JPS633730Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、金属の連続又は半連続鋳造用受台の
考案に係り、より詳しくはアルミニウム系金属な
どを連続又は半連続鋳造するに当つて用いられる
受台において、鋳塊底部と受台との間に進入した
冷却水の急激な気化による爆発現象の発生を有効
に防止し円滑な連続又は半連続鋳造を行わせよう
とするものである。

アルミニウムその他の金属を連続又は半連続鋳
造するに当つてのスタート時に、鋳型内に受台を
装入して溶湯を受けることは従来から普通に行わ
れている。即ちこのような受台として従来採用さ
れているものは、外周部を中央部より高くした縁
部を有する受台であつて、外周部を高くした受台
で溶湯を受け、鋳型による冷却効果で鋳塊を形成
しつつ鋳型から引抜き所定の鋳塊を得ようとする
ものである。

しかし、このような連続又は半連続鋳造法にお
いては、鋳型で鋳片を形成することが技術思考の
基本であり、勿論該鋳型から引抜かれた鋳型に対
して冷却水が供給されるとしてもそれは引抜き後
の鋳塊を単に迅速に凝固しようとするものであ
る。ところがこのような従来法によるものでは鋳
造の初期段階で鋳塊の底部が周側部と中央部の温
度差によつて彎曲する所謂バツトカールが発生し
て受台と鋳塊の間に間隙が生ずることは実地的に
明らかであつて、この間隙に鋳塊外面に供給され
た冷却水が上記のように外周部を中央部より高く
したものであるだけに進入集積し易くこのような
冷却水の浸入によつて鋳塊底部の顕熱により急激
に加熱され気化するためバンピングと呼ばれる小
爆発が起こる。即ち、このようなバンピングは鋳
塊底部が冷えるまで断続的に発生し、大型の鋳塊
では鋳塊の長さが１〜1.5ｍになるまで発生する
ことがあり、斯かるバンピングが起こると鋳型内
の溶湯のメニスカス部が著しく振動するため、鋳
塊表面に割れが生じ、それによつて溶湯の洩れを
発生する原因となり、何れにしても健全な鋳塊を
得難い。然してこのような不利ないし危険を回避
するために受台に気体又は液体を噴出するための
噴出孔を配設してその上に侵入しようとする冷却
水を排出し或いは侵入した水が気化して爆発など
を生ぜしめないようにすることが考えられるがこ
の場合においては受台の構造を複雑化すると共に
気体や水を受台に送給する導管ないしホースを連
結し、このように連結したままで受台を移動させ
なければならず、勿論コンプレツサーやポンプの
ような圧送機構を常時的に作動させねばならない
ので操業的に不利とならざるを得ない。

本考案は、上記したような実情に鑑み検討を重
ね、前記のようなバンピングを簡単な構成で、し
かも完全に防止することに成功した。即ち本考案
によるものの具体的な実施態様を添付図面に示す
ものについて説明すると、第１図および第２図に
それぞれ示すように断面が円型又は矩型の鋳塊を
得るための受台１には中央部１ａより高くなつた
周縁部２が設けられており、該周縁部２は外側が
低くなるような傾斜２ａが形成されている。即
ち、第３図はこのような第１図或いは第２図のも
のにおける周縁部２を拡大し、その上に得られた
鋳塊３と共にその鋳塊のバツトカールが完了した
時の状態として示してある。つまりこの第３図に
示したように、受台１の縁部２が傾斜２ａしてい
るため、鋳塊３に施される冷却水４は受台１と鋳
塊３の間隙５に入ることはない。また、鋳塊３の
端部部分６の下面はバツトカールにより底部が彎
曲しても受台１の周縁部２における傾斜面２ａに
従つて成形されているため、端部ほど下がり、即
ち端縁部端部部分が下位となる下向きの傾斜面６
ａ形成している。このため、鋳塊３の表面に沿つ
て流れて来た冷却水４は端部６ｂから滴下して傾
斜面６ａに入り込むことはなく、滴下した冷却水
はそれなりに内側に入つても受台１の周縁部２に
おける傾斜面２ａから外部に排出され何れにして
も間隙５部に侵入することがなくなる。即ち、鋳
塊３の端部部分６がバツトカールの終了した時点
で上記のように外側に下るような傾斜２ａをもつ
ように定めればよいことになる。このようにして
間隙５には冷却水４が入り込まないからバンピン
グは起り得ない。

なお、このような関係から受台１の縁部２の幅
は冷却水４の侵入を防ぐために30mm以上あること
が好ましく、また、縁部２の傾斜は鋳塊の大きさ
や断面が矩形の鋳塊の場合、長側と短側によつて
多少は異なるとしても上記のようにして冷却水の
侵入を防止するには合金の種類によつても異る
が、一般的に15゜以上あればよいことが実験的に
確認されている。

以上説明したような本考案によるときは上述し
たようなアルミニウムその他の金属についての自
動的な連続鋳造、特に半自動連続鋳造に際し引出
された鋳塊周面に対する直接冷却水が受台上にお
ける鋳塊底面のバツトカールによつても受台上に
侵入集積しバンピングのような爆発現象の発生す
ることを有効に防止し、又それによる鋳塊表面の
割れ発生その他を適切に回避して円滑な連続鋳造
作業を行わせ得るものであり、しかも受台１にお
ける僅少な改善でよく、複雑な機構ないし配管と
圧送機構の如きを必要とせず設備的および操業上
の何れにおいても有利であるなどの作用効果を有
しており、実用上その効果の大きい考案である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を示すものであつて、
第１図と第２図はそれぞれ本考案による受台の１
例を示した説明図で、断面図と平面図とを併せて
示し、第３図はその連続的鋳造時における鋳塊底
部との関係を示した断面図である。 然してこれらの図面において、１は受台、２は
周縁部、２ａはその頂面における傾斜、３は鋳
塊、４は冷却水、５は間隙、６は端部部分、６ａ
は傾斜面、６ｂは端部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アルミニウム系金属などの金属を連続又は半連
   続鋳造するに当つて冷却鋳型の底部に装着され該
   冷却鋳型内に注入された溶湯を受けると共にその
   冷却によつて凝固せしめてから引出すための受台
   において、該受台の中央部より高くなつた周縁部
   の頂面にこの受台上において形成された鋳塊がそ
   の冷却過程においてバツトカールを完了したとき
   においても該鋳塊底面に周縁部分が下向きの傾斜
   面となるような傾斜を形成したことを特徴とする
   金属の連続又は半連続鋳造用受台。