JPS6345202Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、指先等による押圧操作でフツクどう
しの係合を解く構造のコンパクト容器に関するも
のである。

「従来技術」 この種のコンパクト容器として、第１図および
第２図に示すものが知られている。これは、容器
本体１の前面に凹所５を設け、この凹所２の底面
を上り勾配のテーパ面３に形成し、さらに凹所２
の奥面に蓋体４のフツク５と係合するフツク６を
設け、前記凹所２内にそのテーパ面３に沿つて摺
動するスライダ７を組み付けた構造である。ま
た、スライダ７の案内および抜け止め手段とし
て、凹所２の両側面にガイド溝８，８を設け、一
方、スライダ７の両側面に前記ガイド溝８，８に
それぞれ嵌合する突起９，９を設けている。そし
て、スライダ７を指先等で押圧すると、テーパ面
３の作用によつてスライダ７がその摺動に供ない
蓋体４側へ（図では上方へ）移動し、この結果、
スライダ７の上面７ａが蓋体４の自由端下面４ａ
に作用して蓋体４をもち上げ、フツク５，６どう
しの係合を解除するものである。

ところで、このようなコンパクト容器において
は、その用途上、種々の優れた機能が要求され
る。例えばスライダを押圧操作する際にその抵抗
が小さいことや、フツクどうしの係合解除後にお
いて蓋体を開けやすいことなどが挙げられる。ま
た、製作性などの観点からは、当然のこととして
製作容易な構造でかつ組立が簡単であり、また、
美観的や携帯性などの面からは容器全体を可能な
限り薄くし得ることなどが挙げられる。

しかるに、図示のような従来構造のコンパクト
容器では、その蓋体の開閉機構の構造上次のよう
な欠点がある。

スライダ７を指先等で押圧操作する際、その
指先は通常の場合下向きになるため、スライダ
７はその摺動方向（水平方向）に真直ぐに押圧
されず若干下方に押し付けられるような形態で
押圧されるものであるが、これに反してテーパ
面３が上り勾配となつているためスライダ７の
摺動が円滑でなく、したがつてスライダ７の操
作抵抗が実質的に大きくなつて使い勝手が悪
い。

テーパ面３が上り勾配となつているため、ス
ライダ７を押圧してフツク５，６どうしの係合
を解除した直後にそのスライダ７から指先を離
すとスライダ７は元の前面位置に復帰してしま
い、このためその後において蓋体４を開ける操
作の際に指先などを入れにくくなる不都合が生
じる。

スライダ７が充実に形成されているため弾性
に乏しく、したがつてスライダ７を、その両側
面の突起９，９をガイド溝８，８にそれぞれ嵌
合させつつ凹所２にセツトする作業が因難で組
立性が悪い。

「考案の目的」 本考案は、以上のような点を考慮してなされた
もので、スライダを押圧操作する際の抵抗が小さ
く、かつ蓋体を開けるときに指先等を入れやすい
など、使い勝手が良好であり、さらに組立時にお
いてスライダを凹所に対して容易にセツトするこ
とができ、しかも従来のもつ利点も何ら損なうこ
となくこれらのことを実現し得るコンパクト容器
を提供しようとするものである。

「考案の構成」 本考案は、容器本体と、この容器本体にヒンジ
結合された蓋体とを備えるコンパクト容器におい
て、前記蓋体の自由端に、容器本体側へ突出しか
つ内面にフツクを有する突片を設け、この突片の
外面を、蓋体の自由端から基端に向かうにしたが
い容器本体側へ延びてゆく下り勾配のテーパ面に
形成し、前記容器本体に、その前面および上面と
前面寄りの下面とにそれぞれ開口する逆Ｌ字状の
凹所を設け、この凹所の奥面に前記突片のフツク
と係合するフツクを設け、かつ凹所の底面を水平
な平面に形成し、さらに凹所の両側面に水平に延
びるガイド溝を設け、一方、前記凹所にセツトす
るスライダを、断面Ｌ字状であつて平面コ字状に
形成し、その両側部の外面に前記ガイド溝に嵌合
する突起を設け、かつ、このスライダを、該スラ
イダの摺動時にその上縁が前記テーパ面に摺接す
るように設定されており、さらに、前記底板部と
両側板部との境目には、その境目に沿つて延びる
スリツトが設けられていることを特徴としてい
る。

「実施例」 以下、本考案の好適な実施例を添付の第３図〜
第８図に基づいて詳述する。

図において、符号１０は矩形受け皿状の容器本
体、符号２０は容器本体１０の一縁に蝶番Ａを介
してヒンジ結合された蓋体である。

蓋体２０の自由端近くの内面中央には、容器本
体側へ突出した突片２１が設けられ、この突片２
１の内面にはフツク２２が設けられている。突片
２１の外面は、蓋体２０の自由端から基端（蝶番
Ａ側）に向かうにしたがい容器本体１０側へ延び
てゆくいわゆる下り勾配のテーパ面２３に形成さ
れている。

容器本体１０の前記突片２１に対応する位置に
は、その容器本体１０の前面および上面と前面寄
りの下面とに開口する逆Ｌ字状の凹所１１が設け
られている。凹所１１の奥面には前記突片２１の
内面に設けられたフツク２２と係合するフツク１
２が設けられ、さらに凹所１１の両側面には容器
本体１０の前面および後面方向に水平に延びるガ
イド溝１３，１３がそれぞれ設けられている。そ
してさらに、凹所１１の底面１４は図示の如く水
平な平面に形成されている。

なお、凹所１１は容器本体の前面寄りの下面に
も開口しているため、凹所１１の底面１４を形成
する部分は前面寄りの部分が言わば切欠かれた構
成とされている。

凹所１１内には、容器本体１０の前面側から手
指などで押圧操作可能なスライダ３０が凹所１１
の水平な底面１４に沿つて前後方向に水平摺動自
在にセツトされる。このスライダ３０は、第６図
に示すように前板部３１，両側板部３２，３２、
底板部３３とを有し、全体として断面Ｌ字状であ
つて平面コ字状に形成されている。そしてその両
側板部３２，３２の外面には、前記ガイド溝１
３，１３にそれぞれ嵌合する抜け止め用の突起３
４，３４が設けられている。

前記スライダ３０の前板部３１は、その上面３
１ａが平面に形成され、かつ、蓋体２０が、第３
図に示すように閉位置にあるとき、その蓋体２０
の自由端内面、つまり突片２１のテーパ面２３に
連続する自由端内面２４に面接合する高さｈを有
し、これによつてスライダ３０の蝶番Ａ側への摺
動時にその前板部３１の上縁がテーパ面２３に摺
接して蓋体２０を上方へ押し上げるように構成さ
れている。また、スライダ３０の底板部３１と両
側板部３２，３２との境目には、第８図に示す如
くその境目に沿つて延びるスリツト３５，３５が
それぞれ設けられ、これにより側板部３２，３２
に内外方向への適度の弾性が与えられている。ま
た、前記突片２１を蓋体２０の自由端側から見た
幅ｄは、スライダ３０の両側板部３２，３２間の
幅Ｄよりも両者の嵌め合い公差程度の分だけ小さ
く形成されると共に、突片２１の先端部はその幅
が小さくされて、蓋体２０を閉じるときにその突
片２１が側板部３２，３２間に円滑に嵌合するよ
うに配慮されている。

実施例によれば、凹所１１の底面１４が水平な
平面に形成されているので、スライド部材３０を
指先等で押圧するときわめて円滑に摺動する。す
なわち、スライダ３０を指先等で押圧操作する
際、その指先は通常の場合下向きになるため、ス
ライダ３０は若干下方に押し付けられるような形
態で押圧されることになるが、凹所１１の底面１
４が上述のように水平な平面に形成されているの
で、この底面１４が上り勾配のテーパ面になつた
従来構造のものに比べて摩擦による抵抗が実質的
に小さくなり、この結果、スライダ３０は円滑に
摺動する。

また、凹所１１の底面１４がこのように水平な
平面であるため、スライダ３０を押し、第４図に
示すようにフツク１２，２２どうしの係合を解除
した後、スライダ３０から指先を離してもスライ
ダ３０はその位置に保たれたままとなるから、蓋
体２０を開ける操作の際にそこへ指先などを楽に
入れることが可能となり、よつて使い勝手が向上
する。

また、突片２１の幅ｄと両側板部３２，３２間
の幅Ｄとはほぼ等しく形成されているので、蓋体
２０が閉じられ、突片２１が側板部３２，３２間
に嵌合した状態では突片２１に「ガタツキ」など
が全く生じない構造となる。

さらに、組立性などの点に着目して見た場合、
スライダ３０は前板部３１、両側板部３２，３
２、底板部３３とから構成されていて、それ自体
でも両側板部３２，３２がその内外方向への弾性
を有するが、実施例ではさらにスリツト３５，３
５が設けられており、これらのことから両側板部
３２，３２には適度な弾性が与えられている。し
たがつて、突起３４，３４をガイド溝１３，１３
に対してそれぞれ嵌合させつつスライダ３０を凹
所１１内にセツトする作業がきわめて良好なもの
となる。

なお、図示する構造から理解できるように、容
器全体を可能な限り薄く（例えば１cm以下）して
もスライダの機能を充分に発揮させることは可能
であり、かつ、全体がシンプルで製作容器である
などの利点もある。

「考案の効果」 以上詳述したように、本考案によれば、スライ
ダを押圧操作する際の抵抗が小さく、かつ、蓋体
を開けるときに指先等を入れやすいなど、使い勝
手が良好であり、さらに組立時においてスライダ
を凹所内に容易にセツトすることができ、しかも
従来のもつ利点も何ら損なうことなくこれらのこ
とを実現し得るという優れた効果を奏する。

特に本考案によれば、スライダの両側板部は、
それ自体でも内外方向への弾性を有するが、さら
にスリツトの存在により適度な弾性が与えられて
いるから、この弾性作用を利用して突起をガイド
溝にそれぞれ嵌合させつつスライダを凹所内にセ
ツトする作業が極めて良好なものとなる。しか
も、このスライダは容器本体に対してのみ取り付
ける構成であるから、その他の構成部材の組立工
程順に左右されることなく、組み付けを必要とす
るときいつでも実施できるので、組立作業に制約
を受けない。もちろん、単独に着脱自在であるか
らスライダの交換まで容易に行える。

また、凹所は容器本体の前面寄りの下面にも開
口しているから、つまり、凹所の底面を形成する
部分は前面寄りの部分が言わば切欠かれた構成で
あるため、スライダを指先で押圧して奥へ押し込
む操作の際、さらには蓋体を開ける操作の際、そ
の凹所の底面部分が指先に当たることがなく邪魔
にならないので奥まで円滑に押し込むことがで
き、かつ指先等が充分に入るのでそこから蓋体を
開けやすく、従つてこれらの点からも操作性が格
段に向上する。この作用効果は、コンパクト容器
が薄型になればなる程、極めて顕著なものとな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来例を示す斜視図およ
び縦断面図、第３図ないし第８図は本考案の一実
施例を示すもので、第３図は中央縦断面図、第４
図はスライダを押圧操作したときの状態を示す第
３図同様の縦断面図、第５図は分解斜視図、第６
図は要部の斜視図、第７図は突片の正面図、第８
図はスライダの平面図である。 １０……容器本体、１１……凹所、１２……フ
ツク、１３……ガイド溝、１４……底面、２０…
…蓋体、２１……突片、２２……フツク、２３…
…テーパ面、３０……スライダ、３１……前板
部、３２……側板部、３３……底板部、３４……
突起、３５……スリツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 容器本体１０と、この容器本体１０にヒンジ
   結合された蓋体２０とを備え、この蓋体２０の
   自由端には容器本体側へ突出しかつ内面にフツ
   ク２２を有する突片２１が設けられ、この突片
   の外面は蓋体の自由端から基端に向かうにした
   がい容器本体側へ延びてゆく下り勾配のテーパ
   面２３に形成され、前記容器本体には、その前
   面および上面と前面寄りの下面とにそれぞれ開
   口する逆Ｌ字状の凹所１１が設けられ、この凹
   所の奥面に前記突片のフツク２２と係合するフ
   ツク１２が設けられ、かつ凹所１１の底面１４
   には水平な平面に形成され、さらに凹所の両側
   面には水平に延びるガイド溝１３がそれぞれ設
   けられ、一方、前記凹所にセツトされるスライ
   ダ３０は、前板部３１、両側板部３２および底
   板部３３により断面Ｌ字であつて平面コ字状に
   形成され、その両側板部の外面には前記ガイド
   溝に嵌合する突起３４がそれぞれ設けられ、か
   つ、このスライダ３０は、該スライダの摺動時
   にその前板部の上縁が前記テーパ面に摺接する
   ように設定されており、さらに、前記底板部３
   ３と両側板部３２との境目には、その境目に沿
   つて延びるスリツト３５が設けられていること
   を特徴とするコンパクト容器。 (2) 前記突片２１の幅ｄは前記スライダ３０の両
   側板部３２の幅Ｄよりも嵌め合い公差程度の分
   だけ小さくされていることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項記載のコンパクト容
   器。