JPS63303037A - 鏡面仕上げ性に優れた硬質耐食合金 - Google Patents
鏡面仕上げ性に優れた硬質耐食合金Info
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
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Description
(産業上の利用分野)
本発明はFe基耐食合金に係り、特に鏡面仕上げ性に優
れた時効硬化型のFe基耐食合金に関するものである。 (従来の技術及び解決しようとする問題点)近年、光デ
ィスクやプラスチックレンズなどの普及に伴って、これ
らを樹脂から成形すると同時に平滑で光沢のある表面を
得るための鏡面仕上げ性に優れた樹脂成形金型材料のニ
ーズが急増してきている。 従来より、この種の鏡面仕上げ用金型材料としては、1
3Crマルテンサイト系ステンレス鋼。 マルエージング鋼などが用いられている。 しかし、前者の13Crマルテンサイト系ステンレス鋼
の場合には、Cを含むため、金型を製造する際の熱処理
時に寸法変化が生じ易く、また製造された金型で樹脂成
形すると金型表面の粗大析出相である炭化物が樹脂に転
写され、鏡面仕上げ性が劣るという問題がある。そこで
、この問題を解決するため、得られた金型表面にCVD
法でTiNをコーティングする方法が試みられているが
、母材とコーティング層の境界部に歪が発生してコーテ
ィング層が剥離するという問題があり、更にはコーティ
ング処理費が高くついてコスト高になる等の欠点がある
。 一方、後者のマルエージング鋼の場合には、得られた金
型に炭化物を含まないため、鏡面仕上げ性に優位性を備
えてはいるものの、硬さが充分でなく、また加熱された
樹脂から発生する腐食ガスに対する耐食性が不足すると
いう問題がある。 このように、いずれの金型材料も鏡面仕上げ性、耐食性
等々の所要の特性を充分備えた材料とは云い難く、或い
は特殊な表面処理を必要とするなど製造コスト上の問題
もある。 本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、コーティング
処理等の表面処理を必要とせず、表面に炭化物等の粗大
析出相を含まないで優れた鏡面仕上げ性を有し、しかも
硬質で耐食性も優れている新規な合金を提供することを
目的とするものである。 (問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するため、本発明者は、従来の炭化物(
セメントタイト、クロムカーバイド等)析出による硬質
化機構ではコーティング処理しなければ鏡面仕上げ性を
確保できないことに鑑みて。 時効硬化型の合金とし、しかし、従来の時効硬化型とは
異なる機構により硬度及び耐食性ともに充分に備えた合
金を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、Moのクラスタ
ー化により合金を硬質化でき、かつ、優れた鏡面仕上げ
性と共に耐食性を充分兼ね備え得る時効硬化型のFe基
合金を見い出すに至り、ここに本発明をなしたものであ
る。 すなわち、本発明は1Mo:2〜22%、Cr:2〜1
9%及びGo:2〜48%を含み、残部が実質的にFe
からなる組成において、COの含有量の1部を7210
%及びMn510%の1種又は2種で置換してなり、か
つ、各元素の含有量として、第1図に示すMo+Cr量
(横軸)とGo+V+Mn量(縦軸)が斜線部類域内に
あり、第2図に示すM。 量(横軸)とCr量(縦軸)が斜線部類域内にあるよう
に調整してなることを特徴とする鏡面仕上げ性に優れた
硬質耐食合金を要旨とするものである。 以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。 まず、本発明合金における各成分の作用について説明す
る。なお、各成分とも後述の適量範囲内においてその固
有な作用を発揮するものであることは云うまでもない。 Moは、本発明においてクラスター化による硬化機構を
活用するために最も重要な成分であって。 溶体化処理後の時効によりMOの原子同志が集合してク
ラスターを形成するが、Moのクラスターのサイズ及び
平均間隔は非常に微細であるため、クラスターによる周
期的格子歪によって合金を硬質化させることができる。 この機構は、第3図に図解するように、鉄(Fe)の格
子面にMo原子を集団的に配列させて周期的な格子歪を
作るもので、例えば10個のFe原子毎にその格子面に
多数のMo原子の集合体が形成されている。このような
作用を得るためには少なくとも2%以上のMoが必要で
ある。しかし、22%を超えると高温でも合金を塑性加
工できなくなる。なお、このクラスター化はCr等のM
o以外の異種原子が必要以上に増加するとFe原子とM
o原子との反発が弱められ、硬化機構の作用が低下する
ので、後述の如く他の添加元素との関連で更にその含有
量が規制されるものである。 Crは上記硬化機構においてMoのクラスターにて前記
集合体であるMo原子の一部と置換する傾向を有し、M
oと共に硬化機構を発揮する主要な成分であり、しかも
合金の耐食性を改善する作用もある。これらの作用のた
めには少なくとも2%以上のCrを必要とするが、19
%を超えると熱間加工性が悪化する。 また、CoはMoのクラスターの形成を促進する作用が
あり、また熱間加工性を良好にするのに効果がある。そ
のためには少なくとも2%以上のGoが必要であるが、
48%を超えると硬化作用が弱まる。 ■も、Coと同様、Moクラスターの形成を促進させる
作用があり、更には硝酸などの酸化性酸に対する耐食性
を改善するのに効果がある。Mnは脱酸剤として介在物
の除去に有効な元素であり、またCoや■と同様、MO
のクラスターの形成を促進させる作用がある。このよう
にV及びMnはCOと同様、Moのクラスターの形成を
促進させる作用があるので、Coの一部をV及びMnの
少なくとも1種で置換することができる。その場合、熱
間加工性を考慮してV量及びMn量とも10%以下の範
囲とする。 したがって、Moのクラスターによる硬化機構を有効に
機能し、更に熱間加工性、耐食性、脱酸作用等を必要限
度で得るためには、MoのほかCr及びCoを適量で含
有させると共にGoの一部をV及びMnの少なくとも1
種で置換させて適量で含有させるのがよい。 但し、上記作用を有するMo、Cr、Go、V及びMn
の含有量は、本発明者の研究によれば、第1図及び第2
図に示す斜線部領域内に属するように規制し調整する必
要があることが判明した。 すなわち、第1図は硬化機構の主要成分であるMo+C
r量(横軸)と硬化を促進させる成分であるGo+V+
Mn量(縦軸)の関係を示したものである。 同図中、領域A(斜線部)はa(4%、48%)、b(
4%、24%)、c(15%、2%)、d(24%、1
6%)e(24%、30%)、f(18%、30%)及
びg(12%、48%)の各点を順次結ぶ線で囲まれた
領域で1本発明範囲内の組成であることを示している。 この領域A内の成分量であれば、熱間加工が可能であり
、時効によりビッカース硬度(mHv)で550以上に
硬化する。したがって、鏡面仕上げ性が優れていること
は云うまでもない。 図示のように、領域Aにおいては、特に、硬化を促進さ
せる元素であるGo、V、Mnの添加量が20%以上の
如く増加すると、Mo及びCrが少量でも硬質合金を得
ることができる。 しかし、領域Bでは、Mo+Cr量が少なく、シかもG
o+V+Mn量も少ないためにクラスターが充分に形成
されず、硬度550未満で合金が硬質化しない、またG
o+V+Mn量が少ない場合でも、領域CではMo+C
r量が多すぎるため、高温でσ相、μ相などが形成され
易くなり、脆くなって熱間圧延など熱間加工が不可能と
なる。 一方、領域りのように、Co+V+Mn量が多すぎても
硬度が550未満に低下する領域が存在する。これは、
CrやC01V、Mn等のMo以外の異種原子が増加す
ることによりFe原子とMo原子との反発が弱まり、熱
力学的にMo、Crのクラスターが減少し或いは生じな
い組成になっているものと推定される。 第2図は硬化機構の主要成分であるMo量(横軸)とC
r量(縦軸)の関係を示したものである。図中、斜線部
はh(2%、19%)、i(2%、11%)、j(10
%、2%)及びk(22%、2%)の各点を順次結ぶ線
で囲まれた領域で、本発明範囲内の組成であることを示
している。第1図に示したように、MoとCrとの合計
量が24%を超えると(領域C)、熱間加工が不可能と
なるため、MoとCrの合計量は24%以下とする必要
がある。しかし、Mo、Cr量があまり少ないと硬化作
用がないので、それぞれ2%以上とするが、合計量が第
1図に示した領域A内にあるようにすることは云うまで
もない。 上記化学成分を有する本発明合金は1通常は、常法によ
り溶解、鋳造し、均質化焼鈍、熱間圧延等の熱間加工を
行って素材を製造し、次いで溶体化処理を施した後、所
望の寸法、形状の製品に塑性加工を行う、その場合、溶
体化処理状態では塑性加工が容易であり、その後、時効
により硬質化するので成形加工に支障はない、特に、組
織的には粗大な析出相を含まない状態で硬質化されるの
で、金型材料に用いた場合、表面粗度3/1000μ−
を達成でき、優れた鏡面仕上げ性が得られる。このため
、光ディスクなどの樹脂成形に高性能を発揮する金型を
得ることが可能である。勿論、本発明合金は金型材料用
だけではなく、その特性を活かしてプラスチック射出成
形機のシリンダー。 スクリューなどの各種部材に適用可能である。 また、本発明合金は上述の鋳造合金としての利用態様の
みならず、粉末冶金法による硬質焼結合金としても利用
可能であって、例えば、溶融状態よりアトマイズ法を用
いて粉末(アトマイズ粉)を製造し、これを焼結法によ
り成形した後、溶体化処理を施すならば、結晶粒が微細
な硬質焼結合金が得られるし、更に、アトマイズ粉にW
C,TiC,TiB、などの硬質粒子を混合し、焼結す
れば、超硬質耐摩耗合金が得られる。 次に本発明の実施例を示す。 (実施例) 第1表及び第2表に示す化学成分(at%)を有する合
金を溶製、鋳造し、鋳塊に1250℃X5hrの均質化
焼鈍を施した後、1250〜1000℃の温度で熱間圧
延を行った。 熱間圧延後、1250℃×20■inの溶体化処理を施
し、500℃X7hrの時効処理を施して供試合金とし
た。 各供試合金について時効硬さくmHv)を測定すると共
に加工性を調べた。それらの結果を第1表及び第2表に
併記する。なお、加工性は熱間圧延時に割れが発生した
かどうかにより評価し、表中のx印は割れが発生した場
合を表わし、無印は割れの発生がなかったことを表して
いる。 第1表及び第2表から明らかなとおり、本発明合金&1
7〜&31はいずれも充分な硬さを有すると共に熱間圧
延で割れが発生せず、良好な加工性を有している。 これに対し、比較合金N111〜&16は硬さが不充分
であるか或いは加工性が劣っている。特にNa1〜&4
は第1図の領域Bに属する組成のため、硬質化が不充分
であり、Na5〜Nα8は領域Cに属する組成を有する
ため、熱間圧延が不可能であった。また、N119〜&
12は領域りに属する組成を有し、硬質化が不充分であ
る。Nα13は第2図に示したMoとCrの関係を満足
しないため、硬質化が不充分である。Na14はMn量
が多すぎ、Nα15はV+Mn量が多すぎるため、それ
ぞれ熱間圧延性が劣化している。また翫16は硬さは充
分であるが、Crが含まれていない。 次に、第2表に示した本発明合金のうち、Ha19〜&
22の4種類の合金について、50℃、h%H(l溶液
を用いて耐食テストを実施した。 その結果を第3表に示す、なお、比較のため、プラスチ
ック成形金型材料として用いられている従来材の13C
rマルテンサイト系ステンレス鋼(&32)とマルエー
ジング鋼(&33)、並びに第1表に示した比較合金&
16についても同様の腐食テストを実施した。 第3表から明らかなとおり1本発明合金はいずれも優秀
な耐食性を有しているのに対し、従来材の&32及び&
33はいずれも耐食性が劣り、また比較合金&16はC
rが含まれていないために耐食性が充分とは云えない。
れた時効硬化型のFe基耐食合金に関するものである。 (従来の技術及び解決しようとする問題点)近年、光デ
ィスクやプラスチックレンズなどの普及に伴って、これ
らを樹脂から成形すると同時に平滑で光沢のある表面を
得るための鏡面仕上げ性に優れた樹脂成形金型材料のニ
ーズが急増してきている。 従来より、この種の鏡面仕上げ用金型材料としては、1
3Crマルテンサイト系ステンレス鋼。 マルエージング鋼などが用いられている。 しかし、前者の13Crマルテンサイト系ステンレス鋼
の場合には、Cを含むため、金型を製造する際の熱処理
時に寸法変化が生じ易く、また製造された金型で樹脂成
形すると金型表面の粗大析出相である炭化物が樹脂に転
写され、鏡面仕上げ性が劣るという問題がある。そこで
、この問題を解決するため、得られた金型表面にCVD
法でTiNをコーティングする方法が試みられているが
、母材とコーティング層の境界部に歪が発生してコーテ
ィング層が剥離するという問題があり、更にはコーティ
ング処理費が高くついてコスト高になる等の欠点がある
。 一方、後者のマルエージング鋼の場合には、得られた金
型に炭化物を含まないため、鏡面仕上げ性に優位性を備
えてはいるものの、硬さが充分でなく、また加熱された
樹脂から発生する腐食ガスに対する耐食性が不足すると
いう問題がある。 このように、いずれの金型材料も鏡面仕上げ性、耐食性
等々の所要の特性を充分備えた材料とは云い難く、或い
は特殊な表面処理を必要とするなど製造コスト上の問題
もある。 本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、コーティング
処理等の表面処理を必要とせず、表面に炭化物等の粗大
析出相を含まないで優れた鏡面仕上げ性を有し、しかも
硬質で耐食性も優れている新規な合金を提供することを
目的とするものである。 (問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するため、本発明者は、従来の炭化物(
セメントタイト、クロムカーバイド等)析出による硬質
化機構ではコーティング処理しなければ鏡面仕上げ性を
確保できないことに鑑みて。 時効硬化型の合金とし、しかし、従来の時効硬化型とは
異なる機構により硬度及び耐食性ともに充分に備えた合
金を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、Moのクラスタ
ー化により合金を硬質化でき、かつ、優れた鏡面仕上げ
性と共に耐食性を充分兼ね備え得る時効硬化型のFe基
合金を見い出すに至り、ここに本発明をなしたものであ
る。 すなわち、本発明は1Mo:2〜22%、Cr:2〜1
9%及びGo:2〜48%を含み、残部が実質的にFe
からなる組成において、COの含有量の1部を7210
%及びMn510%の1種又は2種で置換してなり、か
つ、各元素の含有量として、第1図に示すMo+Cr量
(横軸)とGo+V+Mn量(縦軸)が斜線部類域内に
あり、第2図に示すM。 量(横軸)とCr量(縦軸)が斜線部類域内にあるよう
に調整してなることを特徴とする鏡面仕上げ性に優れた
硬質耐食合金を要旨とするものである。 以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。 まず、本発明合金における各成分の作用について説明す
る。なお、各成分とも後述の適量範囲内においてその固
有な作用を発揮するものであることは云うまでもない。 Moは、本発明においてクラスター化による硬化機構を
活用するために最も重要な成分であって。 溶体化処理後の時効によりMOの原子同志が集合してク
ラスターを形成するが、Moのクラスターのサイズ及び
平均間隔は非常に微細であるため、クラスターによる周
期的格子歪によって合金を硬質化させることができる。 この機構は、第3図に図解するように、鉄(Fe)の格
子面にMo原子を集団的に配列させて周期的な格子歪を
作るもので、例えば10個のFe原子毎にその格子面に
多数のMo原子の集合体が形成されている。このような
作用を得るためには少なくとも2%以上のMoが必要で
ある。しかし、22%を超えると高温でも合金を塑性加
工できなくなる。なお、このクラスター化はCr等のM
o以外の異種原子が必要以上に増加するとFe原子とM
o原子との反発が弱められ、硬化機構の作用が低下する
ので、後述の如く他の添加元素との関連で更にその含有
量が規制されるものである。 Crは上記硬化機構においてMoのクラスターにて前記
集合体であるMo原子の一部と置換する傾向を有し、M
oと共に硬化機構を発揮する主要な成分であり、しかも
合金の耐食性を改善する作用もある。これらの作用のた
めには少なくとも2%以上のCrを必要とするが、19
%を超えると熱間加工性が悪化する。 また、CoはMoのクラスターの形成を促進する作用が
あり、また熱間加工性を良好にするのに効果がある。そ
のためには少なくとも2%以上のGoが必要であるが、
48%を超えると硬化作用が弱まる。 ■も、Coと同様、Moクラスターの形成を促進させる
作用があり、更には硝酸などの酸化性酸に対する耐食性
を改善するのに効果がある。Mnは脱酸剤として介在物
の除去に有効な元素であり、またCoや■と同様、MO
のクラスターの形成を促進させる作用がある。このよう
にV及びMnはCOと同様、Moのクラスターの形成を
促進させる作用があるので、Coの一部をV及びMnの
少なくとも1種で置換することができる。その場合、熱
間加工性を考慮してV量及びMn量とも10%以下の範
囲とする。 したがって、Moのクラスターによる硬化機構を有効に
機能し、更に熱間加工性、耐食性、脱酸作用等を必要限
度で得るためには、MoのほかCr及びCoを適量で含
有させると共にGoの一部をV及びMnの少なくとも1
種で置換させて適量で含有させるのがよい。 但し、上記作用を有するMo、Cr、Go、V及びMn
の含有量は、本発明者の研究によれば、第1図及び第2
図に示す斜線部領域内に属するように規制し調整する必
要があることが判明した。 すなわち、第1図は硬化機構の主要成分であるMo+C
r量(横軸)と硬化を促進させる成分であるGo+V+
Mn量(縦軸)の関係を示したものである。 同図中、領域A(斜線部)はa(4%、48%)、b(
4%、24%)、c(15%、2%)、d(24%、1
6%)e(24%、30%)、f(18%、30%)及
びg(12%、48%)の各点を順次結ぶ線で囲まれた
領域で1本発明範囲内の組成であることを示している。 この領域A内の成分量であれば、熱間加工が可能であり
、時効によりビッカース硬度(mHv)で550以上に
硬化する。したがって、鏡面仕上げ性が優れていること
は云うまでもない。 図示のように、領域Aにおいては、特に、硬化を促進さ
せる元素であるGo、V、Mnの添加量が20%以上の
如く増加すると、Mo及びCrが少量でも硬質合金を得
ることができる。 しかし、領域Bでは、Mo+Cr量が少なく、シかもG
o+V+Mn量も少ないためにクラスターが充分に形成
されず、硬度550未満で合金が硬質化しない、またG
o+V+Mn量が少ない場合でも、領域CではMo+C
r量が多すぎるため、高温でσ相、μ相などが形成され
易くなり、脆くなって熱間圧延など熱間加工が不可能と
なる。 一方、領域りのように、Co+V+Mn量が多すぎても
硬度が550未満に低下する領域が存在する。これは、
CrやC01V、Mn等のMo以外の異種原子が増加す
ることによりFe原子とMo原子との反発が弱まり、熱
力学的にMo、Crのクラスターが減少し或いは生じな
い組成になっているものと推定される。 第2図は硬化機構の主要成分であるMo量(横軸)とC
r量(縦軸)の関係を示したものである。図中、斜線部
はh(2%、19%)、i(2%、11%)、j(10
%、2%)及びk(22%、2%)の各点を順次結ぶ線
で囲まれた領域で、本発明範囲内の組成であることを示
している。第1図に示したように、MoとCrとの合計
量が24%を超えると(領域C)、熱間加工が不可能と
なるため、MoとCrの合計量は24%以下とする必要
がある。しかし、Mo、Cr量があまり少ないと硬化作
用がないので、それぞれ2%以上とするが、合計量が第
1図に示した領域A内にあるようにすることは云うまで
もない。 上記化学成分を有する本発明合金は1通常は、常法によ
り溶解、鋳造し、均質化焼鈍、熱間圧延等の熱間加工を
行って素材を製造し、次いで溶体化処理を施した後、所
望の寸法、形状の製品に塑性加工を行う、その場合、溶
体化処理状態では塑性加工が容易であり、その後、時効
により硬質化するので成形加工に支障はない、特に、組
織的には粗大な析出相を含まない状態で硬質化されるの
で、金型材料に用いた場合、表面粗度3/1000μ−
を達成でき、優れた鏡面仕上げ性が得られる。このため
、光ディスクなどの樹脂成形に高性能を発揮する金型を
得ることが可能である。勿論、本発明合金は金型材料用
だけではなく、その特性を活かしてプラスチック射出成
形機のシリンダー。 スクリューなどの各種部材に適用可能である。 また、本発明合金は上述の鋳造合金としての利用態様の
みならず、粉末冶金法による硬質焼結合金としても利用
可能であって、例えば、溶融状態よりアトマイズ法を用
いて粉末(アトマイズ粉)を製造し、これを焼結法によ
り成形した後、溶体化処理を施すならば、結晶粒が微細
な硬質焼結合金が得られるし、更に、アトマイズ粉にW
C,TiC,TiB、などの硬質粒子を混合し、焼結す
れば、超硬質耐摩耗合金が得られる。 次に本発明の実施例を示す。 (実施例) 第1表及び第2表に示す化学成分(at%)を有する合
金を溶製、鋳造し、鋳塊に1250℃X5hrの均質化
焼鈍を施した後、1250〜1000℃の温度で熱間圧
延を行った。 熱間圧延後、1250℃×20■inの溶体化処理を施
し、500℃X7hrの時効処理を施して供試合金とし
た。 各供試合金について時効硬さくmHv)を測定すると共
に加工性を調べた。それらの結果を第1表及び第2表に
併記する。なお、加工性は熱間圧延時に割れが発生した
かどうかにより評価し、表中のx印は割れが発生した場
合を表わし、無印は割れの発生がなかったことを表して
いる。 第1表及び第2表から明らかなとおり、本発明合金&1
7〜&31はいずれも充分な硬さを有すると共に熱間圧
延で割れが発生せず、良好な加工性を有している。 これに対し、比較合金N111〜&16は硬さが不充分
であるか或いは加工性が劣っている。特にNa1〜&4
は第1図の領域Bに属する組成のため、硬質化が不充分
であり、Na5〜Nα8は領域Cに属する組成を有する
ため、熱間圧延が不可能であった。また、N119〜&
12は領域りに属する組成を有し、硬質化が不充分であ
る。Nα13は第2図に示したMoとCrの関係を満足
しないため、硬質化が不充分である。Na14はMn量
が多すぎ、Nα15はV+Mn量が多すぎるため、それ
ぞれ熱間圧延性が劣化している。また翫16は硬さは充
分であるが、Crが含まれていない。 次に、第2表に示した本発明合金のうち、Ha19〜&
22の4種類の合金について、50℃、h%H(l溶液
を用いて耐食テストを実施した。 その結果を第3表に示す、なお、比較のため、プラスチ
ック成形金型材料として用いられている従来材の13C
rマルテンサイト系ステンレス鋼(&32)とマルエー
ジング鋼(&33)、並びに第1表に示した比較合金&
16についても同様の腐食テストを実施した。 第3表から明らかなとおり1本発明合金はいずれも優秀
な耐食性を有しているのに対し、従来材の&32及び&
33はいずれも耐食性が劣り、また比較合金&16はC
rが含まれていないために耐食性が充分とは云えない。
(発明の効果)
以上詳述したように、本発明によれば、従来の炭化物析
出による硬化機構に代え1時効によりMOのクラスター
を形成して硬化する硬化機構を利用するべく化学成分を
調整したので1時効処理前の状態では塑性加工が容易で
あり、時効処理により充分な硬さを付与でき、したがっ
て、粗大な析出相を含まないで硬質化されるので優れた
鏡面仕上げ性を有し、しかも耐食性の優れた合金を提供
することができる。特に光ディスク、プラスチックレン
ズなどの樹脂成形金型材料に好適である。 また、鋳造合金としてだけでなく、粉末冶金法により硬
質焼結合金又は超硬質耐摩耗合金としても利用すること
が可能である。
出による硬化機構に代え1時効によりMOのクラスター
を形成して硬化する硬化機構を利用するべく化学成分を
調整したので1時効処理前の状態では塑性加工が容易で
あり、時効処理により充分な硬さを付与でき、したがっ
て、粗大な析出相を含まないで硬質化されるので優れた
鏡面仕上げ性を有し、しかも耐食性の優れた合金を提供
することができる。特に光ディスク、プラスチックレン
ズなどの樹脂成形金型材料に好適である。 また、鋳造合金としてだけでなく、粉末冶金法により硬
質焼結合金又は超硬質耐摩耗合金としても利用すること
が可能である。
第1図は本発明合金におけるMo+Cr量とC。
+V+Mn量の関係を示す図、
第2図はMo量とCr量の関係を示す図。
第3図はFe原子の格子面に形成されたMoのクラスタ
ーを示す説明図である。
ーを示す説明図である。
Claims (1)
- 原子%で(以下、同じ)、Mo:2〜22%、Cr:2
〜19%及びCo:2〜48%を含み、残部が実質的に
Feからなる組成において、Coの含有量の1部をV≦
10%及びMn≦10%の1種又は2種で置換してなり
、かつ、各元素の含有量として、第1図に示すMo+C
r量(横軸)とCo+V+Mn量(縦軸)がa(4%、
48%)、b(4%、24%)、c(15%、2%)、
d(24%、16%)、e(15%、2%)、f(18
%、30%)及びg(12%、48%)の各点を順次結
ぶ線で囲まれた領域内にあり、第2図に示すMo量(横
軸)とCr量(縦軸)がh(2%、19%)、i(2%
、11%)、j(10%、2%)及びk(22%、2%
)の各点を順次結ぶ領域内にあるように調整してなるこ
とを特徴とする鏡面仕上げ性に優れた硬質耐食合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13660787A JPH0699780B2 (ja) | 1987-05-30 | 1987-05-30 | 鏡面仕上げ性に優れた硬質耐食合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13660787A JPH0699780B2 (ja) | 1987-05-30 | 1987-05-30 | 鏡面仕上げ性に優れた硬質耐食合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63303037A true JPS63303037A (ja) | 1988-12-09 |
JPH0699780B2 JPH0699780B2 (ja) | 1994-12-07 |
Family
ID=15179251
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13660787A Expired - Lifetime JPH0699780B2 (ja) | 1987-05-30 | 1987-05-30 | 鏡面仕上げ性に優れた硬質耐食合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0699780B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1369744A1 (en) * | 2002-06-06 | 2003-12-10 | ASML Netherlands B.V. | Lithographic apparatus and device manufacturing method |
US7405031B2 (en) | 2002-06-06 | 2008-07-29 | Asml Netherlands B.V. | Lithographic apparatus and device manufacturing method |
-
1987
- 1987-05-30 JP JP13660787A patent/JPH0699780B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1369744A1 (en) * | 2002-06-06 | 2003-12-10 | ASML Netherlands B.V. | Lithographic apparatus and device manufacturing method |
US7405031B2 (en) | 2002-06-06 | 2008-07-29 | Asml Netherlands B.V. | Lithographic apparatus and device manufacturing method |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0699780B2 (ja) | 1994-12-07 |
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