JPS6339021Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はペール巻きワイヤの引き出し治具に関
する。更に詳しくは、本考案はピアノ線、バネ
線、溶接ワイヤのような金属ワイヤを引き出す際
のワイヤの絡み合いを防止し、円滑に繰り出し得
るようにしたペール巻きワイヤの引き出し治具に
係わるものである。

金属ワイヤを容器から繰り出すとき、該ワイヤ
には内部歪が存在するので金属ワイヤ（以下単に
ワイヤという。）がはね上つて互いに絡み合い、
繰り出しが困難になつたり、あるいは繰り出し不
能になつたりする。そこで、このような不都合を
防止するために種々の方法が提案されている。例
えば第１図はその１例の要部断面説明図で、外筒
１及び内筒２の間にワイヤ３をペール巻きにして
収納し、押えリング４を内筒２の上方部に固定又
は摺動可能に嵌挿してワイヤ３のはね上りを抑制
する方法の例である。図の例ではワイヤ３の繰り
出しが進むにつれて、押えリング４とワイヤ３の
間が拡がるので、この部分ではね上つたワイヤ３
が絡みあつたり、外筒１と押えリング４外周との
隙間からワイヤ３が飛び出し繰り出しが円滑に進
まない等の問題があつた。そこでこのような欠点
を更に改善する為に第２図、第３図に示される構
造のものが考案された。即ち外筒１及び内筒２の
間にペール巻きして収納されたワイヤ３の最上層
に、外周にスポンジゴム等の弾性材の突部５Ａを
有し、ある程度の重量をもつた浮動リング５を設
置し、ワイヤ３を上方から押えることによつてワ
イヤ３のはね上りを抑制する方法である。しかし
ながらこのような方法を用いたものでも、突部５
Ａを押しのけて隙間からワイヤ３が飛び出した
り、突部５Ａが外筒１の内壁を押圧するので、浮
動リング５がワイヤ３の消費状況に応じて下垂し
ないこともあり、その場合第１図に示した例と同
様リング５とワイヤ３の間でワイヤ３同志が絡み
合つたりすると言う問題があつた。

本考案は、前記のような公知の方法にみられる
欠点を解消するべく種々検討の結果、達成された
もので、外筒と内筒の間に収容されているワイヤ
の層上に特定構造の押え板を載置することにより
ワイヤのはね上りを抑制して、前述のようなワイ
ヤ繰り出し時におけるトラブルを防止するもので
ある。

すなわち、本考案は、外筒と内筒の組合わせか
らなる溶接ワイヤの収納容器において外筒と内筒
の間に収容されたワイヤ層上に、内筒の外径より
も内径が大きく前記外筒の内径よりも外径が小さ
く、かつ、その外周又は内周に多数の突起を立設
した略円環状のワイヤ押え板を載置させてなるペ
ール巻きワイヤの引き出し治具を要旨とするもの
である。

以下、本考案を図面によつて更に詳細に説明す
る。

第４図は本考案の一実施例の要部断面説明図、
第５図は第４図のＸ−X′線における断面図であ
る。図において、ワイヤ３は外筒１と内筒２の間
にコイル状に巻かれて収納されている。６は収容
されたワイヤ３の最上層に載置されるワイヤ押え
板で、該ワイヤ押え板６はワイヤ３の繰り出しが
可能なように前記内筒２の外径よりも大きい内径
を有すると共に外筒１の内径よりも小さい外径を
有する円環状（ドーナツ形）の平板で例えばある
程度の重量をもつた厚手の合成樹脂板などから構
成されており、底面全面に多数の突起７を立設し
た合成樹脂製の板材８が貼着されている。そして
ワイヤ押え板６と外筒１内壁との間に隙間からワ
イヤ３が引き出されている。尚突起７の長さや傾
きは突起自身の弾力性等の材質やワイヤ３の材質
によつて適宜決められる。

ワイヤ押え板は上記のような内径及び外径を有
する故、ワイヤ３が容器外に繰り出され、巻き取
り層高さが低くなつても、ワイヤ押え板６は内筒
２と外筒１との間隙を覆つた状態、言い換えれば
ワイヤ３の最上層に載置された状態で自由に降下
し、また、ワイヤ押え板６の底面に貼着された板
材８の突起７にひつかかることによつて最上層の
ワイヤ３がワイヤ押え板６と外筒１との隙間より
ワイヤが跳ね出すのを防ぐことができる。

また第６図、第７図は本考案の他の実施例を示
すもので、ワイヤ押え板６の底面の数箇所に直接
突起７を設けた他は、構成作用、効果とも前述の
実施例とほぼ同様であり、特にワイヤの弾性が弱
い場合に適する。そして第８図は本考案の更に他
の実施例を示し、突起７′が押え板６の底面全面
に直接立設されしかも突起７′が外筒方向に斜向
されており、ワイヤ３が外筒１と押え板６の外周
との隙間から繰り出されるように構成されてい
る。

本実施例は、特にワイヤ３に内筒２の外径と同
程度若しくはそれ以下の線輪径で巻き癖が付され
ている場合に適し、その場合ワイヤ３が突起７′
に引つかかり、押え板６の内周と内筒２の外壁と
の隙間からはね上るのを防止することができる。

本考案のワイヤの引き出し治具は以上のように
構成されており、押え板外周と外筒内壁及び押え
板内周と内筒外壁が密接していないので、ワイヤ
の繰り出しによるワイヤの巻き取り高さの減少に
応じてワイヤ押え板は内、外筒の壁面に引つかか
ることなく確実に降下して常時ワイヤを押えては
ね上りの発生を防止し、かつ、ワイヤ押え板の底
面には特殊な構造の多数の突起を設けたので容器
と押え板との隙間からワイヤが飛び出すことなく
ワイヤの繰り出し時における絡み現象を防止する
ことができ、ワイヤを極めて円滑に引き出し得る
ものである。

また、突起が斜向して立設された板材を貼着す
れば極めて簡単に製作することができる等の効果
を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は従来のペール巻きワイヤの収
納容器の要部断面説明図、第４図は本考案の実施
例を示すワイヤの引き出し治具を備えた収納容器
の要部断面説明図、第５図は第４図のＸ−X′線
における断面図、第６図〜第７図は本考案の他の
実施例の要部平面拡大説明図、第８図は本考案の
更に他の実施例を示す要部断面説明図である。 １……外筒、２……内筒、３……ワイヤ、４…
…押えリング、５……浮動リング、６……ワイヤ
押え板、７……突起、８……板材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 外筒と内筒の組合わせからなる溶接ワイヤの
   収納容器において、外筒と内筒の間に収容され
   たワイヤ層上に、内筒の外径よりも内径が大き
   く、前記外筒の内径よりも外径が小さく、か
   つ、その底面に多数の突起を立設した略円環状
   のワイヤ押え板を載置させたことを特徴とする
   ワイヤの引き出し治具。 ２ ワイヤ押え板の底面に突起を形成した合成樹
   脂製の平板を貼着した実用新案登録請求の範囲
   第１項記載のワイヤの引き出し治具。 ３ 突起がワイヤ押え板底面の全面に設けられた
   実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項のい
   ずれかに記載のワイヤの引き出し治具。 ４ 突起がワイヤ押え板底面の複数箇所に立設さ
   れた実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項
   のいずれかに記載のワイヤの引き出し治具。 ５ 突起が外筒方向又は内筒方向に斜向された実
   用新案登録請求の範囲第１項ないし第４項のい
   ずれかに記載のワイヤの引き出し治具。