JPS6350307Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、マツトやカーペツト等に使用するパ
イル布帛を製造するタフト機に関するものであ
る。

より詳しく説明すると、本考案は、パイル面に
縞模様を形成するためにタフト機に装着するフイ
ンガーブロツクに関するものである。

〔従来の技術〕

タフト機に配列される多数のパイル糸の色彩を
部分的に変えて色分けされた縞模様や、パイル糸
のテンシヨンを変えてカツトパイルとループパイ
ル或は短いパイルと長いパイルによる縞模様を形
成するタフト方法は周知である。

然るに、タフト機の全てのニードルは同時に基
布にステツチされるので、一部のニードルのステ
ツチサイクルを変えてできるパイルの密度差によ
る縞模様を形成することは出来ない。ステツチサ
イクルがニードル毎に異なれば、常に何れかのニ
ードルが基布にステツチされていることになり、
そのニードルが引つ掛かるので基布を搬送し得な
いからである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記理由によりステツチサイクルを変えたパイ
ル密度差による縞模様は、オーバータフトによら
ざるを得ない。つまり、パイルのタフトされたタ
フト原反を、一般慣用の平織基布と同様にタフト
機に通し、ステツチサイクルを変えて新にパイル
を重ねてタフトせざるを得ない。

然るにオーバータフトにおいて、パイルをタフ
トする基布は、既にパイルのタフトされたタフト
原反であり、仮令それが新にタフトすべき箇所に
パイルがタフトされない基布のままの状態におか
れているものであつても、そのような箇所ではパ
イル面に真直ぐ続く凹溝が形成されており、又、
バツキングの施されていないタフト原反は柔軟な
ものであるから、そのように真直ぐに続く凹溝の
長さ方向に沿つて真直ぐにオーバータフトするこ
とは難しく、多くは凹溝の左右に蛇行し、凹溝左
右にある既存のパイルにダメージを与えてしまう
ことになる。従つて、既存のパイルのステツチ列
に極く接近させオーバータフトし、パイル密度の
緻密な縞模様を形成することは出来なかつた。

それ故にタフト原反の既存のパイルに重ねてタ
フトし、その際、新にタフトされるパイルを既存
のパイルよりも長いものとし、既存のパイルが新
なパイルの先端の下に隠れる様にして縞模様を形
成するようにオーバータフトせざるを得なかつ
た。

従つて、従来のオーバータフトによつては、短
い既存のパイルと長い新なパイルとの長短差（高
低差・凹凸）による縞模様を形成し得ても、長短
差のないプレーン（平滑）な縞模様を形成するこ
とは出来ない。

その上、縞模様の部分の既存のパイルが、ロス
糸同然に新なパイルの下に隠れてしまうので、経
済的不利益は不可避である。

更に又、既存のパイルは、オーバータフトの際
にニードルのステツチング（刺込）を少なからず
妨げることなるから、ニードルの破損やパイル糸
の糸切れを頻発し、それ故に細いニードルで細番
手のパイル糸を緻密にタフトすることは困難であ
り、又、オーバータフトにより基布が重ねてステ
ツチングされ、ニードルによつてダメージを受け
るので、結局オーバータフトによつてはニードル
やステツチの間隔（パイル密度）の粗い縞模様し
か得られなかつた。

本考案はかかる問題を解決しようとするもので
あり、既存のパイルよりも短いパイルをオーバー
タフトしてタフト原反に縞模様も形成することを
第一の目的とする。

本考案の第二の目的は、オーバータフトにより
パイル密度の緻密な縞模様をタフト原反に形成す
ることである。

本考案の第三の目的は、オーバータフトにおけ
るニードルの破損、パイル糸の糸切れ、基布の裂
傷等を解消することである。

本考案はその他の目的及び効果については、以
下の記述によつて明らかにしよう。

〔考案の構成〕 本考案に係るフインガーブロツク１０は、上記
の目的を達成するためにタフト機に装着されるも
のであり、 横幅ａがタフト機のニードルゲージｇの略整数
倍ｎ（ｎ＝１を含む）の横幅ａで左右両側面１４
ａと１４ｂが平行に続く立方体部分３３と、上面
が立方体部分３３の上面に面一に続き横幅が立方
体部分より漸次狭くなつて船首状に突き出た尖端
部３２とから成る接合部３と、 配列幅ｂを接合部３の横幅ａと略同じくしタフ
ト機のニードルゲージｇに合わせたゲージｈ（配
列間隔）をもつて平行に配列され、各フインガー
の上面４を接合部の上面５に略面一に揃え、且
つ、各フインガーの長さ方向を接合部３の立方体
部分の左右平行な側面１４ａと１４ｂに平行に揃
えて立方体部分３１の端面に突設された複数本の
フインガー１とから成り、 立方体部分の左右平行な側面１４ａ，１４ｂ
と、そこから突出したフインガー１との合計長さ
ｌを横幅ａの４倍以上又は５〜10cm前後とし、 接合部の上面５がフインガープレート６の表面
から突出するように接合部３においてフインガー
プレート６に装着するように成したことを特徴と
するものである。

ここに「合計長さｌが横幅ａの４倍以上又は５
〜10cm前後」とは、合計長さｌを横幅ａの４倍以
上であつても、５cm以下に短くしてはならないこ
と、そして又、10cm以上に長くする必要はないこ
とを意味する。

〔作用〕

オーバータフトされるタフト原反１１は、ニー
ドルゲージが5/32吋、5/64吋、1/6吋、1/10吋等
の既存のタフト機において、オーバータフトすべ
き部分１２にパイルをタフトせずにパイル面に真
直ぐに続く凹溝１３を形成させて用意される。

第１図には、ニードルを２本一組に一定の間隔
をおいて取り外したタフト機によつてつくられた
タフト原反が図示されており、この場合には３本
のフインガー１ａ，１ｂ，１ｃを具備するフイン
ガーブロツク１０が、タフト原反１１の凹溝１３
のレピートｐに合わせてフインガープレート６に
装着される。

これら３本のフインガー１ａ，１ｂ，１ｃは、
平行に配列され鋳型加工により接合部３と一体的
に成型されており、その上面４は接合部の上面５
に面一になつている。

接合部３の横幅ａはフインガーの配列幅ｂより
も僅かに広いが、左右側面１４ａと１４ｂは平行
で、その上面５は先端８側に行くにつれて狭くな
つており、尖端部３２では船首形を成している。

接合部３の底面には取付板材１５が貼着されて
おり、その舌片１６は接合部の先端８の底面から
突き出している。尖端部３２と舌片１６には螺子
孔７，１７があり、取付板材１５の底面をフイン
ガープレート６の上面９に当接させて螺着され
る。

１８は原反引出装置であり、一対のスパイクロ
ーラ１９，１９′に成り、タフト機の稼働中連続
回転して原反１１を真直ぐに引き出す。

２０はニードル、２１はルーパー、２２はナイ
フであり、それらは協働しカツトパイル２３を形
成する。

タフト機が稼働するとき、原反引出装置１８は
タフト原反１１を真直ぐに引出し、他方、凹溝１
３がタフト原反１１に真直ぐに形成されているの
で、凹溝１３はフインガーブロツク１０の上を通
ることになる。

ところでフインガーブロツク１０の上面は、フ
インガー１の後端２４から尖端部３２の先端８ま
で面一で、接合部３の立方体部分３３の左右平行
な側面１４ａ，１４ｂと配列左右のフインガー１
ａ，１ｃとは平行に揃えられており、それらの平
行な側面が横幅ａの４倍以上又は５〜10cm前後と
なる合計長さｌに亘つて連続し、接合部の横幅ａ
がフインガーの配列幅ｂと略同じであり、尖端部
の先端８は上面５において尖端形であるので、フ
インガーブロツク１０は、その上面４，５をタフ
ト原反１１の凹溝の底面である基布１２に密着さ
せ、凹溝１３内に突き進むように嵌り込み、その
とき凹溝１３の幅ｄが、３本のフインガーの配列
幅ｂつまりフインガーブロツク１０の横幅と略同
じであるから、凹溝左右の既存のパイル２５ａ，
２５ｂが仮令凹溝の内側へと傾倒していても、そ
の部分がニードル２０側へと移動するにつれ、フ
インガーブロツク１０の左右側面１４ａ，１４ｂ
によつて凹溝の外側へと押し出されることにな
る。

そしてニードル２０ａ，２０ｂが既存のパイル
２５を凹溝１３の外へと押し出しているフインガ
ー１ａと１ｂ、及び、１ｂと１ｃの間の隙間ｈを
通つて上下動し、又、ルーパー２１やナイフ２２
も既存のパイルの押し出された凹溝１３の下側で
協働するので、これらニードル、ルーパーおよび
ナイフは既存のパイル２５に妨げられることは全
くなくなる。つまり、ニードル、ルーパーおよび
ナイフの作動は、凹溝の底面に対して、パイルの
ない通常の平織基布にカツトパイルをタフトする
場合と同じ状況のもとで新しいパイル２３を形成
することになる。従つて、新しいパイル２３を既
存のパイル２５よりも短かくすることも、又、こ
れと同じ長さにすることも可能となる。

又、ニードルの位置に到る過程で、凹溝１３の
両側面はフインガーブロツク１０の両側面１ａ，
１４ｂに密着し、従つて凹溝の底部である基布１
２は、フインガーブロツク１０の上面４，５に副
つて移動し、左右側端のフインガー１ａと１ｃの
間へと引き出され、そこにニードル２０ａ，２０
ｂがステツチングされる。このため新しいパイル
糸２６のバツクステツチ２７は既存パイル２５の
バツクステツチ２８に平行に揃い、新旧パイルの
縦列も平行に揃えられる。

かかるフインガーブロツク１０の作用が、より
一層有効に営まれる様にするため、尖端部３２の
先端８の下側に底面から上面へと突きあがる傾斜
２９を付け、又、左右側面にも同様に上向きの傾
斜３０ａ，３０ｂを付けておくとよい。

〔考案の効果〕

本考案に係るフインガーブロツク１０はタフト
機において上記の作用をなし、それによつて新旧
のパイル２３，２５のステツチ密度、パイル長、
色彩等の異なる縞模様をパイル面に形成すること
が出来、その際、新たにオーバータフトするパイ
ルを既存のパイルと同じ高さに揃え或はそれ以下
の短かいものとすることも出来る。

そして、かかるオーバータフトが既存のパイル
２５のタフトされないタフト原反１１の基布部分
１２に行うことが出来るので、タフト原反を用意
するに当たつてパイル糸が有効に使用され、又、
オーバータフトに際してニードル破損、パイル糸
の糸切れ、基布破れ等を起こさずに、而も、高密
にステツチすることが出来る。

このように本考案に係るフインガーブロツク１
０の使用により高品質で新規な縞模様のパイルタ
フト布帛３１が効率的且つ経済的に得られ、しか
も本考案の実施にあたつてタフト機に格別な改造
を要せず、よつて本考案は頗る実用的である。

【図面の簡単な説明】

第１図はフインガーブロツクを取り付けたタフ
ト機の要部斜視図、第２図は第１図のＸ−Ｘ箇所
に該当する部分でのタフト機の要部断面図、第３
図はフインガーブロツクの側面図、第４図は第３
図のＹ−Ｙ箇所での断面図である。 １……フインガー、２……フインガー配列部、
３……接合部、４……フインガーの上面、５……
接合部の上面、６……フインガープレート、７…
…取付部（螺子孔）、８……接合部の先端、９…
…フインガープレートの上面、１０……フインガ
ーブロツク、１１……タフト原反、１２……オー
バータフトすべき部分（基布）、１３……凹溝、
１４……接合部の側面、１５……取付板材、１６
……舌片、１７……螺子孔、１８……引出装置、
１９……スパイクローラ、２０……ニードル、２
１……ルーパー、２２……ナイフ、２３……カツ
トパイル、２４……フインガーの後端、２５……
既存のパイル、２６……パイル糸、２７……バツ
クステツチ、２８……バツクステツチ、２９……
傾斜、３０……傾斜、３１……パイルタフト布
帛、３２……尖端部、３３……立方体部分。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 横幅ａがタフト機のニードルゲージｇの略整数
   倍ｎ（ｎ＝１を含む）の横幅ａで左右両側面１４
   ａと１４ｂが平行に続く立方体部分３３と、上面
   が立方体部分３３の上面に面一に続き横幅が立方
   体部分より漸次狭くなつて船首状に突き出た尖端
   部３２とから成る接合部３と、 配列幅ｂを接合部３の横幅ａと略同じくしタフ
   ト機のニードルゲージｇに合わせたゲージｈ（配
   列間隔）をもつて平行に配列され、各フインガー
   の上面４を接合部の上面５に略面一に揃え、且
   つ、各フインガーの長さ方向を接合部３の立方体
   部分の左右平行な側面１４ａと１４ｂに平行に揃
   えて立方体部分３３の端面に突設された複数本の
   フインガー１とから成り、 立方体部分の左右平行な側面１４ａ，１４ｂ
   と、そこから突出したフインガー１との合計長さ
   ｌを横幅ａの４倍以上又は５〜10cm前後とし、 接合部の上面５がフインガープレート６の上面
   から突出するように接合部３においてフインガー
   プレート６に装着するように成したことを特徴と
   するタフト機のフインガーブロツク１０。