JPS6329031Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の技術分野） 本考案は雨水を濾過するためのフイルター装置
に関する。

（従来技術） 都市部では雨水が下水管を通して河川に集中す
るため、低地で洪水になりやすい。そこで雨水の
一部を下水管を通さずに地下に浸透させるシステ
ムが開発され設置されている。（例えば「ヒユー
ム管ジヤーナル」全国ヒユーム管協会昭和58年６
月13日発行、第５巻第３号における論文「雨水流
出抑制型下水道の材料について」第３頁乃至第９
頁参照。） このシステムでは、雨水を道路の側溝等に埋設
した雨水ますに集め、この雨水ますから導水管を
経て透水管へと流し、この透水管から地中へと浸
透させるようになつている。

ところで雨水には土砂やごみが混入しているた
め透水管へそのまま流し込むと、透水管が目詰ま
りして浸透効果を充分に発揮することができな
い。そこで導水管にフイルター装置を設け、この
フイルター装置によつて土砂やごみを除去してい
る。従来のフイルター装置は、例えば支持筒に有
底筒状のフイルターを取付け、このフイルターの
上部開口から雨水を流し込んで濾過していた。

上記装置では、フイルターの目を細かくするこ
とによつて、土砂やごみの除去効果を上げている
が目が細かいと短期間でフイルターに目詰まりを
生じ、フイルターの交換または清掃を頻繁に行な
わなければならず、維持管理が大変であつた。ま
たフイルターの目を粗くすると除去効果が下がつ
てしまい、透水管での目詰まりが生じて浸透能力
が低下する欠点があつた。

（考案の目的） 本考案は上記欠点を解消することを目的として
なされたものであつて、フイルターの目を細かく
してもフイルターの目詰まりを軽減できる雨水フ
イルター装置を提供するものである。

（考案の要旨） 本考案に要旨は、次の(イ)から(ニ)の構成を備えた
雨水フイルター装置に存する。

(イ) 筒部２１の下部を除き周壁面に多数の透孔２
２が形成され、筒部２１の下端が底部２３によ
り閉塞されている外側筒体２０と、 (ロ) 上端が雨水流入口２４とされ、雨水流入口２
４の周囲から上方に傾斜拡開部２５が形成さ
れ、透水機能を持つ筒部２６からなり、筒部２
６の下端に透水機能を持つ底部２７が設けられ
ている内側筒体２８と、 (ハ) 内側筒体２８の外周面に設けられるフイルタ
ー材２９と、 (ニ) 内側筒体２８の外周面と外側筒体２０の内周
面間を閉塞し、外側筒体２０内の下部であつ
て、内側筒体２８の下端部より下方に泥溜空間
３０を形成する区画板３１。

（考案の構成） 次ぎに本考案雨水フイルター装置の一例を図面
を参照しながら説明する。

第１図は雨水浸透装置を示す、図中１は道路で
あり、この道路１の側溝には雨水ます２が埋設さ
れている。雨水ます２の側壁には第１の排水口２
ａが形成されており、この第１の排水口２ａには
下水道管３が接続されている。

雨水ます２の下水道管３と反対側の側壁には、
第１の排水口２ｂが形成されている。この排水口
２ｂにはほぼ水平に延びる水平導水管４が接続さ
れている。水平導水管４の排水口２ｂ側の端部に
は目の粗いフイルター５が取付けられている。

水平導水管４には、ほぼ垂直に延びる垂直導水
管６が接続されている。垂直導水管６の上端は道
路１に開口されており、この開口は蓋７，８によ
り閉塞されている。垂直導水管６の下端部には、
継手９によつて透水管１０が接続されている。こ
の透水管１０は孔１０ａを多数有しており、前記
側溝に沿つて延びている。透水管１０の周囲には
砕石等からなる人工透水層１１が形成されてい
る。垂直導水管６内には本考案の特徴部をなすフ
イルター装置１５が配置されている。このフイル
ター装置１５は紐１６によつて蓋７に連結されて
いる。

このフイルター装置１５は第２図に示すように
構成されている。

図中２０は外側筒体であり、筒部２１とその下
端に設けられる底部２３からなる。筒部２１は下
部を除き周壁面に多数の透孔２２が形成されてい
る。下部周壁面に透孔２２が形成されていないの
は、この部分が泥溜空間３０となされるからであ
る。筒部２１の下端は底部２３により閉塞されて
いる。外側筒体２０内に内側筒体２８が設置され
る。内側筒体２８の上端は雨水流入口２４とさ
れ、雨水流入口２４の周囲から上方に傾斜拡開部
２５が形成されている。傾斜拡開部２５の上端周
縁は外側筒体２０の上端部周縁に当接され、直接
雨水が外側筒体２０と内側筒体２８との間に入り
込まないようにされている。内側筒体２８を構成
する筒部２６には周壁面に多数の透孔３２が形成
されておりこれにより透水機能が付与されてい
る。筒部２６の下端には多数の透孔３３が形成さ
れている底部２７が設けられている。前記傾斜拡
開部２５及び底部２７は筒部２６と一体に形成さ
れていてもよいし、また別体に形成されていても
よい。

内側筒体２８の筒部２６の外周面にはフイルタ
ー材２９が設けられている。フイルター材２９は
例えば３層構造のフイルター材３４，３５，３６
からなる。内側筒体２８の筒部２６の外周面に接
して設けられるフイルター材３４及び筒部２６か
ら最も外側のフイルター材３６は雨水中の土砂、
ごみ等を除去するためのものであり、例えば天然
繊維、合成繊維等を積層したマツト状体が適当で
ある。中間部のフイルター材３５は、重金属を除
去するためのものであり、イオン交換樹脂、活性
炭、麦飯石等の吸着性濾材が使用される。

外側筒体２０内の下部であつて、内側筒体２８
の下端部より下方には泥溜空間３０が形成され
る。このため内側筒体２８の下端外周面と外側筒
体２０の下部内周面を閉塞する区画板３１が形成
される。区画板３１は外側筒体２０内の透孔２２
が形成されていない下部内周面に形成される係止
縁３７に載置されて取外しでき、泥溜空間３０に
溜る土砂やごみを取り除くことができるようにさ
れている。

上記構成において、道路１等に降つた雨水は、
雨水ます２に集められる。集められた雨水は下水
道管３へ流れると共に、水平導水管４、垂直導水
管６を経て透水管１０へ送られ、この透水管１０
の孔１０ａを通つて人工透水層１１に浸透し、更
にこの人工透水層１１から周囲の地層に浸透す
る。このフイルター装置１５において、雨水に混
在する土砂やごみが除去される。詳述すると、雨
水は傾斜拡開部２５により集水され雨水流入口２
４から内側筒体２８の筒部２６内に入り、底部２
７の多数の透孔３３により粗大なごみ等が除去さ
れ、泥溜空間３０に入り込む。泥溜空間３０に入
り込んだ雨水中の土砂は底部２３上に堆積する。

泥溜空間３０で土砂が除去された雨水は再び内
側筒体２８の筒部２６内に入り周壁面の透孔３２
からフイルター材２９を構成するフイルター材３
４，３５，３６を順次通過し、細かいごみや土砂
等が更に除去されると共に貴金属が除去される。

そして、外側筒体２０の筒部２１の透孔２２か
ら落下して透水管１０に至る。

長期の使用によりフイルター２３の目が詰まつ
た時には、蓋７を持ち上げ、紐１６を介してフイ
ルター装置１５を引き上げる。そしてフイルター
装置１５の内側筒体２８及び区画板３１を外側筒
体２０から外し、これらフイルター２９を交換ま
たは掃除する。また泥溜空間３０に滞留した雨水
中の土砂等を掃除する。

（考案の効果） 本考案雨水フイルター装置によれば、上記の構
成になされているので、内側筒体２８の雨水流入
口２４から筒部２６に入つた雨水は泥溜空間３０
に滞留されて、雨水に混在された土砂等を沈澱さ
せることができる。従つてフイルター材２９によ
り濾過すべき雨水中の土砂等の含有量が減少し、
フイルター材２９の目詰まりを軽減できる。

また本考案雨水フイルター装置によれば雨水中
の土砂やごみ等は内側筒体２８の筒部２６の透孔
３２、底部２７の透孔３３、フイルター材２９、
外側筒体２０の筒部２１の透孔２２によつて除去
されるので、濾過面積が広く濾過機能の低下を遅
らせることができるため、掃除や交換を頻繁に行
なわなくて済み、維持管理が簡単である。また内
側筒体２８が外側筒体２０に対し取外し可能にさ
れることによりフイルター材２９の交換、掃除を
容易に行うことができる。

このようにして本考案雨水フイルター装置によ
り、長期に亘り目詰まりを防止して濾過機能を維
持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案雨水フイルター装置を備えた雨
水浸透装置の断面図、第２図はフイルター装置の
拡大断面図である。 １５……フイルター装置、２０……外側筒体、
２１……筒部、２２……透孔、２３……底部、２
４……雨水流入口、２５……傾斜拡開部、２６…
…筒部、２７……底部、２８……内側筒体、２９
……フイルター材、３０……泥溜空間、３１……
区画板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 次の(イ)から(ニ)の構成を備えた雨水フイルター装
   置。 (イ) 筒部の下部を除き周壁面に多数の透孔が形成
   され、筒部の下端が底部により閉塞されている
   外側筒体と、 (ロ) 上端が雨水流入口とされ、雨水流入口の周囲
   から上方に傾斜拡開部が形成され、透水機能を
   持つ筒部からなり、筒部の下端に透水機能を持
   つ底部が設けられている内側筒体と、 (ハ) 内側筒体の外周面に設けられるフイルター材
   と、 (ニ) 内側筒体の外周面と外側筒体の内周面間を閉
   塞し、外側筒体内の下部であつて、内側筒体の
   下端部より下方に泥溜空間を形成する区画板。