JPS601928Y2 - スロ−アウエイ工具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は旋盤作業時にＮＣ旋盤に用いるに好適なスロー
アウェイ工具に関するものである。

従来、穴のない加工物に旋盤で精密な穴加工をする場合
、先ずツイストドリルで比較的小さな穴を開け、次に中
ぐり工具にてこの穴を順次拡大、仕上げをし、更に端面
加工を要する場合は専用の端面加工工具を用いて切削す
るという風に数種の工具で数工程にわたって加工するの
が普通であった。

この問題を解決するため４角形のスローアウェイチップ
を２ケ所組合わせて、穴の外周側と内周側を各々分担さ
せる方法が提案された。

（特開昭５１−１３７９８１号等）しかしながらスロー
アウェイ型ドリルとして全ての要素は満足し得す使用範
囲はかなり限定されたものである。

上記最初の提案では、２枚刃で切削幅を分担する点は優
れているが、切削傾角が軸芯をはさんで同一方向のため
切削抵抗が一定方向のみに作用しアンバランスとなり、
切削主応力、スラスト共に高く、振動が発生して深穴加
工及び高速加工が不可能であった。

本考案はこれらの問題を解消し、わずか１つの工具で全
て加工でき、かつバランスの良い切削抵抗を示す工具を
提供するものである。

以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明する。

第１図乃至第３図に示すように工具３０の先端部には、
２個の平行四辺形（菱形と四角形の場合を示す）ポジテ
ィブタイプスローアウェイチップ１０と２０を収納する
ための２つの凹所３１，３２が設けられており、チップ
１０．２０のすくい面１１．２１に続く部分には切りく
ずを排出するためのポケット３３．３４が設けられてい
る。

なお工具３０の他端部３５は機械に取付けるための保持
部分であるが、その形状は本発明の要旨をなすものでは
ない。

前記チップ１０と２０は平行四辺形で各頂点１２．１３
，１４，１５及び２２，２３，２４．２５に適当な丸み
を有し、普通５°〜２０°の逃げ角をつけたポジティブ
タイプスローアウェイチップであり、平行四辺形の一辺
の長さく切刃の長さ）は加工する穴直径の１７４〜１／
２の間にあることが必要である。

なおチップ１０．２０は普通、中心に設けられた穴を用
いてネジなどにより工具本体に取付けられるが、他の方
法によってもよい。

前記チップ１０はその１つの切れ刃１６が加工物の回転
中心を通るようにセットされ、かつ１つの頂点１３は軸
方向最先端に位置し、隣接する頂点１２は加工物の回転
中心軸Ｘをはさんで反対側にあり、かつ頂点１３より軸
方向には後方に位置するようにセットされている。

これらの２頂点１２．１３を結ぶ辺１６は回転軸Ｘの直
角方向に対する角度αが２０’〜１５°の傾きを有し、
穴あけの際の中心側切刃として働く。

一方チツブ２０は前記チップ１０と円周方向で１５０°
〜２１０’ 、即ち軸Ｘに関してはマ反対側に位置し、
１つの鋭角頂点２２の軸方向位置はチップ１０の最先端
頂点１３よりも更にｔ （＝０．１〜０．５、、）だけ
突出し、すなわち加工物に近すけ、かつ半径方向位置は
工具の最外周にあって穴あけの際の内径を決定すること
になる。

又鋭角頂点２２に隣接する１つの鈍角頂点２３は軸方向
で頂点２２よりもわずかに後方にあり、半径方向では内
側に位置し、頂点２２と２３を結ぶ辺２６は回転軸Ｘの
直角方向に対する角度βが２０′〜１５°の傾きをもつ
、前記角度αとこのβは力のバランスから考えはく同じ
値をとることが望ましい。

もう１つの鈍角頂点２５は軸方向で頂点２２より後方、
半径方向でわずかに内側に位置し、頂点２２と２５を結
ぶ辺２９は端面加工などをする際の切れ刃となる。

なお当然切れ刃２９には適切な外周逃げ角が与えられる
必要がある。

前記チップ１０と２０は円周方向で１５０°〜２１００
位置をずらせて配置することが望ましいが各頂点の位置
関係を理解し易くする為、同一位相上にあると仮定して
それらの位置関係を示したのが第４図である。

図示の如く、チップ１０の最先端頂点１３はチップ２０
の内側頂点２３よりも半径方向で外側に位置せしめる。

このとき工具３０を回転加工物に押込んでいくと、穴の
底は図の２点鎖線で示すように切れ刃１６と２６の組合
わせよりなる凹凸面となり、１６は内側切刃、２６は外
側切刃を構成する。

この時外側刃先２２は内側刃先１３よりも寸法ｔ （＝
０．１〜０．５ｍｍ）だけ先行している。

力のバランスをよくするには内側切刃と外側切刃の長さ
かはマ等しくなるように、チップ１０の半径方向位置を
定めることが望ましい。

本発明の工具により下穴のない回転加工物に穴を開ける
場合、切れ刃１６が回転中心を通るようにセットして、
工具を軸方向に進入さすと先ず刃先２２が加工物に接し
、つづいてすぐに切れ刃１３が加工物に喰込む。

これにより工具に作用する力がバランスを保ちつ）切削
開始される。

この為精度の高い穴を開けることが可能であるが、切り
くず排出をよくする為工具本体に細穴を開け、空気又は
切削油を通すようにすると更に性能よく作業することが
できる。

（第５図）穴の精度を更に高くするには、仕上げ中ぐり
作業をする必要があるが、この為には最初から切れ刃２
６がはく水平になるようにセットしておき、粗加工終了
後、切れ刃２６が所定の取代だけ刃先２２の方へ移動す
るように工具を水平に動かすと、刃先２２が仕上げ加工
用刃先となることは明らかである。

従ってこの位置で工具を前進さすと仕上げ中ぐり作業を
することができる。

（第６図） 加工物の端面を加工するには工具に水平方向に切削送り
を与えると切れ刃２９が切れ刃となって端面加工ができ
る。

この際チップ１０の最先端刃先１３は刃先２２よりもｔ
（＝０．１〜０．５嘔）だけ後方にある為刃先２２の
みが切削に関与し、刃先１３が加工物に接触していると
、大きな外径の加工物の端面を加工すると逆刃となって
工具破損をもたらすことは説明する必要がないであろう
。

（第７図） なお第５．６．７図において斜線部は加工物の形状、矢
印は工具の進行方向を示し、加工物はＸ軸を中心に正回
転しているものとする。

本考案のスローアウェイ工具は切削中のバランスが良く
、種々のツーリングが可能であり、かつ高速で深孔加工
が可能である。

実施例として本考案第１図の構成の３０φ鴫のドリルと
前述特開昭５１−１３７９８１号の従来のドリルである
２ケの四角チップを切刃傾角や同一方向に装着した３０
φ顛のドリルでＳＣＭ４３５を被削材とし、板厚３２簡
の板を、切削速度１２９ｍ／ｍｉｎ、回転数１２７３Ｒ
，ＰｏＭ、で水溶性油剤を用い竪型マシニングセンタ（
１５ＨＰ）にて穴孔加工したところ、送り０．１５ｒＩ
ｒＩＩｔ／ｒｅｖで従来のドリルでは切削主分力（トル
ク）が５２０ｋｇ ・ｃｍ、スラストが４６０ｋｇ ・
ｃｒｒｔであるのに対し１．本考案のものは各々４３０
ｋｏ・Ｃ７１！、 ３７０ｋｇ・０であり、切削抵抗が
少く、送り０．２閣／ｒｅｖではドリルは抵抗のアンバ
ランスのため振動が大きく切削不能であったが本考案の
ものは切削可能であった。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の工具を示す正面図、第２図は同上の要
部拡大正面図、第３図は工具の端面図、第４図は作用説
明用線図、第５図は穴の粗加工時の状況、第６図は穴の
仕上加工時の状況、第７図は加工物端面の切削状況であ
る。 １０・・・・・・スローアウェイチップ、１１・・・・
・・すくい面、１２，１３，１４，１５・・・・・・頂
点（刃先）、１６． １７． １８．１９・・・・・・
辺（切れ刃）、２０・・・・・・スローアウェイチップ
、２１・・・・・・すくい面、２２．２４・・・・・・
鋭角頂点（刃先）、２３，２５・・・・・・鈍角頂点（
刃先）、２６，２７，２８，２９・・・・・・辺（切れ
刃）、３０・・・・・・工具本体、３１゜３２・・・・
・・凹所、３３．３４・・・・・・ポケット、３５・・
・・・・工具の保持部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 全体かはマ円筒形をなし、その一端は機械に取付ける為
   の保持部分となり、他端には菱形チップと四角形のポジ
   ティブスローアウェイチップ（以下チップと呼ぶ）を取
   付ける為の２つの凹部を有し、下穴なしの加工物に穴を
   あける工具において： 第１の四角形チップは１つの頂点を軸方向最先端に位置
   させ、これに隣接する１つの頂点は加工物の回転中心を
   はさんで上記頂点と反対側に位置させ、これら２頂点を
   結ぶ辺は加工物回転軸を通り、かつ回転軸に直角な方向
   に対し、２０′〜１５゜の傾きをもって中心側切刃とし
   て働き： 第２の菱形チップは、１つの鋭角頂点の軸方向位置は第
   １の四角形チップの最先端頂点よりも０．１〜０．５鶏
   だけ更に前方（加工物に近い方向）に位置させると共に
   、半径方向位置は工具の最外周に位置せしめ、かつこれ
   に隣接する第１の鈍角頂点は上記鋭角頂点よりも軸方向
   でわずかに後方（加工物から離れる方向）、半径方向で
   内側（加工物回転中心に近い方向）に位置し、両頂点を
   結ぶ辺は回転軸に直角な方向に対し２０′〜１５°の傾
   きをもって外側切刃として作用するようにし：第２の菱
   形チップの第２の鈍角頂点は最外周鋭角頂点より半径方
   向でわずかに内側、軸方向で後方に位置し： 第１の四角形チップの最先端頂点は、第２の菱形チップ
   の第１の鈍角頂点よりも回転中心からの距離が遠くにあ
   り、かつ２つのチップは回転方向で約１５０°〜２１０
   ０の位相差をもつようにセットされてなることを特徴と
   するスローアウェイ工具。