JPS6330554Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は養殖漁業とくに養鰻池に於ける水に一
定の流れと大量の溶存酸素を補給する養殖魚用の
撹水、散気装置に関するものである。

「従来の技術」 従来養鰻池に於て水に一定の流れと溶存酸素を
補給する装置としては、水面上にフロートを介し
て浮かせた水車を利用し、この水車の羽根で水を
掻いて水に一定の流れを作ると共に、羽根で水を
掻く時に同時に酸素を水に溶存させるいわゆる水
車式装置があり、この方式では流れにそつて同機
構の水車を数機配備して、養鰻池全体に循環水路
を作る方式である。その他散気装置自体として
は、ブロワーと散気筒によつて水に気泡を拡散混
入する装置等が一般に知られている。

「考案が解決しようとする問題点」 このように従来のこれら装置とくに水車式装置
では、羽根が水面を掻く瞬間に水をたたく音が生
じ、しかも羽根が水面から出る時には水を汲上
げ、この汲上げた水が水面に落ちザーという音が
生じる等して騒音が発生する。とくに温室風の養
鰻池では騒音がひどく、人間を初めとして養鰻そ
のものについても騒音公害であるとまでいわれる
ようになつてきた。その為に一部で羽根に透孔と
かその取付角度に工夫を施した装置も開発され、
かなり解消されたものの十分ではなくその改良が
望まれていた。また羽根車本体とモータ軸とが概
ね直結構造であるが為、羽根の振動等がモータ軸
に伝わり故障の原因となること、及び装置そのも
のが大型化すること。更には空気の混入とか流速
とかが今だ十分でない問題点があつた。

「問題点を解決するための手段」 上記の問題点を解決するために、本考案はモー
タ及び羽根車を配設してなるケーシング上面に多
数の空気吸込孔を設けると共に、その吸込んだ空
気を排出する空気排出孔を下面に設け、望ましく
はケーシング内に空気整流板を設け、このように
構成したケーシング下方に空気吸込路と軸室とを
設けた胴体を配し、この胴体の軸室にモータの出
力軸を挿設すると共に、空気吸込路を前記空気排
出孔と連通し、かつこの胴体の下端を曲折し、こ
の曲折胴体の軸室にプロペラを有するプロペラ軸
を軸架し、このプロペラ軸を前記出力軸と傘歯車
機構で連動し、モータを駆動源としてプロペラを
回転すると共に、モータを介して前記羽根車を回
転しケーシング内に空気を導入して、この空気を
空気吸込路に導き、その排出口よりプロペラ近傍
に空気を排出する構造の撹水、散気装置をフロー
トに取付けるようにしたものである。

「作用」 本考案の作用（作動）状態は、取付具２１を介
してフロート２２に取付け、例えば養鰻池に配備
する。ついでモータ４を駆動してその出力軸５を
回転させると、その先端に設けた傘歯車１５が回
転する。これによりこの傘歯車１５と噛合する傘
歯車１４，１４が回転して、プロペラ軸１３が回
転するので、その先端に設けたプロペラ１２が回
転して養鰻池の水を旋回し一定の渦状の水流をつ
くる。一方モータ４の駆動に伴つて羽根車６が同
時に回転し、ケーシング１の空気吸込孔２より空
気をケーシング１内に導入し、この空気は空気整
流板７に案内されケーシング１の内底面に導か
れ、その空気排出孔３より胴体１０の空気吸込路
８に至る。そして空気吸込路８の先端排気口１６
よりプロペラ１２の近傍に空気が拡散混入され、
水流にのつて水中に補給される。したがつて水に
一定の渦状の流れと新鮮な空気の補給が可能とな
り、しかも水中への空気の確実な拡散が可能とな
るのである。

「実施例」 本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

１は上面に多数の空気吸込孔２と、下面に空気
排出孔３とを有する箱形のケーシングで、このケ
ーシング１にはモータ４及びモータ４の出力軸５
の一方に設けた羽根車６が配設されていると共
に、ケーシング１内に発生する空気流を空気排出
孔３に導く空気整流板７が設けられている。そし
てこのケーシング１の下方には空気吸込路８と軸
室９とを並設した胴体１０が設けられており、こ
の胴体１０の軸室９にはモータ４の出力軸５の他
方が挿設されていると共に、空気吸込路８は空気
排出孔３に連通している。尚この胴体１０は下端
部において曲折されていて、この曲折胴体１０ａ
には先端にプロペラ１２を有するプロペラ軸１３
が水密状態に軸架されており、かつこのプロペラ
軸１３の後端には傘歯車１４，１４が固止されて
いる。そしてこの傘歯車１４，１４は出力軸５の
下端に固止された傘歯車１５と噛合するように構
成されている。尚この歯車伝動機構は一例であ
り、これらと同作動をする他の伝動機構でもよ
い。また空気吸込路８の先端排出口１６がプロペ
ラ１２の近傍に位置するようにしてある。その構
成としては、第１図のようにプロペラ軸１３に空
気孔１３ａを開設し、この空気孔１３ａを介して
排出口１６と空気吸込路８とを連通するもの、或
は第３図のように空気吸込路８を軸室９と分離さ
せ、空気吸込路８を曲折胴体１０ａに並設し、そ
の排出口１６を曲折胴体１０ａ先端に設け、もつ
てプロペラ１２近傍に位置させる。そうしてこの
場合は弁１７等を設けるとよい。図中１８，１９
はベアリング、２０はパツキングである。２１は
本考案の装置をフロート２２に取付けるための取
付具で、この実施例では取付具２１は胴体１０の
上方に固着した保持板２３と、この保持板２３の
自由端が枢着されるフツク部片２４ａ及び二叉部
片２４ｂを有する取付部２４とで構成されてお
り、例えばフロート２２に設けた固定板２５に取
付部２４のフツク部片２４ａを嵌着後蝶ねじ２６
で固定する。そして胴体１０の傾斜及びプロペラ
１２の浸漬位置を変更しようとするときは、蝶ね
じ２７を介して第１図の矢印の如く調節が可能で
あり、これにより水流と空気の混入を制御するこ
とができる。尚この取付具２１は一例でその他の
固定式取付機構でもよい。また図示しないがケー
シング１の上面にホースを装着し、温室外の空気
を空気吸込孔２を介してケーシング１内に導入す
ることも可能である。

「考案の効果」 本考案は以上詳述した構成とし、プロペラで水
流を作ると共に、空気を羽根車、空気吸込路等を
介してプロペラ近傍より小中へ補給するものであ
る故、従来の水車式装置により生ずるたたき音等
による騒音をかなり減少させることができ、騒音
公害による諸弊害を有効に防止できるし、溶存酸
素を確実に補給できる効果がある。またモータ、
出力軸、プロペラ等を垂直方向に配設してあるの
で、コンパクトになり場所をとらず養鰻池を有効
に利用できるし、モータに無理がかからず耐久性
が向上する。更に取付具を揺動可能とすれば水流
及び空気混入の広範囲の調整が可能である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は要部
断面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線横断面図、第
３図は空気吸込路と曲折胴体の関係を示す他の一
例断面図である。 １……ケーシング、２……空気吸込孔、３……
空気排出孔、４……モータ、５……出力軸、６…
…羽根車、８……空気吸込路、９……軸室、１０
……胴体、１０ａ……曲折胴体、１２……プロペ
ラ、１６……排出口、２１……取付具、２２……
フロート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. モータ及び羽根車を配設すると共に、空気吸込
   孔と空気排出孔とを開設してなるケーシングに胴
   体を設け、この胴体に空気吸込路と軸室とを設け
   てなり、この空気吸込路と前記空気排出孔とを連
   通すると共に、軸室に前記モータの出力軸を挿設
   し、かつこの空気吸込路と軸室とをその下端で曲
   折し、この曲折軸室に水密状に軸架された先端に
   プロペラを有するプロペラ軸と前記軸室の出力軸
   とを歯車機構等を介して連動させ、また空気吸込
   路の排出口をプロペラ近傍に位置させた前記胴体
   にフロート取付具を有する養殖魚用の撹水、散気
   装置。