JPS6341505Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、金属製等の多段抽斗式キヤビネツト
において、その抽斗を引出し動不能にロツクする
ためのロツク装置に関するものである。

〔従来の技術とその問題点〕

従来、多段抽斗式キヤビネツトにおいて、総て
の抽斗を収納した状態でこれらを引出し動不能に
ロツクするには、キヤビネツト本体側の内面に縦
杆を上下動自在に設け、該縦杆にはそれが上昇し
たとき各段の抽斗側に設けた係止片に係合して引
出し動不能にするストツパーを設ける一方、キヤ
ビネツト本体における前面上端角部には錠前を設
け、この錠前の施錠操作により後方の前後動軸を
介して前記縦杆を上昇動することにより、引出し
動不能にロツクするように構成していた。

しかしながら、この構造では広幅抽斗の左右両
側を、キヤビネツト本体の左右両側において同時
にロツクするように、前記縦杆をキヤビネツト本
体の左右両側面において同時に同方向に上下動さ
せる連動機構が非常に複雑になる欠点があつた。

そこで、本考案者は、先行技術としての実開昭
56−57350号公報において、キヤビネツト本体に
おける天板に隣接する抽斗の前面板に錠前を取付
け、この錠前の施錠により当該錠前における係止
片を、抽斗の前面板における上面から突出する一
方、天板の下面には、前記錠前における係止片の
突出動により回転する左右長手の回転軸を設け、
該回転軸の両端に設けたクランクアームにてキヤ
ビネツト本体の左右両側における縦杆を上昇動す
ることにより、キヤビネツト本体に対して抽斗を
引出し動不能にロツクできるようにしたロツク装
置を提案した。

しかし、このものは、その構造を前記従来の場
合よりも簡単にすることができるのであつたが、
その反面、前記錠前における係止片の突出動によ
つて縦杆を上昇動する機構として、前記左右長手
の回転軸の一端に、前記縦杆に係合するクランク
アームを設ける一方、前記回転軸の中程部にもク
ランクアームを設け、このクランクアームに、前
記回転軸と直角の方向に軸支した中間軸の一端に
おけるクランクアームを係合し、且つ、前記中間
軸の他端に設けたクランクアームを、前記錠前に
おける係合片に接当したものであつたから、以下
に述べるような不具合があつた。

すなわち、このものは、錠前における係合片の
突出動による縦杆の上昇動に際しては、左右長手
の回転軸上における両クランクアーム、及び中間
軸上における両クランクアームとの四本のクラン
クアームの重量が抵抗として作用するから、錠前
における係止片の突出動に要する力は大きいので
あり、しかも、前記左右長手の回転軸の回転に際
して、当該回転軸における両クランクアームの間
の部分には、比較的大きい弾性的又は塑性的なね
じり変形に変位が生じるから、引出し動不能のロ
ツクを確実にするためには、錠前における係止片
の突出高さを高くしなければならず、このこと
と、前記のように係止片の突出動に要する力が大
きいこととが相侯つて、錠前によるロツク操作が
重くなるのであつた。

本考案は、この不具合を解消することを目的と
するものである。

〔問題を解決するための手段〕

このため本考案は、キヤビネツト本体に対し少
なくとも一つの抽斗を前後動自在に設けて成るキ
ヤビネツトにおいて、キヤビネツト本体の左右側
板のいずれか一方の内面には上昇動により抽斗を
引出し動不能にロツクする縦杆を上下動自在に設
ける一方、前記キヤビネツト本体の天板下面にお
ける左右両側には、抽斗の前面板と平行に延びる
テコ杆の中途部を当該テコ杆が上下方向に回動す
るように軸支し、該両テコ杆の内端部を互いにピ
ンを介して連結し、更に前記両テコ杆の外端に、
前記縦杆に対する係脱自在な係合部を設け、前記
天板に隣接する抽斗の前面板における上面には、
施錠時に係止片が上向きに突出するようにした錠
前を設け、且つ、前記天板の下面には、前記両テ
コ杆と直角の方向に延びる中間軸を回転自在に軸
支し、該中間軸には、前記両テコ杆のうちいずれ
か一方のテコ杆における内端部に係合するクラン
クアームと、前記錠前における係止片の先端に接
当するクランクアームとを、前記錠前における係
止片の突出により両テコ杆の内端部を連結するピ
ンが下向きに動くように両クランクアームの位相
を180度ずらせて設けた構成にした。

〔考案の作用・効果〕

このような構成において、錠前を施錠するとそ
の係止片が突出することにより、両テコ杆が、当
該両テコ杆の内端部が下向きの方向に動くように
回動し、テコ杆の外端における係合部に係合する
縦杆が上昇動することにより、抽斗を引出し動不
能にロツクすることができる。

この場合、両テコ杆は、その枢支点を挟む内端
部側と外端部側とでは、シーソのように重量が略
バランスしている一方、中間軸上における両クラ
ンクアームは、その位相が180度ずれていること
により、両クランクアームの重量も互いにシーソ
のように略バランスしているので、錠前における
係止片の突出による縦杆の上昇動に際して、この
動きに前記両テコ杆の重量、及び両クランクアー
ムの重量が抵抗として作用することを著しく少な
くすることができるのであり、また、錠前におけ
る係止片と縦杆との連動にテコ杆を使用するもの
で、錠前における係止片の突出動と縦杆の上昇動
との間に、前記先行技術のように左右長手の回転
軸の捻れ変形による変位を生じることを回避でき
るから、縦杆によるロツクのために要する係止片
の突出高さを低くすることができる。

従つて、本考案によると、錠前を施錠すること
によるロツク操作を、軽い力で至極容易に行うこ
とができる効果を奏するのである。

しかも、両テコ杆の内端部を互いに連結する一
方、該両テコ杆の外端に、縦杆に対する係脱自在
な係合部を形成したことにより、左右両側に縦杆
を各々設けて、抽斗を引出し動不能にするロツク
を、抽斗の左右両側において行うようにしたり、
或いは、縦杆を一側部にのみ設けて、抽斗を引出
し動不能にするロツクを、抽斗の片側において行
うようにしたりする仕様の変更が容易にできる効
果をも有する。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面について説明する
と、図において、符号１は、天板２及び左右の側
板３，３によつて構成されるキヤビネツト本体、
符号４は該キヤビネツト本体１内に引出し動自在
に嵌まる抽斗、符号５は前記キヤビネツト本体１
における左右両側板３の内面に各々上下動自在に
設けた縦杆を各々示す。

前記両縦杆５には、各段の抽斗４における左右
側板の外面に設けた係合片６の前面に対して係脱
できるロツク片７を備え、当該縦杆５が上昇動す
ると、そのロツク片７に抽斗４における係合片６
が接当して、抽斗４を引出し動不能にロツクする
ように構成されている。

また、符号８は前記各抽斗の前面板、符号９は
該前面板８における中央部の上端近傍に設けた錠
前を各々示し、該錠前９には、その施錠によつて
前記前面板８の上面から突出して天板２における
前部枠体１１内に施錠孔１２から侵入するように
した係止片１０を備えている。

符号１３は、前記天板２の下面における左右両
側に前記抽斗４の前面板８と平行に延びるように
配設したテコ杆を示し、該両テコ杆１３の中途部
を水平軸１４にて当該テコ杆１３が上下方向に自
在に回動するように軸支し、この両テコ杆１３の
外端を、前記両縦杆５の上端における係合孔１５
に係脱自在に嵌まる係合部に形成し、且つ、該両
テコ杆１３の内端部を互にピン１６を介して連結
する。

一方、前記天板２の下面には、前記両テコ杆１
３と直角の方向に延びる中間軸１７を、軸受１９
にて回動自在に軸支し、該中間軸１７の一種に
は、先端が前記両テコ杆１３のうちいずれか一方
のテコ杆１３における内端部に係合するクランク
アーム１８′を、他端には、先端が前記錠前９に
おける係止片１０に接当するクランクアーム１８
を各々設け、この中間軸１７上における両クラン
クアーム１８，１８′の位相を180度ずらせること
により、錠前９における係止片１０の突出動によ
つて、両テコ杆１３の内端部を連結するピン１６
が下向きに動くように構成する。

なお、符号２０は、前記抽斗４の左右両側板の
外面に設けた前後傾斜ガイド板、符号２１は、前
記両縦杆５に設けた接当子で、各抽斗４のうち一
つの抽斗４を引出したとき前記接当子２１が傾斜
ガイド板２０上面に接当して、両縦杆５が高さＨ
だけ上昇して、他の抽斗４を引出し動不能にロツ
クするように、いわゆる抽斗４の２重引出し操作
が不能となるように構成されている。

この構成において、総ての抽斗４をキヤビネツ
ト本体１内に押し込んだ後、天板２に隣接する抽
斗４の前面板８に設けた錠前９にキーを差し込ん
で回すことにより、その係止片１０を上向き突出
させると、該係止片１０は、天板２の前部枠体１
１内に施錠孔１２から突入し、該抽斗４は天板２
に対しロツクできると同時に、中間軸１７の一端
におけるクランクアーム１８を押し上げ回動し、
したがつて、中間軸１７の他端におけるクランク
アーム１８′は、前記一方のテコ杆１３の内端部
を下向き押圧する。

これにより当該テコ杆１３の外端を介してこれ
に係合する縦杆５を上向き移動させると同時に、
前記テコ杆１３とピン１６にて連結された他方の
テコ杆１３の外端に係合する縦杆５も上向き移動
し、これら両縦杆５に突出したロツク片７が、各
段の抽斗４における側板の係合片６の前面に位置
するから、総ての各抽斗４は引出し動不能にロツ
クされることになる。

反対にロツクを解除するには、抽斗における錠
前９にキーを差し込み、反対方向に回して係止片
１０を下方に引込めると、両縦杆５は、その自重
により下降動するから、総ての抽斗４に対するロ
ツク状態を解除できる。

なお、第１図に示すようにクランクアーム１
８′を両テコ杆１３のうち左側のテコ杆１３に係
合することに代えて、右側のテコ杆１３に係合す
るようにしても良く、また、第１図における右側
のテコ杆１３に対する縦杆５の係合を外せば、抽
斗４をその左側のみにおいてロツクすることがで
き、また、左側のテコ杆１３に対する縦杆５の係
合を外せば、抽斗４をその右側のみにおいてロツ
クすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はロツク
装置の配置関係を示す斜視図、第２図は抽斗の２
重引出し防止機構を示す説明図、第３図は第２図
の−線一部切欠拡大図である。 １……キヤビネツト本体、２……天板、３……
左右側板、４……抽斗、５……縦杆、６……係合
片、７……ロツク杆、９……錠前、１０……係止
片、１３……テコ杆、１７……中間軸、１８，１
８′……クランクアーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. キヤビネツト本体に対し少なくとも一つの抽斗
   を前後動自在に設けて成るキヤビネツトにおい
   て、キヤビネツト本体の左右側板のいずれか一方
   の内面には上昇動により抽斗を引出し動不能にロ
   ツクする縦杆を上下動自在に設ける一方、前記キ
   ヤビネツト本体の天板下面における左右両側に
   は、抽斗の前面板と平行に延びるテコ杆の中途部
   を当該テコ杆が上下方向に回動するように軸支
   し、該両テコ杆の内端部を互いにピンを介して連
   結し、更に前記両テコ杆の外端に、前記縦杆に対
   する係脱自在な係合部を設け、前記天板に隣接す
   る抽斗の前面板における上面には、施錠時に係止
   片が上向きに突出するようにした錠前を設け、且
   つ、前記天板の下面には、前記両テコ杆と直角の
   方向に延びる中間軸を回転自在に軸支し、該中間
   軸には、前記両テコ杆のうちいずれか一方のテコ
   杆における内端部に係合するクランクアームと、
   前記錠前における係止片の先端に接当するクラン
   クアームとを、前記錠前における係止片の突出に
   より両テコ杆の内端部を連結するピンが下向きに
   動くように両クランクアームの位相を180度ずら
   せて設けたことを特徴とするキヤビネツトにおけ
   る抽斗のロツク装置。