JPS633709Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はプレス機において板材をコの字形状
に折曲げる金型に関する。

従来、板材の一方の端部をコの字形に折曲げる
金型はよく知られているが、板材の両端部を同時
にコの字形に折曲げる金型は知られていない。そ
れは、両端部を同時にコの字形に折曲げると、上
型の外周面に金型が食い込んでしまうために上型
から折曲げられた板材を離すのに板材を叩いて折
曲げ方向へ移動させる必要があり、折曲げ工程の
後で型から取り外すのに手間がかかる問題がある
からである。また、片側ずつコの字曲げをする従
来の金型にあつても、上型とスライド下型が食い
込んでしまうことがあるという問題もあつた。

この考案は、このような従来の問題を解決する
ものであり、両端部を同時にコの字形に折曲げる
ことができ、しかも折曲げ後に板材を上型から容
易に離すことができるコの字曲げ金型を提供する
ことを目的とする。

この考案を以下、図に示す実施例と共に詳説す
る。

第１図はこの考案の一実施例を示し、１は上型
で、上下動自在のラムに装着されるものである。
２は押圧上型であり、また３は昇降下型、４ａ，
４ｂはスライド下型、５はベースである。押圧上
型２はその上端部が上型１内の室６に収容されて
おり、ゴムやウレタンゴム等の弾性体７より成る
押圧手段により常時下部が上型１の下面から突出
するように下方に弾性的に押圧されている。押圧
上型２の下端の成型部８は、その外周形状が目的
とする折曲げ後の板材の内周形状を成すようにな
つている。この成型部８の上肩部８ａ，８ｂは共
に中心に向つてやや下がる傾斜面にしてある。上
型１は、図に示されていない駆動装置と連結さ
れ、上下に駆動されるものである。この上型１の
下面には中心方向に向つて高くなる傾斜面９ａ，
９ｂが形成されている。

昇降下型３はベース５に対して上下に昇降自在
に取り付けられており、ベース５との間のスプリ
ング１０により常時上方に向く弾性力が付与され
ている。１１は昇降下型３の上下動の幅を規制す
るガイドボルトである。スライド金型４ａ，４ｂ
はスプリングバツクを考慮してベース５の上面に
中心に向けて低くなるように設けられた傾斜スラ
イド面１２ａ，１２ｂ上に載置され、支持部材１
３ａ，１３ｂとの間に設けられたスプリング１４
ａ，１４ｂにより常時中心から外方へ向く弾性力
を付与された状態で支持部材１３ａ，１３ｂに支
持されている。１５ａ，１５ｂはスプリング１４
ａ，１４ｂを受けとめるためにそれぞれスライド
下型４ａ，４ｂに取り付けられたボルトで、支持
部材１３ａ，１３ｂを貫通している。上記スライ
ド下型４ａ，４ｂにはその中心側上部に端縁折曲
げ用の傾斜した突条１６ａ，１６ｂが設けられて
おり、また外側肩部には前記上型１の傾斜面９
ａ，９ｂが係合する衝合用傾斜面１７ａ，１７ｂ
が設けられている。１８は板材ガイド部である。

次に上記構成の金型の作用について説明する。
まず、第１図のように上型１と押圧上型２とが上
方にあり、またベース５上では昇降下型３が最上
方位置に、スライド下型４ａ，４ｂが最外方位置
にそれぞれ位置する状態において、面一となつた
昇降下型３及びスライド下型４ａ，４ｂの上面に
板材１９がガイド部１８により位置決めされつつ
水平に載置される。

次に第２図に示されているように上型１と押圧
上型２とが降下させられ、下方に突出している押
圧上型２の成型部８が昇降下型３と衝き合い、間
に板材１９の中央部を挾んだ形でさらに降下され
る。この動きにより板材１９の両端部２０ａ，２
０ｂは、昇降下型３に対して前後に衝き合つてい
るスライド下型４ａ，４ｂの突条１６ａ，１６ｂ
により上側に折曲げられる。第１曲げである。

昇降下型３が降下し切ると、次に第２曲げがな
されるが、それは第３図に示されている。昇降下
型３がスプリング１０に抗して最下位置まで押し
下げられると、押圧上型２もそれ以上降下するこ
とができなくなり、今度は弾性体７の反発力を上
回わる図示されない降下駆動装置の駆動力により
上型１が弾性体７を押しつぶすようにしながら降
下して来る。この上型１の降下により、下面の傾
斜面９ａ，９ｂがそれぞれスライド下型４ａ，４
ｂの衝合用傾斜面１７ａ，１７ｂに衝合し、スプ
リング１４ａ，１４ｂの力に抗してスライド下型
４ａ，４ｂを共に中心方向へスライドさせる。ス
ライド下型４ａ，４ｂのスライドはベース５の傾
斜スライド面１２ａ，１２ｂに沿いやや下方を向
くようになされる。この動きにより板材１９の両
端縁部２１ａ，２１ｂが成型部８の傾斜した上肩
部８ａ，８ｂとスライド下型４ａ，４ｂの突条１
６ａ，１６ｂの傾斜した下端稜部との間で折曲げ
られる。こうして板材１９は第１曲げと第２曲げ
との連続した曲げを受け、両端に同時にコの字曲
げ部を形成されるのである。

この曲げを受けた後、上型１が持ち上げられる
と、傾斜面９ａ，１６ａ，９ｂ，１６ｂ間の衝合
が解除されるのでスライド下型４ａ，４ｂは自由
にされ、スプリング１４ａ，１４ｂの力によつて
外側斜め上方にスライドさせられる。この斜め上
方へのスライドにより、突条１６ａ，１６ｂもそ
の傾斜した下面が平行に外方へ移動させられるの
で、突条１６ａ，１６ｂが成型部８の上肩部８
ａ，８ｂに食い込むことなくスムーズな離型がで
きる。上記上型１の上昇の結果、スプリング１０
の力によつて押圧上型２の上昇と共に昇降下型３
も上昇してくる。板材１９は成型部８にかぶさつ
たまま押圧上型２と共に上昇し、最終的には第３
図において紙面に垂直な方向にスライドさせるこ
とにより成型部８から離される。

この考案は、以上のように上型に押圧上型を設
けて昇降下型と衝合させて板材に第１の折曲げを
なし、さらに上型の下面の傾斜面をスライド下型
の衝合用傾斜面に衝合させスライド下型を中心方
向にスライドさせて第２の折曲げをなすようにし
ているので、１種類の金型によつて板材の両端部
に同時にコの字曲げを施すことができる利点があ
る。またスライド下型は中心に向つて低くなるよ
うにスライドするので、折曲げ完了後にスライド
型を元の位置までスライドさせることにより折曲
げられた板材及び上型から斜め上方へ自然にスラ
イド下型を離すことができ、このために上下の型
の食い込みという従来の不都合なことが生ずるこ
とがない利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の側面断面図、第
２図は同上の第１曲げ動作を示す側面断面図、第
３図は同上の第２曲げ動作を示す側面断面図であ
る。 図面の主要な部分を表わす符号の説明、１……
上型、２……押圧上型、３……昇降下型、４ａ，
４ｂ……スライド下型、９ａ，９ｂ……傾斜面、
１７ａ，１７ｂ……衝合用傾斜面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上型と、この上型に組み込まれ押圧手段によつ
   て下方に押圧されている押圧上型と、この押圧上
   型の下方にあつて押圧上型と係脱自在の昇降下型
   及びこの昇降下型の前後に位置し中心に向つて低
   くなるようにスライドするスライド下型とを備
   え、前記上型がその下面前後に中心に向つて高く
   なる傾斜面を有し、前記スライド下型がこの各傾
   斜面と衝合する衝合用傾斜面を有し、押圧上型の
   降下により第１の曲げをなし、上型の降下により
   傾斜面を衝合用傾斜面と衝合させてスライド下型
   を中心方向斜め下方にスライドさせ第２の曲げを
   なすようにしたコの字曲げ金型。