JPS6330276B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、踏段の一部に搬送路の往路で上方
に隣接する踏段の踏板と同一高さに上昇する可動
踏板をもつ特殊踏段を組込んだエスカレータにお
いて、上記特殊踏段の踏板を昇降させる装置の改
良に関するものである。

まず、第１図によつて従来のエスカレータを説
明する。第１図中、１は主枠、２は踏段、３は多
数の踏段２を無端状に連結して搬送路４を移動さ
せるための踏段鎖、５は主枠１上に踏段２の両側
に接するように立設した欄干、６は主枠１内に設
けられて踏段鎖３を駆動する駆動装置、７は主枠
１内に設けられて踏段鎖３を下階折返し部で緊張
させる緊張装置である。

以上のように構成されたエスカレータは、駆動
装置６の正逆転駆動で踏段鎖３を介して踏段２が
搬送路４を移動するが、上記踏段２には移動方向
すなわち前後方向の長さに制約があるため、車椅
子利用者が車椅子と共に１つの踏段２に乗ること
ができず、車椅子利用者がエスカレータを利用で
きなかつた。

そこで、この発明の出願人は、多数の普通の踏
段間に１つ以上の少数の可動踏板をもつ特殊踏段
を組込み、特殊踏段が搬送路の往路の傾斜部を移
動している時に、上記可動踏板を特殊踏段の上方
に隣接する踏段の踏板と同一高さに上昇させ、こ
の踏板と可動踏板にまたがつて車椅子を乗せるよ
うにしたエスカレータを先に提案した。しかし、
先に提案したエスカレータの踏板昇降装置は構造
が複雑であるという問題があつた。

この発明は、特殊踏段の踏段軸を連動機構と係
合させて回動させることで、ねじ式昇降機構を動
作させて可動踏板を昇降させることにより、上述
した問題を解決し、簡単な構造で特殊踏段の移動
と連動してこれの可動踏板を確実に昇降させるこ
とができるエスカレータ用踏板の踏板昇降装置を
提供することを目的としている。

以下、第２図から第６図までによつてこの発明
の一実施例を説明する。

第２図はこの発明の一実施例による踏板昇降装
置を備えたエスカレータを示す。第２図中、第１
図と同一符号は同一または相当部分を示し、 ８は特殊踏段であり、特殊踏段８は多数の踏段
２間に１つ以上の少数が組込まれ、次のように構
成されている。すなわち、特殊踏段８は、第３
図、第４図にも示すように、フレーム９に固定踏
板１０とライザ１１とが固定され、フレーム９に
軸支された踏段軸１２が踏段鎖３に連結され、踏
段軸１２の踏段鎖３および踏段軸１２に遊嵌され
た駆動ローラ１３から突出した一端部にピニオン
１４が嵌合固定されていると共に、ねじ式昇降機
構１５によつて上記固定踏板１０に対して昇降す
る可動踏板１６が具備されている。上記昇降機構
１５は、踏段軸１２の中間部に嵌合固定された傘
形歯車１７と噛合う傘形歯車１８が伝動軸１９に
嵌合固定され、伝動軸１９が固定踏板１０、フレ
ーム９のような部材に固定されたブラケツト２０
に軸受２１を介して軸支され、伝動軸１９に嵌合
固定された他の傘形歯車２２がめねじ筒２３に設
けた傘形歯車２４と噛合されている。上記めねじ
筒２３はブラケツト２０に固定された軸受２５に
軸方向に移動不能にかつ回動可能に支持され、め
ねじ筒２３にねじ嵌合したねじ棒２６が上記可動
踏板１６の裏面にそのクリートを有する踏面１６
ａと直角に固定されている。また、可動踏板１６
は、下降時には踏面１６ａが固定踏板１０のクリ
ートを有する踏面１０ａと同一水平面上に位置す
ると共に、上昇時には上、下彎曲部、傾斜度で上
方に隣接する普通の踏段２がもつ踏板２７の踏面
と同一水平面上に位置するようにされている。な
お、第３図中、２８は駆動ローラ１３が転動可能
に支持されたガイドレール、２９はフレーム９に
枢支された追従ローラ、３０は追従ローラ２９が
転動可能に支持されたガイドレールである。さら
に、第２図、第３図に示すように、搬送路４の往
路の上、下彎曲部４ａ，４ｂと対応する部分に連
動機構３１，３２が配置され、連動機構３１，３
２は電磁装置３３，３４が主枠１に固定され、電
磁装置３３，３４には上記ピニオン１４と噛合可
能に対向する凹弧状ラツク棒３５，３６がそれぞ
れ連結されている。なお、第１図３７は車椅子を
示す。

次に、以上のように構成された実施例の動作に
ついて説明する。

通常の運転時には、特殊踏段８の可動踏板１６
の踏面１６ａが固定踏板１０の踏面１０ａと同一
水平面上に位置した状態とし、また連動機構３
１，３２が動作しないようにしておくと、これら
のラツク棒３５，３６と特殊踏段８のピニオン１
４とが噛合しないので、普通のエスカレータと同
様に使用できる。

車椅子利用者が上昇しようとする場合には、下
段側でのスイツチ（図示しない）を車椅子利用者
が操作することで、特殊踏段８が搬送路４の下階
の往路水平部に来た時に駆動装置６を停止させ
る。この状態で、車椅子利用者は車椅子に乗つた
ままこれを特殊踏段８の可動踏板１６とその前側
に隣接する普通の踏段２の踏板２７上に乗せる。
その後、車椅子利用者が専用スイツチ（図示しな
い）を操作することで、連動機構３１，３２の電
磁装置３３，３４が動作してラツク棒３５，３６
がピニオン１４と噛合い可能な位置まで進出させ
ると共に、駆動装置を踏板上昇方向に駆動させ
る。この駆動装置６の駆動で踏段鎖３を介して踏
板２、特殊踏段８が上昇し、前側に隣接する踏段
２が下彎曲部４ｂに達すると、ピニオン１４が下
側に位置する連動機構３２のラツク棒３６と噛合
い、特殊踏段８の移動に伴つてピニオン１４、踏
段軸１２、傘形歯車１７が一体に回動し、傘形歯
車１７，１８、伝動軸１９、傘形歯車２１，２２
を経てめねじ筒２３が回動し、めねじ筒２３にね
じ嵌合したねじ棒２６が押上げられて可動踏板１
６が固定踏板１０に対して上昇する。この場合
に、第５図に１つの特殊踏段８の動きを示すよう
に特殊踏段８の駆動ローラ１３の軌跡に追従して
可動踏板１６を上昇させるために、駆動ローラ１
３のガイドレール２８とラツク棒３６を平行に設
けてあり、前側に隣接する踏段２の踏板２７の踏
面と可動踏板１６の踏面１６ａとが同一水平面を
保つて上昇する。下彎曲部を通過した後、可動踏
板１６が上昇状態のまま特殊踏段８は傾斜部を上
昇し、上彎曲部４ａではピニオン１４が上側に位
置する連動機構３１のラツク棒３５と噛合い、第
６図に示すような動きで１つの特殊踏段８の可動
踏板１６が下降し、特殊踏段８が上階の往路水平
部に達すると、可動踏板１６の踏面１６ａが固定
踏板１０の踏面１０ａおよび前側に隣接する踏段
２の踏板２７の踏面と同一水面上に位置するよう
に下降する。

また、車椅子利用者が下降しようとする場合に
は、上階側でスイツチ操作を行い、上階の水平部
で特殊踏段８を停止させ、これの可動踏板１６と
その後側に隣接する踏段２の踏板２７上に車椅子
を乗せて、電磁装置３３，３４を動作させてラツ
ク棒３５，３６をピニオン１４と噛合い可能にす
ると共に、駆動装置６を踏段下降方向に駆動させ
ることで、上彎曲部で特殊踏段８の可動踏板１６
が上昇し、傾斜部で上昇状態を保ち、下彎曲部で
下降復帰し、下階水平部に達する。

なお、この実施例の踏板昇降装置において、電
磁装置３３，３４のうちラツク棒３５，３６がピ
ニオン１４に後から噛合う側は所要の時間遅れを
有して動作するようにしてもよい。

以上説明したように、この実施例の踏段駆動装
置は、特殊踏段８の可動踏板１６を隣接する踏段
２の踏板２７と同一水平面上に保つて、可動踏板
１６と踏板２７にまたがつて車椅子を乗せること
で、踏板の前後方向の長さを倍増させ得るので、
車椅子利用者がエスカレータを利用することがで
きる。また、上記可動踏板１６を昇降させるため
に機械的な手段によるねじ式昇降機構１５を用い
ると共に、この昇降機構１５を特殊踏段８の踏段
軸１２の回動を利用して動作させるようにし、さ
らに踏段軸１２の回動を、搬送路４の往路の上、
下彎曲部４ａ，４ｂに対応する部分に配設した連
動機構３１，３２のラツク棒３５，３６を踏段軸
１２のピニオン１４と噛合させることで行つてい
るために、構造が簡単でありながら、上、下彎曲
部で隣接する踏段２の踏板２７と可動踏段８の固
定踏板１０の間に生じる段差を確実に補正して可
動踏板１６をこれの踏面１６ａを踏板２７の踏面
と同一水平面を保つように、特殊踏段８と連動さ
せて昇降させ、傾斜部では上昇状態を保持するこ
とができる。

この発明において、上記実施例では、連動機構
にラツク棒を用いたが、これに代えてチエーンを
用いてピニオンを回動させ、あるいはベルトを用
いて踏段軸のピニオンに代る連動ローラと摩擦係
合させるようにしてもよく、上記実施例の連動機
構の電磁機構に代えて油圧シリンダ、エアシリン
ダ機構を用いてもよく、ねじ式昇降機構も上記実
施例の構成のものに限られることなく、自動車用
のジヤツキのような横ねじ軸をもつパンタグラフ
式のものを用いてもよい。

以上説明したとおり、この発明によるエスカレ
ータ用踏段の踏板昇降装置は、隣接する踏板の踏
板と同一高さに搬送路の彎曲部、傾斜部で上昇す
る可動踏板をもつ特殊踏段を普通の踏段間に組込
み、特殊踏段にこれの踏段軸の回動で可動踏板を
昇降させるねじ式昇降機構を設け、搬送路の往路
の彎曲部と対応する部分に上記踏段軸と係脱可能
に係合して踏段軸を回動機構を配設し、連動機構
の動作時に特殊踏段と連動して可動踏板が昇降す
るようにしたので、特殊踏段の可動踏板と隣接す
る踏段の踏板にまたがつて車椅子を乗せること
で、車椅子利用者が車椅子に乗つたままエスカレ
ータを利用することができ、また簡単な構造であ
りながら、搬送路往路の上、下彎曲部で可動踏板
を昇降させ、可動踏板を往路の全行程で隣接する
踏段の踏板と確実に同一水平面上に保つことがで
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のエスカレータを示す概略側断面
図、第２図はこの発明の一実施例による踏板昇降
装置を備えたエスカレータの概略側断面図、第３
図は第２図の−線拡大断面図、第４図は第３
図の−線断面図、第５図は下彎曲部での１つ
の可動踏板の動きを示す側面図、第６図は上彎曲
部での１つの可動踏板の動きを示す側面図であ
る。 １……主枠、２……踏段、３……踏段鎖、４…
…搬送路、６……駆動装置。８……特殊踏段、９
……フレーム、１０……固定踏板、１１……ライ
ザ、１２……踏段軸、１３……駆動ローラ、１４
……ピニオン、１５……ねじ式昇降機構、１６…
…可動踏板、２３……めねじ筒、２６……ねじ
棒、３１，３２……連動機構、３３，３４……電
磁装置、３５，３６……ラツク棒、３７……車椅
子。なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示
す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 多数が踏段鎖で無端状に連結されて搬送路を
   移動する踏段を有し、これらの踏段の一部に搬送
   路の往路の彎曲部、傾斜部で上方に隣接する踏段
   の踏板と同一高さに上昇する可動踏板をもつ特殊
   踏段を組込んだエスカレータ用踏段の踏板昇降装
   置において、上記特殊踏段にこの踏段の踏段軸の
   回動で可動踏板を昇降させるねじ式昇降機構を設
   けると共に、搬送路の往路の彎曲部と対応する部
   分に上記踏段軸と係脱可能に係合して踏段軸を回
   動させる連動機構を配設し、連動機構の動作時に
   特殊踏段の移動と連動して可動踏板が昇降するよ
   うにしたことを特徴とするエスカレータ用踏段の
   踏板昇降装置。