JPS6333643B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は厚鋼板等、圧延によつて製造される板
材のキヤンバを測定する装置に関する。厚板圧延
にあつては圧延途中において厚板がその幅方向に
湾曲する現象、すなわち板キヤンバが発生すると
いう問題点がある。

斯かる板キヤンバ発生の為に所要板幅の矩形板
が得られず、又は予め板幅が十分大となるように
圧延して、所要寸法の矩形厚板を不要部切断によ
り得る必要がある等、大幅な歩留の低下を招来す
ることとなつていた。従つて、板キヤンバを除去
するために種々の工夫が試みられているが、その
前提として板キヤンバを正確に定量することが要
求される。

然るところキヤンバ量を自動的に測定する装置
としては線状光源とリニアダイオードアレイとを
対設した幅計を利用したものが公知であるが、搬
送の際のスリツプ、振動の影響が大きく、搬送速
度が極めて遅い場合にのみ有効である。これに対
してテレビカメラを用いて板材の全体像を撮像
し、そのビデオ信号に基くデータ処理によつてキ
ヤンバを測定するようにした装置も種々提案され
ているが、データ処理が複雑であつて高価につき
実用化する上での支障が大きい。

本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであ
つて、テレビカメラ等の撮像機を用いながら信号
処理系が簡略であつて、しかも板材の蛇行等に対
する補正が容易に行えるキヤンバ測定装置を提供
することを目的とする。

以下本発明をその実施例を示す図面に基いて具
体的に説明する。

第１図は本発明装置の全体的模式図であり、圧
延機４０によつて圧延された厚板３０は搬送ロー
ル４１によつて移送されていくが、その通過域上
方には多面鏡１１が鏡面を下向きにして取付けて
ある。この多面鏡１１は水平な仮想中心軸を厚板
３０の幅方向にした円弧状部分に、細長い鏡面を
複数枚（実施例では８枚）、その長手方向を厚板
幅方向に一致せしめるようにして形成又は固着し
てなるものである。この多面鏡１１の直下にはシ
リコンビジコン等、赤外域に高感度を有するテレ
ビカメラ等の２次元撮像機１３を鉛直上向きにし
て配して、多面鏡１１と正対させている。そして
撮像機１３は、熱間状態にある厚板３０の幅方向
に延び、相互に厚板長手方向に適長離隔する８条
の帯領域３０１，３０２…３０８（第１図に斜線
を付して示す）が、第２図のモニタ１４の画面に
示すように、厚板３０の長辺、つまり厚板３０の
幅方向端縁を含む態様で撮影されるように、多面
鏡１１及び厚板通過域との相対位置が決定され、
またその光学系が調節されている。なお最上流側
の帯領域３０８と最下流側の帯領域３０１とは測
定対象の厚板の長手寸法よりも若干短くしてお
く。つまり本発明装置では撮像機１３は厚板３０
の平面視像を、これからサンプリングした８つの
帯領域の厚板部分像で代表させているのである。
また、撮像機１３と多面鏡１１との間には赤外光
を選択的に透過するフイルタ１２を設け光学的ノ
イズを遮るのが好ましい。

１５はカメラコントローラであつて、ビデオ信
号をモニタ１４及び画像処理装置１６へ出力す
る。画像処理装置１６は入力されたビデオ信号を
２値化し、この２値化された信号につき、各帯領
域３０１，３０２…３０８の側端縁、即ちもとの
厚板３０の長辺の水平方向位置を特定する信号を
マイクロコンピユータ等からなる演算器１７へ出
力する。

第３図は画像処理装置１６での信号処理の説明
のための概念図である。この画像処理装置１６は
１画面毎の処理を行い、垂直同期信号を基準とし
て予め定められた８本の水平走査線H₁，H₂…H₈
に相当する信号を側端縁検知のために利用する。
この水平走査線H₁，H₂…H₈は夫々帯領域３０
１，３０２…３０８の画像を構成する走査線から
選択され、演算器１７での処理を簡単にする上か
ら夫々の間隔を等しくするのが好ましい。これら
の水平走査線H₁，H₂…H₈のビデオ信号は第３図
の下部に示すように最初は黒レベルであるが厚板
３０の像の部分では白レベルとなり、その後再び
黒レベルになる。CLは撮像画像上の水平方向中
心線等の基準線であつて、この基準線と左側端縁
との距離l₁，l₂…l₈及び右側端縁との距離r₁，r₂…
r₈に関するデータを出力するのであるが、これは
複数のカウンタによるクロツクパルスの計数によ
つて実現される。即ち水平走査線H₁に先立つ水
平同期パルスにて第１、第２カウンタをクリア
し、ビデオ信号が白レベルになつたところから第
１カウンタの計数を開始し、基準線CLの位置相
当のタイミングで与えられるパルス（このパルス
は水平同期信号に基いて適宜作成される）にて第
１カウンタの計数停止及び第２カウンタの計数開
始を行わせる。そしてビデオ信号が黒レベルにな
つた時に第２カウンタの計数を停止させる。演算
器１７にはこのようにしてカウントアツプされた
第１、第２カウンタの内容を読込む。以下H₂…
H₈についても全く同様であり、このようにして
得た計数値は前記l₁，l₂…l₈及びr₁，r₂…r₈を表わ
す内容となつている。

演算器１７はこのようなl₁，l₂…l₈及びr₁，r₂…
r₈相当のデータからキヤンバ量Ciを Ci＝l_i＋r_i／２−（l_i+1＋r_i+1）＋（l_i-1＋r_i-1）／４
…(1) 但し、ｉ＝２、３…７ として演算する。

この(1)式について第５図を用いて説明する。基
準線CLの左右一方を正、他方を負とすると位置
ｉにおける幅方向中心位置の基準線CLからの距
離a_iは a_i＝l_i＋r_i／２ と表される。同様に位置ｉ−１，ｉ＋１の幅方向
中心位置の基準線CLからの距離は a_i-1＝l_i-1＋r_i-1／２ a_i+1＝l_i+1＋r_i+1／２ となる。位置ｉにおけるキヤンバ量Ciは、a_i、ｉ
−１、ｉ＋１位置の幅方向中心位置を結ぶ線のｉ
位置における基準線CLとの距離、換言すれば a_i-1＋a_i+1／２＝_i との差と定義されるから Ci＝a_i−_i＝l_i＋r_i／２−１／２（l_i-1＋r_i-1／２ ＋l_i+1＋r_i+1／２）＝l_i＋r_i／２ −（l_i+1＋r_i+1）＋（l_i-1＋r_i-1）／４ …(1) 式となるのである。

１８は厚板搬送系に付設されたパルスジエネレ
ータであつて、この出力は演算器１７へ与えられ
る。パルスジエネレータ１８の出力は各画面につ
き上述のようにして算出されるキヤンバ量の厚板
長手方向の位置情報となり、両データは関連づけ
られて圧延制御等のために上位のプロセスコンピ
ユータ１９等へ送出されていく。

而して本発明装置は演算器に厚板の蛇行補正機
能を備えている。蛇行はスリツプ（厚板幅方向へ
の平行移動現象）と回転との複合現象であるが、
前者は上述の如きキヤンバ量の算出には影響を及
ぼさない。けだし、l_iが増した（又は減じた）分
だけr_iが減じる（増す）からである。これに対し
て後者は単なる平面視での姿勢変更をキヤンバ量
の増加又は減少として誤演算するのでこれが生じ
ている場合は(1)式の演算を行わせるに際してl_i、
r_i等の値を補正する必要がある。即ちある撮像画
像に着目すると先に走査を開始した部分と最後に
走査した部分とでは走査の時点が相異し、この間
に回転が生じたとするとこれに基づくキヤンバ計
測はその分誤差を含むことになる。

例えば１秒間に24枚の画像を撮像するものとす
るとこの間に板材は搬送方向へ移動することは勿
論、回転も行う。画像上部の走査位置と下部の走
査位置とでは約1/24秒の時間差があるから、この
間の回転によつてキヤンバ値は異なつてしまうの
である。

以下これについて第４図に基き説明する。演算
器１７は一定周期でl₂，l₅，l₈をRAM（ランダム
アクセスメモリ）に格納し、パルスジエネレータ
１８から所定個数（厚板が帯領域の離隔ピツチ相
当量移動する間におけるパルス発生個数）のパル
スが発せられた後にl₁，l₄，l₇をRAMの他領域に
格納して次に下記演算を行う。

l₁−l₂＝Δl₁₂ …(2) l₄−l₅＝Δl₄₅ …(3) l₇−l₈＝Δl₇₈ …(4) 厚板が蛇行することなく長手方向へ移送されて
いる場合は Δl₁₂＝Δl₄₅＝Δl₇₈＝０ …(5) となる。

これは先に読取られたl₂等の値に対応する側端
縁部位が帯領域３０２等よりも１つ前の帯領域３
０１等へ移動した場合に再びその部位がl₁等とし
て検知されるからである。

これに対して Δl₁₂＝Δl₄₅＝Δl₇₈≠０ …(6) となつた場合はスリツプが発生したことを意味す
る。

演算１７は(5)、(6)式のような場合及び所定の許
容誤差範囲内で(6)式が成立する場合は何らの補正
も行わない。

これに対して Δl₁₂、Δl₄₅、Δl₇₈が相異する場合は幾可学的補
正のための演算処理を行う。ただしこの場合は回
転発生に相当するからである。次に補正方法につ
いて説明する。

ある撮画像における板材の幅方向の端縁の特定
の一点に着目し、例えば、1/24秒後の次の画面に
おけるこの点を長手方向への移動量情報から特定
し、これら画面におけるこの点の幅方向位置を計
測する。

この幅方向位置の差が1/24秒間の幅方向移動量
又は変位量である。

前述のようにして蛇行の有無、スリツプ、回転
の別が判断されているのでこの移動量は1/24秒間
の回転量を表すことになる。従つてキヤンバ計算
はこの値を基に帯領域３０１，３０２，…３０８
の位置の夫々に生じた回転量を算出してl_i、r_iを
補正した上で行えばよい。第４図は厚板３０の略
中心を回転中心としてトツプ側が左方（l_iが増し、
r_iが減じる方向）へ、またボトム側が右方（l_iが
減じ、r_iが増す方向）へ回転した場合を示してい
る。前述した如く相前後する２画面間での板幅方
向の変位量を求めることで補正を行つてもよい
が、Δl₁₂、Δl₄₅、Δl₇₈を求めるために用いた２画
面（帯領域３０１，３０２…のピツチ相当量移動
する時間差を有している）をそのまま利用しても
よい。このような場合には Δl₁₂ΔS、Δl₄₅０、Δl₇₈−ΔS となるから次の補正周期迄の間は、例えばl₁は−
ΔS、l₂は−２／３ΔS、l₃は−１／３ΔS、l₆は＋１／
３ΔS、 l₇は＋２／３ΔS、l₈は＋ΔS（l₄、l₅はそのまま）を加 算する等の補正を行い、それに基くキヤンバ量計
算を(1)式に従つて行う。これによつて厚板回転に
よるキヤンバ量誤差は解消される。なお斯かる補
正は厚板が帯領域の離隔ピツチ相当量を移動する
に要する時間よりも十分短い周期で実行するのが
よく、画像処理装置１６からのデータを読込み周
期と一致させるのが理想的である。

以上のように本発明に係る板材のキヤンバ測定
装置は各鏡面夫々にて板材の両側長辺の各一部を
含み、夫々に相異る板材部分像を映じせしめるべ
く板材の上方に配置した多面鏡と、該多面鏡に映
じる複数の板材の部分像を一視野中に捉え得るよ
うに配置した撮像機と、長手方向に移動する板材
の移動量検知器と、前記撮像機の撮像画像に基く
データ処理により板材のキヤンバ量を算出する演
算器を備え、該演算器はキヤンバ量算出に際し、
前記移動量検知器の検知データを参照して一定周
期毎に、同一点の板材端位置の計測値を比較し、
板材の少くとも一側の長辺の複数部位の板材幅方
向の前記一定周期内変化量を求め、この変位量に
より、前記長辺の板材幅方向位置データを補正す
るようにしたものであるから信号処理系の構成が
簡略であつて信頼性が高く安価に構成でき、しか
も板材の蛇行等に対する補正が容易に行える実用
性の高い高精度の板材のキヤンバ測定装置が実現
できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであつて、第
１図は本発明装置の全体的模式図、第２図はモニ
タ画面と帯領域との対応関係を示す模式図、第３
図は画像処理装置での信号処理の説明のための概
念図、第４図は蛇行補正のための説明図、第５図
はキヤンバ値の説明図である。 １１……多面鏡、１３……撮像機、１６……画
像処理装置、１７……演算器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 各鏡面夫々にて、板材の両側長辺の各一部を
   含み、夫々に相異る板材部分像を映じせしめるべ
   く板材の上方に配置した多面鏡と、該多面鏡に映
   じる複数の板材部分像を一視野中に捉え得るよう
   に配置した撮像機と、長手方向に移動する板材の
   移動量検知器と、前記撮像機の撮像画像に基くデ
   ータ処理により板材のキヤンバ量を算出する演算
   器とを備え、該演算器はキヤンバ量算出に際し、
   前記移動量検知器の検知データを参照して一定周
   期毎に同一点の板材端位置の計測置を比較し、板
   材の少くとも一側の長辺の複数部位の板材幅方向
   の前記一定周期内変位量を求め、この変位量によ
   り、前長辺の板材幅方向位置データを補正するよ
   うにしたことを特徴とする板材のキヤンバ測定装
   置。