JPS6347967Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はたとえば自動販売機、公衆電話機、両
替機等に用いられる硬貨選択装置においてその軌
道終端部に配設される硬貨収納・返却装置に関
し、特に複数種類の硬貨の収納・返却動作を同一
の軌道構成により順次連続して行なえる硬貨選別
装置における硬貨収納・返却装置に関する。

〔従来の技術〕

この種の硬貨選択装置における硬貨収納・返却
装置は、硬貨投入口から投入された種々の硬貨の
選別動作を行なう硬貨選別軌道を通つて硬貨蓄積
軌道に順次蓄積した正規硬貨を収納あるいは返却
するために、上述した蓄積軌道終端部に設けられ
る。ところで、この種の硬貨収納・返却装置とし
て、従来は上述した蓄積軌道終端部に収納ゲート
を介して硬貨収納軌道が連続して設けられるとと
もに、返却ゲートもまたこの蓄積軌道の終端部側
方に設けられてなる構造のものが一般に採用され
ていた。

そして、このような構造は、複数種類の硬貨の
選別、回収処理を同一の連続した軌道内で行なう
ように構成されているタイプの硬貨選別装置にお
いてもそのまま用いられているもので、たとえば
実公昭58−31256号公報等に示されるような構成
装置が提案されていた。すなわち、この従来装置
によれば、同一の投入口から投入される複数種類
の硬貨を、同一の選別軌道を介して転動落下する
途中で選別処理を行ない、かつその下流側に設け
た振分け機構により下方に延設されかつ硬貨の径
方向に並設されている複数の硬貨蓄積軌道内に順
次落下させて蓄積するものである。また、これら
各蓄積軌道の終端部には、軌道開閉手段としての
収納レバーが設けられるとともに、この軌道終端
側で硬貨の面方向側に穿設された開口部を常時は
閉塞するようにして返却レバーが設けられてい
た。そして、各軌道の収納レバーを選択的に開閉
動作させることで蓄積硬貨を収納し得るととも
に、返却レバーを開放することで蓄積硬貨を一括
して落下させて返却するような構成とされてい
た。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述した従来装置では、硬貨返
却動作時において、蓄積軌道内に蓄積されている
硬貨を、その硬貨面方向の軌道板を構成する返却
レバーを、上端軸支部を支点として回動させて開
放し、下方に配設されている返却軌道側に落下さ
せるようにした構成であるために、硬貨返却時に
おいて硬貨詰りが起き易い等といつた問題をもつ
ものであつた。すなわち、上述した従来構造にお
いて、各蓄積軌道内に蓄積される硬貨が、その上
端側を前記返却レバー側により持たせ掛けた状態
で蓄積されている場合に、返却レバーが開動作さ
れると硬貨は収納レバー側に係止された下端部を
支点として倒れて返却軌道側に落下されることが
あり、このような場合に返却レバーの開き角度が
小さいと、硬貨が収納レバーと返却レバーとの間
に跨がつて詰りを生じる等の虞れがあり、さらに
この詰り硬貨の上部に後続する硬貨が順次落下し
完全な詰り状態を招いてしまうものであつた。こ
れを防ぐためには上述した硬貨が反転して落下す
る程度の開き角度を返却レバーに与えるとよい
が、このような構成とするには装置の軌道板に直
交する方向への大型化を招いてしまうもので、こ
のような点を考慮し上述した問題点を一掃し得る
何らかの対策を講じることが望まれている。

特に、諸外国においては国内とは異なり、使用
される硬貨の種類が多く、上述したような複数種
類の硬貨を同一の軌道構成で順次連続して選別、
回収し得る機器、装置に対する要請が大きいもの
で、この場合に並設して設けられる複数の蓄積軌
道からのそれぞれの硬貨の収納、返却機構を、如
何なる状態で組合わせて構成するかが問題とされ
るもので、このような点を考慮しより簡単な構成
により複数種類の硬貨を適切かつ確実にしかも円
滑に取扱うことが可能となる硬貨選別装置の出現
が望まれている。

〔課題を解決するための手段〕

このような要請に応えるために本考案に係る硬
貨選別装置における硬貨収納・返却装置は、複数
種類の硬貨をそれぞれ蓄積するように斜め下方に
傾斜しかつ硬貨の径方向に並設されそれぞれの終
端部に軌道開閉手段を有する複数の硬貨蓄積軌道
と、これら各蓄積軌道終端部からの収納硬貨を蓄
積方向と略々直交する方向に落下させて収納口に
導く複数種類の硬貨の共通した収納軌道部とその
硬貨の厚み方向に隣接するとともに他側側が側方
に開口され返却硬貨を返却口に導く前記硬貨の共
通した返却軌道部とを有しこれら各軌道部を蓄積
軌道終端部に選択的に臨ませるように揺動動作可
能に設けられた硬貨収納・返却切替部材を備え、
この切替部材を、常時は収納軌道部が蓄積軌道終
端部に臨むように位置し、かつ硬貨返却動作に伴
ない前記開閉手段を開けながら収納軌道部を硬貨
の厚み方向にずらしこれに隣接している返却軌道
部を、蓄積軌道終端部に位置させるように構成し
たものである。

〔作用〕

本考案によれば、硬貨収納・返却切替部材の収
納軌道部が、各蓄積軌道の終端部に臨んで位置し
ているとき、各蓄積軌道側の開閉手段の開閉動作
により蓄積硬貨を適宜収納し得るとともに、硬貨
返却動作時には、切替部材の揺動動作により各蓄
積軌道側の開閉手段が開けられる同時に硬貨返却
軌道部側が蓄積軌道終端部に対応し、これにより
蓄積硬貨が転動落下されながら、返却軌道部を介
してその側方の開口部分から順次返却軌道側に落
下して返却されるもので、特にこの返却動作時に
おいて硬貨は蓄積、収納時と同一の導出方向に転
動しながら側方が開口されている切替部材の返却
軌道部側に送り出されるため、従来のような硬貨
詰り等といつた問題は一掃し得るものである。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図ないし第３図ａ，ｂは本考案に係る硬貨
選択装置における硬貨収納・返却装置の一実施例
を示すものであり、これらの図において符号１，
２で示すものは全体の図示を省略した硬貨選別装
置における硬貨軌道３，７，８，１０を形成する
ように、選別すべき硬貨（図中Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄで
示す）の厚みに応じた間隔をおいて対向して配置
された側壁部を有する一対の基板、３は図示せぬ
硬貨投入口から投入された硬貨が転動して落下す
る硬貨選別軌道、４はその途中に設けた各種の硬
貨選別を行なう硬貨選別部で、この硬貨選別部４
下流側には、複数種類の硬貨Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄを硬
貨選別部４からの検出信号にて振分ける硬貨振分
け部５が配設されている。なお、６ａ，６ｂはこ
の硬貨振分け部５を構成する一対の振分けレバー
で、これら振分けレバー６ａ，６ｂによる所要の
軌道開閉動作により各硬貨が対応する硬貨蓄積軌
道７に振分けられて蓄積されるようになつてい
る。また、８は上述した硬貨選別部４や後述する
硬貨蓄積軌道７終端部、さらに硬貨振分け部５終
端部などに臨むように配設された硬貨返却軌道
で、この返却軌道８に対し硬貨選別部４や硬貨振
分け部５から疑似硬貨（不正貨）Ｅ，Ｆが選別さ
れて返却されるように構成されている。

さて、本考案によれば、上述したように硬貨選
別軌道３にて選別され硬貨振分け部５で振分けら
れる複数の硬貨（正規硬貨Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ）のそ
れぞれを蓄積するように斜め下方に傾斜して配置
される複数（本実施例では四個）の硬貨蓄積軌道
７を、硬貨の径方向に並設するとともに、これら
各蓄積軌道７終端部に臨むように配設され各蓄積
軌道７からの収納硬貨を収納口に導く複数種類の
硬貨の共通した収納軌道（硬貨収納軌道１０に至
る硬貨収納軌道部２２）とこの収納軌道１０，２
２の硬貨厚み方向に隣接して並設され返却硬貨を
図示しない返却口に導くこれら複数種類の硬貨
Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄの共通した返却軌道（硬貨返却軌
道８に至る硬貨返却軌道部２３）とを有する硬貨
収納・返却切替部材２０を切替え揺動動作可能に
設けたところに特徴を有している。そして、この
切替部材２０を、常時はその収納軌道１０を構成
する収納軌道部２２が各蓄積軌道７終端部に臨ん
で位置するようにし、かつ硬貨の返却動作に伴な
いこれら各蓄積軌道７終端部に位置している収納
軌道部２２を硬貨の厚み方向にずらしこれに隣接
して形成された返却軌道部２３が、各蓄積軌道７
終端部に位置するように切替え揺動動作させるよ
うに構成したものである。

これに詳述すると、上述した硬貨収納・返却切
替部材２０は、第２図ａ，ｂおよび第３図ａ，ｂ
に示されるように、複数列にて斜め下方に傾斜し
て並設された硬貨蓄積軌道７の上、下両端部分に
軸支部２１を介してそのレバー部２０ａが回動自
在に枢支されており、その先端部分に前記蓄積軌
道７終端部に位置して収納軌道部２２と返却軌道
部２３とを硬貨の厚み方向に隣接して形成してな
る切替え部が設けられている。そして、この切替
部材２０の切替え部は、前記基板１に穿設された
窓部１１内を硬貨の厚み方向に揺動動作するよう
に構成されている。ここで、これら収納軌道部２
２と返却軌道部２３とは蓄積軌道７側に開口され
るとともに、収納軌道部２２はその下方の硬貨収
納軌道１０側に連通し、また返却軌道部２３はそ
の一側（収納軌道部２２と反対側）が側方に開口
して形成されて返却軌道８に臨むような構成とさ
れている。

なお、９は各蓄積軌道７終端部にそれぞれ設け
られた軌道開閉手段としてのエスケープで、その
エスケープ下足９ａが各蓄積軌道７終端部開口を
閉塞して硬貨を蓄積するとともに、収納あるいは
返却時にこの蓄積軌道７を開放して硬貨を前記硬
貨収納・返却切替部材２０の収納軌道部２２また
は返却軌道部２３側に転動させて送り出す役割を
果たし、このときエスケープ上足９ｂが後続する
次の硬貨を係止する役割を果たすことは従来から
周知の通りである。

このような硬貨収納・返却切替部材２０におい
て、硬貨の収納動作を行なう通常時には、その収
納軌道部２２が各蓄積軌道７終端部に跨がつて臨
む位置状態に維持され、このときに各蓄積軌道７
のエスケープ９が収納信号により適宜揺動動作さ
れることで、所要の硬貨Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄを適宜収
納するものである。また、この切替部材２０は、
硬貨返却時には収納軌道部２２を硬貨の厚み方向
にずらしかつその代りに返却軌道部２３が各蓄積
軌道７終端部に臨んで位置するように揺動動作さ
れ、基板１側の窓部１１から返却硬貨を返却軌道
８側に返却させ得るもので、このことは第２図
ａ，ｂおよび第３図ａ，ｂから容易に理解されよ
う。ここで、この返却動作時には、上述した各蓄
積軌道７に付設されているエスケープ９はこの切
替部材２０の回動動作とともにこれに係合して各
蓄積軌道７からそれぞれ離間する方向に移動され
るように構成されている。勿論、これら各エスケ
ープ９は、通常はこの切替部材２０と共に硬貨蓄
積軌道７側に位置し周知の収納動作を行なうもの
である。

なお、本考案は上述した実施例に限定されず、
各部の形状、構造を、適宜変形、変形し得ること
は容易に理解されよう。たとえば硬貨の種類は、
上述した実施例における四種類に限定されず、二
種類以上であればよい。また、硬貨収納・返却切
替部材２０の形状やその支持構造なども必要に応
じて適宜変更し得るものである。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る硬貨選別装置
における硬貨収納・返却装置によれば、複数の硬
貨をそれぞれ蓄積するように斜め下方に傾斜しか
つ硬貨の径方向に並設された複数の硬貨蓄積軌道
の終端部に臨んで設けられ各蓄積軌道からの収納
硬貨を収納口に導く複数種類の硬貨の共通した収
納軌道部とこの収納軌道部と硬貨の厚み方向に隣
接して設けられ返却硬貨を返却口に導くこれら複
数種類の硬貨の共通した返却軌道部とを有する硬
貨収納・返却切替部材を揺動動作可能に設け、こ
れを硬貨の厚み方向に揺動動作させることでその
収納軌道部と返却軌道部とを蓄積軌道終端部に選
択して臨ませ、硬貨の収納または返却動作を行な
うように構成したので、簡単かつ安価な構成にも
かかわらず、切替部材の収納軌道部が蓄積軌道終
端部に臨んで位置しているとき、各蓄積軌道側の
開閉手段により蓄積軌道を適宜収納し得るととも
に、硬貨返却動作時に硬貨の厚み方向への切替部
材の揺動動作により蓄積軌道側の開閉手段を開け
る同時に返却軌道部側を蓄積軌道終端部に対応さ
せて蓄積硬貨を転動させながら、返却軌道部を介
してその側方の開口部分から順次返却軌道側に落
下して返却させ得る等といつた実用上種々優れた
効果がある。特に、この硬貨返却動作時において
硬貨は蓄積、収納時と同一の導出方向に転動しな
がら側方が開口している切替部材の返却軌道部側
に送り出されるため、従来のような硬貨詰りや装
置の大型化等といつた問題を一掃し得るものであ
る。

また、本考案装置によれば、複数の硬貨の収
納、返却を行なうにあたつて硬貨収納・返却切替
部材を切り替え操作して複数の硬貨蓄積軌道終端
部に対する収納軌道部と返却軌道部との位相をず
らすだけでよいため、その構造が簡単でかつその
動作も単動作でよいことから故障などが少なくな
りしかも微妙な調整作業も不要である等の実用上
優れた効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る硬貨選別装置における硬
貨収納・返却装置の一実施例を示す概略正面図、
第２図ａ，ｂは第１図の−線断面図およびそ
の動作説明図、第３図ａ，ｂは同じく第１図の
−線断面図およびその動作説明図である。 １，２……基板、３……硬貨選別軌道、４……
硬貨選別部、５……硬貨振分け部、６ａ，６ｂ…
…振分けレバー、７……硬貨蓄積軌道、７ａ……
コインレール、８……硬貨返却軌道、９……エス
ケープ、９ａ……エスケープ下足、９ｂ……エス
ケープ上足、１０……硬貨収納軌道、１１……窓
部、２０……硬貨収納・返却切替部材、２０ａ…
…レバー部、２１……軸支部、２２……硬貨収納
軌道部、２３……硬貨返却軌道部、Ａ，Ｂ，Ｃ，
Ｄ……正規硬貨、Ｅ，Ｆ……疑似硬貨。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数種類の硬貨をそれぞれ蓄積するように斜め
   下方に傾斜しかつ硬貨の径方向に並設された複数
   の硬貨蓄積軌道と、これら各蓄積軌道終端部を開
   閉するように配設された複数の軌道開閉手段と、
   前記各蓄積軌道からの収納硬貨を蓄積方向と略々
   直交する方向に落下させて収納口に導く前記複数
   種類の硬貨の共通した収納軌道部とこの収納軌道
   部の硬貨の厚み方向に隣接するとともに他側側が
   側方に開口され返却硬貨を落下させて返却口に導
   く前記複数種類の硬貨の共通した返却軌道部とを
   有しこれら各軌道部を前記蓄積軌道終端部に選択
   的に臨ませるように揺動動作可能に設けられた硬
   貨収納・返却切替部材を備え、この硬貨収納・返
   却切替部材は、硬貨収納時に収納軌道部が蓄積軌
   道終端部に臨むように動作され、かつ硬貨返却動
   作に伴ない前記軌道開閉手段を開動作させる同時
   に前記収納軌道部を硬貨厚み方向にずらしこれに
   隣接している返却軌道部を、蓄積軌道終端部に臨
   ませるように構成されていることを特徴とする硬
   貨選別装置における硬貨収納・返却装置。