JPS6324292Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は空気圧シリンダのような摺動用アクチ
ユエータに用いられる摺動用無給油パツキンに関
する。

（従来技術） 第１図に示すように従来の無給油パツキン１
は、例えばゴム等の単一材料によつて断面形状Ｘ
形に形成されると共に、ピストン２等の外周環状
溝３に嵌着され、１対の環状突起６がシリンダ部
材４の内周摺接面４ａに当接している。グリース
溜５は１対の環状突起６間に形成されており、上
記グリース溜５にグリースが溜められている。

ところが第１図の従来構造では、耐摩耗性及び
摺動性能に問題が残る。即ちゴム材の突起６によ
つてシールし、かつ両突起６間にグリースを溜め
るようにしているため、例えばピストン２が矢印
Ｆ方向へ摺動するときには逆矢印Ｆ側の突起６の
先端シール面にしか給油できず、摺動性能及び耐
摩耗性に問題が残る。

（考案の目的） シール部分を硬質の部材で構成し、かつシール
面を充分に潤滑できるようにすることにより、摺
動用無給油パツキンの摺動性能及び耐摩耗性を向
上させることを目的としている。

（考案の構成） (イ) 互いに軸方向摺動自在に嵌合するシリンダ部
材と軸部材のうちいずれか一方の部材に環状溝
を形成し、 (ロ) 該環状溝に嵌着する摺動用無給油パツキンに
おいて、 (ハ) 軸方向両端部にグリースせき止め用環状突起
を有する弾性リングと、 (ニ) 両突起間に配置される硬質のシールリングを
備え、 (ホ) 両突起とシールリングの間にそれぞれグリー
ス溜を形成し、 (ヘ) 弾性リンングの弾性力により、突起の先端部
とシールリングの先端シール面を相手側部材の
摺接面に押し付けるようにしている。

（第１実施例） 第２図において、１１はシリンダ部材、１２は
ピストン（軸部材）であつて、ピストン１２はシ
リンダ部材１１の内周側に軸方向移動自在に嵌合
し、シリンダ１１内を第１空気室１３と第２空気
室１４に区画している。両空気室１３，１４は空
気管１５，１６及び空気路切換バルブを介して、
例えばエアポンプと大気部分と切換自在に連通す
る。１６はロツド部であつて、ピストン１２と一
体的に形成されると共に、シリンダ部材１１の両
端壁のロツド挿通孔１８にシール１９を介して嵌
合している。

パツキン嵌着用の環状溝２０はピストン１２の
外周面に形成されており、環状溝２０内に環状の
摺動用無給油パツキン２１が嵌着されている。

第３図において、パツキン２１は弾性リング２
２と、硬質のシールリング２３を備えている。弾
性リング２２はふつ素ゴム（FPM）あるいはニ
トリルゴム（NBR）によつて形成されており、
普通はニトリルゴムが使用されるが、高温（例え
ば200℃）用としては耐熱性のあるふつ素ゴムが
使用される。シールリング２３は硬質の樹脂、例
えば四ふつ化エチレン樹脂（PTFE）あるいはポ
リイミド樹脂によつて形成されている。またシー
ルリング２３としては、黒鉛繊維を押し固めたも
のやそれにシリコンオイルを含浸させたものを使
用することもできる。

弾性リング２２の外周面の軸方向両端部には、
半径方向外方へ突出するグリースせき止め用環状
突起２５がそれぞれ形成されており、また弾性リ
ング２２の外周面の軸方向中間部にはシールリン
グ嵌着用の環状凹部２７が形成されている。弾性
リング２２の内周面（ピストン中心側の面）の軸
方向両端部には、半径方向内方へ突出する１対の
環状脚部２８が形成されている。脚部２８は溝２
０の底部２０ａに当接している。なお第３図の脚
部２８は非圧縮状態（自然状態）の形状が示され
ている。

シールリング２３は断面形状が逆Ｔ字形に形成
されており、弾性リング２２の凹部２７に外方突
出状に嵌着されている。

弾性リング２２はシリンダ部材１１の内周側摺
接面１１ａと溝底部２０ａの間で圧縮されてお
り、弾性リング２２（主に両脚部２８）の弾性復
元力によりシールリング２３の先端シール面２３
ａ及び突起２５の先端部をシリンダ部材１１の摺
接面１１ａに押し付けている。

両突起２５とシールリング２３の間にそれぞれ
形成されるグリース溜３０，３１には、グリース
が注入されている。グリースとしては普通はリチ
ウム系グリースを使用するが、高温用としてはシ
リコーングリースを使用する。

（作用） 第１空気室１３に空気を圧入し、第２空気室１
４を大気圧部分に連通することにより、ピストン
１２は矢印Ｆ方向へ移動する。第１空気室１３の
高圧空気は主にシールリング２３のシール面２３
ａ部分によつてシールされ、第２空気室１４への
漏れが防止される。各グリース溜３０，３１のグ
リースは各突起２５によつて各室１３，１４への
漏れが防止されると共に、ピストン１２の矢印Ｆ
方向への移動により矢印Ｆ側のグリース溜３１の
グリースがシール面２３ａと摺接面１１ａの間に
浸透し、シール面２３ａを潤滑する。

第２空気室１４へ空気を圧入することによりピ
ストン１２が逆矢印Ｆ方向へ移動する場合には、
逆矢印Ｆ側のグリース溜３０のグリースがシール
面２３ａと摺接面１１ａの間に浸透し、シール面
２３ａを潤滑する。

（第２実施例） 第４図に示すように弾性リング２２の内周面の
軸方向中間部に、中間環状脚部２８′を形成し、
そのほかの構造を第３図のパツキンと同様な構造
にする。即ち第４図の構造によると、中間脚部２
８′によりシール面２３ａを摺接面１１ａに押し
付けるバツクアツプ力が高くなり、シール性能が
向上する。なお第４図において第３図に対応する
部品には第３図と同じ番号を付している。

（第３実施例） 第５図に示すように両突起２５間の弾性リング
２２の外周面２７ｃ部分をフラツト状に形成し、
フラツト状外周面２２ｃに、断面形状矩形のシー
ルリング２３′を嵌合している。第５図の構造に
よると、シールリング２３′等の形状が簡単なの
で、製造が容易になる。なお第５図において第３
図に対応する部品には第３図と同じ番号を付して
いる。

（第４実施例） 第６図に示すように弾性リング２２の内周面の
軸方向中間部に中間環状脚部２８′を形成し、そ
のほかの構造を第５図のパツキンと同様な構造に
する。第６図の構造によると、シールリング２
３′に対するバツクアツプ力の強化と、シールリ
ング２３′の製造容易化を達成することができる。
なお第６図において第５図に対応する部品には第
５図と同じ番号を付している。

（そのほかの実施例） (1) シリンダ部材の内周側にパツキン嵌着用環状
溝を形成し、該環状溝に第３〜第６図に示すよ
うなパツキンと同様なパツキンを嵌着する。例
えば第２図のシール１９の部分に本考案を適用
したパツキンを用いる。但し第３〜第６図のパ
ツキンはシールリングや突起が外周側に備えら
れるのに対し、本実施例では内周側にシールリ
ングや突起が備えられることになる。

(2) 弾性リングの底面に第３図に示すような脚部
２８を形成せず、弾性リングの底面をフラツト
状に形成する。

（考案の効果） (1) シールリング２３の軸方向両側にグリース溜
３０，３１を形成するようにしているので、例
えば第３図においてピストン（軸部材）１２が
矢印Ｆあるいは逆矢印Ｆのいずれの方向に移動
する場合でも、いずれかのグリース溜３０，３
１から必らずシール面２３ａにグリースが浸透
することになり、シール面２３ａの潤滑が良好
に行えるようになる。それにより軸部材等の摺
動の円滑性が向上し、またシール面２３ａの摩
耗も減少する。

(2) 弾性リング２２の弾性力により、硬質のシー
ルリング２３を相手側部材の摺接面に押し付
け、シールするようにしているので、第１図の
ようにゴム材部分のみでシールする場合に比べ
て、シール面２３ａが破損あるいは変形するお
それが少なく、従つてパツキンの寿命が長い。

(3) 弾性リング２２はシールリング２３にバツク
アツプ力を与える役目を果たすばかりではな
く、１対の突起２５を形成するだけで、確実に
グリースを保持する役目も果している。即ち弾
性リング２２という１つの部材に簡単な成形加
工を施すだけで上記２つの役目を確実に果せる
ことができるようになるので、部品コスト等を
低く抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の縦断面図、第２図は本考案を
適用した摺動用無給油パツキンを備えた空気圧シ
リンダ装置の縦断面上半分図、第３図は第２図の
要部の拡大図、第４〜第６図はそれぞれ別の実施
例を示す縦断面図である。 １１……シリンダ部材、１１ａ……摺接面、１
２……ピストン（軸部材の一例）、２０……環状
溝、２２……弾性リング、２３，２３′……シー
ルリング、２３ａ……シール面、２５……突起、
３０，３１……グリース溜。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに軸方向摺動自在に嵌合するシリンダ部材
   と軸部材のうちいずれか一方の部材に環状溝を形
   成し、該環状溝に嵌着される摺動用無給油パツキ
   ンにおいて、軸方向両端部にグリスせき止め用環
   状突起を有する弾性リングと、両突起間に配置さ
   れる硬質のシールリングを備え、両突起とシール
   リング間にそれぞれグリース溜を形成し、弾性リ
   ングの弾性力により、突起の先端部とシールリン
   グの先端シール面を相手側部材の摺接面に押し付
   けるようにしたことを特徴とする摺動用無給油パ
   ツキン。