JPS6328662Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車のシートをスライド可能に支
持するスライドレールに設けられる安全装置に関
するものである。

自動車のシートは、良好な着座位置を得るため
に、車体の前後方向に数段階に分けて移動できる
ように車体に取付けられている。

このようなシートの支持構造は、一般的に、相
対的にスライド可能で且つ適宜位置で停止可能に
組合わされたロアレールとアツパレールとより成
るスライドレールを車体静止部材とシートとの間
に配置させた構造となつている。その為、シート
の前後動作に伴つてアツパレールがロアレールに
沿つてスライドすると、ロアレールの後端或いは
前端が露出し、乗員の手足を傷付けたり、噛み込
んだりし、更にスライドレール内に充填されたグ
リースが衣服に付着する等の問題があつた。

このような欠点を解決するものとして、例えば
実開昭56−113040号公報にて開示された先行技術
がある。これは第１図及び第２図に示す様に、固
定用ブラケツト１を介して車体側に固定されるロ
アレール２とこれにスライド可能に装着され、シ
ートを支持するアツパレール３とより成るスライ
ドレール４の後端部に、ロアレール２及びアツパ
レール３の何れの後端部にも冠合し得るカバー部
材５を設け、当該カバー部材５から延びるロツド
６，６をスライドレール４と並行に配置し、且つ
ロツド６，６をアツパレール３に設けたブラケツ
ト７，７に貫通させると共にロツド端とブラケツ
ト７，７にスプリング８，８を圧縮間在させてカ
バー部材５をスライドレール４の後端面に常時冠
合するようになしたものである。

そしてアツパレール３が前進すると、カバー部
材５がロアレール２の後端面に冠合してこれを被
覆し、アツパレール３が後退すると、カバー部材
５がアツパレール３の後端面に冠合してこれを被
覆し、カバー部材５によつて突出する側のレール
２，３の何れか一方の後端面と乗員の手足との干
渉や噛み込みを防止している。

しかし、上記構造ではカバー部材５は小さく、
ロアレール２或いはアツパレール３の何れか突出
する側の後端部を被覆しているだけであるから、
アツパレール３が前進すると、ロアレール２の後
端上面が露出し、ロアレール２のスライド部２ａ
とアツパレール３の端部との間で乗員の手を噛み
込む恐れがあり、同時にロアレール２内のグリス
が衣服等に付着することがある。またアツパレー
ル３が後退し、カバー部材５と冠合するときに両
者間で乗員の手を噛み込む恐れもあつた。更に部
品数が多く組付けも面倒であつた、前記の如きカ
バー部材をスライドレールの前端部に装設した場
合も、上記と同様の欠点を有している。

また、他に実開昭55−68633号公報にて開示さ
れたものもある。これはスライドレールの端部に
アツパレール及びロアレールの端部を覆うレール
カバーを装着し、スライドレールに装着されるク
ツシヨンフレームとレールカバーとの間に夫々ス
プリングを張設してレールカバーの端部をアツパ
レール又はロアレールの端部に当接させるように
したものである。この場合、レールカバーを引つ
張るためのスリングが少なくとも２本必要であ
り、スライドレールの両端にレールカバーを設け
ると、多数のスプリングが必要で、しかもクツシ
ヨンフレームにスプリングを係止するための係止
部を形成せねばならず、構造が複雑になると共に
部品数も多くなつていた。またレールカバーを
個々に独立してスプリングにてひつぱつているの
で、アツパレールの移動時、少なくとも一方のス
プリングの引張力に抗してアツパレールを移動さ
せねばならず、スライド抵抗が大きくなつてい
た。

この考案は従来のシートのスライドレールの安
全装置の上記欠点に鑑み、これを改良除去したも
ので、アツパレールの最大スライド時においても
ロアレールとアツパレールとの間を十分に被覆し
て乗員の安全性及び衣服等へのグリスの付着を防
止せしめた安全装置を提供する。

即ち、この考案は、アツパレールが最大スライ
ド位置にあつても、ロアレールとアツパレールの
端面間を十分に覆い得る安全カバーをスライドレ
ールの前後端に被覆し、両安全カバー間にスプリ
ングを張設し、安全カバーをスプリングにてスラ
イドレール端部へ常時弾圧接触させたものであ
る。

以下この考案の実施例を図面を参照して説明す
る。

第３図及び第４図に於いて、１０は車体静止部
材、１１はシート、１２は車体静止部材１０とシ
ート１１との間に配置されたスライドレール、１
３はスライドレール１２の端部を被覆する安全カ
バーである。

スライドレール１２はハツト型断面のロアレー
ル１４とロアレール１４の上面にその両側端フラ
ンジ１４ａ，１４ａを抱持させて装着したアツパ
レール１５とより成り、両者間に軸受やアジヤス
タ機構（図示せず）が内蔵され、アツパレール１
５がロアレール１４に対してスライド可能となつ
ている。前記ロアレール１４の端部下面にはく字
形に屈曲させた取付用ブラケツト１６，１６′を
固着してあり、当該取付用ブラケツト１６を車体
静止部材１０に固着した固定用ブラケツト１７，
１７′上に載せ、ボルト１８とナツト１９にて両
者１６，１７を結合することによりロアレール１
４を車体静止部材１０に取付けている。

安全カバー１３は、例えば第５図にも示すよう
にアツパレール１５を覆う如く門形断面に形成さ
れ、その一方の端部にロアレール１４若しくはア
ツパレール１５の端面を覆う縦壁１３ａが形成さ
れている。この安全カバー１３はアツパレール１
５が最大スライド位置にあつてもロアレール１４
の端部とアツパレール１５の端部との間を十分に
覆い得る大きさに形成されており、側壁１３ｂ，
１３ｂの入口側下部内面に抜け止め用突片２０，
２０を形成してある。

上記安全カバー１３はスライドレール１２の前
後端に設けられる。２１は各安全カバー１３，１
３の側壁１３ｂ，１３ｂに形成された係止片２
２，２２間に張設したスプリングで、両安全カバ
ー１３，１３を互いに引き寄せて夫々の縦壁１３
ａ，１３ａをロアレール１４若しくはアツパレー
ル１５の端面に常時弾圧接触させている。

上記構造であれば、スライドレール１２の前後
端においてロアレール１４の端面並びに上部とア
ツパレール１５の端面が安全カバー１３，１３に
て十分に覆われており、シート１１の移動に伴つ
てアツパレール１５がスライドした場合において
も前後端の安全カバー１３，１３が夫々スプリン
グ２１の牽引力によつて突出するロアレール１４
或いはアツパレール１５の端面に当接させられ、
縦壁１３ａ，１３ａにてこれを被覆しており、し
かもアツパレール１５との間を安全カバー１３，
１３にて覆われ、ロアレール１４が露出するよう
なことはない。従つてスライドレール１２の前後
端においてシートスライド時に乗員の手足を噛み
込んだり或いは衣服にグリスが付着したりしな
い。

以上説明したように、この考案は最大スライド
位置にあるアツパレールとロアレールとの間を覆
いうる安全カバーをスライドレールの前後端に被
覆し、両安全カバー間にスプリングを張設して、
安全カバーを常時スライドレールの端部へ弾圧接
触させたので、スライドレール前後端において、
ロアレールとアツパレールとの端面間が全て安全
カバーにて十分に覆われ、しかもシートの移動に
伴つてアツパレールが最大限にスライドしても安
全カバーは夫々突出する端面に当接してスライド
レールの端部を覆うので、ロアレールは露出する
ことがなく、乗員の手足の噛み込みや衣服等への
グリスの付着等を確実に防止することができる。
また、スプリングは一本でよく、しかもアツパレ
ール等にスプリングを係止するための係止部も形
成しなくてよいので、部品数が少なくなり、構造
が簡単になる。さらにスプリングで安全カバー同
志を引き合わせているので、アツパレールがロア
レールから突出しない範囲で移動するときは、安
全カバーが移動しないのでアツパレールはスプリ
ングの影響を受けることなく移動でき、移動時の
抵抗が軽減される。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のスライドレールの安全装置を示
す斜視図、第２図はその側面図、第３図は本考案
に係るスライドレールの安全装置を示す側面図、
第４図は安全装置の要部斜視図、第５図は第４図
Ａ−Ａ線断面図である。 １０……車体静止部材、１１……シート、１２
……スライドレール、１３……安全カバー、１４
……ロアレール、１５……アツパレール、２１…
…スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体静止部材に固定されるロアレールと、当該
   ロアレールにスライド自在に装着され、シートを
   支持するアツパレールとより成るシートスライド
   レールに於いて、最大スライド位置にあるアツパ
   レールとロアレールとの間を覆いうる安全カバー
   を前記スライドレールの前後端に被覆し、両安全
   カバー間にスプリングを張設し、安全カバーをス
   プリングにて互いに引き合わせてスライドレール
   の端部へ常時弾圧接触させるようにしたことを特
   徴とする自動車用シートのスライドレールの安全
   装置。