JPS6338466B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は繊維製品の布地表面整理具に関するも
ので、さらに詳しくは各種繊維製品の使用中にお
いて布地表面に発生する毛羽、ピリングの除去か
ら、学生服、婦人服などの表面起毛処理向けとし
て適した布地表面整理具に関するものである。

従来、主として天然繊維である綿、羊毛等が使
用された時代に続き、各種化学繊維が登場し、さ
らにそれらの混紡織物が広く使用され、それぞれ
の繊維固有の特性を生かす用途の開発が進められ
ると共に、これらの欠点についても原綿まで遡及
した改良や、製造工程における予防策が種々検討
されてきている。

たとえば、ポリエステル繊維についてみても、
ピリングが発生し易く、織物の種類は比較的固め
のものに限定され、その利用範囲も著しく狭めら
れている。このため、その防止策として、さらに
原綿繊維のカツト長を大にするとか、糸のより数
を高くし、単糸より双糸使いとしたり、織物の密
度をあげ浮糸の少ない組織にするなどの方法がと
られている。また、アクリル系繊維においても、
羊毛、綿、レーヨンなどと混紡され、広い用途を
もつているが、比重が1.5と軽く、かさ高い性質
であるので番手を細く、密度も粗目に設計しない
と良い風合いが得られないのみならず、糸の毛羽
が落ちにくく、加工中においても各種トラブルの
原因となるため、より数を多目にするとか、毛羽
伏せを目的としてのに付けなどの方法がとられ、
また、その混紡織物は加工工程中での収縮率が他
の繊維に比し少ないから整経長、たて、よこ密度
などについても在来織物と異なつた配慮がなされ
ている。このように種々の配慮がなされているが
いずれにしても未だその基本的な対策は確立され
るに至つていない。

また、繊維織物等におけるピリングについてみ
れば、繊維素材が同じでも、その着用或いは使用
の場所によりその発生状態を異にしており、これ
の試験検査でも、JIS案として提案されている６
法は、どの時点で試験布のピルを評価するかは、
その布の使用目的により選ぶべきものとされてお
り、場合によつては発生から消滅までの全期間の
ピルをみて評価せねばならない場合もあり、使用
目的が大きく影響している。

このように、各種繊維の使用上の種々の問題点
が、なお現在解決されていない状況にかんがみれ
ば、製品化された後、これらが実際に使用される
段階でその表面整理等の手段がとられねばなら
ず、これらの問題点は、各種繊維の原綿状態から
の対策と共に、使用過程においても継続して配慮
が続けられることを要し、換言すれば布地表面の
整理作業は、原綿以降の工程での問題点の改良対
策と表裏一体をなす重要な役割を担つている。

このため、たとえば、ピリングの除去や、表面
起毛などに、ワイヤーブラツシ等を使用する方法
や、一部これらを機械工程で処理する方法などが
提案されているが、これらはいずれも繊維織物の
表面を損傷させる度合も高く、また、アクリル系
混紡商品の場合でも、余りにも過酷な条件を与え
布地自体を極度に傷める結果となつている。

本発明はこれら上記の欠点ならびに問題点を解
決すべく鋭意検討の結果到達したものである。

本発明者等は織物布地の表面に発生するピリン
グ、毛羽はじめとする異常物の除去方法について
は、その発生から、これの消滅の過程なども考察
した結果、繊維素材や、織物組織、使用目的によ
り異なるが、布地表面の整理具としては、布地に
対する損傷度合が少なく、かつこれらピリング等
のごとき異常物を難無く排除し得るのに有効かつ
適切な構造を有する引掛部材を有する手動器具が
有効であるとの結論に達した。

この場合、従来のワイヤーブラツシ等を使用し
た単なる引掛けによる効果では布地を損傷するば
かりか、適宜被整理対象商品に見合つた処理がで
きないこと、また、表面整理具の引掛部材の構成
についても刃体の構造ならびにその間隙が重要で
あり、かつ刃体を使用する場合も櫛で毛髪を梳く
ような櫛梳のしごき作用を行なえる布地表面整理
具が適当であるとの知見を得るに至つた。

すなわち、その上方部を適宜に傾斜して塊状繊
維などの喰込角部と根部を喰込角部と反対に傾斜
した上記塊状繊維などの押出角部を備え両部間を
直線または円弧のコーミング部をもつて構成した
単一刃片を適宜等間隔または不等間隔に連続形成
した湾曲状刃体を、片手で容易に把持できる握り
柄の先端部付近に取付けた構造よりなる手動器具
が、ピリングの除去はじめ、布地表面整理向けの
器具としてきわめて有効であるとの結果を得たも
ので、本発明は、使用中における繊維製品の商品
価値ならびに外観を阻害するピリングなどを除去
し得る布地表面整理具を提供するものである。

図面にもとづいて、本発明に係る布地表面整理
具の構成を説明すると、布地表面整理具本体１
は、第１図ならびに第３図に示す通り、間隙３を
有し、かつ、先端部付近に湾曲状部５を有する刃
体２と、該刃体２を取り付けるための握り柄４と
から成り、刃体２を、その取り替えが可能な状態
として、握り柄４の先端位置に配置させた概略構
成となつている。

刃体２は、第２図並びに第５図に示す通り、間
隙３……を有し、しかも、その裏側位置に湾曲状
部５を有する構成となつており、該刃体２の形成
に際しては、第２図並びに第５図に示す刃片２ａ
を並列状として多数並べ、それに保持板９を嵌合
させることによつて、刃片２ａの一体化を図ると
いう方法によつて行われる。すなわち、刃片２ａ
は、その手前側部の肉厚が薄く形成せられてお
り、これによつて、その手前側部に段落部７が形
成せられた構成となつており、また、その上方部
には、先端に向けた形の円弧部８が、その下方部
には、湾曲部５が形成せられた構成となつていお
り、しかも、刃片２ａの基部１０の上方部には、
保持板９を嵌合させ得る形のテーパー状の切り欠
き部１１が形成せられた構成となつている。従つ
て、刃片２ａの基部１０の側面部が接した状態と
して並べ合わせ、その切り欠き部１１に保持板９
を嵌合させることによつて一体としての刃体２が
形成せられるのであるが、この場合、刃体２の先
端部には、段落部７に相当するだけの間隙３が形
成せられた状態となつている。

上記の通り、刃体２は、その先端部に間隙３を
有する構成のものであるが、その間隙は適宜等間
隔または不等間隔に連続形成せしめることがで
き、また、その間隙３をいかなる広さに設定する
かは、繊維塊状物などの障害物を除去しようとす
る対象布地およびその発生状況により適宜変更す
ることができる。

本発明者等の検討した結果によれば、シーツ、
または学生服などのような布地では、その間隙を
0.1mm前後に設定することが望ましいし、また、
ラシヤ或いはフランネール地のような婦人服、セ
ーターなどではその間隙が0.2乃至0.3mm、さらに
毛布、カーペツトなどにおいては、その間隙が
0.4乃至0.5mm程度に設定するのが望ましいという
実験結果を得た。このように、本発明に係る表面
整理具は刃体の間隙３を略0.1mm乃至乃至0.5mm程
度の範囲に設定すれば、ピリングなどの除去をは
じめとして起毛処理など、布地表面整理をすべて
行なうことが可能である。

したがつて、クリーニング業者などでの業務向
けの場合でも、これらを被整理物の繊維素材、商
品の種類、ピリングなどの発生状況、または起
毛、損傷部の修復などの目的に対応できる何種類
かの刃体の刃先端の形状と間隔の異なる布地表面
整理具を備えれば、熟練度とも相俟つてクリーニ
ング仕上げ作業の効率をあげ得るのみならず、商
品の外観、機能面での速やかな修復は、顧客への
サービスとして十分そのニーズに応え得るもので
ある。

また、一方、家庭向けとしての場合ならば、そ
のうちの２乃至３種の間隙のの異なつたものをセ
ツトとして所有しておけば、洋服はじめ、簡単な
繊維織物表面の整理を行なうことができる。

なお、刃体２の先端部の形状については、第３
図に示すものは、その刃先端が先尖り状となるよ
うに形成した場合であり、主として、被服のよう
に厚手の布地に発生するピリングなどを除去する
のに適し、また、第５図に示すものは、その先端
部に丸み部６を形成した場合であり、主として、
シーツのような薄手の布地に発生するピリングな
どを除去するのに適している。

握り柄４は、第１図、第３図並びに第４図に示
す通り、全体としては三味線の撥になぞつた形に
形成せられており、しかも、そのコーナー部１２
に丸みをもたせ、また、該握り柄４をもつて手前
側に引くという操作を行うに際して、布地に対す
る刃体２の裏面角度が50度乃至60度程度となるよ
うに、その先端部が斜め下方方向を向いた形状と
なつている。また、握り柄４は、第４図に示す通
り、その先端部に、刃体２を挾み込んだ状態とし
て固定するための保持部１３が形成せられた構成
となつている。すなわち、握り柄４の先端部は、
刃体２の基部１０に対応させた形の凹部を有する
嵌め込み片１４を嵌合させた構成となつており、
しかも、その嵌め込み状態は、ボルト１５とナツ
ト１６の如き止め具等とによつて固定せられる構
成となつており、従つて、このボルト１５、ナツ
ト１６の如き止め具等ならびに嵌め込み片１４の
操作によつて、刃体２を自由に着脱交換し得る構
成となつている。

なお、その取り付けの際における握り柄４に対
する刃体２の取り付け位置であるが、刃体２の先
端部と握り柄４の両端部におけるコーナー部１２
の先端とが面一状態、或いは、刃体２の先端部が
それよりもやや突出した状態となるように設定せ
られている。

そして、本発明に係る表面整理具本体１の使用
方法としては、握り柄４のくびれ個所を手の掌部
分のうち親指の根元付近におさまるように握り、
長時間の作業の場合には握り柄の末端部は掌部よ
り少しはみ出した方が手の疲れが少ない。次に、
刃体２の刃裏（湾曲状部）が、被整理対象品の布
地に対して50度乃至60度程度になるようにして手
前側への引き寄せるという動作を行なうことによ
りその目的を達成することができる。

本発明に係る布地表面処理具本体１は、上記の
ような構成であつて、繊維製品において、なお現
在ピリング防止等の根本的な対策が見られないこ
とから、どうしても商品となつて使用する段階
で、これを効率的に、かつ布地自体の損傷を伴う
ことなく、これを除去せざるを得ないことなどを
併せ考えれば、本発明に係る表面整理具は十分に
その効果を奏するものである。

すなわち、繊維製品、特に、アクリル繊維やポ
リエステル繊維製品にあつては、その加工中や使
用中にピリングが発生し易く、これによつて繊維
製品の外観ならびに機能を著しく低下させるし、
また、縮絨毛製品の起毛整理、フエルト解舒或い
は婦人服や、学生服、ユニフオームはじめ、皮革
製品などを含め布地表面の整理作業は、クリーニ
ング専門仕上業者において取組まねばならぬ最優
先の課題となつてきている。さらに、洋服などに
に固着したチユーインガムや、絨毯、カーペツト
の煙草焼け後始末をはじめ、趣味の個性化、生活
様式の近代化の潮流に伍して、各種布地等の表面
整理の領域は多様化している。

本発明に係る布地表面整理具は、その下方位置
に湾曲状部を有する刃体を配置させた構成となつ
ており、湾曲部上方は適宜傾斜して喰込角部と根
部を喰込角部と反対に傾斜した押出角部を備え両
部間を円弧状のコーミング部をもつて構成した刃
片を適宜等間隔または不等間隔に連続形成した湾
曲状部によつて、櫛で毛髪を梳く如く櫛梳のしご
き作用を行ない、ピリングなどをすくい上げるよ
うな状態で確実に食い込ませ、これを効率よく除
去することができるものである。さらに、上記刃
体の先端部に丸味を形成させれば、シーツなどの
ピリング除去に効果的であり、布地表面の損傷を
回避し得るのであつて、これらを適宜使用するこ
とによつて、繊維製品における外観ならびに機能
の維持を図り得るものである。

また、握り柄に対する刃体を自在に着脱交換で
きるように構成せられている結果、間隙を異にす
る種々の刃体を任意に選択し得るし、また、刃体
に損傷を生じたような場合、適宜にその取り替え
ができるなどその効用は顕著である。

【図面の簡単な説明】

添付図面は、本発明の一実施例を示すものであ
つて、第１図は布地表面整理具本体の全体を示す
斜視図、第２図は刃体の構成を示す一部切欠き斜
視図、第３図は布地表面整理具本体の全体を示す
平面図、第４図は第３図におけるＡ−Ａ線部拡大
側面図、第５図は刃体の別実施例を示す一部切欠
き斜視図である。 １……布地表面整理具、２……刃体、３……間
隙、４……握り柄。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 間隙３を有し、かつ、先端部付近に湾曲状部
   ５を有する刃体２と、該刃体２を取り付けるため
   の握り柄４とから成り、刃体２を止め具等により
   着脱交換可能な状態として握り柄４の先端部に配
   置させたことを特徴とする布地表面整理具。 ２ 刃体２の刃先端が、先尖り形状のものである
   特許請求の範囲第１項記載の布地表面整理具。 ３ 刃体２の刃先端が、丸み部６を有するもので
   である特許請求の範囲第１項記載の布地表面整理
   具。