JP2004275910A - 水中撹拌ばっ気装置 - Google Patents

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Masahisa Fukahori
賢久 深堀
Sunao Miyauchi
直 宮内
Akihiro Takahashi
晃裕 高橋
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Abstract

【課題】部品点数を削減した簡単な構造により水域の水を撹拌ばっ気して、その水質を改善することができる水中撹拌ばっ気装置を提供する。
【解決手段】縦軸水中モータ1と、縦軸方向の両端部2A,2Bを開口した下吐出ケーシング3と、この下吐出ケーシング3内に回転自在に収容され、かつ縦軸水中モータ1によって回転駆動されて、下吐出ケーシング3の上端部開口2Aから下端部開口2Bへの水の流れWを発生させる羽根車4とを備え、羽根車4の羽根11のチップ11Aに設けた出口13Bと羽根車ボス9の体内に設けた中空部12とを連通させる体内給気通路13が形成され、羽根車ボス9の中空部12に空気供給管6の出口が小さい隙間15を介して下側から挿入されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理場、農業集落排水処理場、産業排水処理場、無酸素槽、嫌気槽、流量調整槽などの水域の撹拌ばっ気に好適な水中撹拌ばっ気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、下水処理場、農業集落排水処理場、産業排水処理場、無酸素槽、嫌気槽、流量調整槽などの水域の水を撹拌ばっ気して、水質を改善するばっ気機能を備えた水中撹拌ばっ気装置として、図7に示すものが知られている。この水中撹拌ばっ気装置は、縦軸水中モータ1と、縦軸方向の両端部2A,2Bを開口した下吐出ケーシング3、つまり、上端部を開口2Aした吸込ケーシング3Aと下端部を開口2Bした吐出ケーシング3Bとからなる下吐出ケーシング3と、この下吐出ケーシング3内に回転自在に収容され、かつ縦軸水中モータ1によって回転駆動されて、下吐出ケーシング3の上端部開口2Aから下端部開口2Bへの水の流れWを発生させる羽根車4と、羽根車4の下側に設けた散気室5と、散気室5の内部に空気Aを供給する空気供給管6とを備え、散気室5の下端部円周方向に小さく開口して設けた散気口7を下吐出ケーシング3の下端部開口2Bに臨ませてある(たとえば、非特許文献1参照。)。
【0003】
前記構成の水中撹拌ばっ気装置によれば、該水中撹拌ばっ気装置を水域に設置した状態で、縦軸水中モータ1を起動して羽根車4を回転駆動すると、矢印Wで示すように、下吐出ケーシング3の上端部開口2Aから吸い込まれて下端部開口2Bから吐出される下向きの水の流れが発生する。一方、空気供給管6から供給された空気は、矢印Aで示すように散気室5から散気口7を経て吐出ケーシング3B内に散気され、前記下向きの水の流れWに混入して気水混合流体(気泡)A・Wが生成される。この気水混合流体A・Wが吐出ケーシング3Bの下端部開口2Bから水域に吐出される。その結果、水域の水を撹拌・ばっ気して、水質を改善することができる。
【0004】
【非特許文献1】
新明和 水中エアレータ 総合カタログ
ShinMaywa ONO PLANT、2002年1月発行、第8頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の水中撹拌ばっ気装置は、下吐出ケーシング3における吐出ケーシング3B内に、空気供給管6によって供給された空気を散気させる散気室5を設けているので、それだけ部品点数が多くなるとともに、構造が複雑になる問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、部品点数を削減した簡単な構造により水域の水を撹拌ばっ気して、その水質を改善することができる水中撹拌ばっ気装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、原動機と、軸方向の両端部を開口したケーシングと、このケーシング内に回転自在に収容され、かつ前記原動機によって回転駆動されて前記ケーシングの軸方向一端部開口から他端部開口への水の流れを発生させる羽根車と、この羽根車の羽根に設けた出口と羽根車ボスの中空部に開口する入口とを連通させる体内給気通路と、前記羽根車ボスの中空部に空気を供給する空気供給管とを備えていることを特徴としている。
【0008】
また、前記ケーシングの内面に前記羽根車の羽根のチップを接近して対応させ、このチップに体内給気通路の出口を設けることが好ましい。
【0009】
さらに、前記体内給気通路の出口を羽根車の負圧面側に設けてもよい。
【0010】
また、前記羽根車ボスの中空部に空気供給管の給気を前記中空部に吸い込みかつ該中空部から体内給気通路に押し込む給気促進羽根を設けることが好ましい。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、水中撹拌ばっ気装置を水域に設置した状態で、原動機を起動して羽根車を回転駆動すると、ケーシングの一端部開口から吸い込まれて他端部開口から吐出される水の流れが発生する。一方、空気供給管から供給された空気は、羽根車ボスの中空部から体内給気通路を経て羽根車の羽根に設けた出口からケーシング内に散気され、前記ケーシング内を流動する水の流れに混入して気水混合流体が生成される。この気水混合流体がケーシングの他端部開口から水域に吐出されて、水域の水を撹拌・ばっ気することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、ケーシングの内面に羽根のチップに設けた体内給気通路の出口が接近して設けられていることにより、出口から散気された空気がケーシングの内面に衝突することで微細な気泡を発生させることができる。所定体積の気泡の表面積は気泡の微細化に比例して大きくなり、表面積が大きくなることで酸素の溶け込み作用を高めることができる。また、気泡径が小さいと水中での気泡の滞留時間が長くなり、溶け込み作用を高める。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、体内給気通路の出口が羽根車の負圧面側に設けられていることにより、負圧による空気の吸引作用が生じて体内給気通路の出口からの散気が促進される。これにより、空気供給管への空気の押込み圧を低く抑えることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、羽根車ボスとともに給気促進羽根が回転することにより、空気供給管の給気を羽根車ボスの中空部に吸い込みかつ吸い込んだ空気を体内給気通路に押し込んで、体内給気通路の出口からの散気が促進される。これにより、空気供給管への空気の押込み圧を低く抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す縦断側面図、図2は図1のX−X線拡大断面図である。なお、前記図7の従来例と同一もしくは相当部分には、同一符号を付して説明する。
【0016】
図1および図2において、水中撹拌ばっ気装置は、縦軸水中モータ1と、縦軸方向の両端部2A,2Bを開口した下吐出ケーシング3と、この下吐出ケーシング3内に回転自在に収容され、かつ縦軸水中モータ1によって回転駆動されて、下吐出ケーシング3の上端部開口2Aから下端部開口2Bへの水の流れWを発生させる羽根車4とを備え、縦軸水中モータ1は案内羽根8を介して下吐出ケーシング3の内部に取付けられている。
【0017】
羽根車4は、図示されている軸流羽根車または高比速度の軸斜流羽根車によってなり、その羽根車ボス9がモータ軸10に同時回転可能に取付けられているとともに、複数枚の羽根11,11…を備え、これら羽根11,11…のチップ11Aを下吐出ケーシング3の内面に接近させてある。
【0018】
一方、羽根車ボス9の体内に下向きに開放した中空部12が設けられ、この中空部12に開口する入口13Aと複数の羽根11,11…それぞれのチップ11Aに設けた出口13Bとを連通させる体内給気通路13が羽根車ボス9と羽根11,11…の内部に形成されている。これにより、下吐出ケーシング3の内面に羽根11,11…のチップ11Aに設けた体内給気通路13の出口13Bが接近することになる。
【0019】
他方、羽根車ボス9の中空部12に空気供給管6の出口が小さい隙間15を介して下側から挿入されており、この空気供給管6の入口(図示省略)は大気に開放されるかまたは図示していない高圧空気供給手段に接続してある。なお、図中16は支持板を示し、水域17の底18に立設されて下吐出ケーシング3を支持している。
【0020】
前記構成によれば、水域17に設置した状態で、縦軸水中モータ1を起動して羽根車4を回転駆動すると、矢印Wで示すように、下吐出ケーシング3の上端部開口2Aから吸い込まれて下端部開口2Bから吐出される下向きの水の流れが発生する。一方、空気供給管6から供給された空気は、矢印Aで示すように羽根車ボス9の中空部12から体内給気通路13を経て羽根車4の羽根11,11…それぞれのチップ11Aに設けた出口13Bから下吐出ケーシング3内に散気され、下吐出ケーシング3内を流動する水の流れWに混入して気水混合流体(気泡)A・Wが生成される。この気水混合流体A・Wが下吐出ケーシング3の下端部開口2Bから水域17に吐出されて、水域17の水を撹拌・ばっ気して、水質を改善することができる。すなわち、従来の水中撹拌ばっ気装置で必要とされていた散気室5(図7参照)を不要にして部品点数を削減した簡単な構造により水域17の水を撹拌ばっ気して、その水質を改善することができる。
【0021】
一方、下吐出ケーシング3の内面に羽根11,11…のチップ11Aを接近して対応させ、このチップ11Aに体内給気通路13の出口13Bが設けられていることにより、出口13Bから散気された空気Aが下吐出ケーシング3の内面に衝突することで微細な気泡を発生させることができ、微細化により水中での気泡の滞留時間が長くなるとともに、所定体積の気泡の表面積は気泡の微細化に比例して大きくなり、表面積が大きくなることで酸素の溶け込み作用を高めることができるので、ばっ気性能をより一層向上させることが可能になる。なお、羽根11,11…および体内給気通路13の出口13Bの形状を図3のようにしても前記実施の形態と同じ作用・効果を奏することができる。
【0022】
また、図4および図5に示すように、体内給気通路13の出口13Bを羽根車11の負圧面側に設けてもよい。このように構成することで、負圧による空気Aの吸引作用が生じて体内給気通路13の出口13Bからの散気が促進される。これにより、空気供給管6の入口を大気に開放して、大気圧により羽根車ボス9の中空部12へ空気を自給する構造であれば、羽根車ボス9の中空部12への空気の自給可能な水深を大きくする作用が生じる。また、空気供給管6の入口を前記高圧空気供給手段に接続して、羽根車ボス9の中空部12へ空気を圧送する構造であれば、空気供給管6への空気の押込み圧を低く抑えて、圧送能力の小さい小型の高圧空気供給手段を使用することができる。
【0023】
さらに、図2に示すように、羽根車ボス9の中空部12に空気供給管6の給気を中空部12に吸い込みかつ該中空部12から体内給気通路13に押し込む機能を有する給気促進羽根19,19…を設けてもよい。このように構成することで、羽根車ボス9とともに給気促進羽根19,19…が回転することにより、空気供給管6の給気を羽根車ボス9の中空部12に吸い込みかつ吸い込んだ空気を体内給気通路13に押し込んで、体内給気通路13の出口13Aからの散気を促進することができる。これにより、空気供給管6の入口を大気に開放して、大気圧により羽根車ボス9の中空部12へ空気を自給する構造であれば、羽根車ボス9の中空部12への空気の自給可能な水深を大きくする作用が生じる。また、空気供給管6の入口を前記高圧空気供給手段に接続して、羽根車ボス9の中空部12へ空気を圧送する構造であれば、空気供給管6への空気の押込み圧を低く抑えて、圧送能力の小さい小型の高圧空気供給手段を使用することができる。
【0024】
なお、前記実施の形態では、空気供給管6の出口を、小さい隙間15を介して下側から羽根車ボス9の中空部12に挿入した構造で説明しているが、図6に示すように、中空モータ軸10を空気供給管6として機能させるとともに、羽根車ボス9の先端部を閉塞することで、前記実施の形態で説明した空気供給管6を省略して、より一層、構造を簡単にすることができる。
【0025】
また、複数の羽根11,11…それぞれのチップ11Aに体内給気通路13の出口13Bを設けた構造で説明しているが、最低限1または2つの羽根11,11のチップ11Aにのみ体内給気通路13の出口13Bを設けた構造であってもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る水中撹拌ばっ気装置は構成されているので、以下のような格別の効果を奏する。
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、従来の水中撹拌ばっ気装置で必要とされていた散気室を不要にして部品点数を削減した簡単な構造により水域の水を撹拌ばっ気して、その水質を改善することができる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、ケーシングの内面に接近して対応している羽根のチップに設けた体内給気通路の出口から散気された空気がケーシングの内面に衝突することで、微細な気泡が発生して、酸素の溶け込み作用が高められるので、ばっ気性能をより一層向上させることができる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、負圧による空気の吸引作用が生じて体内給気通路の出口からの散気が促進され、空気供給管への空気の押込み圧を低く抑えて、圧送能力の小さい小型の高圧空気供給手段を使用することができる。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、空気供給管の給気を羽根車ボスの中空部に吸い込みかつ吸い込んだ空気を体内給気通路に押し込んで、体内給気通路の出口からの散気が促進され、空気供給管への空気の押込み圧を低く抑えて、圧送能力の小さい小型の高圧空気供給手段を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す縦断側面図である。
【図2】図1のX−X線拡大断面図である。
【図3】羽根の他の例を示すチップ側から見た説明図である。
【図4】請求項3に記載の発明の一実施の形態を示す断面図である。
【図5】図4の変形例を示す断面図である。
【図6】空気供給管の他の実施の形態を示す側面図である。
【図7】従来例を一部断面にして示す斜視図である。
【符号の説明】
1 水中モータ(原動機)
3 ケーシング
3A ケーシングの一端部開口
3A ケーシングの他端部開口
4 羽根車
6 空気供給管
9 羽根車ボス
11 羽根車の羽根
11A 羽根車の羽根のチップ
12 羽根車ボスの中空部
13 体内給気通路
13A 体内給気通路の入口
13B 体内給気通路の出口
19 給気促進羽根

Claims (4)

  1. 原動機と、軸方向の両端部を開口したケーシングと、このケーシング内に回転自在に収容され、かつ前記原動機によって回転駆動されて前記ケーシングの軸方向一端部開口から他端部開口への水の流れを発生させる羽根車と、この羽根車の羽根に設けた出口と羽根車ボスの中空部に開口する入口とを連通させる体内給気通路と、前記羽根車ボスの中空部に空気を供給する空気供給管とを備えていることを特徴とする水中撹拌ばっ気装置。
  2. 前記ケーシングの内面に前記羽根車の羽根のチップを接近して対応させ、このチップに体内給気通路の出口が設けられている請求項1に記載の水中撹拌ばっ気装置。
  3. 前記体内給気通路の出口が羽根車の負圧面側に設けられている請求項1または請求項2のいずれかに記載の水中撹拌ばっ気装置。
  4. 前記羽根車ボスの中空部に空気供給管の給気を前記中空部に吸い込みかつ該中空部から体内給気通路に押し込む給気促進羽根を設けてある請求項1、請求項2または請求項3のいずれかに記載の水中撹拌ばっ気装置。
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