JPS6342976Y2

JPS6342976Y2 -

Info

Publication number: JPS6342976Y2
Application number: JP9719380U
Authority: JP
Priority date: 1980-07-10
Filing date: 1980-07-10
Publication date: 1988-11-10
Also published as: JPS5723918U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、芯残し加工を行なうスローアウエイ
式の穴あけ工具に係り、特に切削性能が良く、し
かもスローアウエイチツプの特性を活かせるよう
に改善したものである。

従来、この種の穴あけ工具としては、例えばス
ローアウエイ式のものとして、実公昭54−4703号
公報、特開昭53−106985号公報等にみられるもの
が開示されている。そして、これらの公報に開示
されたものは、主として内周刃および外周刃とし
てのスローアウエイチツプを組込む方式である。
また、円板状の中間刃を備えるものも一部開示さ
れているが、外周刃、内周刃とともに並列的に配
置されたものである。したがつて、これらの穴あ
け工具は、被削材に対する喰付き性および切削抵
抗のバランスが必ずしも良好ではなく、切削性能
上満足されていない。

また、ブレード方式のものとしては、例えば、
米国特許第3548687号明細書等が開示されている。
そして、これは、内周刃、中間刃および外周刃に
段差をつけて切削したものであるが、前述したと
同様に切削性能が必ずしも良好ではない。さら
に、特殊な例として、特開昭48−66292号公報が
開示されている。この公報にみられるものは、円
筒状をなすボデーの先端にガイドセンターおよび
溝切り用の外周刃、中間刃、内周刃を分割的に設
けたもので、中間刃としては118゜のＶ形刃先を有
しているものである。しかしながら、この穴あけ
工具は、弾発力が付勢されたガイドセンターで鋼
板を押えるもので、工具剛性などから深穴切削用
には適用できないものである。

このようなことから、芯残し加工では、工具剛
性、切削抵抗のバランス等を充分に配慮したスロ
ーアウエイ式の穴あけ工具の開発が要望されてい
る。

本考案は、上述の点に鑑みなされたもので、外
周刃、中間刃および内周刃をスローアウエイチツ
プで構成するようにした穴あけ工具において、工
具剛性が高く、しかも切削性能が良好となり、ま
たスローアウエイチツプの特性が充分活かされる
ようにした穴あけ工具を提供するものである。

以下、本考案穴あけ工具における一実施例につ
いて図を参照しながら説明する。

第１図乃至第３図において、１は、後端に柄部
２を備えた工具であり、その先端面からは、芯部
材３を受入れる中央穴４が穿設されている。ま
た、工具本体１の外周側部には、軸方向にねじれ
を伴つた３個のフルート５ａ，５ｂ，５ｃが凹設
される。

このフルート５ａ，５ｂ，５ｃは、工具本体１
の剛性を維持するため前記中央穴４とは連通しな
いようにしたもので、径方向に位置する取付け面
６ａ，６ｂ，６ｃには、それぞれ径方向に偏位し
たチツプ座７ａ，７ｂ，７ｃが形成される。ま
た、このフルート５ａ，５ｂ，５ｃに軸方向のね
じれを付与したのは、切屑の排出性を配慮したも
のである。

そして、このチツプ座７ａ，７ｂ，７ｃ内に
は、それぞれ外周刃、中間刃および内周刃として
のスローアウエイチツプ８ａ，８ｂ，８ｃが配置
され、適宜の手段例えば図示のような止めねじ９
により固定される。

しかして、これらのスローアウエイチツプ８
ａ，８ｂ，８ｃは、同一形状の菱形板からなり、
鋭角コーナーおよび鈍角コーナーで頂角α，βを
それぞれ構成する。同一形状としたのは、前記チ
ツプ座７ａ，７ｂ，７ｃのいずれにも組込めるこ
とを配慮したもので、この結果、第５図でみられ
るように鋭角コーナーおよび鈍角コーナーを満遍
なく使用できるものである。

また、第４図は、スローアウエイチツプ８ａ，
８ｂ，８ｃの構成および切削回転軌跡を詳細に説
示したものである。

すなわち、スローアウエイチツプ８ｂは、頂角
βを有する鈍角コーナーが先端切刃部分を構成
し、またスローアウエイチツプ８ａ，８ｃは、頂
角αを有する鋭角コーナーを構成して、切削され
るべき環状溝１０の外端部分および内端部分にそ
れぞれ位置する。そして、径方向の逃げ角γおよ
び軸方向の逃げ角σを構成する。

また、スローアウエイチツプ８ａ，８ｃの鋭角
コーナーがそれぞれ位置する環状溝１０の外端部
分および内端部分に対しては、スローアウエイチ
ツプ８ｂの先端切刃部分がδの凸出量をもつて軸
方向に先行する。これは、鈍角コーナーによる先
端切刃部分がＶ字切削を行ない、被削材１１に対
する喰付き性を良好にするためである。

したがつて、切削回転軌跡上では、スローアウ
エイチツプ８ａ，８ｃにそれぞれ形成された径方
向の切刃稜１２ａ，１２ｃがスローアウエイチツ
プ８ｂの切刃頂角部分に形成された切刃稜１２ｂ
と交差する。この結果、環状溝１０の径方向巾Ｗ
に対しては、スローアウエイチツプ８ａの切刃稜
１２ａによる切削負担巾Ａ、スローアウエイチツ
プ８ｂの切刃稜１２ｂによる切削負担巾Ｂ、スロ
ーアウエイチツプ８ｃの切刃稜１２ｃによる切削
負担巾Ｃで配分される。したがつて切削負担巾
Ａ，Ｂ，Ｃは、Ｗ＝Ａ＋Ｂ＋Ｃとなり、第６図で
みられるような切削抵抗のバランスからＡ：Ｂ：
Ｃ≒１：１：１となることが必要である。すなわ
ち、環状溝１０の径方向巾Ｗを例えば18mmとすれ
ばＡ＝Ｂ＝Ｃ＝６mmに配分する。またスローアウ
エイチツプ８ａ，８ｂ，８ｃについては、対辺寸
法を12.7mmとしたときに、α＝80゜、β＝100゜、γ
＝3゜、σ＝7゜の角度に設定することができる。

なお、先端切刃部分の頂角βについては、切削
機能上90゜〜110゜の範囲が良好であるが、前述し
たγ，σの存在から100゜〜110゜の範囲が好適す
る。この場合、頂角βが通常のツイストドリルに
おける118゜よりも小さくなつているのは、工具剛
性が高められていること、また対称関係にある切
刃稜１２ａ，１２ｃが存在していることからであ
る。

また、第５図は、前述したようにスローアウエ
イチツプ８ａ，８ｂ，８ｃにおける使い分けを説
示したもので、特に摩耗状況と対比させたもので
ある。したがつて、スローアウエイチツプ８ａ，
８ｂ，８ｃ中のＡ，Ｂ，Ｃは、前述した切削負担
巾Ａ，Ｂ，Ｃに対応させている。

さらに、第６図は、前述したように切削抵抗の
バランスを示したものである。すなわち、第６図
において、スローアウエイチツプ８ａ，８ｂ，８
ｃにかゝる切削抵抗は、垂直分力F₁，F₂，F₃、
背分力F_R1，F_R2，F_R3、主分力F_H1，F_H2，F_H3に分
けられる。また主分力F_Hおよび背分力F_Rの合力
は、工具にかゝる切削力のうち工具軸に対して垂
直方向の垂直分力Ｆとなり、FxはＸ方向成分、
FyはＹ方向成分となる。

この結果、工具軸に対する垂直分力Ｆは、スロ
ーアウエイチツプ８ａ，８ｂ，８ｃの各々にかゝ
る切削力の垂直分力F₁，F₂，F₃より小さくなつ
ているので、切削力のバランスがとれる。したが
つて工具の振れやビビリ振動を起しにくい。これ
は、実切削の結果からも確認されたことである。

すなわち、実切削は、被削材としてS20C相当
のブロツク材を選び、直径110mm、深さ200mmの穴
あけをしたものである。切削条件は、苛酷な条件
となるように切削速度Ｖ＝100m／min、送りｆ
＝0.15mm／revとしたが、スローアウエイチツプ
８ａ，８ｂ，８ｃを有する前述した仕様の本考案
品は良好な切削状態を示した。これに対し、中間
刃としてのスローアウエイチツプ８ｂを有しない
従来品は、異常なビビリ振動を発生し、刃先の欠
損を起して使用不可であつた。

このようにして構成された本考案の穴あけ工具
は、以下のような効果を有する。

第１に、スローアウエイチツプ８ａ，８ｂ，８
ｃの鋭角コーナーおよび鈍角コーナーを満遍なく
使用できることである。これは、第５図の摩耗状
況から判るように、同一形状の菱形板からなるも
のを使用したことおよび、これに適合するチツプ
座７ａ，７ｂ，７ｃを形成したことからである。

第２に、切削性能が良いことである。これは、
スローアウエイチツプ８ｂの切刃稜１２ｂの存在
によつて被削材に対する喰付き性が良好となり、
またスローアウエイチツプ８ａ，８ｃの切刃稜１
２ａ，１２ｃを回転軌跡上で対称的に配置して切
削抵抗のバランスを良好にしたことからである。
さらに、工具本体１についてもフルート５ａ，５
ｂ，５ｃが中央穴４に連通しない構成を採つてい
ることから工具剛性が高めらているためである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案穴あけ工具の一実施例を示す
一部を切欠した正面図、第２図は、その下面図、
第３図は、切削の回転軌跡を示す概念的な説明
図、第４図は、第３図に対応して諸角度等を挿入
した切削の回転軌跡上における概念的な説明図、
第５図ａ，ｂ，ｃは、スローアウエイチツプの摩
耗状況に応じた使い分けを説示したスローアウエ
イチツプの上面図、第６図は、本考案穴あけ工具
における切削抵抗のバランスを概念的に示した説
明図である。１……工具本体、４……中央穴、５ａ，５ｂ，
５ｃ……フルート、８ａ，８ｂ，８ｃ……スロー
アウエイチツプ、１２ａ，１２ｂ，１２ｃ……切
刃稜。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】柄部２を備えた工具本体１の一端面からは、芯
部材３を受入れる中央穴４が穿設され、またその
外周側部には、３つのフルート５ａ，５ｂ，５ｃ
が軸方向に形成されるとともに、このフルート５
ａ，５ｂ，５ｃに形成されたチツプ座７ａ，７
ｂ，７ｃ内には、外周刃、中間刃および内周刃を
それぞれ構成するスローアウエイチツプ８ａ，８
ｂ，８ｃが切削されるべき環状溝１０の径方向巾
Ｗに対し偏位するように取付けられることにより
分担切削する穴あけ工具において、前記フルート５ａ，５ｂ，５ｃは、前記中央穴
４とは連設しないように凹設され、しかも径方向
にある取付け面６ａ，６ｂ，６ｃに前記チツプ座
７ａ，７ｂ，７ｃが形成されており、前記スローアウエイチツプ８ａ，８ｂ，８ｃ
は、前記チツプ座７ａ，７ｂ，７ｃのいずれにも
組込めるように同一形状の菱形板からなり、しか
もその鋭角コーナーおよび鈍角コーナーでは、そ
れぞれ頂角α，βを構成しており、また、前記環状溝１０に対する回転軌跡上で
は、中間刃としてのスローアウエイチツプ８ｂ
は、頂角βを有する鈍角コーナーが先端切刃部分
を構成するようになつており、外周刃および内周
刃としてのスローアウエイチツプ８ａ，８ｃは、
それぞれ頂角αを有する鋭角コーナーがそれぞれ
外端部分および内端部分に位置して、径方向の逃
げ角γおよび軸方向の逃角σを構成するようにな
つているとともに、これらの外端部分および内端
部分に対しては、中間刃としてのスローアウエイ
チツプ８ｂの先端切刃部分が軸方向においてδの
凸出量で先行するようになつており、さらに、径
方向巾Ｗに対しては、前記スローアウエイチツプ
８ｂの頂角βおよびスローアウエイチツプ８ａ，
８ｃの逃げ角γの交差に伴つて、スローアウエイ
チツプ８ａの切刃稜１２ａによる切削負担巾Ａ、
スローアウエイチツプ８ｂの切刃稜１２ｂによる
切削負担巾Ｂおよびスローアウエイチツプ８ｃの
切刃稜１２ｃによる切削負担巾Ｃで配分され、こ
れらの切削負担巾Ａ，Ｂ，Ｃが、Ａ：Ｂ：Ｃ≒
１：１：１になつていることを特徴とする穴あけ
工具。