JPS634955Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はランス昇降装置とりわけ多条式のラン
ス昇降装置に関するものである。

（従来の技術とその問題点） 電気炉、取鍋などに収容された溶湯に精錬用の
副原料等を吹込む作業に当つてはランスパイプが
用いられるが、従来では、作業員がランスパイプ
を把持して炉や鍋の開口から溶湯に挿脱してい
た。

しかし、ランスパイプは一般に、長さが３ｍ以
上、直径が20〜40mmでかなりの重量があり、これ
を把持して高温雰囲気の流出する開口に近づき、
一定の時間ランスパイプを挿入するのは、きわめ
て重労働で、作業性ならびに安全対策上問題があ
つた。また、吹込み資料が複数種ある場合や、溶
湯収容体の容積が大きい場合などにおいては、複
数のランスパイプを同時または逐次的に操作する
必要があるが、従来では、このような場合に多数
の作業員を必要とする不具合があつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は前記のような問題点を解決するために
考案されたもので、複数本のランスパイプを自動
的に溶湯の所定深さと角度に挿入して粉粒状ある
いは流体の資料を安定して吹き込むことが出来、
しかも構造が簡単、軽量で、装置高さが低く、炉
関係設備の障害にならず、ランスパイプの交換等
の作業も容易、安全に行うことができるこの種ラ
ンス昇降装置を提供しようとするもので、その特
徴は走行台車にベースフレームの前端を枢着する
とともに走行台車に連結したジヤツキにより傾動
自在に構成し、前記ベースフレーム上に平行な複
数のガイドレールを敷設するとともに、これの軸
線上のベースフレーム前部に２個１組のランスパ
イプガイドローラを配設し、各ガイドレールには
それぞれ独立して移動可能な中継器兼用の移動体
を配し、各移動体の両端にカツプリングを介して
ランスパイプとホースを接続したことにある。

（実施例） 以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明す
る。

第１図は本考案に係る多条式ランス昇降装置の
使用例を示すもので、Ａは電気炉などの溶湯収容
体、Ｂは開口、Ｃは溶湯Ｄは本考案装置である。
第２図と第３図は本考案装置の詳細を示すもの
で、１は走行台車であり、車輪またはタイヤある
いはクローラなどの転動要素２と転動要素の駆動
機構３を備えている。図示するものでは、転動要
素として車輪が、また駆動機構として電動機が用
いられ、基床に敷設されたレール上を自走するよ
うになつている。なお、走行台車を垂直面内で旋
回可能としてもよい。

４はベースフレームであり、その前端をもつて
前記走行台車１に設けたブラケツト４１に枢着
し、さらに走行台車１間を結ぶジヤツキ５，５に
より任意角度に傾動されるようになつている。ジ
ヤツキ５，５は実施例では電動ジヤツキが用いら
れ、シリンダ中間部をもつてベースフレーム４に
枢着され、ピストン５１を走行台車１に連結して
いる。

６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄ，６ｅはベースフレー
ム４上に敷設された複数組のガイドレールであ
り、互いに一定の間隔をおいて平行状にベースフ
レーム長手方向に配されている。７，７は基台部
ガイドレールの軸線に対応してベースフレーム４
の少なくとも前部に取付けられた２個１組のガイ
ドローラで、ランスパイプ８ａ，８ｂ，８ｃ，８
ｄ，８ｅの前半部を案内し、離脱を防止するため
のものである。

９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄ，９ｅは前記各ガイド
レール６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄ，６ｅに配された
移動体で、それぞれ下部にガイドレールの溝を転
動するコロ９１，９１を有している。本考案で
は、移動体９が筒状ないし中空状に構成されるこ
とによりそれ自体で中継器を兼ねており、ガイド
レールより上方に位置する前部にはランスパイプ
８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄ，８ｅの後部を接続する
カツプリング１０が設けられ、後部には供給源Ｅ
から導かれたホース１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１
２ｄ，１２ｅを接続するカツプリング１１が設け
られている。ホース１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１
２ｄ，１２ｅはベースフレーム４の後端に取付け
たローラ１３にガイドされるようになつている。

前記移動体９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄ，９ｅの駆
動機構は任意であつて、たとえば、移動体９ａ，
９ｂ，９ｃ，９ｄ，９ｅに可逆回転モータを搭載
して自走するようにしてもよいが、本実施例で
は、ワイヤー駆動方式としている。すなわち、各
移動体９に対応するベースフレーム４の底部に送
り用電動機１５ａ，１５ｂ，１５ｃ，１５ｄ，１
５ｅを配設し、各ガイドレール６ａ，６ｂ，６
ｃ，６ｄ，６ｅの前後の位置には反転シーブ１
６，１６′を取付け、それらにワイヤー１７を巻
回して両端部を移動体９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄ，
９ｅの下部に連結している。

その他図面において、１８は各駆動機構の制御
盤、１９は給電ケーブルリール、２０は手すりで
ある。２１は前部のランスパイプ８′を接続する
継手である。

（作 用） 本考案は上記のような構成からなるので、精錬
などの要時までは転動要素と駆動機構により待機
場所に移動されておく。そして、要時には電気炉
などの溶湯収容体Ａの近傍に移動させ、開口Ｂの
位置に応じてジヤツキ５，５を作動する。こうす
れば、ベースフレーム４は走行台車１に対して傾
動し、これにより各ランスパイプ８ａ，８ｂ，８
ｃ，８ｄ，８ｅは目的傾斜角度にセツトされる。

各ランスパイプ８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄ，８ｅ
は移動体９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄ，９ｅに接続さ
れており、この移動体９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄ，
９ｅを介して供給ホース１２ａ，１２ｂ，１２
ｃ，１２ｄ，１２ｅが接続されているので、それ
ら各ホースに所望の資料供給源Ｅを接続してお
く。その資料はたとえばフエロアロイ、石灰、酸
化鉄、Si，Al，Mnなどの脱酸剤が挙げられ、ま
た酸素やエアなどの流体も適宜使用される。前者
の固体はポンプやフイーダにより定量的に切出さ
れ、圧縮エア等媒体として圧送するのが好まし
い。

前記のように挿入角度を設定した状態で次に、
送り用駆動機構を作動する。図示するものでは、
送り用電動機１５ａ，１５ｂ，１５ｃ，１５ｄ，
１５ｅを駆動する。これにより反転シーブ１６，
１６′を介してワイヤー１７が前方に牽引される
ので、移動体９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄ，９ｅがガ
イドレール６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄ，６ｅにそつ
て移動し、これにより、ランスパイプ８ａ，８
ｂ，８ｃ，８ｄ，８ｅは軸線方向に移動して開口
Ｂから進入し、送り用電動機の駆動量を調整する
ことにより溶湯Ｃの所望の深さに挿入される。こ
のとき、ホースはローラ１３にガイドされランス
パイプとともに前方に移動する。

これと平行して供給源Ｅを作動するもので、資
料はホースを経てランスパイプ８ａ，８ｂ，８
ｃ，８ｄ，８ｅに送られ、先端から溶湯中に吹込
まれる。

本考案は複数のランスパイプ８ａ，８ｂ，８
ｃ，８ｄ，８ｅを有し、、それぞれが吹込み資料
の中継器を兼ねた移動体９ａ，９ｂ，９ｃ，９
ｄ，９ｅにカツプリング１０により取付けられ、
それぞれ駆動機構により独立して軸線方向に移動
され、かつその移動中ランスパイプ前側がベース
フレーム４の前部の２個１組のガイドローラ７に
より安定的に支えられるようになつている。

それゆえ、吹込み目的に対応する資料のランス
パイプとこれに対応する移動体の駆動機構を選択
作動することにより所望の資料を効率よく吹込む
ことができる。また、溶湯収容体Ａが大型の場合
にも溶湯の各部に一度に資料を吹込むことができ
る。

本考案は精錬作業のほか、金属熔解設備の保
守、修理等にも用いることができるのは勿論であ
る。

（考案の効果） 以上説明した本考案によるときには、平行なガ
イドレール６ａ〜６ｅとこれに沿つて移動自在な
複数の移動体９ａ〜９ｅを備えたベースフレーム
４の前端を直接走行台車１に枢着してジヤツキ
５，５により支持させ、移動体９ａ〜９ｅが吹込
み資料の中継器を兼ねているため、装置構造を簡
単かつ軽量にすることができ、したがつて多数の
ランスパイプ８ａ〜８ｅの搭載が可能となるとと
もに、装置コストと所要動力を節減出来るもので
あり、しかも装置高さを低くすることができるこ
とと、ランスパイプ８ａ〜８ｅを、移動体９ａ〜
９ｅとベースフレーム４前部の２個１組のガイド
ローラ７の２個所で支持しながら移動させるよう
にしているため、多数種の吹込み物質を同時また
は各別に目標角度や深さに安定して吹込むことが
でき、さらに、装置高さを低くすることができる
ため炉関係設備の障害にならず、ランスパイプの
交換等の作業もベースフレーム４を利用して容
易、安全に行うことができるなどのすぐれた効果
が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の使用例を示す説明図、第
２図は本考案装置の詳細を示す側面図、第３図は
同じくその平面図である。 １……走行台車、４……ベースフレーム、５…
…ジヤツキ、６ａ〜６ｅ……ガイドレール、７…
…ガイドローラ、８ａ〜８ｅ……ランスパイプ、
９ａ〜９ｅ……移動体、１０，１１……カツプリ
ング、１２ａ〜１２ｅ……ホース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行台車１にベースフレーム４の前端を枢着す
   るとともに走行台車１に連結したジヤツキ５，５
   により傾動自在に構成し、前記ベースフレーム４
   上に平行な複数のガイドレール６ａ〜６ｅを敷設
   するとともに、これの軸線上のベースフレーム前
   部に２個１組のランスパイプガイドローラ７を配
   設し、各ガイドレール６ａ〜６ｅにはそれぞれ独
   立して移動可能な中継器兼用の移動体９ａ〜９ｅ
   を配し、各移動体９ａ〜９ｅの両端にカツプリン
   グ１０，１１を介してランスパイプ８ａ〜８ｅと
   ホース１２ａ〜１２ｅを接続したことを特徴とす
   る多条式ランス昇降装置。