JPS607722Y2 - 揮発性液剤分与器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は揮発性液材分与器に関する。

近時、室内大気中に芳香を発散させる芳香剤製品の分野
で極めて多様の発展をみ、いわゆるエヤー・フレッシュ
ナー（ａｉｒ ｆｒｅｓｈｅｎｅｒ）、またはルーム・
フラグランス（ｒｏｏｍ ｆｒａｇｒａｎｃｅ ）等の
呼び名で各種製品が種々の分与器（ｄｉｓｐｅｎｓｅｒ
）に充填されて提供されている。

これらの芳香剤分与器のうち、ウィック（灯芯）式のも
のは、容器中の芳香剤の液面が低くなると、芳香剤の吸
上げ性が低下して芳香の放散が悪くなるので、残量があ
っても芳香剤を補給してその液面を高くする必要があり
、面倒である。

また全液面が開放されているから、芳香剤混合物のうち
揮発性成分から先に蒸発するので、終りになる程香性が
低下するという欠点を免れない。

これに対し、賦圧充填（ｐｒｅｓｓｕｒｉｚｅｄｐａｃ
ｋａｇｉｎｇｌいわゆるエアゾール）式のものは、アク
チュエータ体を押し下げるだけで芳香剤が噴霧されて便
利であるが、その噴射剤のフロンの環境汚染が問題にな
ってきており、また容器の缶や弁を使い捨てにすること
は資源の浪費であり、また廃棄物公害の問題を生じてい
る。

これらに対して、手動式噴霧装置、特に蓄圧式噴霧器に
よるものは、アクチュエータ体を押し下げる都度芳香剤
が噴霧され、また上記のような資源・公害の問題から関
心が増大している。

しかし、大気中に噴霧された芳香剤の芳香は、それ稈長
くは保たれないので、手動式噴霧装置に多孔性体を付設
し、噴霧器を時々作動して芳香剤を多孔性体に供給し、
しみ込ませて長時間にわたって芳香を楽しむようにした
ものがある。

この装置においては通常の手動噴霧器を使用しており、
その噴口から噴霧された芳香剤の一部が多孔性体にしみ
こむようになっているので、−回の噴霧による多孔性体
の貯留量はそれ程多くないという欠侭がある。

この欠点を解消するために、手動ポンプ装置によって吐
出した芳香剤を、直接多孔性体に供給し、しみ込ませ、
多孔性体の芳香剤貯留量を増して、長時間にわたって芳
香を楽しむことを可能にした芳香分与器が提供されてい
た。

しかし、上記のものの多くは、キャップを外してアクチ
ュエータ体を作動させ、かつ多孔性体を容器部に収納保
持させるように構成されており、構造が複雑で、かつキ
ャップの脱着が面倒である上に、外形デザインが構造上
制約を受けるといった問題がある。

本考案者はこの点に着目して、アクチュエータ自体のな
かに多孔性体を収納し、そのアクチュエータ体を覆うケ
ースと容器とを一つのまとまった形状としてデザインす
るとともに、揮発性液剤の蒸気の発散量を調節自在にし
た揮発性液剤分与器を開発した。

本考案の装置は第−義的に芳香剤の分与（ｄｉｓ−ｐｅ
ｎｓｅ）を目的とするものであるが、揮発性液剤の蒸気
の空間投与にはすべて利用できることは自明である。

本考案によれば、揮発性液剤を入れた円筒形容器と；該
容器の頚部開口に装着され、吐出口が上方を向いている
手動ポンプ装置と；前記容器の上部周縁に嵌着される円
筒形ケースであって、上部が開口し、かつ周壁に縦方向
の発散スリットが設けられたものと；該ケース内に上下
動自在に収められるアクチュエータ体であって、天井を
有する筒状の頚部と該頚部の下縁からひろがる鍔部と鍔
部の周縁に立設された周壁と、該周壁に嵌着された蓋部
であって前記筒状頚部の外側との間に液剤通路を形成す
るものからなり、該頚部の天井中央部に設けられたボス
孔によって前記手動ポンプ装置のステムに嵌着支持され
、該ボス孔から鍔部上面に至る液剤通路が形成される一
方、前記蓋部が前記円筒形ケースの上部開口に遊嵌され
、かつ前記ケース周壁の発散スリットに対向して蓋部周
壁に発散スリットが設けられ、前記鍔部に載置された環
状の多孔性体からなるもの；とを備え；前記アクチュエ
ータ体とケースとは相対的に回動が自在で、両者の発散
スリットの対応開口が開閉および開口面積変更可能であ
ることを特徴とする揮発性液材分与器が提供される。

以下図面を参照して本考案を芳香剤への応用を例として
その好適実施態様について具体的に説明する。

第１図および第２図に示すように、芳香剤を入れた容器
１０は、円筒体であって、上部外周には段部１１が形成
され、また上部中央には上方に開口する筒状の頚部１２
が形成されている。

その頚部１２には手動ポンプ装置２０が装着されており
、該手動ポンプ装置２０は、そのフランジ２１によりギ
ヤスケット２２を介して容器１゜の頚部１２に螺合する
固定キャップ１３により容器１０に固定されている。

前記手動ポンプ装置２０は、既知のものであって、例え
ば実願昭５２−１６５３１Ｓに開示されたような蓄圧式
のものが望ましいが、これに限られるものではない。

前記容器１０の上部には容器１０と連続する円筒形のケ
ース３０が設けられている。

該ケース３０はその周壁下縁で容器１０の段部１１に嵌
着支持され、上部には円形の上部開口３１が設けられ、
内部には後に説明するアクチュエータ体４０を収容する
ための円筒体空間のアクチュエータ腔３２が形成される
一方、周壁には複数個の縦方向の発散スリット３３が設
けられている。

前記アクチュエータ腔３２には、円筒体のアクチュエー
タ体４０が収められており、該アクチュエータ体４０は
、前記手動ポンプ装置２０に支持されるアクチュエータ
キャップ５０と、該アクチュエータキャップ５０を覆う
蓋体６０と、アクチュエータキャップ５０に載置された
多孔性体７０とよすなっている。

アクチュエータキャップ５０は、筒状の頚部５１と、円
形盆状で周壁３２Ａが立設された鍔部５２よりなってい
る。

その頚部５１の天井の下面中央部から下方にボス５３が
突設され、該ボス５３に穿設された中央孔５４の下部は
、手動ポンプ装置２０のステム２３上端に嵌着支持され
、頚部５１の内壁は固定キャップ１３の外壁に遊嵌され
る一方、鍔部５２の下面と容器１０の上面との間には、
アクチュエータキャップ５０が手動ポンプ装置２０のス
テム２３の作動ストロークに等しく上下運動できる余裕
が設けられている。

また、頚部５１には第２図に示すように、頂面中央の凹
部５５から頚部５１の周壁下部にわたって放射状溝５６
が形威され、該凹部５５および放射状溝５６により、中
央孔５４を介し手動ポンプ装置２０のステム２３の図示
されない吐出口から多孔性体７０への液剤通路５７が形
威される。

蓋体６０は、筒状の頚部６１と円形逆盆状体で周壁６２
Ａが下方に突設された鍔部６２よりなっている。

その頚部６１の下面に設けられた中央凹部６３の内壁に
よりアクチュエータキャップ５０の頚部５１の頂部に載
置されて嵌着支持される。

一方、頚部６１の外壁はケース３０の上部開口３１に遊
嵌され、また鍔部６２の周壁６２Ａはアクチュエータキ
ャップ５０の周壁５２Ａに嵌着され、両者の周壁６２Ａ
および５２Ａにより、アクチュエータ体４０の周壁４１
が形威されている。

しかし、これに限られるものではなく、蓋体６０の鍔部
６２を省き、周壁４１を周壁５２Ａのみで形成してもよ
い。

この周壁４１には、ケース３０の発散スリット３３に対
向して発散スリット４２が設けられている。

多孔性体７０は、アクチュエータキャップ５０の頚部５
１と鍔部５２により形威された凹部を満たすように載置
された環状体であって、緻密度の小さいオープンポア（
ここでオープンポアとは多孔性体を流体が貫通できるこ
とを意味する）の例えばウレタン系合成樹脂発泡体で造
られるが、これに限られるものではなく、液剤を貯留す
るに適した材料であればよい。

以上説明たようにアクチュエータ体４０は、アクチュエ
ータキャップ５０と蓋体６０が一体となって、アクチュ
エータ体４０Ａを形威し、その内部に多孔性体７０を収
納しており、このアクチュエータ体４０とケース３０と
は相対的に回動が自在で、両者の発散スリット４２およ
び３３の対応開口面積が可変に構成されている。

すなわち、アクチュエータ体４０はアクチュエータキャ
ップ５０の中央孔５４により手動ポンプ装置２０のステ
ム２３に嵌着して回動自在に支持され、蓋体６０の頚部
６１外壁に突設されたストッパ４３がケース３０の上部
開口３１に凹設されたストッパガイド３４内で移動し得
る範囲内で、ケース３０に対して回動可能である。

しかし、これに限られるものではなく、アクチュエータ
キャップ５０の中央孔５４により手動ポンプ装置２０の
ステム２３に嵌着固定し、ステム２３とともに回動させ
てもよく、あるいはケース３０の周壁下縁を容器１０の
段部に嵌着して回動自在に支持させ、ケース３０をアク
チュエータ体４０に対して回動し得るようにしてもよい
。

また、ストッパ４３とストツパガトド３４を省いてもよ
い。

この芳香分与器の作動は、アクチュエータ体４０を下方
に押し下げると、ステム２３が押し下げられて手動ポン
プ装置２０が作動し、容器１０内の芳香剤が吐出され、
アクチュエータキャップ５０の中央孔５４と液剤通路５
７を経て多孔性体７０に流入して貯留され、貯留された
芳香剤の芳香はアクチュエータ体４０およびケース３０
のそれぞれの発散スリット４２および３３から大気中に
長時間にわたって発散される。

また、アクチュエータ体４０を回動すると、アクチュエ
ータ体４０およびケース３０の発散スリット４２および
３３がオーバラップして対応開口面積が広狭に変化しま
たは開閉するので、芳香の発散を濃淡自在に調節するこ
とができる。

この芳香分与器の手動ポンプ装置２０がいわゆる蓄圧式
であれば、吐出後にもポンプ装置内に芳香剤が残留し、
その次にはアクチュエータ体４０の押し下げによって直
ぐに芳香剤が吐出される。

以上述べたことから明らかなように、本考案は簡単な手
動ポンプ装置のアクチュエータ自体の中に揮発性液剤を
貯留する多孔性体を収納し、そのアクチュエータ体を覆
うケースと容器とを一〇のまとまった形状としてデザイ
ンするとともに、ケースとアクチュエータ体の発散スリ
ットの対応開口面積を可変にして揮発性液剤の蒸気の発
散量を調節できるようにしたもので、より揮発性の成分
が先に蒸発し、また液面が下がると蒸発が悪くなるとい
うウィック式の分与器の欠点を克服し、長時間にわたっ
て好ましい度合の芳香を楽しむことができ、かつデザイ
ンの優れた揮発性液剤分与器を商品として威勢させた。

本考案はその好適実施態様について具体的に説明したが
、本考案の技術範囲内で種々の変法が可能である。

例えばアクチュエータキャップ５０の液剤通路は蓋体６
０のアクチュエータキャップ５０の頚部５１との接面に
設けてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の好適実施態様を示す縦断面図、第２図
は第１図の一部断面図を含む上面図である。 １０・・・・・・容器、１１・・曲段部、１２・・曲容
器の頚部、２０・・・・・・手動ポンプ装置、２３・曲
・ステム、３０・・・・・・ケース、３１・・・・・・
上部開口、３３・・・・・・ケースの発散スリット、４
０・・・・・・アクチュエータ体、４２・・・・・・ア
クチュエータ体の発散スリット、４３・・・・・・スト
ッパ、５０・・・・・・アクチュエータキャップ、５１
・曲・アクチュエータキャップの頚部、５２・・曲アク
チュエータキャップの鍔部、５２Ａ・・・・・・鍔部の
周壁、５４・・・・・・中央孔、５６・・曲放射状溝、
６０・・・・・・蓋体、６１・・曲蓋体の頚部、６２・
・・・・・蓋体の鍔部、６２Ａ・・・・・・鍔部の周壁
、７０・・・・・・多孔性体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 揮発性液剤を入れた円筒形容器と；該容器の頚部開
   口に装着され、吐出口が上方を向いている手動ポンプ装
   置と；前記容器の上部周縁に嵌着される円筒形ケースで
   あって、上部が開口し、かつ周壁に縦方向の発散スリッ
   トが設けられたものと；該ケース内に上下動自在に収め
   られるアクチュエータ体であって、天井を有する筒状の
   頚部と該頚部の下縁からひろがる鍔部と鍔部の周縁に立
   設された周壁と、該周壁に嵌着された蓋部であって前記
   筒状頚部の外側との間に液剤通路を形成するものからな
   り、該頚部の天井中央部に設けられたボス孔によって前
   記手動ポンプ装置のステムに嵌着支持され、該ボス孔か
   ら鍔部上面に至る液剤通路が形成される一方、前記蓋部
   が前記円筒形ケースの上部開口に遊嵌され、かつ前記ケ
   ース周壁の発散スリットに対向して蓋部周壁に発散スリ
   ットが設けられ、前記鍔部に載置された環状の多孔性体
   からなるもの；とを備え；前記アクチュエータ体とケー
   スとは相対的に回動が自在で、両者の発散スリットの対
   応開口が開閉および開口面積変更可能であることを特徴
   とする揮発性液材分与器。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項記載の揮発性液材分
   与器であって、手動ポンプ装置が蓄圧式ポンプ装置であ
   ることを特徴とするもの。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項記載の揮発性液材分
   与器であって、アクチュエータ体の蓋部が筒状の頚部を
   有し、該頚部が前記ケースの上部開口に収められ、頚部
   の下面中央凹部によって前記アクチュエータキャップの
   頚部の頂部に載置されて嵌着支持されていることを特徴
   とするもの。