JPS6350562Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、窯業用の燃焼炉（例えば乾燥炉，素
焼炉，本焼炉等）に用いるバーナー設置用のバー
ナータイルに関する。

第１図は、従来のバーナータイル２がトンネル
状燃焼炉１に設置されれた状態を示す斜視断面図
である。バーナータイル２は、高アルミナ質れん
が等の耐火モルタル材からなり、バーナー３（１
点鎖線で示す）の火炎を均一円環状に拡大するバ
ーナー火炎用の小径噴出口２ａと、バーナー３設
置用の本体部２ｂとから構成されている。燃焼炉
１は、被熱物（例えばタイル素体等の陶磁器素
体）の装入及び抽出の繰り返しや、その他各種の
原因による温度変化が生じたときは、バーナー３
の燃焼調節によつて常に所定の設定温度になるよ
うになされている。しかし、この温度変化によつ
てバーナータイル２のバーナー火炎用小径噴出口
２ａ近傍は、熱膨張歪の差を原因とする亀裂やカ
ケ（熱的スポーリングという）が発生していた。
これら熱的スポーリングが発生したバーナータイ
ル２′は、バーナー３の火炎を均一円環状に拡大
させることができず、前記被熱物は受熱ムラを生
ずる。殊に従来のバーナータイル２は、火炎用の
小径噴出口２ａとバーナー３設置用の本体部２ｂ
とが一体形成されているために、両者間の温度差
は大きく、該バーナータイル２の本体部２ｂにも
熱的スポーリングが生じていた。従つて従来は、
上記の如き熱的スポーリングを起こしたバーナー
タイル２′を交換していたが、バーナータイルは
高価であると共に、火炎用小径噴出口２ａを頻繁
に点検しなければならなかつた。

本考案は、上記の如き事情に鑑みなされたもの
であつて、熱的スポーリングが発生しにくく、ま
た仮りに発生したとしても、その熱的スポーリン
グ発生箇所を部分的に集めて、該部のみの交換を
可能とする新規なバーナータイルを提供すること
を目的とする。

以下本考案を、その実施例を示す図面に基づい
て説明すると次のとおりである。

第２図は、本案バーナータイルを示すものであ
つて、同図イは組立斜視図、同図ロは後方側から
の斜視図である。同図イにおいて本案バーナータ
イルは、バーナーホルダー４と筒状外殻５，５
ａ，５ｂと膨縮吸収材６とからなる。バーナーホ
ルダー４は、平面視形状が正方形状の先端ヘツド
部４ａと、該ヘツド部４ａの裏面側に突出形成さ
れた胴部４ｄとからなり、その側面視形状は略Ｔ
字状になされている。上記ヘツド部４ａは、従来
のバーナータイル２（第１図参照）が燃焼炉１の
内壁面１ａに露出するヘツド部２ｃと略同一形状
を有しており、その露出面４a′には、バーナー火
炎用の小径噴出口４ｂが穿設されている。また、
該小径噴出口４ｂの開口周部は、従来の如き火炎
拡大用のテーパー面４ｃが形成されている。前記
胴部４ｄは、同一形状の長方形によつて４側面を
囲まれた直方体状に形成されており、同図ロに示
す如く、その内部はバーナー（図示省略）設置用
の空洞とされている。

筒状外殻５は、２つの外殻構成体５ａ及び５ｂ
からなる。該外殻構成体５ａ，５ｂは、２つの正
方形と４つの長方形によつてなる中空直方体状の
筒状外殻５が、縦方向に二等分されたものであ
り、各個にその断面形状はコの字状になされてい
る。両外殻構成体５ａ，５ｂ夫々の内幅寸法は、
前記バーナーホルダー４の胴部４ｄの外幅寸法よ
りも僅かに広く、また全長寸法は同一とされてい
る。従つて筒状外殻５と、バーナーホルダー４の
胴部４ｄとの嵌合の際には、該胴部４ｄの周部に
微少隙間ができる。また、前記各外殻構成体５
ａ，５ｂ夫々の外幅寸法ａと、両外殻構成体５
ａ，５ｂの対向合致高さ寸法ｂは同一とされ、こ
れらの寸法ａ，ｂ各個は、前記ヘツド部４ａの周
部幅寸法Ｘ又はＹと同一、又は僅かに広くなされ
ている。

膨縮吸収材６は、耐熱ガラス繊維が布帛状に織
られてなる。

本案バーナータイルは、これらバーナーホルダ
ー４と筒状外殻５（外殻構成体５ａ，５ｂ）と膨
縮吸収材６とが第２図イに示す如く組み合わされ
てなる。まずバーナーホルダー４の胴部４ｄに、
膨縮吸収材６が被着状に巻き付けられる。このと
き膨縮吸収材６の始縁部と終縁部とは、互いに重
ね合わされず、接する如くなされる。次に、いず
れか一方の外殻構成体（例えば５ｂ）が、前記膨
縮吸収材６を介在するように前記胴部４ｂに嵌め
込まれる。そして他方の外殻構成体５ａも同様
に、反対側の胴部４ｄに嵌め込まれ本案バーナー
タイルとなる。また、他の組み合わせ方法とし
て、両外殻構成体５ａと５ｂとを耐火モルタル等
の接着剤によつて予め筒状にし、次に膨縮吸収材
６を該筒状外殻５の内部面又はバーナーホルダー
４の胴部４ｄの外部面に沿わせて、これら筒状外
殻５とバーナーホルダー４とを相互に挿入嵌合す
る。また更に、膨縮吸収材６が布帛状でない場合
には、筒状外殻５とバーナーホルダー４との嵌合
後に、それらの間隔にできる微少隙間に適宜の膨
縮吸収材を詰めるものであつてもよい。

これらのことによつて、上記実施例における本
案バーナータイルは、バーナー（図示省略）に対
して、バーナーホルダー４と筒状外殻５とが、そ
の周部を二重に取り囲んでいることがわかる。こ
れを平面部分と角部分とに分けて、筒状外殻５の
温度分布を見る。まず平面部分を部分視すると、
板材が互いに重ね合わされた形になつており、こ
れら両板材間の伝熱抵抗の加算値は、該両板材の
加算肉厚に匹敵する厚肉板材の伝熱抵抗値よりも
大きい。しかも、これらバーナーホルダー４と筒
状外殻５との微少隙間には、膨縮吸収材６が介在
させられているから、前記筒状外殻５にはバーナ
ーの熱が伝達されにくく、その伝達速度も鈍化さ
れる。次に角部分について述べる。一般に、隣接
する２面がなす角関係における熱放射は高く、従
つて四角柱状となされた筒状外殻５の四隅角辺部
は比較的低温度を保とうとする。これらのことに
よつて筒状外殻５は、全体的に低温度で、且つ均
一な温度分布を示し、熱的スポーリングが起きに
くくなる。更に、前記実施例において筒状外殻５
は、２つの外殻構成体５ａ，５ｂとからなつてい
る。従つて、これら両者の接続部においても、各
別に角関係における熱放射が期待できると共に、
当該筒状外殻５の一部に収縮が起こつた際にも、
該接続部において、その応力を逃げることができ
る。また、バーナーホルダー４と筒状外殻５と
が、熱影響の差によつて異なつた膨張収縮をした
としても、それが相互間に波及することはない。
従つて、前述の本案バーナータイルの組み合わせ
時に接着剤は極力用いないことが望ましい。

本案バーナータイルは、上記の如き作用を有す
るものであるから、この作用を逸脱しない限り、
その細部の形状及び構成を変更することは可能で
ある。従つて例えば第３図に示す如く、筒状外殻
５が４等分に縦割りされた外殻構成体よりなり、
該筒状外殻５とバーナーホルダー４との嵌合関係
が長丸状であるものであつてもよい。

以上の説明で明らかなように、本考案に係るバ
ーナータイルは、熱的スポーリングが発生しにく
いものであるといえる。そそれを説明すると、ま
ず、筒状外殻が熱的スポーリングを生しにくいこ
とは前述したとおりである。また、バーナーホル
ダーの胴部は上記筒状外殻によつて周囲を取り囲
まれているから、該胴部の熱放射はおさえられ、
高温の潜熱が蓄積される。従つて、火炎調節によ
つてヘツド部の温度が変化しようとするときに
も、前記胴部の潜熱によつて、バーナーホルダー
の全体的な温度は均一化され、該バーナーホルダ
ーは熱的スポーリングが発生しにくい。また仮り
に熱的スポーリングが発生するとしても、その発
生箇所は、輻射熱によつて最も高温になるヘツド
部の露出面や、直接温度変化をうける火炎用の小
径噴出口、又は火炎拡大用テーパー面に留めるこ
とができる。従つて、その交換時には、バーナー
ホルダーのみの交換が可能となり、安価に修復可
能となつた等、幾多の優れた利点を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のバーナータイルが燃焼炉に取り
付けられた状態を示す斜視断面図、第２図は本考
案に係るバーナータイルを示すものであつて、同
図イはヘツド側より見た組立斜視図、同図ロはそ
の後方側より見た斜視図、第３図は別態様の実施
例を示す後方側より見た一部切欠斜視図である。 １…燃焼炉、５…筒状外殻、４ｂ…小径噴出
口、４…バーナーホルダー、６…膨縮吸収材、５
ａ，５ｂ…外殻構成体、２…従来のバーナータイ
ル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 窯業用燃焼炉内に設置用の筒状外殻と、火炎
   用の小径噴出口を有するバーナーホルダーとか
   らなり、前記筒状外殻とバーナーホルダーとは
   微少隙間を有する嵌合関係にあり、該微少隙間
   には耐熱ガラス繊維等の膨縮吸収材が詰められ
   ていることを特徴とするバーナータイル。 ２ 筒状外殻は、軸方向に縦割りされた少なくと
   も２個の外殻構成体からなる実用新案登録請求
   の範囲第１項記載のバーナータイル。