JPS6330727Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は物品収納庫に関する。

一般に、上下複数段の棚板が引出し式の物品収
納庫にあつては、各種物品が載置収納された棚板
を複数段引出した状態の場合に、荷重が前方へ片
寄つてバランスが崩れ、収納庫が手前側へ倒れて
しまう恐れがある。従つて、この種物品収納庫で
は、収納庫本体の形状及び強度それに安定性を非
引出し式の収納庫に比してより配慮する必要があ
る。また、使用面においても、引出すべき棚板が
変るたびに引出し状態にある棚板を押し込んでい
たのでは非常に面倒であり、収納庫の倒れの危険
性を無視してつい何段もの棚板を引出し状態にし
て使用しがちである。

本考案はこのような問題点を解決するもので、
棚板の引出しによる収納庫の前方への倒れの危険
性を防止し、かつ、棚板の前後移動が能率良く行
われて操作性が良好であり、しかも、簡単な構造
で安価に製作可能な物品収納庫を提供することを
目的とする。そこで、本考案の特徴とするところ
は、収納庫本体に上下複数段の棚板を引出し自在
に取付け、隣り合う２枚の棚板を、一端が一方の
該棚板に前後方向揺動自在に枢着されると共に他
端側の長孔状第１係合部が他方の棚板に固定ピン
にてスライド自在に枢着される縦連結杆により連
結し、さらに、該連結杆の略中間部に設けられた
長手方向の長孔状第２係合部を、２枚の上記棚板
間における上記収納庫本体の側方固定部に該第２
係合部と交差するように設けられた前後方向の長
孔状係合部に、該交差部において移動ピンにより
枢結して、２枚の上記棚板を相互に又は単独にて
平行に進退可能となした点にある。

以下、実施例を示す図面に基づいて本考案を詳
説する。

第１図は本考案に係る物品収納庫を示してい
る。図において、１は収納庫本体１であり、前面
側が開口した縦長矩形状の箱型をなし、内部には
上下複数段（図例では６段）の棚板２…が引出し
自在に取付けられている。３は隣り合う２枚の棚
板２，２を連結する縦連結杆であり、一端が上側
の棚板２の側面後部に固定ピン４にて前後方向揺
動自在に枢着されると共に、他端側の長孔状第１
係合部５が下側の棚板２の側面後部に固定ピン６
にてスライド自在に枢着されている。さらに、該
連結杆３の略中間部には長手方向の長孔状第２係
合部７が設けられており、該第２係合部７が、２
枚の上下棚板２，２間における収納庫本体１の側
方固定部８に該第２係合部７と交差するように設
けられた前後方向の長孔状係合部９に、該交差部
において移動ピン１０によりスライド自在に枢結
されている。これにより、上下の棚板２，２は相
互に又は単独にて進退可能となる。

以上、基本構成を述べたが、次に、第２図と第
３図を用いて各部の構造を具体的に説明する。収
納庫本体１は、内部の奥側左右角及び手前側左右
開口縁に夫々支柱１１…を備えており、前後の支
柱１１，１１，１１，１１間にはレール１２…が
架設されている。棚板２は、左右側面にレール１
２と嵌合する横断面コ字形の摺動部材１３を全長
にわたつて有し、該摺動部材１３によりレール１
２に沿つて矢印Ｂの如く前後方向にスライド自在
である。さらに、摺動部材１３の後端寄りには連
結片１４が突設されており、上記縦連結杆３は上
下の棚板２，２の該連結片１４，１４に固定ピン
４，６にて連結される。この連結状態において、
縦連結杆３はレール１２と本体側板１５との間に
支柱１１によつて形成される空間Ｓに位置し、棚
板２の移動時には該空間Ｓ内を揺動運動する。

また、上記側方固定部８は、長孔状係合部９を
有する１本のバー１６をレール１２同様前後の支
柱１１，１１間に架設してなり、該バー１６の長
孔状係合部９と縦連結杆３の長孔状第２係合部７
との交差部を移動ピン１０が挿通して抜け止めさ
れる。

しかして、上下１組の棚板２，２が第２図の如
く双方共収納状態の場合には、縦連結杆３は垂直
姿勢にある。そして、この状態では上下の棚板
２，２は夫々単独にて矢印Ｂの如く進退可能であ
る。いま、下側の棚板２を引出せば、縦連結杆３
は固定ピン４を支点として矢印Ｃ方向に揺動し、
固定ピン６及び移動ピン１０は第１図と第４図に
示す如く夫々の第１・第２係合部５，７の反対端
側に位置することとなる。さらに、移動ピン１０
は固定バー１６の長孔状係合部９の反対端に当接
する。即ち、該長孔状係合部９の前端９ａにより
棚板２，２の引出し量が決定される。次に、引出
されている下側の棚板２をそのままの状態として
上側の棚板２を矢印Ｅの如く引出すと、固定ピン
４は矢印E′の如く水平に移動しつつ縦連結杆３を
係合部９の前端９ａに当接している移動ピン１０
廻りに揺動させる。即ち、上側の棚板２を矢印Ｅ
方向に引出すにつれて下側の棚板２は矢印Ｆ方向
に後退し、最終的には第４図に仮想線で示す如く
全く入れ代わつた状態となる。同様に、第４図仮
想線の状態から下側の棚板２を引出せば、上側の
棚板２は収納庫本体１内へ後退する。このよう
に、上下１組の棚板２，２が双方共引出した状態
となることはない。

なお、縦連結杆３は棚板２，２に対して左右両
側に設けるも、あるいは片側のみに設けるも自由
である。また、側方固定部８として、固定バー１
６に代えて収納庫本体１の側板１５を利用し、該
側板１５に長孔状係合部９を形成するも好まし
い。さらに、縦連結杆３の第１及び第２係合部
５，７を連続した１つの長孔とするも自由であ
る。その他、本考案の要旨を逸脱しない範囲で設
計変更自由なことは勿論である。そして、本考案
は、薬品、書物、各種フアイル等の収納庫に、
又、各種工具等の物置棚に最適である。

本考案は以上詳述した構成にて所期目的を有効
に達成した。即ち、上下に隣り合う２枚の棚板
２，２を１組として、いずれか一方の棚板２を引
出せば、引出し状態にある他方の棚板２が後退し
て収納庫本体１内に収納されるように構成したか
ら、全棚板２…を引出した状態とすることはでき
ず、半数の棚板２…は収納状態となる。従つて、
荷重のバランスの崩れによる収納庫本体１の手前
側への倒れが防止され、安全である。さらに、一
方の棚板２の引出し操作によつて他方の棚板２が
自動的に後退するため、能率的であり操作性が良
い。しかも、基本的には引出し自在な上下の棚板
２，２を縦連結杆３で連結するだけであるから、
構造が簡単であり、部品点数も少なくすることが
でき、安価に製作可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す物品収納庫の
側面図、第２図は同要部の縦断側面図、第３図は
第２図におけるＡ−Ａ矢視断面図、第４図は動作
状態を示す要部の縦断側面図である。 １……収納庫本体、２……棚板、３……縦連結
杆、５……長孔状第１係合部、６……固定ピン、
７……長孔状第２係合部、８……側方固定部、９
……長孔状係合部、１０……移動ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 収納庫本体１に上下複数段の棚板２…を引出し
   自在に取付け、隣り合う２枚の棚板２，２を、一
   端が一方の該棚板２に前後方向揺動自在に枢着さ
   れると共に他端側の長孔状第１係合部５が他方の
   棚板２に固定ピン６にてスライド自在に枢着され
   る縦連結杆３により連結し、さらに、該連結杆３
   の略中間部に設けられた長手方向の長孔状第２係
   合部７を、２枚の上記棚板２，２間における上記
   収納庫本体１の側方固定部８に該第２係合部７と
   交差するように設けられた前後方向の長孔状係合
   部９に、該交差部において移動ピン１０により枢
   結して、２枚の上記棚板２，２を相互に又は単独
   にて平行に進退可能となしたことを特徴とする物
   品収納庫。