JPS6330865B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、インクジエツト記録装置に関するも
ので、特性を可変にして幅広い駆動周波数でイン
ク液滴形成の可能なインクジエツト記録装置を提
供することを目的とする。

インクジエツト記録装置は、近年注目を集め幅
広い研究がなされ、各種の記録方式が提案されて
おり、一部実用化されている。その中でもオンデ
マンド型インクジエツト記録装置は、構造が簡単
であり、普通紙で記録ができ、またカラー記録が
容易である等の特長を有するため、特に研究が盛
んである。

第１図は、従来のオンデマンド型インクジエツ
ト記録装置の断面図であり、特開昭48−9622号公
報においてステムメ氏が提案したインクジエツト
記録装置を原型モデルとしたものである。このモ
デルは駆動周波数数10KHzにおいても、インク液
滴形成は可能であり、オンデマント型において最
も記録速度がはやい。このインクジエツト記録装
置においては、ピエゾ素子１と振動板２とを一体
構造として形成している。ピエゾ素子１に電気信
号を印加すると、ピエゾ素子１が径方向に収縮す
る。ピエゾ素子１に振動板２に接着されているの
で、振動板２には曲げモーメントが作用する。こ
の結果、内径のインク室３の容積が増減する。内
方のインク室３と外方のインク室４とは、連通口
５により連通されており、連通口５と対向する位
置にインク噴射を行なう噴射ノズル６が設けてあ
る。外方のインク室４はインク供給を円滑に行な
うインク溜７に連通しており、インク溜７はイン
ク供給口８へと連通している。インクは、インク
供給口８から供給される。ピエゾ素子１に電気信
号が加えられると、ピエゾ素子１の径方向の収縮
により内方のインク室３の容積が増加し、外方の
インク室４のインクは内方のインク室３に吸入さ
れる。次に内方のインク室３の容積が減少し、内
方のインク室３のインク圧力は上昇する。このた
めに、圧力上昇したインクは、連通口５、外方の
インク室４を通り、噴射ノズル６よりインク液滴
９として噴射される。

第２図は、第１図に示したインクジエツト記録
装置における連続正弦波の駆動周波数とインク
液滴を噴射する最低電圧Ｖ（以下閾値電圧とよぶ）
との関係を示したものである。約6KHzで、極め
て低い電圧でインク液滴の噴射が可能であるが、
この周波数以下、または以上では閾値電圧は上昇
する。駆動周波数を上げて行くと、閾値電圧は上
昇を続け、40〜50KHzでは数百ボルトに達する。
これ以上の駆動周波数ではインク液滴の噴射は不
可能となり、インク液滴形成の上限が存在してい
た。

以上は、インク供給口８が外方のインク室４に
接続しているインクジエツト記録装置を例に説明
を行なつたが、第３図に示すように、外方のイン
ク室４および内方のインク室３の両方にそれぞれ
インク供給口１６，１７を接続したインクジエツ
ト記録装置や、第４図に示すような内方のインク
室３のみにインク供給口１８を接続したインクジ
エツト記録装置においても同様であつた。

ところが、このようなインクジエツト記録装置
において、以上に述べた特性の他に、振動板２か
ら連通口５に至る圧力伝播道程（寸法ｌ）に依存
する特性が存在することがわかつた。第５図に示
すように、寸法ｌの長い場合は、従来の低い閾値
電圧を与える駆動周波数（約6KHzであり、これ
を₀とする）は変化しないが、₀と同程度の低い
閾値電圧を与える駆動周波数₁、₂、…が規則的
に現われる。₁、₂、…は、寸法ｌに依存し、
ｍ：整数、Ｃ：インク圧力伝播速度、ｌ：振動板
２から連通口５に至るインク圧力伝播道程とする
とき、 _n＝（4m−１）Ｃ／8l …(1) の関係がある。_nを中心とする閾値電圧の低い各
領域では、特に高い駆動周波数域において従来と
比較して閾値電圧は数分の１から数10分の１の低
い電圧となり、極めて低い電圧でインク液滴の噴
射が可能となる。

本発明は、以上に述べた種々のインクジエツト
駆動特性を部品を交換するだけで簡単に実現し得
るようにしたインクジエツト記録装置を提供する
ものである。以下図面を用いて本発明の一実施例
について詳細に説明する。

第６図は本発明によるインクジエツト記録装置
の一実施例である。図中第１図と同一部分には同
一符号を付して説明を省略する。１３は内方のイ
ンク室３に連通する通路１２を形成する部品で、
タツプ１５，１６によりヘツド部材に着脱自在と
なつている。通路１２は内方のインク室３の一部
を形成しており、振動板２から連通口５に至る圧
力伝播道程（ｌ＝l₁＋Ｌ＋l₂）の一部の寸法Ｌを
形成している。寸法Ｌを変化させると、圧力伝播
道程ｌが変化する。したがつて第２図に示したイ
ンクジエツト記録装置の特性を、寸法Ｌを変える
ことにより例えば第５図、第７図、第８図に示す
ような特性を有するインクジエツト記録装置に変
換できる。第５図では₁＝30KHz、第７図では₁
＝40KHz、第８図では₁＝50KHzである。このよ
うな₁を与える寸法ｌを求める。ｍ＝１、Ｃ＝
1.5×10⁶（mm／Ｓ）として、(1)式より₁＝３×10⁴
（Hz））のときｌ≒18.8（mm）、₁＝４×10⁴（Hz）の
ときｌ≒14.1（mm）、₁＝５×10⁴（Hz）のときｌ≒
11.3（mm）となる。例えば第６図に示すインクジ
エツト記録装置において、₁＝３（mm）、₂＝３
（mm）であれば、ｌ＝l₁＋Ｌ＋l₂より、ｌ＝18.8、
14.1、11.3（mm）とするには、それぞれＬ＝12.8、
8.1、5.1（mm）とすればよい。このように、部品
１３を取り付け自由な構造とすれば、寸法Ｌの異
なる部品１３を交換することにより、₁を自由に
変換でき、１個のインクジエツト記録装置で、複
数種類の駆動周波数（すなわち記録速度）で記
録を行なうインクジエツト記録装置が提供でき
る。

ところで、部品１３は内方のインク室３に連通
する通路１２を形成する中空の部品であればよく
安価に製作できる。部品１３の寸法Ｌの異なるも
のを複数個用意しておけば、実用的には約20KHz
〜100KHzまで、すべての領域にてインク液滴形
成が可能な低電圧駆動ヘツドの提供が可能とな
る。

また、部品１３を取りはずすことにより、内方
のインク室３内に存在する異物の除去が従来と比
べて容易となり、連通口５や噴射ノズル６での異
物による目詰りやインク液滴噴射の不安定性等が
解決できる。また、ピエゾ素子１が破損したと
き、従来ではインクジエツト記録装置全体を交換
していたが部品１３と接続する側のピエゾ素子１
を備えた部品の交換で済み、ヘツドの補修が容易
で安価に行なえる等の利点も備えている。

第６図の実施例は外方の室４のみにインク供給
口８を接続した場合であるが、第３図、第４図の
ように内方の室３と外方の室４の両方あるいは内
方の室３のみにインク供給口８を接続したものに
も適用できる。

以上のように、本発明によるインクジエツト記
録装置は、インク室が噴射ノズルを有する外方の
インク室と、圧力上昇手段と連通口とからなる内
方のインク室とに分割されており、噴射ノズルと
連通口が一直線上に設けられているインクジエツ
ト記録装置において、内方のインク室の一部を形
成する部品を着脱可能にして振動板から連通口に
至るインク圧力伝播道程を可変とするもので、低
電圧で駆動する複数種類の駆動周波数を任意に選
択し得るインクジエツト記録装置の提供ができ
る。本発明によれば、１個のヘツドで幅広い駆動
周波数で記録可能となり、低電圧駆動、広帯域記
録を有する理想的なインクジエツト記録装置が実
現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のインクジエツト記録装置の断面
図、第２図は第１図のインクジエツト記録装置の
特性図、第３図〜第４図は従来のインクジエツト
記録装置の他の例の断面図、第５図は本発明によ
るインクジエツト記録装置の特性図、第６図は本
発明によるインクジエツト記録装置の一実施例を
示す断面図、第７図〜第８図はそれぞれ本発明に
よる他の実施例におけるインクジエツト記録装置
の特性図である。 １……ピエゾ素子、２……振動板、３……内方
のインク室、４……外方のインク室、５……連通
口、６……噴射ノズル、７……インク溜、８……
インク供給口、１２……通路、１３……部品、１
５，１６……タツプ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ インク室が噴射ノズルを有する外方のインク
   室と、圧力上昇手段に隣接し外方の室との連通口
   に連絡した内方のインク室とに分割されており、
   噴射ノズルと連通口とが１直線上に設けられてお
   り、インクタンクから導かれたインク供給口が、
   上記内方の室または外方の室の少なくとも一方に
   接続され、上記内方のインク室の一部を形成する
   部品を着脱自在として圧力上昇手段から連通口に
   至るインク圧力伝播道程を可変とし、インク液滴
   の噴射し得る最低電圧の周波数特性の極小値のう
   ち、２番目以降に現われる極小値近傍における周
   波数により圧力上昇手段を駆動することを特徴と
   するインクジエツト記録装置。