JPS6329870Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案はデイーゼルエンジンの燃料噴射ノズルに
関するものである。

周知のように、デイーゼルエンジンの燃料噴射
ノズルは、直接噴射式燃焼室形のエンジンであれ
ば、ピストンヘツドの燃焼室内へ燃料を直接噴出
できるようにシリンダヘツドの所定位置に設けて
あり、予燃焼室式燃焼室形のエンジンであればシ
リンダヘツドの予燃焼室内の上部に設けてある。
また、渦流室式燃焼室形のエンジンであれば、シ
リンダヘツドの渦流室内の上部に設けてある。

直接噴射式燃焼室形のエンジンと、予燃焼室式
燃焼室形のエンジンと、渦流室式燃焼室形のエン
ジンは、それぞれ一長一短があるが、予燃焼室式
燃焼室形のエンジンと渦流室式燃焼室形のエンジ
ンは、始動性に難点があるものの排気ガス中の
NOxが直接噴射式燃焼室形のエンジンに較べて
少ない。

一方、燃料噴射ノズルから噴射される燃料は、
前記いずれの形式のエンジンにおいても、噴射さ
れてから着火するまでに若干の時間的遅れがあ
る。

この現象は噴射された微細な燃料粒が周囲の高
温空気にさらされて温度が上昇するに要する時
間、さらに、燃料粒表面から気化が始まつて自己
着火するに至る濃度に達するまでに要する時間な
どが物理的、化学的に要求されることにより発生
する。

このようにして着火すると、着火に至るまでに
噴射された燃料が一時に燃焼する状態となつて、
圧力上昇率が大となりデイーゼルエンジン特有の
振動と騒音が発生する。

特にアイドリング時には前記騒音（デイーゼル
ノツク）が耳障りとなる。

前記３形式のエンジンのうち後者２形式のエン
ジンのうち、予燃焼室式燃焼室形では、予燃焼室
内にグロープラグを設けてあり、予燃焼室内に噴
射された燃料の一部を燃焼させて、その圧力で残
余の燃料をピストンヘツドの主燃焼室に噴出さ
せ、ここで本格的な燃焼を行なわせる。

これに対し、渦流室式燃焼室形のエンジンで
は、渦流室内にグロープラグを設けてあり、渦流
室内において噴射された燃料の大部分を燃焼さ
せ、残りの燃料をピストンヘツドとシリンダヘツ
ドとの間の隙間で燃焼させる。

したがつて、NOxに関しては渦流室式燃焼室
形のエンジンが最も優れた結果を示すが、さきに
説明した着火に至るまでの時間的遅れが生じる問
題を解決する上で始動時には有効なグロープラグ
が、運転状態に移行したのちは渦流発生の妨げと
なる新らたな問題が生じる。

本案は前記のような観点に基き、始動時の着火
遅れを防ぎ、運転時には渦流室式燃焼室形エンジ
ンに使用しても渦流発生を妨げないデイーゼルエ
ンジンの燃料噴射ノズルを提供するもので、噴射
燃料の通過を自在とした開口をノズル口に臨む部
分に設けた断熱カバーでノズルケースを覆い、前
記開口内から副燃焼室に突出しない発熱体を設
け、この発熱体に通じる導線を前記断熱カバーの
壁部内に挿通してなるものである。

つぎに、図面を参照しながら本案燃料噴射ノズ
ルの実施例を説明する。

第１図に一部を欠除した側面図で、また、第２
図に底面図で示してなるよう、本案燃料噴射ノズ
ル１は断熱カバー２によつて先端部を覆つてあ
り、この実施例はスロツトルノズルの一例であ
る。

断熱カバー２はノズル口１Ａに臨む部分に開口
３を設けてあり、耐熱鋼製の内外側シエル２Ａ，
２Ｂの内側にセラミツク層２Ｃ，２Ｄを形成しこ
れらセラミツク層間に、開口３内に設けた発熱体
４に通じる導線５Ａ，５Ｂを挿通してある。

開口３は内径を、ノズル口１Ａから噴射される
燃料が副燃焼室６内に、所望の状態で拡散するこ
とを妨げない寸法とし、発熱体４は例えばコイル
形ニクロム線等とし、副燃焼室３には突出しない
ようにしてある。

なお、図中符号７はノズルホルダ、８，９は耐
熱性パツキンである。

また、この実施例ではスロツトルノズルとして
説明したが、これをホールノズル、ポペツトノズ
ルとしてもよい。

前記の構成からなる本案燃料噴射ノズル１は、
導線５Ａ，５Ｂに電圧を印加し、発熱体４に通電
すると、発熱体４が赤熱して、ノズル口１Ａから
噴射される燃料に点火する。

また、断熱カバー２に覆われている本案燃料噴
射ノズル１は、過熱を防止され長期に亘る使用が
可能となる。

本案燃料噴射ノズル１の使用により予燃焼室式
燃焼室形エンジンまたは渦流室式燃焼室形エンジ
ンのいずれにおいてもグロープラグの必要がなく
なる。

これによつて渦流室内の突出物をなくすること
ができるから、渦流室式燃焼室形エンジンの長所
を拡大できることになる。

以上の説明から明らかなように、本案燃料噴射
ノズルはノズル口位置において噴射燃料に着火で
きるので、副燃焼室内にグロープラグを設ける必
要がなく、噴射燃料への点火を、グロープラグ使
用の場合よりもさらに早くでき、着火遅れによる
デイーゼルノツクの発生を確実に回避して静粛な
運転を可能にし、特にアイドリング時に発熱体が
赤熱するようにしておけば騒音低域の効果は極め
て大きくなるなど多くの優れた利点を有するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案燃料噴射ノズルの実施例を一部欠
除して示した側面図、第２図は底面図である。 １……本案燃料噴射ノズル、１Ａ……ノズル
口、２……断熱カバー、２Ａ，２Ｂ……シエル、
２Ｃ，２Ｄ……セラミツク層、３……開口、４…
…発熱体、５Ａ，５Ｂ……導線、６……副燃焼
室、７……ノズルホルダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 噴射燃料の通過を自在とした開口をノズル口に
   臨む部分に設けてなる断熱カバーでノズルケース
   を覆い、前記開口内かつ副燃焼室内に突出しない
   発熱体を設け、この発熱体に通じる導線を前記断
   熱カバーの壁部内に挿通してなるデイーゼルエン
   ジンの燃料噴射ノズル。