JPH0424046B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はカーペツト下層のための裏打ち材、特
にクレープ紙内に縫い糸の列を形成した合成紙の
裏打ち材に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のカーペツト下層のための裏打ち材として
使用される縫われたクレープ紙は例えば英国特許
第1422940号公報に示されている。この縫われた
クレープ紙は寸法的に安定性があり、カーペツト
下層の裏打ち材として好適な発泡シート又はスポ
ンジゴムに接着可能である。

このようなカーペツト下層の裏打ち材としての
クレープ紙の並行する縫い糸の列間に孔の形が形
成されたものも既知である。この孔の列はカーペ
ツト上を歩く人間によつて圧力がカーペツト下層
に加えられたとき生じ易いきしみ音を防ぐもので
あり、このような孔の列は縫い糸の列間に少なく
とも１列設けられている。

縫われたクレープ紙に対する孔の列の形成は縫
編機の針板に設けた非縫用針によつてなされる。
この作業は例えば縫編機の針板上の複数非縫用針
によつて、又は３又は４本の縫い針のうちの１本
の針によつて容易に行うことができる。

縫い糸の列と交互に孔の列を設けた縫われたク
レープ紙の長手方向、即ち縫い糸の列方向の抗引
張は孔の無いものに比べ大きい事が確かめられて
いる。

〔発明が解決しようとする課題〕

然しながら孔の穿いた縫われたクレープ紙はカ
ーペツト下層の外観を悪くする欠点がある。例え
ば重量67ｇ／m²のものをクレープ（crepe）して
重量88ｇ／m²とした厚いクレープ紙を用いた場合
には、前記孔の大きさが変わり、重量39ｇ／m²の
ものをクレープして72ｇ／m²としたものに比べ孔
が大きく目立つようになる。着色ゴムのより厚い
カーペツト下層に非縫用針によつて孔を穿けた厚
いクレープ紙を用いる場合には孔がより目立つよ
うになり、その製品の外観も悪くなる。カーペツ
ト下層の外観はカーペツトの使用時には見えない
としても商業的には重要である。

従つてこのようなカーペツト下層には外観を良
くし長手方向の抗張力の減少を防ぐような裏打ち
をする必要がある。

本発明の目的は上記の欠点を除くようにしたも
のである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の上記目的は縫われたクレープ紙の平行
する縫い糸の列間に押し出しによつて突起の列を
形成することによつて達成できる。

本発明のカーペツト下層のための裏打ち材は平
行する縫い糸の列を有するクレープ紙より成り、
この縫い糸によつてクレープ紙の伸張性を抑制
し、縫い糸の列間で孔あけすることなく押し出し
てクレープ紙を変形し突起の列を形成したことを
特徴とする。

従来のクレープ紙では縫い糸の通過孔間でクレ
ープ紙に突起が押し出し形成されている。

本発明におけるクレープ紙の好ましい実施例で
は縫い糸の列間に２列の突起を押し出し形成し、
他の実施例では１列の突起を押し出し形成する。

縫い糸のループが形成されるクレープ紙の裏面
に押し出しによる突起を形成するのが好ましい。

本発明の裏打ち材の他の実施例では更に縫い糸
の列によつてクレープ紙に固定される横糸を有す
る。

本発明の更に他の実施例における裏打ち材は長
手方向に伸張可能なクレープ紙と、クレープ紙の
長手方向の伸張性を制御するようクレープ紙のひ
だ（crimp）を横切る方向に形成した並行する縫
い糸の列と、クレープ紙のひだと平行に縫い糸の
ループが位置するクレープ紙の面と反対側の面に
固定された横糸と、この横糸が位置するクレープ
紙の面に孔をあけることなく押し出し形成した対
をなす突起の列とより成り、この突起の各対が隣
接する縫い糸の列の縫い孔間に形成され、縫い糸
のループが位置するクレープ紙の面に隆起部分が
隣接する縫い糸の列間に対称に形成され、前記隆
起部分がクレープ紙の複数のひだ毎に長手方向に
位置されている。

本発明の他の実施例における裏打ち材は長手方
向に伸張可能なクレープ紙と、クレープ紙の長手
方向の伸張性を抑制するようクレープ紙のひだを
横着る方向に形成した並行する縫い糸の列と、ク
レープ紙のひだと平行に縫い糸のループが位置す
るクレープ紙の面と反対側の面に固定された横糸
と、この横糸が位置するクレープ紙の面に孔をあ
けることなく押し出し形成した突起の複数の列と
より成り、この各列の各突起が隣接する列の縫い
糸の縫い孔間に形成され、縫い糸のループが位置
するクレープ紙の面に一対の隆起部分が隣接する
縫い糸の列間に対称に形成され、前記各対の隆起
部分がクレープ紙の複数のひだ毎に長手方向に位
置されている。

本発明のカーペツト下層のための裏打ち材の製
造方法はクレープ紙に縫い糸の並行する列を形成
し、この縫い糸の並行する列の各対間に少くとも
１列の突起をクレープ紙に孔をあけることなくク
レープ紙を変形して形成せしめることを特徴とす
る。

本発明の他の実施例におけるカーペツト下層の
ための裏打ち材の製造方法では押し出しにより突
起の列を既に形成したクレープ紙に平行する縫い
糸の列を形成する。この場合、得られる製品の外
観を良くするため押し出しによる突起の列間に縫
い糸の列を対称に形成するのは困難である。

然しながら発明者は縫編機を用いてクレープ紙
に押し出しによる突起を容易に形成できることを
見出した。

本発明においては前記縫い糸の平行な列の形成
と同時にクレープ紙の変形工程を行う。

本発明の好ましい実施例においてはカーペツト
下層のための裏打ち材を製造するため縫い針間に
押し出し棒を設けた針板を有する縫編機内にクレ
ープ紙を供給し、クレープ紙の伸張度を減少する
ためクレープ紙に縫い糸の平行な列を形成し、こ
の縫い作業と同時にクレープ紙に孔をあけること
なくクレープ紙を変形してクレープ紙の表面に突
起を形成すると共に、縫編機によつてクレープ紙
のひだの方向に横糸を配置しこれを縫い糸の列に
よつてクレープ紙に固定せしめる。

本発明の他の実施例においては隣接する平行な
縫い糸の列間で押し出しによつて２列の平行する
突起を形成せしめる。

本発明のカーペツト下層のための裏打ち材の製
造方法の他の実施例においては一連の針と、この
針相互間に位置される先端が鋭くない押し出し棒
の対とを設けた針板と、前記針によつて孔をあけ
易いようクレープ紙を抑止するそのピツチが針の
ピツチと等しく隣接する針の中間に位置される一
連の抑止部材と、クレープ紙に針によつて孔をあ
けるため針板を往復動せしめるための機構とを有
する縫編機を用い、この縫編機内にクレープ紙を
供給し、クレープ紙に縫い糸の平行する列を形成
し、この縫い作業に際し針板を往復動して抑止部
材上のクレープ紙の一面を押し出し棒の各対によ
り押し出しクレープ紙に孔をあけることなくクレ
ープ紙に一対の突起を押し出し形成せしめる。

本発明の更に他の実施例においては縫い糸の隣
接する列間に単一の突起が形成されるようにす
る。

本発明の更に他の実施例におけるカーペツト下
層のための裏打ち材の製造方法においては一連の
針と、この針相互間に夫々交互に位置される先端
が鋭くない一連の押し出し棒とを設けた針板と、
前記針によつて孔をあけ易いようクレープ紙を抑
止するそのピツチが針のピツチの半分で隣接する
針と押し出し棒の中間に位置される一連の抑止部
材と、クレープ紙に針によつて孔をあけるため針
板を往復動せしめるための機構とを有する縫編機
を用い、この縫編機内にクレープ紙を供給し、ク
レープ紙に縫い糸の平行する列を形成し、この縫
い作業に際し針板を往復動して一対の抑止部材間
のクレープ紙を押し出し棒により押し出しクレー
プ紙に孔をあけることなくクレープ紙に突起を押
し出し形成せしめる。

〔実施例〕

以下図面によつて本発明の実施例を説明する。

第１図はゲート４と抑止ピン６間に供給される
クレープ紙５に孔をあけるためゲート４を介して
針板２上の針１を往復動機構３によつて前進せし
めた状態を示す。７はクレープ紙５に対する横糸
である。

第２図に示すように針板２上の針１は夫々２本
づつの押し出し棒８によつて分離されている。針
１相互間の間隔は例えば約８mmであり、この場合
は抑止ピン６は針板２上の針１相互間の中間に位
置しその間隔は同じく約８mmである。この抑止ピ
ン６は台板９の直上に位置されている。

針板２は既知の往復動機構３によつて往復動さ
れ針１が第２図に示す位置から第３図に示す位置
に前進したとき針１が抑止ピン６によつて抑止さ
れたクレープ紙５を貫通する。

第３図の状態では押し出し棒８が抑止ピン６の
両側でクレープ紙５に対接され、抑止ピン６によ
る抑止面を越えてクレープ紙５に突部が形成さ
れ、この突部は針２と押し出し棒８をクレープ紙
５から離間した後でもそのまゝ残るようになる。

上記のように針板２の往復動により横糸７が横
たわるクレープ紙５の面に一対の突部が形成され
る。横糸７は針１の縫い作用によつてクレープ紙
５に固定される。

第４図は上述の方法で処理されたクレープ紙５
の針１が貫通される面即ち横糸７が固定される面
と対向する面の一部を示す。第４図には縫い糸１
０の列が示されている。縫い糸は各縫い目の端部
１１でクレープ紙５を貫通する。

各縫い目間には複数のひだ１２が形成され、各
縫い糸の列間には縫い目の端部１１と一線をなす
突起１３が形成されている。この突起１３はクレ
ープ紙５の対向面に押し出し棒８によつて形成さ
れた２個の突起間のくぼみに相当する。抑止ピン
６の抑止面に対して押圧される押し出し棒８の押
圧位置において突起１３の最上面が針１が貫通さ
れる側のクレープ紙の起伏面の平均レベルより大
きくなる。然しながらクレープ紙５の表面レベル
は一般に不揃いであり、突起１３の表面は同一ク
レープ紙５上のひだ１２の上面と同一のレベルと
なる。

第５図は各針１間に１本の押し出し棒８が位置
されるようにした本発明の他の実施例を示す。針
１相互間の間隔は例えば５mm、好ましくは10mmで
ある。

この実施例における抑止ピン６相互間の間隔は
針１相互間の間隔の半分であり、夫々の抑止ピン
６は互いに隣接する針１と押し出し棒８の中間に
位置される。

第６図の状態では各押し出し棒８がクレープ紙
５の一部を抑止ピン６を越えて押し下げられ、横
糸７が固定されるクレープ紙５の面に隆起が永久
的に形成される。抑止ピン６は第７図に示すよう
にクレープ紙５の対向面に対の突起１３を形成せ
しめる。

押し出し棒８と抑止ピン６の組み合わせを変え
ることによつて第４図、第７図とは異なるパター
ンを形成することが可能である。

クレープ紙としてはクレープされていない重量
が67ｇ／m²のもの又はクレープされた重量が88
ｇ／m²の紙が好ましい。縫い作業と押し出しによ
りクレープ紙が若干伸びるため縫い作業の後は紙
の重量は僅か減少する。

縫われたクレープ紙はカーペツト下層のための
裏打ち材として用いられるが２級カーペツトの裏
打ち材として用いても良い。更に本発明によるク
レープ紙は従来の縫われたクレープ紙に比較して
審美性が高いため例えば壁のカバー材としても用
いることができる。

本発明によるクレープ紙には各縫い目間のひだ
に隆起（bunching）効果を生ずる。この隆起効
果は針をクレープ紙から抜いたとき針によつて形
成されたひだが残るよう針を互いに十分に接近せ
しめたとき生ずることは知られている。然しなが
ら本発明では針を離間したまゝでもクレープ紙に
作用する押し出し棒によつて縫い目間に同様の隆
起効果を得ることができる。

第４図、第７図に示す隆起効果により得られた
製品の横方向の剛性は十分に改良され、紙製品よ
り織物製品に類似したものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はクレープ紙に孔をあけた直後の針と共
に示す縫編機の一部の側面図、第２図はピンとク
レープ紙に孔をあける前の針と共に示す縫編機の
平面図、第３図はクレープ紙に孔をあけている針
と共に示す縫編機の平面図、第４図は縫編機によ
つてクレープ紙に形成したパターンの平面図、第
５図はピンと針の他の配列を示す縫編機の平面
図、第６図はクレープ紙に孔をあけている針と共
に示す第５図に対応する平面図、第７図は第５図
の縫編機によつてクレープ紙に形成したパターン
の平面図である。 １……針、２……針板、３……往復動機構、４
……ゲート、５……クレープ紙、６……抑止ピ
ン、７……横糸、８……押し出し棒、９……台
板、１０……縫い糸、１１……縫い目の端部、１
２……ひだ、１３……突起。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ クレープ紙５にその伸張性を抑制するため形
   成した複数列の縫い糸１０と、この縫い糸１０の
   列間でクレープ紙５を孔があかないように変形し
   て形成せしめた突起１３の列とを有することを特
   徴とするカーペツト下層のための裏打ち材。 ２ クレープ紙５に複数の並行する縫い糸１０の
   列を形成し、前記縫い糸１０の各列間でクレープ
   紙５を孔があかないように変形して少なくとも１
   列の突起１３を形成せしめたことを特徴とするカ
   ーペツト下層のための裏打ち材の製造方法。