糸であればいかなるものも用いること
ができる。ここで言う流体混合物とは、２種以上
の気体を含む気体混合物、２種以上の液体を含む
液体混合物、塩類、糖類、蛋白質類、菌類あるい
はコロイド等を含有した液体等であり、膜分離操
作が可能ないかなる流体混合物でもよい。また本
発明における中空糸としては、該流体混合物の少
なくとも１種に対して選択透過性を有するもので
あればいかなるものでもよく、その外径として具
体的には10〜1000μの範囲のものが好ましい。

本発明は、該中空糸を平板状集束体の形にまと
めたものを１個又は複数個用いて、その中空糸の
軸方向と実質的に垂直な方向にスパイラル状に巻
込で全体をほぼ円柱状の形に成形することを特徴
としている。この平板状集束体とは、２枚の薄い
通気性シート状物の間に多数の該中空糸をほぼ平
行にそろえて平板状に多層に配列せしめて積層構
造体としたものであり、好ましくはさらにその周
囲を実者的に封じたものである。該平板状集束体
の大きさは、目的とするエレメントの大きさある
いは製造過程の取扱いの容易性等によつて選ぶこ
とができる。

本発明で用いる薄い通気性シート状物とは、流
体が自由に通過しうる程度の大きな通気性を有
し、該中空糸束を取扱う上で支障のない程度の剛
性、強度及び薄さを有するものである。その好ま
しい具体例としては網状物、スダレ状物、紙状
物、織布、不織布、パンチングシート等があげら
れる。またその材質については該エレメントを使
用する際等に問題を生じないものであればよく、
特に限定されない。

また該平板状集束体において周囲を実質的に封
ずる形態としては、中の中空糸束を外に出にくく
する機能が保たれればよく、例えば周囲の部分あ
るいは全体を糸で縫い合わせる方法、接着、ヒー
トシール等の方法によつて行なうことができる。

本発明では、この様な中空糸の平板状集束体を
該中空糸の軸方向とほぼ垂直な方向にスパイラル
状に巻込む際に、該平板状集束体を１個又は複数
個をそのまま巻込んでもよいが、好ましくは薄い
通気性シート状物上に該平板状集束体を一層又は
多層に配列した帯状積層体を１組とし、それを１
組で又は複数組を重ねた状態でスパイラル状に巻
込むのが望ましい。尚、スパイラル状に巻込むに
際して、必要に応じて他の棒状、管状又は板状等
の支持体及びシート状物等を用いてもよい。

本発明では、該平板状集束体をスパイラル状に
巻込み全体をほぼ円柱状とした後、少なくともそ
の１端を樹脂等の固化材により固化成形せしめて
流密構造となし、さらにその固化成形部の適当な
所で軸方向と垂直に切断して流密構造を保持した
ままで該中空糸の開口部を設けることによつて流
体分離エレメントとなす。ここで用いられる固化
材としては、通常用いられる樹脂等であつて該エ
レメントが使用される際に支障のない限りいかな
るものでもよく、その固化成形は通常用いられる
いかなる方法によつてもよい。また前記のスパイ
ラル状に巻込んだ構造体を２個以上まとめてその
端を固化成形することもできる。

また本発明における中空糸の平板状集束体を得
る方法としては、いかなるものでもよいが、以下
に示す方法が好ましい。すなわち、ボビン類又は
多数のピンを円筒状に配したかせ類等の巻取り装
置に前記の薄い通気性シート状物をほぼ１層巻き
つけ、その上に中空糸を１層又は多層に巻きつ
け、さらにその上に再度該シート状物をほぼ一層
巻きつけた後、該中空糸層を巻取り装置の軸方向
にほぼ一線に切断して（シート状物／中空糸層／
シート状物）なる積層体全体を展開し、必要に応
じてさらに該積層体の周囲を実質的に封ずる方法
である。ここで通気性シート状物は、周囲を封ず
る時に使う例えば縫しろ等の為の部分を余分に巻
込んだ状態でほぼ一層巻きつけるのが好ましい。

以下図面により本発明の好ましい１実施態様例
を説明するが、本発明はこれにより何ら限定され
るものではない。

第１図は本発明にかかわる平板状中空糸集束体
をうる為にボビン１に通気性シート状物２及び中
空糸３を巻きつけたものである。第２図は第１図
にさらに通気性シート状物５を巻き込み終れた図
である。第３図は第２図の噛合せ目線７上より該
中空糸を切断し展開、側面を縫い合せた平板状中
空糸集束体である。第４図は平板状中空糸集束体
１６を通気性シート状物１４，１５上に配列した
状態を示し、これをスパイラル状に巻き込むこと
により本発明の中空糸分離エレメントが得られ
る。

第１図において、中空糸巻き取りボビン１、例
えば外径約16cm、長さ100cmの塩ビ製（エレメン
ト展開後サイズ50cm×100cm）に通気性シート状
物２を合せ目を４で示す如く互いに折りまげた状
態に巻き、その上から中空糸を一重又は多重に巻
き込み図２で示すごとくさらに通気性シート状物
５を該４と同等に巻き、その結果噛合せ目７をも
つて切断し、展開後、縫いしろ４，６を折りもど
し、第３図に示す如く、全周囲を糸、例えばナイ
ロン糸、麻糸等９で該中空糸３が破出しない程度
の粗さで縫い、平板状中空糸集束体を構成する。

第４図は第３図の該平板状集束体１６を通気性
シート状物例えば網１３，１４，１５に２組に配
位して、巻き開始部１２を縫い合せたものであ
り、これにより１２を中心にスパイラル状に巻き
込むことにより本発明の中空糸型流体分離エレメ
ントが得られる。

以上説明した如く、本発明によれば、極めて簡
単な作業工程により、またエレメントの規模にか
かわらず一定の方式により、中空糸の単糸切れ等
を起すことなく確実に中空糸型流体分離エレメン
トが得られる。本発明は、特に多数本の中空糸を
必要とする大規模なエレメントを得るのに適して
いる。

本発明による中空糸型流体分離エレメントを使
用した分離モジユールの具体的な応用例として
は、空気中の酸素富化、すなわち工業用酸素富化
あるいは人工肺等の医療用酸素富化、水素ガスの
分離等の気体分離法；かん水の脱塩、海水の淡水
化等の逆浸透法；チーズホエー分離、酵素の精製
等の限外過法；人工腎臓等の透析法等があげら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係わる平板状中空糸集束体
の中間状態を示しており、図において１はボビ
ン、２は通気性シート状物、４は縫いしろであ
る。 第２図は第１図の中間状態にさらに通気性シー
ト状物を巻き込み終えた図である。図において５
は通気性シート状物、６は縫いしろ、７は該中空
糸切断か所である。 第３図は平板状中空糸集束体である。該第３図
中のａはその集束体の全体図であり、ｂはａにお
けるＡ−Ａ部の矢視図を示す。図において９は縫
い糸、３は包まれた該中空糸である。 第４図は第３図の平板状中空糸集束体をスパイ
ラル状に巻込む前の状態の帯状積層体を組合わせ
たものである。１２は縫い糸、１３，１４，１５
は通気性シート状物（網等）、１６は平板状中空
糸集束体である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ２枚の薄い通気性シート状物、及びその間に
   平板状に多層に配列された、流体混合物に対して
   選択透過性を有する中空糸束からなり、周囲が実
   質的に封じられた平板状集束体を形成し、１個又
   は複数個の該平板状集束体をその中空糸の軸方向
   と実質上垂直な方向にスパイラル状に巻込み全体
   をほぼ円柱状にした後、すくなくともその１端を
   固化材により固化成形せしめて流密構造となし、
   さらにその部分に該中空糸の開口部を設けたこと
   を特徴とする中空糸型流体分離エレメント。 ２ 該平板状集束体を他の薄い通気性シート状物
   上に一層又は多層に配列した帯状積層体を１組と
   し、その１組を又は複数組を重ねてスパイラル状
   に巻込んだ特許請求の範囲第１項記載の中空糸型
   流体分離エレメント。 ３ ２枚の薄い通気性シート状物の間に、流体混
   合物に対して選択透過性を有する中空糸を多層に
   配列し、周囲を実質的に封じて平板状集束体を形
   成し、１個又は複数個の該平板状集束体をその中
   空糸の軸方向と実質上垂直な方向にスパイラル状
   に巻込み全体をほぼ円柱状にした後、少なくとも
   その１端を固化材により固化成形せしめて流密構
   造となし、さらにその部分に該中空糸の開口部を
   設けることを特徴とする中空糸型流体分離エレメ
   ントの製造方法。 ４ 該平板状集束体が、巻取り装置に薄い通気性
   シート状物をほぼ１層巻きつけその上に該中空糸
   を１層又は多層に巻きつけさらにその上に薄い通
   気性シート状物をほぼ１層巻きつけた後、該巻取
   り装置の軸方向に少なくとも該中空糸層を切断し
   て全体を展開し、該（シート状物／中空糸層／シ
   ート状物）積層体の周囲を実質的に封ずることに
   より形成される特許請求の範囲第３項記載の中空
   糸型流体分離エレメントの製造方法。 ５ 該平板状集束体を他の薄い通気性シート状物
   上に１層又は多層に配列した帯状積層体を１組と
   して、その１組を又は複数組を重ねてスパイラル
   状に巻込む特許請求の範囲第３項記載の中空糸型
   流体分離エレメントの製造方法。