JPS6327067Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、２サイクル機関の排気装置に関す
る。

２サイクル機関においては、高速回転時の排気
行程終期に排気管の開口部から反射してきた燃焼
ガスの脈動波の正圧を排気口部に作用させること
によつて排気管内に出て来た混合ガスをシリンダ
内に押し戻して出力の向上を図つているが、その
出力を向上できる機関の回転数は、排気管の形状
や寸法を高速域に合わせた場合には高速回転域に
限定され、低速回転時には負圧波が排気口部に作
用し混合ガスを吸い出して出力低下を来たすこと
になる。

従来、この低速回転時における出力低下を防止
するために、機関の排気通路に連通路を介して連
通したサブチヤンバーと、該連通路を開閉する開
閉弁とを備えた排気装置が知られており、この排
気装置では、低速回転時に該開閉弁を開くことに
よつて排気行程の終期における燃焼ガスの脈動派
により排気口部の負圧をサブチヤンバーからの反
射波により正圧に変え出力を向上し、高速回転時
には該開閉弁を閉じることによつてサブチヤンバ
ーの影響を除いて出力の低下を防止している。

ここで、高速回転域における開閉弁の閉成時、
この開閉弁と排気通路との間に無効空間が存在す
ると、この無効空間が分岐管として作用すること
によつて最高出力が低下することになる。

該無効空間を小さくする為、第５図に示した様
に、排気通路２５とサブチヤンバ２３とを連通す
る連通路１４の中央部に設けられた回動軸２３を
中心に回動するいわゆるバタフライ式の開閉弁２
４を排気通路２５に近接して設けることも考えら
れるが、回動軸２３が連通路１４の中央に位置す
ることで、開閉弁２４が閉じたとき、開閉弁２４
と排気通路２５との間に少なくとも回動軸２３の
厚み分に対応した無効空間Ａ（第５図に斜線で示
した部分）が余分に存在することになり、この無
効空間が先述した如く高速回転時における出力低
下の一因となる。また、開閉弁２４が開いたと
き、開閉弁２４が排気通路２５内に突出して排気
流を乱し排気抵抗が大きくなり、エンジン出力が
低下する不都合がある。

そこで、本考案は上記無効空間を少なくするこ
とにより低速域から高速域にかけて高い性能が得
られる２サイクル機関の排気装置を提供すること
を目的とする。

この目的を達成するために、本考案による２サ
イクル機関の排気装置においては、２サイクル機
関の排気通路とサブチヤンバーとを連通せしめる
連通路に、この連通路を機関の回転数に応じて開
閉する開閉手段が設けられ、この開閉手段は、孔
を有する固定円板及びこの固定円板に対して回転
摺動し所定の回転位置において該固定円板の孔と
対向する孔を有する回転円板によつて構成され、
固定円板若しくは回転円板が排気通路に外接して
設けられている。

以下、図面を用いて本考案の実施例を説明す
る。

第１図乃至第３図において、１は操舵軸２を回
動自在に支承するヘツドパイプ、３はこのヘツド
パイプ１から下方に向つて延びるダウンチユー
ブ、４はこのダウンチユーブ３から分岐してさら
に下方斜め後方に延びるクレードルパイプであ
り、このクレードルパイプ４にはブラケツト５，
６を介して２サイクル機関７が取り付けられてい
る。

機関７の排気系において、シリンダ８内に連通
した排気口９と排気管１０との間には連結管１１
が着脱可能に設けられて排気通路２５の一部を形
成している。この排気通路２５には、連結管１１
と一体に形成された分岐管１２内の連通路１４を
介してサブチヤンバー１３が連通しており、さら
に連通路１４における排気通路２５の近傍には、
機関７の低速回転時に連通路１４を開き、高速回
転時に連通路１４を閉じる開閉手段１５が設けら
れている。

開閉手段１５は、第４図から特に明らかなよう
に、例えば３個の孔１６ａ〜１６ｃを有して分岐
管１２の内壁に固着された固定円板１７と、この
固定円板１７の孔１６ａ〜１６ｃに対応した３個
の孔１８ａ〜１８ｂを有し固定円板１７に対して
回転摺動する回転円板１９とを含んでおり、固定
円板１７は連結管１１内に形成された排気通路２
５の外側に外接して設けられている。第４図には
固定円板１７の孔１６ａ〜１６ｃと回転円板１９
の孔１８ａ〜１８ｃとが対向していない状態、す
なわち連通路１４を閉じた状態が示されており、
この閉状態の位置から回転円板１９をシヤフト２
０を介して制御手段２１により図の時計（若しく
は反時計）方向に略60゜回転駆動することによつ
てその回転位置において固定円板１７の孔１６ａ
〜１６ｃと回転円板１９の孔１８ａ〜１８ｃが対
向し、連通路１４を開状態とする。制御手段２１
としては、例えば機関７によつて駆動されるエア
ポンプ等の圧縮空気源を用い得るが、本考案の要
旨に含まれるものではないのでその具体的構成に
ついては省略する。サブチヤンバー１３とこのサ
ブチヤンバー１３を貫通したシヤフト２０との間
にはシール部材２２が介挿され、サブチヤンバー
１３の気密性を維持している。ところで、本考案
においては、孔を有する２枚の円板１７，１９に
よつてサブチヤンバー１３の入口すなわち連通路
１４を開閉するようにしたので、第５図に示した
バタフライ式弁の回転軸２３のように固定円板１
７を排気通路２５に外接せしめるうえで妨げとな
るものがなく、固定円板１７を排気通路２５に外
接して設けることが可能となり、連通路１４の閉
状態における上記無効空間を少なくできるため、
高速回転時における出力低下を防止できることに
なる。

なお、本考案は自動二輪車への適用に限定され
るものではなく、自動三輪車等にも適用し得るも
のである。

以上のように、本考案によれば、排気通路から
サブチヤンバーに連通する連通路を開閉する開閉
手段を、互いに対向し得る孔を有しかつ一方が回
転可能な２枚の円板で構成したので、開閉手段を
排気通路に外接して設けることが可能となり、開
閉手段と排気通路との間の無効空間を少なくでき
るため高速回転時における出力低下を防止でき、
また開閉手段の開時に排気流内に突出するものが
なく排気流の乱れを生じさせないため十分な出力
上昇が図れ、低速域から高速域にかけて高い性能
を得ることができる。

また、連通路を固定円板とこれに対して回転摺
動する回転円板とによつて開閉することとしてい
るので、連通路を閉じたときの密封度を高めるこ
とが容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による排気装置を備えた自動二
輪車の側面図、第２図は本考案による排気装置を
備えた機関を示す一部断面を含む側面図、第３図
は第２図の−線断面図、第４図は第２図及び
第３図における開閉手段の平面図、第５図は開閉
手段として回動軸を有する弁体を用いた場合の排
気装置を示す断面図である。 主要部分の符号の説明、７……機関、１０……
排気管、１１……連結管、１３……サブチヤンバ
ー、１４……連通路、１５……開閉手段、１７…
…固定円板、１９……回転円板、２５……排気通
路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２サイクル機関の排気通路に連通路を介して連
   通したサブチヤンバーと、前記連通路を開閉する
   開閉手段と、前記機関の回転数に応じて手前記開
   閉手段の開閉動作を制御する制御手段を備えた２
   サイクル機関の排気装置であつて、前記開閉手段
   は、孔を有する固定円板と、前記固定円板に対し
   して回転摺動し所定の回転位置において前記固定
   円板の孔と対向する孔を有する回転円板とを含
   み、前記固定円板及び前記回転円板のいずれか一
   方は前記排気通路に外接して設けられ、前記回転
   円板が前記制御手段によつて駆動制御されること
   を特徴とする２サイクル機関の排気装置。