JPS6337475Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、エンジンの排気系に配設され、排
気ガスの浄化を行なうモノリスタイプの触媒コン
バータの改良に関するものである。

（従来技術） 上記触媒コンバータは、モノリス触媒とコンバ
ータケースとの間に、セラミツク繊維と、ひる
石、マイカ等の熱膨張物質とを混合してなる熱膨
張材を介在させ、この熱膨張材によつてモノリス
触媒をコンバータケース内に安定して保持させ、
排気ガスの熱で加熱されてもコンバータケースと
モノリス触媒との間に隙間が形成されることがな
いようにし、排気ガスの吹き抜けを防止すること
が一般に行なわれている。また従来、実開昭56−
149015号公報に示されるように、上記熱膨張材の
全周囲を圧縮状態に被覆するひだ付の金属製シー
ル材を設けて熱膨張材の熱劣化を防止し、エンジ
ン振動や排気ガスの圧力変動等の影響を受けても
熱膨張材が飛散しないように構成することによ
り、モノリス触媒の保持力が低下するのを防止す
るようにした触媒コンバータが知られている。

ところで、上記熱膨張材を金属製シール材で被
覆した場合、排気ガスの吹き抜けを防止するため
には、熱膨張材の膨張作用が上記シール材によつ
て妨げられないように構成する必要がある。上記
従来装置では金属製シール材の全長に亘つてひだ
を設けることにより熱膨張材の膨張を許容するよ
うに構成していたが、より簡単な構成で熱膨張材
の膨張作用を妨げることなく排気ガスの吹き抜け
を防止できる触媒コンバータの開発が望まれてい
た。

（考案の目的） この考案は、上記の点に鑑みてなされたもので
あり、熱膨張材が熱劣化することによるモノリス
触媒の保持力の低下を防止することができ、しか
も簡単な構成で排気ガスの吹き抜けを確実に防止
することができる触媒コンバータを提供するもの
である。

（考案の構成） すなわち、この考案は、モノリス触媒の外周と
コンバータケースとの間に、セラミツク繊維と熱
膨張物質とを混合してなる熱膨張材を介在させる
ことにより、モノリス触媒をコンバータケースに
保持させるようにした触媒コンバータにおいて、
上記熱膨張材の排気ガスの上流側部分および下流
側部分が、側壁とその両端部に連続する外周壁お
よび内周壁とを有する断面コ字状の一対のシール
材によつてそれぞれ被覆され、かつ両シール材が
所定距離を隔てて配置されることによつて互いの
外周壁の先端面間および内周壁の先端面間に所定
の空間がそれぞれ形成される構造としたものであ
る。これにより熱膨張材の膨張を許容しつつその
熱劣化を防止し、かつラビリンス効果によつて排
気ガスの吹き抜けを効果的に防止するようにして
いる。

（実施例） 第１図は、触媒コンバータの全体構造を示す断
面図である。この触媒コンバータは、アウターシ
エル１とインナーシエル２とこれらの間に充填さ
れた断熱材３とからなるコンバータケース４を具
備している。上記コンバータケース４の両端開口
部には図外の排気管に接続されるフランジ５，５
が取付けられている。また上記コンバータケース
４の内部には二個のモノリス触媒６，７が直列に
配設されている。図で左側に位置するモノリス触
媒６は、コンバータケース４の端部内方に設けら
れた内部枠８のフランジ部８ａと、コンバータケ
ース４の中間部のスペーサ９に支持されたリング
状の緩衝部材１０との間に保持され、また右側に
位置するモノリス触媒７は、上記スペーサ９と、
コンバータケース４の段部に支持されたリング状
の緩衝部材１１との間に保持されることにより、
両触媒６，７がそれぞれ軸方向に位置決めされて
いる。

上記モノリス触媒６，７は断面形状が楕円形に
形成され、その外周とコンバータケース４の内周
との間にはセラミツク繊維とひる石等の熱膨張物
質とを混合してなる熱膨張材１２，１３が介装さ
れている。第１図に示す実施例では、材料費を節
約するために各モノリス触媒６，７の後端部（図
の右側端部）に対応する所定範囲にのみ上記熱膨
張材１２，１３を介装し、他の部分ではスチール
ウール等の弾性材料１４，１４によつてモノリス
触媒６，７とコンバータケース４との空間を埋め
ている。

上記熱膨張材１２，１３の左右両側部分つまり
排気ガスの上流側部分および下流側部分には、第
２図に示すように、側壁１６とその両端部に連続
する外周壁１７および内周壁１８とを有する断面
コ字状の一対のシール材１５，１５が互いの開口
部が対向した状態で配置され、このシール材１
５，１５によつて熱膨張材１２，１３の左右両側
部分が被覆されている。この熱膨張材１２，１３
およびシール材１５はモノリス触媒６，７の全周
に亘つて配置されている。また、両シール材１
５，１５は所定距離を隔てて配置され、互いの外
周壁１７，１７の先端面間および内周壁１８，１
８の先端面間には所定の空間１９，２０が形成さ
れている。

以上のような構成において、図外の排気管から
コンバータケース４内に排気ガスが流入してコン
バータ全体が高温に加熱されると上記熱膨張材１
２，１３が膨張し、これによつてシール材１５の
外周壁１７および内周壁１８が押圧されてその先
端部が拡開する。この結果、上記外周壁１７の先
端部がコンバータケース４の内周面に圧接される
とともに、内周壁１８の先端部がモノリス触媒
６，７の外周面に圧接されるため、このシール材
１５および熱膨張材１２，１３を介してモノリス
触媒６，７がコンバータケース４に安定して保持
されることになる。

また、上記押圧力によつて外周壁１７の先端部
とコンバータケース４との間および内周壁１８の
先端部とモノリス触媒６，７との間に形成される
隙間が極めて小さくなり、かつ上記外周壁１７，
１７の先端面間および内周壁１８，１８の先端面
間には空間１９，２０が形成されているため、ラ
ビリンス効果によつて排気ガスの吹き抜けを効果
的に防止することができる。すなわち、排気ガス
が熱膨張材１２，１３の上流側から上記隙間に至
るまでの絞り作用と、空間１９，２０において排
気ガスが膨張する際のうず損失とによつて排気ガ
スの圧力が低下するため、この空間１９，２０か
ら下流側に漏れる排気ガスの量が大幅に減少し、
排気ガスの吹き抜けを防止できることになる。

また、上記熱膨張材１２，１３の左右両側部分
がシール材１５，１５により被覆されて保護され
ているために熱膨張材が熱劣化して飛散するのを
防止することができる。さらに、このシール材１
５は断面コ字状の簡単な構造であるため、容易か
つ安価に製作することができ、しかも熱膨張材１
２，１３に対して簡単に取付けることができる。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案は、簡単な構造
で熱膨張材の膨張作用を妨げることなくその熱劣
化を防止することができ、モノリス触媒を長期間
安定して保持することができるとともに、排気ガ
スの吹き抜けを効果的に防止することができると
いう利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す断面図、第２
図は第１図の要部拡大断面図である。 ４……コンバータケース、６，７……モノリス
触媒、１２，１３……熱膨張材、１５……シール
材、１６……側壁、１７……外周壁、１８……内
周壁、１９，２０……空間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. モノリス触媒の外周とコンバータケースとの間
   に、セラミツク繊維と熱膨張物質とを混合してな
   る熱膨張材を介在させることにより、モノリス触
   媒をコンバータケースに保持させるようにした触
   媒コンバータにおいて、上記熱膨張材の排気ガス
   の上流側部分および下流側部分が、側壁とその両
   端部に連続する外周壁および内周壁とを有する断
   面コ字状の一対のシール材によつてそれぞれ被覆
   され、かつ両シール材が所定距離を隔てて配置さ
   れることによつて互いの外周壁の先端面間および
   内周壁の先端面間に所定の空間がそれぞれ形成さ
   れたことを特徴とする触媒コンバータ。