JPS6328583Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車のドアを電気的操作スイツチ
により自動的にロツクおよびアンロツクする装置
のアクチユエータに関する。

電気操作スイツチにより自動的にドアをロツク
およびアンロツクする装置は、高級車を中心に実
用化されている。このドアロツク装置の機種は、
種々あるが、一般的なものとしては、例えば自動
車工学便覧（自動車技術会編）に記載されている
ものが知られている。

すなわち、アクチユエータのシヤフトに取り付
けられたロツドは、ドア側のフツクに固定され、
このフツクがボデイ側に取り付けられた、いわゆ
るヒンジと係合することによりロツクおよびアン
ロツクの状態となる。フツクにはトーシヨンバー
やコイルバネが取り付けられており、ロツクおよ
びアンロツクの過程において、その動作には節度
が持たされている。

従つて、ロツクおよびアンロツクとも、この節
度を乗り越してしまえば逆戻りしないようになつ
ている。通常、この節度を乗り越えるまでのアク
チユエータのシヤフトの動作距離は、全ストロー
クの半分以下に設定されており、アクチユエータ
には、上記距離の間に節度を乗り越えうる推力
（一般には2.5Kg・ｆ程度）が必要とされている。

上記アクチユエータにも種々あるが、前記自動
車工学便覧図２−398に記載されている電磁ソレ
ノイド方式のものが多く使用されている。この電
磁ソレノイド方式のアクチユエータは、応答性に
おいて優れているが、次のような欠点がある。す
なわち、この方式では、可動鉄心とこれと軸方向
において相対向するヨーク端面間の電気吸引力に
基づいて推力が発生する。

第１図は、この発生推力と可動鉄心の動作スト
ロークとの関係を示すもので、同図に示すよう
に、動作終端に行くに従い発生推力が増加し、よ
つて動作終端での作動音が大きく、しかも衝撃的
である。

そこで、この作動音を吸収するために、吸音材
をヨーク端面もしくは可動鉄心の端面に装着する
と、電磁吸引力を発生するギヤツプ長が長くなつ
て発生推力が低下してしまう。さらに、ロツクお
よびアンロツクの動作にそれぞれ別個の電磁コイ
ルを必要とするため、容量および重量が共に大と
なつてしまう欠点がある。

ところで、電磁式のアクチユエータとしては、
例えば、米国特許第3149255号明細書に記載され
ているような可動磁石式のものも知られている。
しかるに、この電磁モータは、商用交流電源を入
力とし、ポンプや振動機器に用いられるものであ
り、ドアロツク用アクチユエータのように、直流
電源を入力とするものではない。また、この電磁
モータは、永久磁石の磁束を有効に利用するため
に、エアギヤツプを磁極片とオーバーラツプさせ
ることを特徴としており、推力−ストローク特性
については、特に考慮がなされていない。

これに対して、従来のアクチユエータの欠点を
解消し、ドアロツクおよびアンロツクに必要かつ
効率的な推力特性を有する小型かつ軽量なドアロ
ツク用アクチユエータとして、例えば実開昭57−
38450号、38451号および38452号の各公報に記載
されている如くのドアロツク用アクチユエータが
提案され、実用化されつつある。

ところでドアロツク用アクチユエータにおいて
は、コイルへの通電電流が8Aないし15Aと大き
いため、電流が流れたままの状態が続くとコイル
の焼損等の事故が発生してしまう。そこでロツク
およびアンロツク動作後の非所望なコイルへの通
電を遮断するための接点機構をアクチユエータに
内蔵することが検討されている。しかして、現在
実施されているこの種接点機構は、摺動式構造で
あるため、耐久性の点で問題がある。

本考案の目的は、上述の従来技術の欠点を解消
し、耐久性にすぐれかつ信頼性の高い接点機構を
内蔵したドアロツク用アクチユエータを提供する
ことである。

本考案のドアロツク用アクチユエータは、電気
的操作スイツチにより自動的にドアをロツクおよ
びアンロツクする装置に組み込まれ、軸を含む平
面における縦断面端面を略Ｅ形に形成してなるヨ
ーク内に、コイルボビンを介して２個の電磁コイ
ルを相隣る部分に同極が発生するように配設し、
ヨーク中央部には軸方向に着磁した永久磁石とそ
の両端に装着された一対の磁極片を軸に固定して
なる可動子を軸方向移動自在に装着してなる往復
駆動手段そなえたドアロツク用アクチユエータに
おいて、前記可動子の軸の一端に軸方向に着磁さ
れた永久磁石を固着し、該永久磁石に近接して前
記電磁コイルへの通電制御を行なう１個又は複数
個のリードスイツチを設置し、ロツクまたはアン
ロツクあるいはロツクおよびアンロツク動作にお
ける動作開始時から動作終了付近に至るまでは前
記リードスイツチがオンされ、動体終了付近以降
は前記永久磁石の作用により前記スイツチがオフ
されることを特徴としている。

以下、本考案の実施例を、図面により説明す
る。

ここで、第２図は、本考案のドアロツク用アク
チユエータの一実施例を示す駆動部の縦断正面図
である。

第２図において、軟磁性体からなる筒状ヨーク
１内には、中央部に軟磁性体よりなる中央磁極片
２が固定され、中央磁極片２の両側には端部磁極
片３，３ａをそれぞれ有する軟磁性体からなるサ
イドプレート５，５ａが固定されており、これら
部材により軸を含む平面における縦断端面を略Ｅ
形に形成した固定ヨーク４が形成される。

固定ヨーク４内には、コイルボビン６，６ａに
それぞれ収納された２個の電磁コイル７，７ａが
配設され、これらコイル７，７ａは、相隣る部分
に同極が発生するように直列もしくは並列に結線
されている。固定ヨーク４の中央部には可動子８
が配置され、可動子８は、可動子８に設けられた
軸９により、それぞれ軸受１０，１０ａを介して
サイドプレート５，５ａに支持されている。可動
子８は、軸方向に着磁されたリング状の永久磁石
１１の両端に、磁極片１２，１２ａをそれぞれ装
着して形成されている。ここで、１３，１３ａ
は、磁極片固定用のストツプリングであり、１
６，１６ａは緩衝用のゴム材である。

磁極片１２，１２ａは、それぞれ環状部１４，
１４ａならびに円錘台状部１５，１５ａからなつ
ている。また、端部磁極片３，３ａの内周面は、
それぞれ円錘台状部１５，１５ａと略相似形状に
形成されている。

上記構成によるアクチユエータの動作は、次の
通りである。まず、電磁コイル７および７ａに、
中央磁極片２の磁極部にＳ極が、そして端部磁極
片３，３ａの磁極部に、それぞれＮ極が発生する
ように通電すると、磁極片１２は端部磁極片３の
磁極部と磁気的に反発し、一方磁極片１２ａは、
端部磁極片３ａの磁極部に磁気的に吸引される。
このことから、可動子８には、図示矢印Ｘ方向へ
の推力が与えられる。また、電磁コイル７，７ａ
への通電方向を切換えると、上記とは逆の磁気的
関係が生じて可動子８には、図示矢印Ｙ方向への
推力が与えられる。

上記アクチユエータにおいては、ヨークと可動
子との寸法関係を例えば本考案者等の提案した特
願昭56−195592号に示されているように適宜設定
することにより第４図に示すような推力特性が得
られる。

次に、本考案における接点機構を第３図および
第４図により説明する。

第３図は上記接点機構の一例を示す断面図であ
る。図中９は第１図における可動子８の軸であ
り、一端に軸方向に着磁された永久磁石１７が固
着されている。軸１８の端部の付近にはサイドヨ
ーク５ａにネジ１９により固定された支持アーム
１８上にリードスイツチ２０が設置されている。
リードスイツチ２０は直流電圧源２３および電磁
コイル７，７ａに電気的に接続されている。な
お、図中２４はドアを自動的にロツクするための
スイツチである。なお、第３図においては、アン
ロツク方向動作時の電気回路は図示してないが、
アンロツク方向動作時は別回路となる。

上記接点機構による動作を説明すると次の通り
である。ここで、第３図において、例えば軸９が
図示矢印Ｘ方向に移動した時をロツク動作そして
軸１８が図示矢印Ｙ方向に移動したときをアンロ
ツク動作とする。まずスイツチ２４をONしてア
クチユエータの作動を開始すると、ロツク動作の
過程において、動作開始時から永久磁石１７がリ
ードスイツチ２０の近傍を離れるまでの間は永久
磁石１７の磁界が作用するためリードスイツチ２
２が閉じており、すなわち接点２１と２２とが接
触しておりコイルへの通電が行なわれている。そ
して永久磁石１７が図示一点鎖線で示す如くリー
ドスイツチ２０の近傍を離れると永久磁石１７の
磁界が作用しなくなり、リードスイツチ２０の接
点２２と２１が離れてコイルへの通電が遮断され
る。ここで、コイル７，７ａへの通電を遮断する
時期は、永久磁石１７とリードスイツチ２０の相
対位置関係を調整することにより設定されるが、
ロツク動作に支障をきたさぬように、動作終了間
際に設定する必要があり、例えば第４図に示すよ
うにストロークが９mmの場合は、８mmの時に通電
が切れるようにすればよい。

尚、本実施例では、ロツク動作時にオフする一
例を説明したが、リードスイツチを２個設けて、
各々、ロツク、アンロツク用に使用すれば、ロツ
クおよびアンロツク両動作時にオフすることがで
きる。

また、上記のようにコイルへの通電が遮断され
た状態では、アクチユエータの推力は慣性力と永
久磁石の磁気吸引力による保持力によつて発生す
る。ここで、アクチユエータが第４図に示される
如くの有効な保持力を有していれば、上記の如く
の接点機構を設けた場合にも、十分信頼性の高い
作動を保証することができる。

なおアクチユエータの両端部において永久磁石
の吸引力により保持力をもたせるためには、例え
ば本考案者等が特願昭56−195592号により提案し
たように、永久磁石として希土類コバルト磁石を
用いかつ磁石外径を15.5〜20mmの範囲で設定すれ
ばよい。さらに保持力の値は、上記特願昭56−
195592号に記載されているように、ロツクおよび
アンロツクの位置を保持することができかつ手動
操作を阻害しないようにするため、0.5〜1.2Kg・
ｆの範囲とすればよい。

以上に記述の如く、本考案によれば、小形かつ
軽量でしかも必要十分な推力特性が得られるドア
ロツク用アクチユエータに接点機構を内蔵せしめ
ているので、動作後の非所望な通電が阻止され、
コイルの焼損等の事故を防止することができ、ア
クチユエータの性能を十分発揮できる。また本考
案によれば、無摺動式の接点機構を設けているの
で、接点部の耐久性にすぐれ、信頼性の高いドア
ロツク用アクチユエータが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は電磁ソレノイドの推力特性図、第２図
は本考案のドアロツク用アクチユエータの駆動部
の一例を示す縦断面図、第３図は本考案のドアロ
ツク用アクチユエータの接点機構の一例を示す断
面図、第４図は第２図のアクチユエータの推力特
性図である。 １：筒状ヨーク、２：中央磁極片、３，３ａ：
端部磁極片、４：固定ヨーク、６，６ａ：コイル
ボビン、７，７ａ：電磁コイル、８：可動子、
９：軸、１１：永久磁石、１２，１２ａ：磁極
片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電気的操作スイツチにより自動的にドアをロツ
   クおよびアンロツクする装置に組み込まれ、軸を
   含む平面における縦断面端面を略Ｅ形に形成して
   なるヨーク内に、コイルボビンを介して２個の電
   磁コイルを相隣る部分に同極が発生するように配
   設し、ヨーク中央部には軸方向に着磁した永久磁
   石とその両端に装着された一対の磁極片を軸に固
   定してなる可動子を軸方向移動自在に装着してな
   る往復駆動手段そなえたドアロツク用アクチユエ
   ータにおいて、前記可動子の軸の一端に軸方向に
   着磁された永久磁石を固着し、該永久磁石に近接
   して前記電磁コイルへの通電制御を行なう１個又
   は複数のリードスイツチを設置し、ロツクまたは
   アンロツクあるいはロツクおよびアンロツク動作
   における動作開始時から動作終了付近に至るまで
   は前記リードスイツチがオンされ、動作終了付近
   以降は前記永久磁石の作用により前記リードスイ
   ツチがオフされることを特徴とするドアロツク用
   アクチユエータ。