JPS6329572B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は原子力発電プラント等の復水を浄化す
る浄化フイルタに係り、特に浄化フイルタのプリ
コート装置に関する。

従来この種の浄化フイルタのプリコート装置は
第１図に示したような構造を有している。プリコ
ートタンク１の底部はプリコートポンプ２と弁３
を介して過塔４の上部に接続されている。この
過塔４内部には複数のエレメント５が内蔵され
ており、過塔４の下部は弁６を介してプリコー
トタンク１の上部に開口部を有する配管７に接続
されている。また過塔４の上部は被浄化液が弁
８を介して流入する配管が接続され、下部には浄
化された液が系統へ戻る弁９を有する配管が接続
されている。なお、被浄化液としては原子力発電
プラントの復水等がある。

プリコート助材１０は前記プリコートタンク１
に投入され、設置されている撹拌器１１により撹
拌される。撹拌されたプリコート助材１０はプリ
コートポンプ２により過塔４に導かれ、エレメ
ント５にプリコートされる。エレメント５を通過
した粒径の小さいプリコート助材は、過塔４の
下部よりプリコートタンク１に戻される。従つ
て、プリコートタンク１内のプリコート助材１０
の濃度は時間が経過すると共に、第２図に示す如
く徐徐に低くなる。

このため、第３図に示す如くエレメント５の表
面にプリコートされるプリコート助材１０の粒径
はエレメント表面に近い程粒径が粗く、遠ざかる
程細かい粒径のものとなつている。従つて、従来
の、プリコート助材１０がエレメント５にプリコ
ートされて形成されるフイルタの運転寿命は、第
４図に示すような傾向を示す。フイルタの運転管
理は過塔４の差圧で管理されており、平均運転
寿命は約10日である。フイルタは、再生利用が現
在不可能であるため、フイルタの廃棄物が使用分
だけ発生するという欠点がある。このため、フイ
ルタの寿命を延ばし廃棄物の量を減少させること
が望まれている。なお、第４図中の符号Ａで示し
た直線は管理値を示している。

本発明の目的は、上記の欠点を解消し、プリコ
ート助材をエレメントにプリコートして形成され
るフイルタの寿命を向上させるフイルタのプリコ
ート装置を提供することにある。

本発明は、プリコートタンク、プリコートポン
プ及び撹拌器等を有するフイルタのプリコート装
置に、新たにプリコート助材粒径分級器を設け、
このプリコート助材粒径分級器によりプリコート
助材の粒径を区別し、過塔のエレメントにプリ
コート助材をプリコートする際に、最初に小粒径
の助材をプリコートし、この上から大粒径の助材
をプリコートしてフイルタを形成することによ
り、上記目的を達成する。

次に、実施例に入る前に本発明の背景について
説明する。プリコート助材による過は以下に示
す原理で説明ができ、前述の第４図に示したフイ
ルタの寿命傾向は、第５図Ａに示した内部過と
第５図Ｂに示した表面過の２つに分けて考える
ことができる。即ち、当初はプリコート助材１０
の内部にクラツド１２が溜る内部過が行なわれ
るが、助材内部にクラツド１２が入り込めなくな
ると、助材表面にクラツド１２が付着する表面
過が始まる。そこで、プリコート助材１０の寿命
を長くするためには、内部過の寿命を長くする
ことにより達成できる。従来のプリコート方法で
プリコート助材１０をエレメント５にプリコート
すると、前述した第３図に示すように外側に小粒
径の助材があるために、内部で過されるクラツ
ドが少なくなつてしまい、内部過時間が３日程
度となつている。そこで、第６図に示すように、
エレメント５の表面に最初小粒径のプリコート助
材１０をプリコートし、その上から大粒径の助材
をプリコート１０することで、内部過時間を長
くすることができる。実験によれば、粒径10〜
50μm以下のプリコート助材を最初にプリコート
し、その上から上記以上の粒径を持つプリコート
助材をプリコートすると、内部過寿命を約２〜
３倍に延長し得ることが分つている。

以下本発明のフイルタのプリコート装置の一実
施例を従来例と同部品は同符号を用いて第７図に
より説明する。プリコートタンク１の下部はプリ
コートポンプ２、弁３を介してエレメント５が内
蔵されている過塔４の上部に接続されており、
その構成は第１図に示した従来例と略同様であ
る。本実施例の特徴部分は、プリコートタンク１
の上部にプリコート補助タンク１３が設けられ、
この補助タンク１３には撹拌器１１が設置されて
いる。補助タンク１３の下部はプリコート止め弁
１４を介してプリコートタンク１の上部に連通し
ている。プリコートタンク１内には遠心分離形分
級器１５が設置されており、プリコート助材はこ
の遠心分離形分級器１５の中央から入るようにな
つている。この遠心分離形分級器１５の側面には
10〜50μm以下の図示されないメツシユの網（ふ
るい）が取付けてある。

撹拌器１１で撹拌された補助タンク１３内のプ
リコート助材１０は、プリコート止め弁１４を介
してプリコートタンク１内の遠心分離形分級器１
５の中央から入り、前記ふるいを抜けた10〜
50μmの粒径を有するプリコート助材１０がプリ
コートポンプ２により過塔４に送られる。過
塔４内のエレメント５の表面には、先ず粒径10〜
50μm程のプリコート助材１０がプリコートされ
る。エレメント５部を抜けたプリコート助材１０
は、補助タンク１３内に戻される。補助タンク１
３の助材濃度が零に近くなつた所で、遠心分離形
分級器１５の側面をずらし前述の網をとり、更に
プリコート止め弁１４を締める。

次に、再びプリコートポンプ２によりプリコー
トタンク１内のプリコート助材１０を過塔４に
送ると、今度は粒径10〜50μm以上の助材がエレ
メント５部に送られ、先の10〜50μm以下の助材
の上から、大きな粒径の助材がプリコートされ
る。また、エレメント５部を抜けたプリコート助
材１０は補助タンク１３に戻るが、プリコート止
め弁１４が締めてあるため、再プリコートはされ
ない。

本実施例によれば、エレメント５の表面に先ず
10〜50μmの粒径のプリコート助材１０がプリコ
ートされ、次にその上から、10〜50μm以上のプ
リコート助材１０がプリコートされてフイルタを
形成するため、内部過時間の延長ができフイル
タの寿命を延長させる効果がある。第８図は本実
施例の装置により形成したフイルタと従来のそれ
との過寿命を比較した線図である。実線で示し
た本実施例のフイルタのように内部過時間を３
日から６日に３日間延長すると、フイルタ寿命は
破線で示した従来例の10日から21日に延長され
る。

他の実施例として、第７図に示した補助タンク
１３をプリコートタンクとし、新たに遠心分離形
分級器を持つタンクを前記補助タンク１３の下流
に設置しても同様の操作を行なうことが可能であ
る。

以上記述した如く本発明のフイルタのプリコー
ト装置によれば、プリコート助材をエレメントに
プリコートして形成されるフイルタの寿命を向上
させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のフイルタのプリコート装置を備
えた浄化系の構成例を示す説明図、第２図はプリ
コートタンク１内のプリコート助材濃度の時間変
化を示す線図、第３図は第１図で示した助材がプ
リコートされたエレメント５の詳細断面図、第４
図は第１図で示した従来のフイルタの運転寿命線
図、第５図Ａ及びＢはフイルタの過形態を示す
断面図、第６図は本発明のプリコート助材のプリ
コート状態を示す断面図、第７図は本発明のフイ
ルタのプリコート装置の一実施例の構成を示した
説明図、第８図は本実施例と従来例のフイルタ寿
命線図である。 １…プリコートタンク、２…プリコートポン
プ、４…過塔、５…エレメント、１０…プリコ
ート助材、１１…撹拌器、１３…補助タンク、１
５…遠心分離形分級器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プリコート助材を投入するプリコートタンク
   と、このプリコートタンク内のプリコート助材を
   撹拌する撹拌器と、プリコートタンク内のプリコ
   ート助材を過塔に内蔵されるエレメントに送出
   するプリコートポンプとを有するフイルタのプリ
   コート装置において、過塔に送る前のプリコー
   ト助材をその粒径に応じて分級するプリコート助
   材粒径分級器を設け、最初に粒径の小さいプリコ
   ート助材を過塔に送出してエレメント表面に該
   プリコート助材をプリコートし、次に粒径の大き
   いプリコート助材を過塔に送つて、エレメント
   にプリコートされた前記粒径の小さいプリコート
   助材の上に、該粒径の大きいプリコート助材をプ
   リコートしてフイルタを形成することを特徴とす
   るフイルタのプリコート装置。 ２ プリコート助材粒径分級器をプリコートタン
   ク内に設置し、このプリコート助材粒径分級器に
   供給するプリコート助材を貯留する補助タンク
   を、プリコートタンクの上流側に設けたことを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載のフイルタの
   プリコート装置。 ３ 小さい粒径のプリコート助材として、粒径10
   〜50μm以下のものを使用し、大きい粒径のプリ
   コート助材として、粒径10〜50μm以上のものを
   使用することを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載のフイルタのプリコート装置。