JPS6327919Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ベルトプレスの改良に関するもの
である。

夫々複数個の案内ロールに懸け回わされた上下
二枚の無端帯状の濾布が一定の走行区間を互に外
接せしめられており、上記一定の走行区間の前位
に、上下二枚の濾布間に泥状物を供給するための
泥状物供給装置に配設されていて、この泥状物の
供給装置から二枚の濾布間に供給された泥状物
が、上記一定の走行区間を二枚の濾布間に挾持さ
れて移動する間に、この二枚の濾布の各内周面側
からそれを挾圧する圧力によつて脱水されるよう
に構成されたベルトプレスは、よく知られてお
り、公知のベルトプレスにおいては、上記挾圧脱
水区間における挾圧力は、その多くを、二枚の濾
布がそれらの案内ロールに懸け回わされている状
態における外側の濾布自体の張力が、二枚の濾布
間に泥状物を挾んだ状態において、外側の濾布を
案内ロールの表面向に押しつけることによつて与
えられている。

したがつて、このような挾圧力によつて脱水さ
れた泥状物は、二枚の濾布が案内ロールに巻き懸
けられた部位では、外側の濾布の張力によつて、
加圧されるので、緊張された状態の濾布の外側へ
と水分を分離されているが、二枚の濾布が案内ロ
ールに巻き懸けられている部位を過ぎると、濾布
の張力による挾圧力がなくなるので、折角分離し
た水分が濾布及びケーキ方向に吸収されることに
なり易い。特に、上側の濾布によつて泥状物から
分離された水分は、濾布の上面に出るため、上記
の傾向が著しい。このため、上側の濾布によつて
分離された水分が前記挾圧区間の最終段まで持越
されて、結局、ケーキ内に吸収されるといつた問
題があつた。

この考案の一つの目的は、上記の欠点を除去し
て、折角分離した水分を完全に取り去つて、より
高い脱水率が得られるベルトプレスを提供しよう
とするものである。

また、公知のベルトプレスにあつては、二枚の
濾布間に送り込まれた泥状物は、その初めから終
りまで、二枚の濾布間の一定の位置に挾まれた
まゝの状態で挾圧脱水されるため、二枚の濾布間
に挾圧された泥状物の層は、汚泥の性状如何によ
つては、濾布面に近い部位ではよく脱水される
が、中心部位では必づしも良く脱水されないまゝ
残る、といつた問題があつた。

この考案の他の目的は、上記の欠点も併せて除
去し、ケーキ全体としてより高い脱水率が得られ
るベルトプレスを提供しようとするものである。

上記したような目的課題は、上記したようなベ
ルトプレスにおいて、前記挾圧脱水区間の後位
に、上下分離して案内された下側の濾布の上面に
接する加圧ロールと、下側の濾布の下面に接する
加圧ロール又は加圧ベルトとの組合せからなる、
加圧脱水装置を配設すると共に、この加圧脱水装
置と前記挾圧脱水区間の終端位との間に、下側の
濾布上の泥状物のケーキに作用する撹拌翼を備え
た泥状物の撹拌装置を配設すると、前記二枚の濾
布間の挾圧脱水区間で一旦脱水された泥状物のケ
ーキを、撹拌装置で解きほぐした上、上記加圧脱
水装置で更に脱水することになるから、強力に脱
水できるのであるが、上記のような加圧ロールを
直接泥状物のケーキに接触させて強力に加圧する
脱水区間では、加圧ロールに押された泥状物が、
とかくロールの巾方向外向きに逃げ、濾布側方か
ら漏れ易くなる。

この考案の目的は、このような現象にも対処し
ながら、泥状物のケーキを更に強力に且つ円滑に
加圧脱水することができる、ベルトプレスを提供
しようとするものであつて、その要旨とするとこ
ろは、前記したような挾圧脱水区間の後位に、前
記したような加圧脱水装置が配設されているベル
トプレスであつて、上記挾圧脱水区間と加圧脱水
装置との間に、下側の濾布上の泥状物のケーキに
作用する撹拌装置と、該泥状物のケーキを濾布上
で巾方向の中央向きに寄せる巾寄せ装置とが配設
されていること、を特徴としてなる泥状物の撹拌
装置にある。

一実施例を第１〜３図について説明すると、こ
の実施例のベルトプレスでは、それに内接する案
内ロール４〜１１とそれに外接する案内ロール１
２，１３とによつて案内された無端帯状の上側の
濾布１と、それに内接する案内ロール１４〜２２
とそれに外接する案内ロール２３，２４とによつ
て案内された無端帯状の下側の濾布２とを、それ
らが案内ロール５，１６，６，１７，７，１８，
８及び１９にじぐざぐ状に懸け回わされている一
定の走行区間において、互に外接せしめてあり、
下側の濾布２を、濾布駆動用のモータ２５にて矢
印Ａ方向に駆動することで、上側の濾布１を矢印
Ａ方向に運動せしめ、これら二枚の濾布１，２が
その走行方向において互に外接せしめられてい
る。泥状物の挾持搬送区間の前位に、上下二枚の
濾布１，２間に泥状物を供給するための泥状物供
給装置２６を配設してある。

すなわち、この実施例のベルトプレスでは、上
記泥状物供給装置２６から案内ロール１３，４間
の濾布１の上へと泥状物を供給すると、泥状物
が、ロール１３，４間で重力濾過された上、二枚
の濾布１，２が前記案内ロール５，１６，６，１
７，７，１８，８及び１９に順次じぐざぐ状に懸
け回わされた一定の走行区間つまり泥状物の挾持
搬送区間へともたらされ、この区間では、二枚の
濾布１，２間に挾持された泥状物が、二枚の濾布
１，２が案内ロール５，１６，６，１７，７，１
８，８及び１９に接している部位で、外側の濾布
１又は２の張力によつて案内ロール向きに挾圧さ
れることにより、脱水されるようになつているの
であるが、この考案にしたがつたベルトプレスに
あつては、上記のようにして二枚の濾布１，２が
互に外接せしめられている一定の走行区間からな
る泥状物の挾圧脱水区間の後位に、特に次のよう
な加圧脱水装置３０と泥状物のケーキの撹拌兼巾
寄せ装置４０とが配設されている。

すなわち、この実施例の加圧脱水装置３０は、
二枚の濾布１，２が前記挾圧脱水区間の終端位の
案内ロール１９の回りを経過した後上下に分離さ
れている部位で下側の濾布２が外接せしめられて
いる前記案内ロール２３と、濾布２を挾んでこの
案内ロール２３に対設された加圧ロール３１と、
でもつて構成されており、これらの案内ロール２
３と加圧ロール３１の対は、両者間の間隙を調節
自在になされるか又は両者間の間隙を狭める方向
に附勢されていて、濾布２の外周面に乗つている
泥状物のケーキＳに、所望の圧搾圧を加えうるよ
うになつている。

また、この実施例の泥状物のケーキの撹拌兼巾
寄せ装置４０は、下側の濾布２が案内ロール１
９，２３にじぐざぐ状に懸け回わされている部位
の、上下の濾布１，２間に配して、上記案内ロー
ル１９，２３等に平行に軸架された回転軸４１
と、この回転軸４１の回りに植設された一対の螺
旋状の撹拌翼４２，４２とでもつて構成されてい
て、各撹拌翼４２は、回転軸４１を第２図上時計
方向に回転させると、その先端部が濾布２の上面
に附着している泥状物のケーキＳの全巾に亘つて
作用し、それを掘り起こして撹拌しながら、泥状
物のケーキＳを濾布の巾方向の中央向きに寄せう
る向きの螺旋状に形成されている。

なお、図において、２７は濾布１に対設したス
クレーバー、２８は濾布２に対設したスクレーバ
ー、２９は案内ロール２３に対設したスクレーバ
ーである。

次に作用について説明すると、この考案にした
がつた実施例のベルトプレスは、上記のような構
成であるから、二枚の濾布１，２間に供給された
泥状物は、二枚の濾布１，２が前記案内ロール
５，１６，６，１７，７，１８，８及び１９に順
次じぐざぐ状に懸け回わされている泥状物の挾持
搬送区間で挾圧脱水される。二枚の濾布１，２が
案内ロール１９を経過すると、二枚の濾布１，２
は上下に分離されるので、上記挾持搬送区間で挾
圧脱水された泥状物のケーキＳの層は、二枚の濾
布１，２がこの案内ロール１９部位を過ぎると、
上側の濾布１からその自重によつて分離され、下
側の濾布２の上面に附着した状態で二枚の濾布
１，２間に露出されることになる。なお前記スク
レーバー２７は、この分離現象をより確実に保証
するための補助手段である。

したがつて、このようにして二枚の濾布１，２
が上下に分離された時点においては、案内ロール
１９の回りでの挾圧脱水により上側の濾布１の上
面に一旦浸出せしめられた濾液は、そのまゝ濾布
１に保持されて、泥状物のケーキＳから確実に分
離回収されることになる。また、上記挾圧脱水区
間での泥状物の脱水処理は、泥状物を二枚の濾布
１，２間に挾持した一定の層状の姿勢のまゝ行わ
れるので、この挾圧脱水区間で脱水されたケーキ
Ｓの層は、どうしても上下の濾布１，２の面に近
い部分の脱水率が高く、中間部の脱水率が低くな
る傾向にある。ところが、この考案のベルトプレ
スにあつては、上記のようにして、ケーキＳの層
が下側の濾布２の上面に附着した状態で二枚の濾
布１，２間に露出された部位には、前記したよう
な撹拌兼巾寄せ装置４０が配設されているので、
濾布２の上面に附着して二枚の濾布１，２間に露
出された泥状物のケーキＳは、この濾布２の上
で、この撹拌兼巾寄せ装置４０によつて撹拌さ
れ、よく脱水された部分と、そうでない部分とを
互に混合されると共に、濾布２の巾方向の中央向
きに寄せられることになり、この撹拌兼巾寄せ装
置４０の次位には前記加圧脱水装置３０があるの
で、上記撹拌兼巾寄せ装置４０によつてよく脱水
された部分と、よく脱水されていない部分とを互
に混合され且つ巾方向の中央向きに寄せられた泥
状物のケーキＳは、引続いて、この加圧脱水装置
３０によつて、加圧脱水されることになるのであ
る。そしてこの加圧脱水装置３０は、下側の濾布
２の上面に載置された泥状物のケーキＳの層の表
面に、直接案内ロール２３の表面を圧接せしめ
て、濾液のすべてを下側の濾布２を通してその下
方へと押し出すようになつているので、よく脱水
された部分と、よく脱水されていない部分とが互
に混合された状態の泥状物のケーキＳの層は、こ
こで強力に圧迫され、ケーキＳの全体を高い脱水
率に脱水されることになるのであるが、この加圧
脱水装置３０の作用領域にもたらされる泥状物の
ケーキＳは、前記撹拌兼巾寄せ装置４０で撹拌さ
れた際、濾布上において予め濾布の中央向きに寄
せられているので、それに直接案内ロール２３の
面が接した状態で強力に加圧されても、該加圧に
よつて側方にはみ出すことがない。

なお、上記実施例においては、挾圧脱水区間の
終端位と加圧脱水装置３０との間に、濾布２上の
泥状物のケーキＳに対する撹拌兼巾寄せ装置４０
を配設した例を示したが、泥状物Ｓに対する撹拌
装置と巾寄せ装置とは、濾布２上の泥状物のケー
キＳに対し各別に配設してもよいのであつて、他
の実施例においては、第４，５図に示すように、
回転軸５１の回りに多数の撹拌翼５２，５２…を
植設してなる撹拌装置５０を前位に配設し、その
後位に、泥状物のケーキＳに作用してそれを濾布
２の巾方向中央向きに寄せる案内面をもつた、多
数の案内板６２，６２…を、バー６１に植配して
なる、巾寄せ装置６０を配設してもよい。

また、上記実施例においては、二枚の濾布１，
２が分離された部位に配設された加圧脱水装置３
０を、濾布２の上面に接する案内ロール２３と、
この濾布２の下面に接する加圧ロール３１との組
合せでもつて構成してある例を示したが、他の実
施例においては、加圧装置１３０を、第６図に示
してあるように、３本のロール３２，３３，３４
に懸け回わして濾布２の下面に圧接せしめた無端
帯１３１でもつて構成してもよい。

以上、この考案に係るベルトプレスを実施例に
ついて説明したが、上記したように、この考案に
したがつたベルトプレスにあつては、泥状物を上
下二枚の濾布間に挾んだ状態で脱水する挾圧脱水
区間の最終段から直ちに上下二枚の濾布を互に分
離せしめるように構成されているので、上記挾圧
脱水区間で上側の濾布の上に脱水された濾液は、
これを泥状物のケーキ方向に逆流浸透せしめるこ
となく、そのまゝ上側の濾布に保持せしめて回収
できる他、二枚の濾布間に挾まれた一定の状態で
脱水された泥状物のケーキが、下側の濾布の上に
露出せしめられた部位では、それを撹拌装置でも
つて撹拌できるようになつているので、挾持脱水
区間で、層の厚さ方向においては不均一にしか脱
水されていない泥状物のケーキの層を、この撹拌
装置によつて均一に撹拌し、あらためて次位の加
圧脱水装置によつて加圧脱水できる。しかも、こ
の加圧脱水装置は、下側の濾布の上に載つている
ケーキの層を、その上面に直接接するロールと該
濾布の下面に接する加圧ロール又は加圧ベルト間
で加圧脱水するものであるから、撹拌後のケーキ
の層を強力に加圧脱水して、濾液を下方へ排出せ
しめうるのであるが、この考案のベルトプレスに
は、上記加圧脱水装置の前位に、泥状物のケーキ
を濾布上で巾方向の中央向きに寄せる、巾寄せ装
置が配設されていて、ケーキが予め巾方向の中央
向きに寄せられるようになつているので、その後
位で、加圧脱水装置のロールをケーキに直接接触
せしめて強力に脱水しても、ケーキが濾布の横か
ら漏れる虞れがない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るベルトプレスの一実施
例を示した概略側面図、第２図は同要部の側面
図、第３図は第２図の−線断面図、第４図は
他の実施例を示した要部の側面図、第５図は第４
図の−線断面図である。 １，２……濾布、４〜２４……案内ロール、２
６……泥状物の供給装置、３０，１３０……加圧
脱水装置、３１……加圧ロール、１３１……加圧
ベルト、４０……泥状物のケーキの撹拌兼巾寄せ
装置、５０……泥状物のケーキの撹拌装置、６０
……泥状物のケーキの巾寄せ装置、Ｓ……泥状物
のケーキ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 夫々複数個の案内ロールに懸け回わされた上下
   二枚の無端帯状の濾布が、一定の走行区間を互に
   外接せしめられて同一方向に駆動されており、上
   記一定の走行区間の前位に、上下二枚の濾布間に
   泥状物を供給するための泥状物供給装置が配設さ
   れており、上記一定の走行区間によつて二枚の濾
   布間に挾持された泥状物を二枚の濾布の各内周面
   側から挾圧する挾圧脱水区間が形成されており、
   上記挾圧脱水区間の後位に、上下に分離して案内
   された下側の濾布の上面に接する案内ロールと、
   下側の濾布の下面に接する加圧ロール又は加圧ベ
   ルトとの組合せからなる、加圧脱水装置が配設さ
   れている、ベルトプレスであつて、上記加圧脱水
   装置と前記挾圧脱水区間の終端位との間に、下側
   の濾布上の泥状物のケーキに作用する撹拌装置
   と、該泥状物のケーキを濾布上で巾方向の中央向
   きに寄せる巾寄せ装置とが配設されていること、
   を特徴としてなるベルトプレス。