JPS6334252B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は外圧に対して強度が大であり、しかも
使用樹脂量の少ない軽量な合成樹脂製網状管に関
するもので、殊に土壌中に含まれる過剰の水分を
効率よく排除する為に使用される暗渠排水管に適
用されて効果を発揮するものである。

従来樹脂の使用量が比較的少なく軽量であるに
拘らず外圧に対しては強力な耐圧強度を付与せし
めた合成樹脂製網状管として、実公昭57−16901
号公報に記載のネツト状パイプがあり、市場にも
広く出廻つている。

このネツト状パイプは、その主体骨組を構成す
るスパイラル状樹脂条が断面厚寸法高の薄肉型と
なつている為等により、他のネツト状パイプに比
し叙上の格別の効果を発揮しているものである。
しかし、このネツト状パイプをもつてしても、耐
圧強度増大の要求＝樹脂使用量の増加＝コスト高
の図式を逸脱できないものであり、なおかつ樹脂
使用量が少なくて軽量でコストも安く、しかも耐
圧強度は強いものが欲しいという声が強かつた。

本発明は上記に鑑み少ない樹脂の使用量で、し
かし外圧に対しては十分な強度を付与せしめた合
成樹脂製網状管を提供せんとするものである。

その特徴は合成樹脂製網状管の主体骨組を構成
するスパイラル状樹脂部分を適宜肉厚を有する壁
によつて囲まれた多数の独立密閉空間構造の中空
部により形成し、このスパイラル状部分の外周又
は内周に、夫々平行した多数の直線状樹脂部分
を、前記スパイラル状部分の軸線方向に交叉さ
せ、且つ交叉箇所を一体的に溶着結合して網目状
の開口部を形成した点にあり、壁が保有する樹脂
厚による耐圧作用と、多数の中空部が保有する閉
ざされた室内の空気による耐圧作用とにより、外
圧を受けとめようとするものである。

以下、本発明の実施例について図面により説明
する。図中１はポリエチレン、ポリ塩化ビニル等
の熱可塑性合成樹脂、若しくはこの熱可塑性合成
樹脂に繊維強化材等を混合することによつて形成
される合成樹脂製網状管で、一本ないし複数本
（図においては２本）の適宜間隔を置いて巻回す
るスパイラル状樹脂帯２の内周には、夫々平行し
た直線状樹脂帯３が、前記スパイラル状樹脂帯２
の軸線方向に間隔を置いて多数交叉しており、且
つ該交叉箇所が一体的に溶着結合されて多数の網
目状の開口部を形成している。

このスパイラル状樹脂帯２は第３図イ，ロに示
すように、適宜肉厚を有する壁５と、該壁５によ
つて囲まれた独立密閉空間構造の中空部４とによ
つて構成され、該中空部４はスパイラル状樹脂帯
２の長手方向に多数設けられている。そして、壁
５は管の内側に面する内壁と管の外側に面する外
壁の内外壁５１と、該内外壁５１を結ぶ管の略半
径方向壁部分よりなる若しくは管の略半径方向壁
部分を有する厚肉の周壁５２とによつて構成され
（内外壁５１と周壁５２とが一体化した部分にお
いては、成形手段によつてはその境目を生じる場
合もあるが、特にその境目があるというものでは
ない。而して中空部４，４間は内外壁５１と周壁
５２とが一体化した相互に比較的近接する相当の
厚肉壁によつて仕切られることとなる。）、用途、
条件によつて異なつてくる外圧に対処する為等に
基いて、中空部４の数の増減、中空部４の大小、
壁５の厚み、使用される素材の硬軟等が斟酌され
るが、その際強度を増す為に周壁５２が部分的に
ではなくより全体的に管の略半径方向壁部分によ
つて形成されているようにすること、および、管
の略半径方向にある壁部分の厚みを殊に加減する
ことも斟酌の対象となる。

すなわち後者についていえば、周壁５２の中空
部４間を仕切る部分の円周方向厚み若しくは周壁
５２の中空部４側部のスパイラル状樹脂帯２巾方
向厚みを、或いはその両方を、厚くしてやること
によつて外圧に対する強度が増すが、この厚みは
内外壁５１と周壁５２とが一体化した部分の管の
略半径方向厚みの、少なくとも略半分からそれ以
上の厚みとすることが好ましい。

また中空部４の形状は特に問わないものであ
り、殊に発泡成形により成形した場合不規則不特
定なものとなり易いが、この場合であつても中空
部４の形状を規制している周壁５２は少なくとも
その一部が管の略半径方向の壁部分となつてお
り、すなわち管の略半径方向の壁部分を有するも
のである。

前記実施例においては、スパイラル状樹脂帯２
の内周に直線状樹脂帯３を交叉一体化した例を示
したが、これと逆にスパイラル状樹脂帯２の外周
に直線状樹脂帯３を交叉一体化せしめても良く、
また、この直線状樹脂帯自体も帯状のものに限定
されるものではなく単なる樹脂条形態のものであ
つても良い。加えて前記実施例においては中空部
４はスパイラル状樹脂帯２の長手方向には複数
（多数）設けられているものの、スパイラル状樹
脂帯２の巾方向等には単一のものとなつている。
しかし、この巾方向等にも複数の中空部４が設け
られてもよく（図示省略）、その場合部分的に壁
を共有する周壁や、内外壁、周壁以外の中間壁が
存在したりすることになるが、基本的な考え方は
前記の実施例と同様である。

次に、合成樹脂製網状管１の円周方向全体につ
いてをかかる構成とするのでなく、第４図イに示
すように円周方向一部については直線状樹脂帯３
と巾広の膜帯６とが一体化された部分を設け、該
直線状樹脂帯３と一体化された巾広の膜帯６もま
たスパイラル状樹脂帯２の軸線方向に交叉一体化
するようにして、網目状開口部の一部が軸線方向
に目潰しされた構造として排水の際の流路の安定
等を図つてもよい。

また、第４図ロに示すように直線状樹脂帯３と
巾広の膜帯６とを併列させて、スパイラル状樹脂
帯２の軸線方向に交叉一体化して叙上の効果を引
き出すようにしても良い。

本発明は上記の通り、内外壁５１と、該内外壁
５１を結ぶ管の略半径方向壁部分よりなる若しく
は管の略半径方向壁部分を有する厚肉の周壁５２
とによつて囲まれた独立密閉空間構造の中空部４
が長手方向に多数設けられ適宜間隔を置いて巻回
するスパイラル状樹脂帯２が、管形態としての主
体骨組を構成するから、合成樹脂製網状管１に外
圧が加わつた場合には、壁５特に周壁５２の管の
略半径方向壁部分における樹脂厚による耐圧作用
と、壁５によつて囲まれた独立密閉空間構造の中
空部４に内包された空気による耐圧作用とによつ
て、相乗的に外圧を受けとめる為、樹脂使用量に
比し外圧に対する強い抵抗力が付与されているも
のである。そして、より外圧に対する強度を高め
ようとする場合には、中空部４の数を減らした
り、中空部４の大きさを小さくしたり、壁５の厚
みを大きくしたりする等の手段がとられるが、先
にも述べたように周壁５２が部分的にではなくよ
り全体的に管の略半径方向の壁部分で形成される
ようにし、そして管の略半径方向にある壁部分の
厚みを殊に持たせてやるようにし、しかもこの厚
みを内外壁５１と周壁５２とが一体化した部分の
管の略半径方向厚みの少なくとも略半分からそれ
以上の厚みとしてやれば、単純に中空部４の増減
や大小、壁５の厚み等を考慮するよりもはるかに
効率よく本発明の目的を達成することができるも
のである。すなわち、周壁５２が部分的にではな
くより全体的に管の略半径方向壁部分で形成され
るようにすることが好ましとしたのは、周壁５２
がかかる構成となつていない場合には外圧が加わ
ると周壁５２が崩れる方向に作用して管の強度が
弱くなつてしまう為で、また管の略半径方向にあ
る壁部分の厚みを、内外壁５１と周壁５２とが一
体化した部分の管の略半径方向厚みの少なくとも
略半分からそれ以上の厚みとすることが好ましい
としたのは、力学的に考えて略半分以下の厚みと
なると腰が弱くなるだけでなく多少異なる方向か
らの外圧が加わるとやはり周壁５２が崩れる方向
に作用する為である。

また現地で合成樹脂製網状管１を適宜長さに切
断して使用する場合においても、切断によつて中
空部４が非密閉状となつてしまうのはごく一部で
あつてその耐圧機能が殆んど減じるものではない
から、その点支障なく使用できる効果がある。

さらにスパイラル状樹脂帯２は樹脂帯自体が単
なる環状である場合とは異なり、一本ないし複数
本のスパイラルが連鎖して外圧を受け止めること
になる為、より抵抗力が付与されているものであ
り、加えて網目状の開口部を形成する為に必要な
前記スパイラル状樹脂帯２間を結ぶ直線状樹脂帯
３若しくは直線状樹脂条は、スパイラル状樹脂帯
２の全周に亘つて交叉、結合が行なわれているの
で、合成樹脂製網状管としての構造体は円周方向
からの外圧に対しては勿論のこと軸方向からの引
張圧縮等の外圧に対しても、スパイラルと直線と
の構成による両者の相乗効果により充分の抗力を
保持する効果がある。

次に合成樹脂製網状管１の円周方向一部につい
て直線状樹脂帯３若しくは直線状樹脂条と一体的
に巾広の膜帯６を、或いは直線状樹脂帯３若しく
は直線状樹脂条と巾広の膜帯６とを併列させて、
スパイラル状樹脂帯２の軸線方向に交叉一体化す
るようにすれば、網目状開口部の一部が軸線方向
に目潰しされた構造となつて排水の際の流路の安
定等を図ることができる。

以上列記した如く内外壁５１と、該内外壁５１
を結ぶ管の略半径方向壁部分よりなる若しくは管
の略半径方向壁部分を有する厚肉の周壁５２とに
よつて囲まれた独立密閉空間構造の中空部４が長
手方向に多数設けられてなるスパイラル状樹脂帯
２と、これに交叉一体化された直線状樹脂帯３若
しくは直線状樹脂条との組み合わせによる構造
は、壁５特に周壁５２の樹脂厚と中空部４に内包
された空気による耐圧作用によつて相乗的に外圧
を受けとめる為、少ない樹脂量で効率良く合成樹
脂製網状管に要求される外圧に対する強度を付与
せしめ得たものである。

なお、必要に応じて直線状樹脂帯３を軟質材に
より形成するときは合成樹脂製網状管１は自由に
曲げることができ、特に折り曲げ等の工程を必要
とすることなく所望通りの彎曲形態が得られる
為、別途部材を必要とすることなく蛇行埋設、彎
曲使用を行なうことが出来る。

さらに合成樹脂製網状管１を接続するにあたつ
ては、たとえば内周にスパイラル状樹脂帯２を有
する比較的大径の合成樹脂製網状管１には、外周
にスパイラル状樹脂帯２を有する比較的小径の合
成樹脂製網状管１をあてることによつて、スパイ
ラル状の樹脂帯相互を利用したねじ接合で直ちに
接続できるようにすることも可能である。

そして上記のような多くの利点を有する本発明
の合成樹脂製網状管は暗渠排水管としてだけでな
く液体の排水濾過部材、梱包用資材、水産用資材
等他の用途にも使用できるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る合成樹脂製網状管の実施例
を示し、第１図は管形態を説明する側面図、第２
図は第１図矢視方向図、第３図は中空部を形造
る壁の態様と、スパイラル状樹脂帯と直線状樹脂
帯の結合態様を説明するための要部拡大断面図
で、第３図イは第１図Ａ―Ａ線に於ける要部拡大
断面図、第３図ロは第１図Ｂ―Ｂ線に於ける要部
拡大断面図、第４図イ，ロは他の実施例を示し第
２図に相当する矢視方向図である。 １……合成樹脂製網状管、２……スパイラル状
樹脂帯、３……直線状樹脂帯、４……中空部、５
……壁、５１……内外壁、５２……周壁、６……
巾広の膜帯。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内外壁と、該内外壁を結ぶ管の略半径方向壁
   部分よりなる若しくは管の略半径方向壁部分を有
   する厚肉の周壁とによつて囲まれた独立密閉空間
   構造の中空部が長手方向に多数設けられ適宜間隔
   を置いて巻回するスパイラル状樹脂帯の外周又は
   内周に、夫々平行した直線状樹脂帯若しくは直線
   状樹脂条を、前記スパイラル状樹脂帯の軸線方向
   に間隔を置いて多数交叉させ、且つ該交叉箇所が
   一体的に溶着結合されて多数の開口部を形成して
   なる合成樹脂製網状管。 ２ 内外壁と、該内外壁を結ぶ管の略半径方向壁
   部分よりなる若しくは管の略半径方向壁部分を有
   する厚肉の周壁とによつて囲まれた独立密閉空間
   構造の中空部が長手方向に多数設けられ適宜間隔
   を置いて巻回するスパイラル状樹脂帯の外周又は
   内周に、夫々平行した直線状樹脂帯若しくは直線
   状樹脂条を、前記スパイラル状樹脂帯の軸線方向
   に間隔を置いて多数交叉させ、且つ該交叉箇所が
   一体的に溶着結合されて多数の開口部を形成して
   なる合成樹脂製網状管に於いて、前記直線状樹脂
   帯若しくは直線状樹脂条の円周方向一部と一体的
   に巾広の膜帯を、或いは直線状樹脂帯若しくは直
   線状樹脂条と巾広の膜帯とを併列させて、前記軸
   線方向に交叉一体化してなる合成樹脂製網状管。