JPS6337968Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は揮発性液剤分与器に関する。

近時、室内大気中に芳香を発散させる芳香剤製
品の分野で極めて多様の発展をみ、いわゆるエヤ
ー・フレツシユナー（airfreshener）、またはル
ーム・フラグランス（room・fragrance）等の呼
び名で各種製品が種々の分与器（dispenser）に
充填されて提供されている。

これらの芳香剤分与器のうち、ウイツク（灯
芯）式のものは、容器中の芳香剤の液面が低くな
ると、芳香剤の吸上げ性が低下して芳香の放散が
悪くなるので、残量があつても芳香剤を補給して
その液面を高くする必要があり、手間がかかつて
面倒である。

これに対し、賦圧充填
（pressurizedpackaging、いわゆるエアゾール）
式のものは、アクチユエータを押し下げるだけで
芳香剤が噴霧されて便利であるが、その噴射剤の
フロンの大気汚染が問題になつており、また容器
の缶も廃棄物公害の問題を生じている。

これらに対して、手動式噴霧装置、特に蓄圧式
噴霧器によるものは、アクチユエータを押し下げ
る都度芳香剤が噴霧され、また上記のような公害
問題もなく重宝されている。

しかし、大気中に噴霧された芳香剤の芳香は、
それ程長くは保たれないので、手動噴霧装置に多
孔性材料を付設し、噴霧器を時々作動して芳香剤
を多孔性材料に供給し、しみ込ませて長時間にわ
たつて芳香を楽しむようにしたものがある。

この装置においては通常の手動噴霧器を使用し
ており、その噴口から噴霧された芳香剤の一部が
多孔性材料にしみ込むようになつているので、一
回の噴霧による多孔性材料の貯留量はそれ程多く
ないという欠点がある。

この欠点を解消するために、手動ポンプ装置に
よつて吐出した芳香剤を、直接多孔性材料に供給
し、しみ込ませ、多孔性材料の芳香剤貯留量を増
して、長時間にわたつて芳香を楽しむことを可能
にした芳香分与器が提供されている。

しかし、上記のものの多くは、キヤツプを外し
てアクチユエータを作動させ、かつ多孔性材料を
容器部に収納保持させるように構成されており、
構造が複雑で、かつキヤツプの脱着が面倒である
上に、外形デザインが構造上制約を受けるといつ
た問題がある。

本考案者はこの点に着目して、アクチユエータ
自体のなかに多孔性材料を収納し、そのアクチユ
エータと容器とを一つのまとまつた形状としてデ
ザインした構造簡単な揮発性液剤分与器を開発し
た。

本考案の装置は第一義的に芳香剤の分与
（dispense）を目的とするものであるが、揮発性
液剤の蒸気の空間投与にはすべて利用できること
は自明である。

本考案によれば揮発性液剤を入れた容器と；そ
の頚部開口に装着され、吐出口が上方を向いてい
る手動ポンプ装置と；帽子状体で頂部と鍔部を有
するアクチユエータキヤツプであつて、その頂部
中央部で前記手動ポンプ装置のステム上端に嵌着
支持され、かつ頂部頂面に溝状の液剤通路が放射
状に形成され、また前記鍔部に複数個の発散孔が
穿設されているものと；前記アクチユエータキヤ
ツプを覆う蓋体であつて、前記アクチユエータの
頂部に載置され、その内壁頂面が上記液剤通路に
接してこれを覆い、かつその下縁が前記アクチユ
エータキヤツプの鍔部周縁に嵌着され、またその
下縁と前記容器の上部周縁との間に予め定めたス
トロークの上下運動の余裕を有するものと、；該
蓋体と前記アクチユエータキヤツプとの間の空間
に満たされた多孔性材料であつて緻密度の小さい
オープンポアの合成樹脂発泡体と、アクチユエー
タキヤツプの鍔部に接する緻密度の大きいオープ
ンポアの合成樹脂発泡体の板状基部とからなるも
のとを備え；前記アクチユエータキヤツプ、蓋体
および多孔性材料よりなるアクチユエータを押し
下げると、前記手動ポンプが作動し揮発性液剤が
吐出され、その液剤が前記アクチユエータキヤツ
プの中央孔と前記液剤通路を介して前記多孔性材
料に流入して貯留され、その液剤の蒸気が前記ア
クチユエータキヤツプの発散孔を介してアクチユ
エータキヤツプと前記容器との間の間隙より大気
中に発散されるように構成されていることを特徴
とする揮発性液剤分与器が提供される。

以下図面を参照して本考案を芳香剤への応用を
例としてその好適実施態様について具体的に説明
する。

第１図に示すように、芳香剤を入れた容器１０
は、背の低い円筒状の容器であつて、上部外周に
は段部１１が形成されており、また上部中央には
上方に開口する筒状の頚部１２が形成されてい
る。

その頚部１２には手動ポンプ装置２０が装着さ
れており、該手動ポンプ装置２０は、そのフラン
ジ２１によりギヤスケツト２２を介して容器１０
の頚部１２に螺合する固定キヤツプ１３により容
器１０に固定されている。

前記手動ポンプ装置２０は、既知のものであつ
て、例えば実願昭52−165312号に開示されたよう
な蓄圧式のものが望ましいが、これに限られるも
のではない。

この手動ポンプ装置２０の上部には、ドーム状
のアクチユエータ３０が装着されており、該アク
チユエータ３０は、前記手動ポンプ装置２０に支
持されるアクチユエータキヤツプ４０と、該アク
チユエータキヤツプ４０を覆う蓋体５０と、該蓋
体５０とアクチユエータキヤツプ４０との間の空
間に満たされた多孔性材料６０とよりなつてい
る。

アクチユエータキヤツプ４０は、（カンカン）
帽子状体であつて、筒状の頂部４１と円板状の鍔
部４２よりなつている。その頂部４１の内壁上面
から下方にボス４３が突設されており、該ボス４
３に穿設された中央孔４４の下部は手動ポンプ装
置２０のステム２３上端に嵌着され、また頂部４
１の内壁は固定キヤツプ１３の外壁に遊嵌されて
いる一方、頂部４１の頂面には第２図に示すよう
に、中央の凹部４５から放射状溝４６が形成され
ており、該凹部４５および放射状溝４６によつて
アクチユエータキヤツプ４０の中央孔４４を介し
て、手動ポンプ装置２０のステム２３の図示され
ない吐出孔を蓋体５０とアクチユエータキヤツプ
４０との間の空間に連通させる液剤通路４７が形
成され、また鍔部４２には、複数個の発散孔４８
が穿設されている。

蓋体５０は容器１０の外形に連続するように形
成されたドーム状体であつて、その内壁頂面５１
によりアクチユエータキヤツプ４０の頂部４１に
載置され、かつ内壁下部に形成された複数個の突
起５２によりアクチユエータキヤツプ４０の鍔部
４２の周縁に嵌着支持され、また下縁と容器１０
の段部１１との間には、蓋体５０が手動ポンプ装
置２０ステム２３の作動ストロークに等しく上下
運動ができる余裕と環状の間隙５３が形成されて
いる。

蓋体５０とアクチユエータキヤツプ４０との間
の環状の空間には、その空間を満たすように環状
の多孔性材料６０が改装されている。

該多孔性材料６０は、アクチユエータキヤツプ
４０の鍔部４２に接する部分である板状基部６１
と、それ以外の部分である貯留部６２からなつて
いる。

前記、貯留部６２は緻密度が小さい貯液量の大
きいオープンポア（この明細書において「オープ
ンポア」とは多孔性体を液体が通過できることを
意味する）例えばウレタン系合成樹脂発泡体で造
られ、一方板状基部６１は緻密度の大きいオープ
ンボアの合成樹脂発泡体で造られた液の流下を防
止することのできるものが用いられる。いずれに
しても、貯留部６２は芳香剤を貯留するに適し、
板状基部６１は芳香剤の流出を防ぎ芳香のみを通
過させる材料であればよい。

アクチユエータ３０の蓋体５０は低い円筒形の
容器１０の外形に連続するようなドーム状体に形
成されているが、これに限られるものではなく、
円柱形、箱形あるいは「オムスビ」形等であつて
もよい。

この芳香剤分与器の作動は、アクチユエータ３
０の下方に押し下げると、ステム２３が押し下げ
られて手動ポンプ装置２０が作動し、容器１０内
の芳香剤が吐出され、アクチユエータキヤツプ４
０の中央孔４４および液剤通路４７を経て多孔性
材料６０の貯留部６２に流入して貯留され、貯留
された芳香剤の芳香は、板状基部６１を経てアク
チユエータキヤツプ４０鍔部４２の発散孔４８を
介して、蓋体５０と容器１０の段部１１との間の
環状の間隙５３から大気中に長時間にわたつて発
散される。

この芳香剤分与器の手動ポンプ装置２０がいわ
ゆる蓄圧式であれば吐出後にもポンプ装置内に芳
香剤が残留し、その次にはアクチユエータ３０の
押し下げによつて直ぐに芳香剤が吐出される。

以上述べたことから明らかなように、本考案は
簡単な構造で手動ポンプ装置のアクチユエータ自
体の中に揮発性液剤を貯留する多孔性材料を収納
し、そのアクチユエータと容器とを一つのまとま
つた形状としてデザインするようにしたので、長
時間にわたつて芳香を楽しむことができ、かつデ
ザインの優れた揮発性液剤分与器を商品として成
功させた。

本考案はその好適実施態様について具体的に説
明したが、本考案の技術範囲内で種々の変法が可
能である。例えば蓋体４０の外面にさらに発散孔
を設けることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の好適実施態様を示す縦横面
図、第２図はこの実施態様のアクチユエータキヤ
ツプを示す上面図である。 １０……容器、１１……段部、１２……頚部、
２０……手動ポンプ装置、２３……ステム、３０
……アクチユエータ、４０……アクチユエータキ
ヤツプ、４１……頂部、４２……鍔部、４４……
中央孔、４５……凹部、４６……放射状溝、４７
……液剤通路、４８……発散孔、５０……蓋体、
５１……内壁頂面、５２……突起、５３……環状
の間隙、６０……多孔性材料、６１……板状基
部、６２……貯留部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 揮発性液剤を入れた容器と；その頚部開口に
   装着され、吐出口が上方を向いている手動ポン
   プ装置と；帽子状体で頂部と鍔部を有するアク
   チユエータキヤツプであつて、その頂部中央部
   で前記手動ポンプ装置のステム上端に嵌着支持
   され、かつ頂部頂面に溝状の液剤通路が放射状
   に形成され、また前記鍔部に複数個の発散孔が
   穿設されているものと；前記アクチユエータキ
   ヤツプを覆う蓋体であつて、前記アクチユエー
   タキヤツプの頂部に載置され、その内壁頂面が
   上記液剤通路に接してこれを覆い、かつその下
   縁が前記アクチユエータキヤツプの鍔部周縁に
   嵌着され、またその下縁と前記容器の上部周縁
   との間に予め定めたストロークの上下運動の余
   裕を有するものと、；該蓋体と前記アクチユエ
   ータキヤツプとの間の空間に満たされた多孔性
   材料であつて緻密度の小さいオープンポアの合
   成樹脂発泡体と、アクチユエータキヤツプの鍔
   部に接する緻密度の大きいオープンポアの合成
   樹脂発泡体の板状基部とからなるものとを備
   え；前記アクチユエータキヤツプ、蓋体および
   多孔性材料よりなるアクチユエータを押し下げ
   ると、前記手動ポンプが作動し揮発性液剤が吐
   出され、その液剤が前記アクチユエータキヤツ
   プの中央孔と前記液剤通路を介して前記多孔性
   材料に流入して貯留され、その液剤の蒸気が前
   記アクチユエータキヤツプの発散孔を介してア
   クチユエータキヤツプと前記容器との間の間隙
   より大気中に発散されるように構成されている
   ことを特徴とする揮発性液剤分与器。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項記載の揮発性
   液剤分与器であつて、手動ポンプ装置が蓄圧式
   ポンプ装置であることを特徴とするもの。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項記載または第
   ２項記載の揮発性液剤分与器であつて、容器が
   低い円筒状の容器であり、かつアクチユエータ
   の蓋体が前記容器の外形に連続するようなドー
   ム状体に形成されていることを特徴とするも
   の。