JPS6350422Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はデイーゼルエンジンのセラミツク製副
燃焼室の構造に関する。

セラミツクの耐熱性、低熱伝導性が注目され
て、デイーゼルエンジンの副燃焼室囲り、とくに
ロアチヤンバをセラミツクスから構成する開発研
究が推進されている。しかし、セラミツク材料は
引張および衝撃に対して弱いため、従来のデイー
ゼルエンジンでは、ロアチヤンバをムクのセラミ
ツク材料から構成することは難しいと考えられて
いた。

これに対処するため、従来は第１図および第２
図に示すように、金属環でセラミツクから成るロ
アチヤンバを補強して使用するものが提案されて
いる（たとえば実開昭53−62506号）。すなわち、
第１図および第２図の従来構造では、セラミツク
副燃焼室１は、セラミツクロアチヤンバ２、該セ
ラミツクロアチヤンバ２に初期圧縮力を与えてセ
ラミツクロアチヤンバ２の破壊を防止する補強金
属環３、アツパチヤンバ４を形成するシリンダヘ
ツド５、冷間時の熱焼を促進するグロープラグ
６、燃料を噴出する燃料噴射ノズル７、などによ
り構成されている。

しかし、上記のような構造においては、セラミ
ツクロアチヤンバ２の損傷を防止するための補強
金属環３が、過給機付エンジンなどの高熱負荷エ
ンジンの場合には融解するおそれがあり、補強金
属３が融解するとセラミツクロアチヤンバ２を保
護できなくなつて損傷を招くおそれがあるという
問題があつた。

本考案は、セラミツクロアチヤンバの外周に補
強金属環を装着したデイーゼルエンジンの副燃焼
室構造において、補強金属環の融解を防止し、セ
ラミツク副燃焼室の破壊を防止することを目的と
するものである。

この目的を達成するために、本考案のセラミツ
ク副燃焼室は、セラミツクロアチヤンバの外周に
焼ばめした補強金属環の外周を上方にいくに従つ
て縮径するテーパに形成し、同形状テーパに形成
したシリンダヘツドのチヤンバ取付用凹部下部に
シリンダヘツドに押しつけるようにして装入した
ものから構成されている。

この構造では補強金属環とシリンダヘツドとは
テーパ接触であるから、補強金属環を強くシリン
ダヘツドに圧接でき、そのために補強金属環とシ
リンダヘツドとの間の接触熱抵抗を小にすること
ができる。したがつて、高温のセラミツクロアチ
ヤンバに接触して加熱される補強金属環の熱は、
従来より多量にかつ円滑にシリンダヘツドへと流
れ、ウオータジヤケツトを流れる冷却水に放熱さ
れるので、補強金属環が異常に高温に加熱される
ことが防止され、融解が防止される。

以下に、本考案のセラミツク副燃焼室の望まし
い実施例を図面を参照して説明する。

第３図および第４図は本考案の望ましい一実施
例を示している。図に示すように、セラミツク副
燃焼室１０は、セラミツクから成るセラミツクロ
アチヤンバ１１と、その外周に嵌着された補強金
属環１２と、シリンダヘツド１３に形成されたア
ツパチヤンバ１４と、グロープラグ１５と、燃料
噴射ノズル１６などにより構成されている。そし
て、セラミツクロアチヤンバ１１には主燃焼室に
燃焼ガスを噴出する噴口１７が形成されている。

セラミツクロアチヤンバ１１は、円板状の底部
１１ａと該底部１１ａの外周部から上方に向つて
立上る筒状の側壁部１１ｂとから成る。噴射口１
７は底部１１ａに斜めに形成される。補強金属環
１２は、側壁部１１ｂの外周の全高にわたつて設
けられ、金属製の環状体から成る。補強金属環１
２のセラミツクロアチヤンバ１１への嵌着は、焼
ばめ等による、締りばめであり、補強金属環１２
をセラミツクロアチヤンバ１１に嵌着したとき
に、セラミツクロアチヤンバ１１には初期圧縮応
力がかかるようになつている。この圧縮のプレス
トレスは、エンジン運転中にセラミツクロアチヤ
ンバ１１に引張応力がかかつたときにそれを相殺
し、破損を防止する。

補強金属環１２の外周には、上方にいくにした
がつて縮径するテーパ１８がつけられている。補
強金属環１２の内周は直円筒状面から成るので、
補強金属環１２の壁厚は上方にいくにしたがい薄
くなる。一方、シリンダヘツド１３のチヤンバ取
付用凹部下部１９は、下部のセラミツクロアチヤ
ンバ１１が取付けられる部位の内周に、補強金属
環１２の外周のテーパ１８と同形状の、上方にい
くにしたがい縮径するテーパ２０がつけられてい
る。そして、セラミツクロアチヤンバ１１に一体
的に固定された補強金属環１２はチヤンバ取付用
凹部１９に装入され、上方に向けてシリンダヘツ
ド１３に押しつけられる。上方への押力はシリン
ダブロツク２１またはシリンダライナからの締付
力がガスケツト２２を介してかかることにより得
られる。この状態で補強金属環１２の外周のテー
パ１８面と、チヤンバ取付用凹部１９の内周のテ
ーパ２０面とは、くさび効果により第３図および
第４図に矢印で示した方向の大きな圧接力をもつ
て圧接されており、両面の間の接触熱抵抗は圧接
されない場合に比べて低い状態にある。

また、補強金属環１２とチヤンバ取付用凹部１
９とがテーパ圧接するので、補強金属環１２およ
びセラミツクロアチヤンバ１１の上端面２３は、
シリンダヘツド１３のアツパチヤンバ１４の段部
２４には本質的に当接していない。すなわち、セ
ラミツクロアチヤンバ１１の上端面に上下方向に
大きな圧接力が作用しない状態で、セラミツクロ
アチヤンバ１１はチヤンバ取付用凹部１９内に装
入されている。

なお、２５はシリンダヘツド１３内に形成され
た、冷却水の通るウオータジヤケツト、２６はシ
リンダブロツク２１に形成されたウオータジヤケ
ツト、２７はピストン、２８はピストンリングで
ある。

つぎに、以上の構成を有するセラミツク副燃焼
室における作用について説明する。

まずセラミツク副燃焼室１０内の空間部２７に
おける燃焼により、セラミツク副燃焼室１０まわ
りの構成部材は高温になる。とくにセラミツクロ
アチヤンバ１１はセラミツク材の低熱伝導率によ
り熱が逃げにくいのでまわりの部材よりも高温に
なる。このとき、セラミツクロアチヤンバ１１に
接触している補強金属環１２は、セラミツクロア
チヤンバ１１から加熱され、高温になろうとす
る。しかし、補強金属環１２はその外周において
シリンダヘツド１３に小さな接触熱抵抗をもつて
テーパ圧接されているので、補強金属環１２から
シリンダヘツド１３への伝熱が促進され、補強金
属環１２はそれだけ温度が低くなり、融解が防止
される。したがつて補強金属環１２の融解によつ
て生じるセラミツク副燃焼室の破壊のおそれもな
くなる。なお、シリンダヘツド１３へ逃げた熱は
ウオータジヤケツトを流れる冷却水に流れる。

また、補強金属環１２とチヤンバ取付用凹部１
９のテーパ係合によつて、セラミツクロアチヤン
バ１１の上端面２３とアツパチヤンバ１４の段部
２４とは圧接しなくなり、セラミツクロアチヤン
バ１１の上端面２３に押圧力が加わることが防止
される。セラミツクロアチヤンバ１４の上端面２
３の押圧はセラミツクロアチヤンバ１４の破壊の
原因となることがあるが、本実施例ではこの原因
による破壊のおそれも除去されている。

したがつて、本考案によるセラミツク副燃焼室
によるときは、補強金属環とシリンダヘツドとの
テーパ係合により両者の圧接が可能になり、圧接
構造をとることによつて、補強金属環とシリンダ
ヘツド間の接触熱抵抗を下げることができ、補強
金属環からシリンダヘツドへの伝熱の促進により
補強金属環の温度の軽減をはかることができ。ま
た、補強金属環の融解を防止でき、補強金属環の
融解によるセラミツク副燃焼室の破壊を防止する
ことができるという効果が得られる。また、テー
パ係合によりセラミツクロアチヤンバ上端に押圧
力がかかるのを防止でき、押圧力による破損も防
止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のセラミツク副燃焼室の断面図、
第２図は第１図のセラミツク副燃焼室の横断面
図、第３図は本考案の一実施例に係るセラミツク
副燃焼室の断面図、第４図は第２図のセラミツク
副燃焼室の横断面図、 １０……セラミツク副燃焼室、１１……セラミ
ツクロアチヤンバ、１２……補強金属環、１３…
…シリンダヘツド、１４……アツパチヤンバ、１
８……テーパ、１９……チヤンバ取付用凹部、２
０……テーパ、２３……セラミツクロアチヤンバ
上端面、２４……段部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. セラミツクロアチヤンバの外周に補強金属環を
   焼ばめし、該補強金属環の外周形状を上方にいく
   に従い縮径するテーパ状に形成し、同形状のテー
   パのついた内周を有するシリンダヘツドのチヤン
   バ取付用凹部下部にセラミツクロアチヤンバに嵌
   着した前記補強金属環をシリンダヘツドに押しつ
   けて装入したことを特徴とするセラミツク副燃焼
   室。