JPS634453B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はインキ・塗料類に紫外線を照射してこ
れらを即時に乾燥・硬化させる目的を使用される
紫外線照射器の改良に関する。

従来の紫外線照射器は、照射器本体の内部にア
ルミニウム製の反射鏡を収納し、該反射鏡の内部
に高圧水銀灯のごとき紫外線源を装着した構造の
ものが多かつた。

かかる照射器では、紫外線源の点灯に伴い照射
器本体の内部が極めて高温になるため排気装置等
を用いて内部を空冷している。しかしながらアル
ミニウム製の反射鏡を用いると紫外線とともに熱
線も多量に反射されるため、被照射物が熱に弱い
物質である場合にはそれが軟化・変形するという
問題があつた。そこで、アルミニウム製の反射鏡
に代えて熱線を透過し紫外線のみを反射する熱線
透過反射鏡が使用されるようになつてきた。かか
る反射鏡の代表的なものは耐熱性ガラスの表面に
金属酸化物を蒸着して多層干渉膜を形成したもの
である。第３図はそのような熱線透過反射鏡１の
一般的な外観形状を示すもので、内部に管状の紫
外線源２を配置した状態を示す。ところが、かか
る反射鏡はかなり大きなガラス体の表面に多層干
渉膜を付着させるため製造が難しいという欠点が
ある。特に紫外線を均一に照射するために多層干
渉膜の膜厚をコントロールすることは極めて困難
であつた。また、反射鏡全体がかなり大形になる
ため熱膨脹によるストレスを吸収しにくいという
欠点もある。さらには反射鏡の内部と外部を連絡
する通風路がないため、空冷をしても紫外線源の
冷却効果が少ないという問題もある。第４図は上
記のような問題を改善するために提案された反射
鏡構造である。これは、縦に長い平板状の熱線透
過反射板１ａ，１ｂ，１ｃ……を断面が円弧状と
なるように配置したものである。かかる構造では
複数枚の熱線透過反射板１ａ，１ｂ，１ｃ……を
用意しこれを組み合せればよいから組立上の問題
は解消される。又、各熱線透過反射板の突き合せ
部が通風路を形成するので、紫外線源冷却効果も
ある程度得られる。ところが、かかる構造では、
反射鏡の断面形状を放物線又は楕円のような正確
な円弧状とすることはできないため紫外線のコン
トロールという面で難点がある。また、縦に長い
ガラス板に多層干渉膜を蒸着するので、製造上の
問題が完全に解消されたとはいえない。さらに
は、紫外線源の長手方向の冷却効果をコントロー
ルすることも無理である。

本発明は以上のような点に鑑みてなされたもの
で、紫外線源の長手方向やそれに直角な方向の紫
外線照射強度の調節を簡単かつ正確に行うことが
でき、反射鏡の内外の冷却効果を増大させること
ができ、熱膨脹に伴うストレスの問題も解消で
き、製造及び組立も容易である等数々の特長を有
する紫外線照射器を提供するものである。

第１図及び第２図は本発明に係る紫外線照射器
の正面及び側面の断面図である。１は上方に空気
取入口を有する外筐である。この外筐１の中には
筒状の排気孔２を有する内筐３が収納してある。
そして内筐３の中には円弧状に彎曲させた複数の
熱線透過反射板４ａ〜４ｅを小間隙を介して連接
せしめて全体を樋状となした反射鏡４が配置して
ある。

さらに、反射鏡４の内部には高圧水銀ランプ・
メタルハライドランプ等の管状の紫外線源５が長
手方向に沿つて装着してある。６は内筐３の排気
孔２に連結した排気装置を示す。第５図は本発明
に用いる反射鏡部分の斜視図である。つまり、本
発明に係る反射鏡構成は、比較的小さい長方形の
ガラス板を放物線あるいは楕円に沿つて円弧状に
彎曲させたうえその表面に多層干渉膜を形成して
熱線透過反射板の一単位４ａ〜４ｅを構成する。
そしてこれらを小間隙を介して複数個連接せしめ
て全体を樋状となして反射鏡４を構成するもので
ある。熱線透過反射板４ａ〜４ｅの枚数は紫外線
源５の長さによつて適宜選択すればよい。この場
合各熱線透過反射板４ａ〜４ｅの間に形成すべき
小間隙は任意でよいが、大きすぎると紫外線の反
射効率に影響し、小さすぎると通風効果に影響す
る。実験例によれば１mm以下としても一定の効果
が得られるが、完全に塞いてしまうと反射鏡の内
部は高温となり、多層干渉膜の剥離現象などがあ
らわれる。本発明のように反射鏡をいわば長手方
向と直角な方向に分割した構成では、各熱線透過
反射板４ａ〜４ｅの製造が極めて簡単であり、か
つこれらの組み立ても簡単であり、さらには一部
が破損しても全体を交換する必要がないというメ
リツトがある。しかし、これに加えて次のような
大きな利点がある。先ず、熱線透過反射板の一単
位の大きさが比較的小さいので第６図に示すよう
に、各熱線透過反射板４ａ〜４ｅの彎曲方向の多
層干渉膜の厚みのコントロールが比較的容易に行
えることである。たとえば、中央部分Ａの膜厚を
最小にし、その両側B₁，B₂からC₁，C₂にかけて
次第に膜を厚くすることが可能である。このよう
にすることにより前記各部分Ａ，B₁・B₂，C₁・
C₂の紫外線反射率を変えることができ、全体に
均一な照射強度が得られる。

また、本発明によれば、反射鏡の長手方向の紫
外線反射率も容易にコントロールできる。すなわ
ち、第７図に示すように、各熱線透過反射板４ａ
〜４ｅの多層干渉膜の厚みを、中央に位置する熱
線透過反射板４ａにおいて最も薄くし、その外側
に位置する熱線透過反射板４ｂ・４ｄ，４ａ・４
ｅと漸次厚くすることが可能である。多層干渉膜
が厚いほど紫外線の吸収は少なく、かつ紫外線源
の紫外線放射強度はその中央部ほど大きいから、
このような反射鏡構成を用いることにより、反射
鏡の長手方向の紫外線照度を均一にできるわけで
ある。逆に、反射鏡自体の長手方向の紫外線反射
率を均等にしたい場合は、熱線透過反射板の一部
を取り替えることによつて全体としてのバラツキ
を吸収することもできる。第６図と第７図の反射
鏡構成を組み合せれば更に理想的な照射強度のコ
ントロールが可能である。次に、本発明の反射鏡
構成では第８図に示すように、反射鏡の長手方向
における各熱線透過反射板４ａ〜４ｅの長さ
（巾）を変えることができる。

例えば、中央に位置する熱線透過反射板４ｃの
長さを最小とし、その外側に位置する熱線透過反
射板４ｂ，４ｄ及び４ａ，４ｅの長さを漸次大き
くすることができる。このように構成すると、反
射鏡の内部に収納した紫外線源の中央部を小間隙
によつて冷却し、両端部を保温するという効果が
得られる。したがつて、紫外線源としてメタルハ
ライドランプを使用する場合に極めて効果的であ
る。最後に、本発明における照射器内部の空冷効
果について説明する。

第１図及び第２図において、排気装置６を駆動
すると、外筐１の空気取入口から吸入された空気
は矢符で示すように内筐３の外側を通り、その下
側から内筐３に入つて反射鏡４の外側を通つて排
気孔２から排出される。一方、反射鏡４の開口部
から吸入された空気は紫外線源５の周囲を通り、
反射鏡４の小間隙から内筐３に吸入され排気孔２
から排出される。このため、反射鏡４はその内外
から冷却されることとなる。したがつて、熱線が
反射鏡４の背面に放出されにもかかわらず、反射
鏡４の温度はそう高くはならない。このようにし
て照射器内部の空冷効果は良好に保たれるわけで
ある。

なお、熱線透過反射板を使用しているので、被
照射物に対する熱線の照射は極めて少なくなるこ
とはいうまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明に係る紫外線照射器
の正面及び側面の断面図、第３図及び第４図は従
来の紫外線照射器の反射鏡の斜視図、第５図は本
発明に用いる反射鏡の斜視図、第６図は同反射鏡
の断面図、第７図及び第８図は同反射鏡の他の実
施例を示す側面図である。 第１図、第２図及び第５図乃至第８図におい
て、１……外筐、２……排気孔、３……内筐、４
ａ〜４ｅ……熱線透過反射板、５……紫外線源、
６……排気装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外筐１の内部に収納した排気孔２を有する内
   筐３の中に、円弧状に彎曲させた複数の熱線透過
   反射板４ａ〜４ｅを小間隙を介して連接せしめて
   全体を樋状となした反射鏡４を配置し、該反射鏡
   ４の内部に管状の紫外線源５を装着したことを特
   徴とする紫外線照射器。 ２ 熱線透過反射板４ａ〜４ｅは耐熱性透光板の
   表面に多層干渉膜を形成したものであることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の紫外線照射
   器。 ３ 熱線透過反射板４ａ〜４ｅにおける多層干渉
   膜の厚みを各熱線透過反射板の彎曲方向の中央部
   から両側部にかけて次第に厚く形成したことを特
   徴とする特許請求の範囲第２項記載の紫外線照射
   器。 ４ 熱線透過反射板４ａ〜４ｅにおける多層干渉
   膜の厚みを各熱線透過反射板の連接方向の中央に
   位置する熱線透過反射板において最も薄く形成
   し、その外側に位置する熱線透過反射板において
   漸次厚く形成したことを特徴とする特許請求の範
   囲第２項または第３項記載の紫外線照射器。 ５ 熱線透過反射板４ａ〜４ｅのそれぞれの長さ
   を、これらの連接方向の中央に位置する熱線透過
   反射板において最小となし、その外側に位置する
   熱線透過反射板において漸次大きくしたことを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の紫外線照射
   器。