JPS6350305Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は刺しゆう縫ミシンにおいて、とくに
立体形状をもつ帽子等の被刺しゆう布の縫成に際
し、被刺しゆう布を展張状態で把持するための把
持装置に関する。

（従来の技術） 従来では帽子等の被刺しゆう布を縫成位置に固
定された把持枠で把持してセツトしていた。

（考案が解決しようとする問題点） したがつて、被刺しゆう布の縫成位置への着脱
操作が煩雑で、被刺しゆう布のセツト状態や展張
状態を編成位置で調整する必要があるため、セツ
ト作業が煩雑となる問題点があつた。

本考案の目的は上記問題点を解消して被刺しゆ
う布のセツト作業を簡易化しうる刺しゆう縫ミシ
ンにおける被刺しゆう布の把持装置を提供するこ
とである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は針落を原点とするXY軸平面直交座標
系のＹ軸方向への移動制御可能でＹ軸の下方に平
行配置された軸線を中心とする円弧移動制御可能
に設置された駆動リングには被刺しゆう布の刺し
ゆう縫域の周囲を挟持してこの刺しゆう縫域を前
記軸線を中心とする円弧面状に展張すためにそれ
ぞれ円弧状に湾曲形成されたペース枠と押え枠と
を備えた把持枠を脱離可能に係着するとともに、
前記把持枠を、Ｘ軸方向への直進動作を回動動作
に変換するリンク機構に連繋した把持装置を要旨
とするものである。

（作用） 本考案装置は落針を原点とするXY軸平面直交
座標系のＹ軸方向へ移動制御されかつＹ軸の下方
に平行配置された軸線を中心として回動制御され
る駆動リングに対し被刺しゆう布の刺しゆう縫域
を円弧面状に把持した把持枠を着脱し、被刺しゆ
う布を縫成位置にセツトし、もしくは、縫成位置
から取外すように構成したものである。

（実施例） 続いて、本考案の一実施例を図面にしたがつて
説明すると、図中、１〜１は多頭型刺しゆう縫ミ
シンＭのテーブル上にそれぞれ設置されて横方向
へ所定間隔で配列された複数個のミシンヘツド、
２〜２は各ミシンヘツド１の前部下方にそれぞれ
対置された下側縫成機構、３は各ミシンヘツド２
の前部下方を貫通してテーブル１上で横置された
搬送り板、５は縦送りモータであつて、各ミシン
ヘツド２の縫針が貫通する被刺しゆう布上の針落
Ｈ〜Ｈを原点として想定されるXY軸平面直交座
標系のＹ軸方向（縦方向）へ縦送り板３を移動制
御するために刺しゆう図柄に対応するＸ，Ｙデー
タを記憶した記憶装置のＹデータに基づいて縫針
の上下動動作に先立つて正逆に回転制御される。

６は縦送りモータ５のモータ軸に直結されて横
方向に可転横架された縦送り軸、７，７は縦送り
軸６に対しそれぞれ循回動可能に掛装された縦送
りベルト、８，８は縦送りベルト７にそれぞれ繋
止されかつ縦送り板３にそれぞれ連結された縦連
結板であつて、縦送り板３は縦送りモータ５の正
逆回転で縦送りベルト７および縦連結板８を介し
てＹ軸方向へ移動制御される。

９は前記記憶装置のＸデータに基いて縦送りモ
ータ５と同期して回転制御される横送りモータ、
１０は横送りモータ９のモータ軸に直結されて縦
方向に可転横架された横送り軸、１１，１１は横
送り軸１０に対しそれぞれ循回動可能に掛装され
た横送りベルト、１２は両横送りベルト１１に対
しＸ軸方向への共動可能でＹ軸方向への共動不能
に連繋されかつ縦送り板３に対しＸ軸方向への共
動不能でＹ軸方向への共動可能に連繋された横送
り板である。

１３は縦送り板３上の前部に取着されて長手方
向に対し離隔状に配置された軸受部材、１４は各
軸受部材１３の先端に対しスライド可能に貫挿さ
れて縦送り板３の前上方付近でＸ軸に沿つて横架
された連動棒であつて、その図示右端部が横送り
板１２に対しＸ軸方向への共動可能に繋止され、
横送りモータ９の正逆回転で縦送り板３のＹ軸方
向への移動と同期して横送り板１２とともにＸ軸
方向へ移動制御される。

１５は縦送り板３の下側に対し各針落Ｈにそれ
ぞれ対向して取着されたホルダであつて、その上
端付近の左右両端付近には２対の案内ローラ１
６，１６がそれぞれ可転軸支されている。

１７はホルダ１５の前面に対し針落Ｈの下方に
平行配置された軸線ａを中心とする垂直回動可能
に支持されたほぼ円環状の駆動リングであつて、
両側の両案内ローラ１６間に対し摺転可能に挟持
され、その外周面には上側の両案内ローラ１６を
それぞれ転動可能に係入するためのガイド溝１７
ａが周状に凹設されるとともに、その前端縁の図
示上端には位置決め片１７ｂが前方へ突出されて
いる。

１８は連動棒１４のＸ軸方向へ直進動作を駆動
リング１７に伝達して駆動リング１７を円弧移動
するために、駆動リング１７の外周面に取着され
た突片１７ｃと、連動棒１４に止着された繋止片
１９とに橋架された連結リンクであつて、連動棒
１４のＸ軸方向への移動で駆動リング１７が連動
棒１４の移動距離に対応して規定される角度だけ
軸線ａを中心として正逆に円弧移動制御される。
なお、本例では駆動リング１７の回動範囲を−
60゜〜＋60゜に設定してある。

２０〜２０は駆動リング１７の上部付近に周方
向へ離隔して取着されて前方へ弾性変形可能に延
出されたコロホルダであつて、その前端にはそれ
ぞれコロ２１〜２１が可転支持されている。

２２は刺しゆう縫される被刺しゆう布Ｓの刺し
ゆう縫域Ｓ１を円弧面状に展張した状態で把持す
るために駆動リング１７の前方に装設された把持
枠Ｗにおいて、駆動リング１７に対し共転可能で
着脱可能に係着されて前方へ延出されたベース枠
であつて、円弧状に湾曲されて駆動リング１７の
前端上に載置された基端部２２ａの前方には円弧
状に湾曲した方形枠状の挟持部２２ｂが刺しゆう
縫域Ｓ１を包囲するように連設され、基端部２２
ａにはコロ２１をそれぞれ前方への脱離可能に係
入してベース枠２２を駆動リング１７に対し共転
可能に係着するための係合孔２３〜２３が方形状
に貫設されるとともに、基端部２２ａの後端縁の
図示上端には駆動リング１７の位置決め片１７ｂ
を嵌入してベース枠２２の駆動リング１７に対す
る組付け位置を規定するための嵌合部２４が凹設
されている。

２５，２５はベース枠２２の基端部２２ａの両
側下端部に対しそれぞれ金具２６，２６を介して
片持状に支持されて前方へ並行状に延出された左
右１対のロツド、２７は被刺しゆう布Ｓの刺しゆ
う縫域Ｓ１の周囲をベース枠２２との間で解放可
能に挟持して刺しゆう縫域Ｓ１を軸線ａを中心と
して円弧面状に展張した状態で把持するためにベ
ース枠２２の挟持部２２ｂ上に対し上方への回動
可能に重置された押え板であつて、挟持部２２ｂ
と相似形状に湾曲した方形枠状に形成され、その
一端部が一方のロツド２５に対しヒンジ２８を介
して回動可能に枢支されかつその他端部が他方の
ロツド２５に対し係止金具２９を介して係脱可能
に掛止されていて、被刺しゆう布Ｓは刺しゆう縫
域Ｓ１がベース枠２２と押え枠２７との間で軸線
ａを中心として円弧面状に展張された状態で駆動
リング１７とともにＹ軸方向へ移送制御されると
同時に、軸線ａを中心とする円弧面に沿つてＸ軸
方向へ円弧移送制御される。

但し、駆動リング１７と連結リンク１８との連
結支点ｂの位置によつて連動棒１４の移動距離に
対する駆動リング１７の回転角度が相違し、刺し
ゆう縫域Ｋ１の中央部付近と両端部付近とでは連
動棒１４の直進移動距離に対する被刺しゆう布Ｋ
の円弧移送距離が相違するため（刺しゆう縫域Ｋ
１の中央部が最大で両端に沿つて漸減する）、刺
しゆう縫域Ｓ１の適正円弧移送距離に対応する連
動棒１４の直進移動距離を連結支点ｂの各位置毎
に算出した補正用のデータテーブルを作成し、こ
のデータテーブルを、横送りモータ９を回転制御
するためのＸデータとして前記記憶装置に記憶さ
せてある。

次に、上記した構成をもつ実施例の作用と効果
を説明する。

さて、本例では針落Ｈを原点とするXY軸平面
直交座標系のＹ軸方向への移動制御可能でＹ軸の
下方に平行配置された軸線ａを中心とする円弧移
動制御可能に配置された駆動リング１７には被刺
しゆう布Ｓの刺しゆう縫域Ｓ１が軸線ａを中心と
する円弧面状に展張した状態で刺しゆう縫域Ｓ１
の周囲を挟持するために円弧状に湾曲形成された
ベース枠２２と、このベース枠２２上に重置され
た押え枠２７とを備えた把持枠Ｗを脱離可能に係
着するとともに、駆動リング１７と、Ｘ軸方向へ
移動制御される連動棒１４とを、この連動棒１４
の直進動作を回動動作に変換するために設けた連
結リンク１８を介して連結してある。

このため、把持枠Ｗを駆動リング１７から取外
した状態で被刺しゆう布Ｓをミシンヘツド下方の
縫成位置から離隔した位置で把持枠Ｗに装着して
刺しゆう縫域Ｓ１が適正状態で展張されるように
把持することができ、被刺しゆう布Ｓの展張状態
を均整化して被刺しゆう布Ｓの縫成位置へのセツ
ト作業を簡易化しうる効果がある。

また、本例では連動棒１４の直進移動を連結リ
ンク１９を介して駆動リング１７に伝達して把持
枠Ｗを円弧移動させるように構成してあるため、
ラツクとピニオンとを併用して把持枠を回動する
従来の駆動機構の場合にラツクとピニオンとの噛
合遊隙によつて把持枠の作動精度が低下する問題
点や、ワイヤロープで牽引して把持枠を回動する
従来の駆動機構の場合にワイヤロープのスリツプ
や経時的伸縮によつて把持枠の作動精度が低下す
る問題点を回避することができ、把持枠Ｗを適確
かつ安全に作動しうる効果がある。

（考案の効果） すなわち、本考案は針落を原点とするXY軸平
面直交座標系のＹ軸方向への移動制御可能でＹ軸
の下方に平行配置された軸線を中心とする円弧移
動制御可能に設置された駆動リングには被刺しゆ
う布の刺しゆう縫域の周囲を挟持してこの刺しゆ
う縫域を前記軸線を中心とする円弧面状に展張す
ためにそれぞれ円弧状に湾曲形成されたベース枠
と押え枠とを備えた把持枠を脱離可能に係着する
とともに、前記駆動リングと、Ｘ軸方向へ移動制
御される連動部材とを連結リンクを介して連結し
たことによつて把持枠を駆動リングから取外して
被刺しゆう布の着脱作業を行うことができ、刺し
ゆう縫域の展張状態を均整化しかつ展張状態の調
整操作を簡便化しうるとともに、把持枠を正確に
駆動制御して刺しゆう模様を正確化しうる効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は要部の側面図、第２図は刺しゆう縫ミシンの平
面図、第３図は要部の平面図、第４図は第１図の
Ｘ−Ｘ線矢視図である。 １７……駆動リング、２２……ベース枠、２７
……押え枠、Ｈ……針落、Ｓ……被刺しゆう布、
Ｓ１……刺しゆう縫域、Ｗ……把持枠、ａ……軸
線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 針落を原点とするXY軸平面直交座標系のＹ軸
   方向への移動制御可能でＹ軸の下方に平行配置さ
   れた軸線を中心とする円弧移動可能に設置された
   駆動リングには被刺しゆう布の刺しゆう縫域の周
   囲を挟持してこの刺しゆう縫域を前記軸線を中心
   とする円弧面状に展張するためにそれぞれ円弧状
   に湾曲形成されたベース枠と押え枠とを備えた把
   持枠を脱離可能に係着するとともに、前記駆動リ
   ングと、Ｘ軸方向へ移動制御される連動部材とを
   連結リンクを介して連結したことを特徴とする刺
   しゆう縫ミシンにおける被刺しゆう布の把持装
   置。