JPS6349303B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、合成樹脂製の磁気テープ用ガイドポ
ストに関するものである。 ビデオ等の磁気テープカセツト内の一走行案内
手段であるガイドポストは、長期に亘る磁気テー
プの走行接触に耐えて画像を鮮明に維持する機能
が要求されるため、従来は加工費が高くとも切削
加工による金属製ガイドポストが用いられてい
た。即ち、金属製ガイドポストは、耐摩擦性、耐
摩耗性を高くする要因である硬さ、導熱性、非帯
電性を有していると共に、切削加工により表面精
度に優れているため重用されてきたが、加工費が
かさむという重大な欠点があつた。そこで、従来
より大量生産によるコストダウンを目的にガイド
ポストの合成樹脂化の試みが幾度となく行われて
きたが、合成樹脂は基本的に熱放散性に乏しいた
め摺動相手が合成樹脂フイルムの場合は尚のこと
長期に亘る摩擦、摩耗に対しては耐性が劣り、而
も金属製の切削加工品に比べ表面精度においても
劣ることは否めなかつた。即ち、金属製ガイドポ
ストと同一形状のものを合成樹脂材の切削加工に
より製作しても、表面粗さを1μ以下に押えるの
は困難であり、一方射出成形により製作した場合
表面粗さの優れたものが得られる反面、表面真直
度が大きく劣り、磁気テープの変形、付着による
走行不円滑を起こすことがあつた。その上、磁気
テープのベースフイルムであるポリエステルフイ
ルムとの走行接触が長期に亘る摩耗粉の発生と磁
気テープの変形を生み、再生画像の劣化を生ずる
という問題があつた。即ち、合成樹脂製ガイドポ
ストの場合、金属製ガイドポストの場合に比べて
再生画像にドロツプアウトエラー及び局所的な減
磁による横すじの発生が多くなり、画面が非常に
見苦しくなるという欠点を有していた。 又、合成樹脂製ガイドポストの場合、走行する
テープとポストの間が真空状態になり、はり付く
ような現象が起き、そのため摩擦抵抗が増大して
摩耗が多くなるという欠点も有する。 従来でもカーボン繊維を入れた合成樹脂製ガイ
ドは作られていたが、従来は主として、補強及び
帯電性を低下させるため導電性を大きくすること
を目的としてカーボン繊維が混入されており、そ
のため比較的混入量が多く、表面が非常に粗く、
摩擦係数が高くなり過ぎる欠点があつた。 本発明は、上記問題点に鑑み、材料設計に工夫
を施すことにより上記欠点を補つて金属製と同等
の特性を有する合成樹脂製の磁気テープ用ガイド
ポストを安価に提供することを目的とするもので
ある。即ち、磁気テープのベースフイルムに対し
潤滑性に優れたポリアセタール100重量部に、硬
度、弾性係数、耐摩擦性、耐摩耗性に優れ而も導
電性を有するアスペクト比10〜400のカーボン繊
維チヨツプ（短繊維）を単独で0.5重量部より多
く、５重量部以下、任意成分として潤滑剤を１重
量部迄加えて成る複合材料を用いて射出成形し、
成形品表面に上記充填剤（カーボン繊維チヨツ
プ）による微小突起層を形成した磁気テープ用ガ
イドポストを提供せんとするものである。このよ
うにして得られたガイドポストは、磁気テープと
は滑性を有する突起部で接触するので、空気が介
在し易くなり磁気テープの蛇行の抑制、接触面積
の減少による摩擦力の低減及び熱放散性の向上と
いう優れた効果を有していると共に、カーボン繊
維が導電性を有しているので帯電防止機能も備え
ている。 しかもその微小突起による表面粗さは、後の実
施例で示される如く、JIS.B0601の表面粗さ測定
法に従つて測定して、0.3より大きく、1.2以下で
あり、このような微小突起であると、従来のカー
ボン繊維混入合成樹脂製ガイドで見られるような
欠点を示さず、テープ走行特性の優れたガイドが
得られる。 尚、本発明で用いるポリアセタールは、コポリ
マー、ホモポリマーのいずれでも良いが、メルト
フローが20以上のものが好ましい。又、カーボン
繊維は、ピツチ系でもPAN系でも良く、更にカ
ツプリング剤で表面処理されていてもかまわな
い。又、繊維をテープ走行方向に対して極力直角
となるように配向させるためにアスペクト比が可
能な限り大きいものが好ましいが、製品のサイズ
からして成形加工上上限があるので、アスペクト
比は10〜400好適には15〜180が望ましい。又、カ
ーボン繊維と併用することが可能な各種潤滑剤と
しては、グラフアイト、二硫化モリブデン、窒化
ほう素、ポリ四フツ化エチレンパウダー等の固体
潤滑剤や、ステアリン酸系エステル等の有機潤滑
剤が包含されるが、その添加量は期待する潤滑効
果と成形性との兼ね合いからカーボン繊維と合せ
た総量が、樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部で
あることが好ましいが、この範囲に限定されるも
のではない。 次に、下記実施例とその実験結果を示す下記表
により本発明の効果について説明する。 比較例 １ 従来法によるカーボン繊維含有量のものを用い
た例として、ポリプラスチツク社のジユラコンＭ
−270−OB100重量部に呉羽化学社のピツチ系カ
ーボン繊維MT−013（径、大略８〜12μｍ、0.3mm
長）20重量部を混合した後40mmφ一軸押出機によ
り混練して成形ペレツト(A)を製造した。混練中、
カーボン繊維は破砕され、アスペクト比（長さ対
径比）は10〜400位の中に入るようになる。次に、
この材料を用いて射出成形により、外周6.2mmφ、
内周4.7mmφ、長さ16mmの磁気テープ用ガイドポ
ストを得た。得られた製品の表面粗さは1.5〜2μ
ｍ、表面ウネリは20〜38μｍであつた。 比較例２〜４、実施例１〜３ 成形ペレツト(A)とＭ−270をドライブレンドし、
カーボン繊維量を段階的に変化させた。得られた
製品の表面性状は表に示す通りである。 実施例４〜実施例７ カーボン繊維としてピツチ系又はPAN系のい
ずれか一方を用いると共にカーボン繊維長を段階
的に変化させた。得られた製品の表面性状は表に
示す通りである。 実施例８〜実施例９ 潤滑剤を併用した。得られた製品の表面性状は
表に示す通りである。 比較例５〜比較例７ これらは各種従来例である。得られた製品の表
面性状は表に示す通りである。 上記実験結果から明らかなように、ポリアセタ
ール100重量部に、アスペクト比10〜400のカーボ
ン繊維チヨツプを単独又は各種潤滑剤と併用し総
量で0.5〜10重量部加えて成る複合材料を用いて
射出成形したガイドポストが各種特性において優
れている。 尚、表中の評価方法は下記の通りであつた。 (1) 耐摩擦・摩耗特性 スラスト摩擦試験器により、0.2mmのポリエ
ステルフイルム（“マイラー”）との耐摩擦・摩
耗特性を以下の条件で測定した。 摩擦係数測定；２Kg荷重、40ｍ／min 耐摩耗性測定；２Kg、40ｍ／minの条件で15分
経過後の試験体の摩耗量（mg）を表示し
た。 (2) テープ面擦傷 120分用VHSテープを200サイクル早送り及
び巻戻しを行つた後テープに表われた擦傷を目
視チエツクした。 (3) ドロツプアウト数 200サイクル走行後の120分用VHSテープの、
１分間にモニター部に発生する15μsecのドロツ
プアウト数をドロツプアウトカウンターにより
計測した。 (4) 局所減磁数 (3)と同一のサンプルを用い、オシログラフの
出力波形を目視観察して局所減磁数をチエツク
した。

【表】

【表】 上記の表の結果から、次のことが判る。 (i) カーボン繊維の量が多くなり過ぎる（比較例
１、２及び３）と、粗さが大きくなり過ぎ、摩
擦係数が大きくなる。カーボン繊維の硬度が大
きいため、テープガイド自身の摩耗量は小さく
なるが、テープの摩耗が大きくなる（表中×印
で示されている）。従つてドロツプアウトの数
も増大する。 (ii) カーボン繊維の量が少な過ぎる（比較例４）
と、粗さが小さくなり過ぎるため接触面積が大
きくなり、摩擦係数が大きくなり、ガイドの摩
耗量が大きくなる。 (iii) カーボン繊維量が0.5部より多く、５部以下
で表面粗さが0.3より大きく1.2以下である場
合、テープ走行特性のよいガイドを与える。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポリアセタール100重量部に、アスペクト比
   が10〜400のカーボン繊維チヨツプを単独で0.5重
   量部より多く、５重量部以下、任意成分として潤
   滑剤を１重量部迄加えて成る複合材料を用いて射
   出成形し、JIS.B0601表面粗さ測定法で測定して
   0.3より大きく、1.2以下の表面粗さを示す、表面
   に微小突起を形成して成る磁気テープ用ガイドポ
   スト。