JPS6323772Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、記録再生ヘツドと消去ヘツドとを一
体に組み合せた磁気ヘツド、具体的には磁気媒体
との接触面に録音記録および再生を行なう主ギヤ
ツプをもつた記録再生ヘツドと該記録再生ヘツド
の両側部に配置され磁気媒体上のトラツクを覆つ
て録音記録されまたはされようとしているトラツ
クを限定する消去ギヤツプをもつた消去ヘツドと
から成る組合せ型磁気ヘツドに関する。

一般に磁気記録装置においては、磁気ドラム、
磁気デイスクあるいは磁気テープなどの磁気媒体
上の記録を再生する際に、磁気媒体走行方向に対
して直角方向の位置決め誤差に基く妨害信号が発
生することがある。このような妨害信号は、磁気
ヘツドの記録再生ギヤツプ（主ギヤツプ）が磁気
媒体上の再生すべきトラツクに正確に位置せずに
側方のトラツクに部分的にかかつていたりする
と、この側方のトラツクの記録を再生することに
より生じたり、あるいはトラツクに記録する時に
それ以前の記録が完全に消されていなかつたよう
な場合にも生じる。磁気ヘツドの位置決め誤差に
基づく妨害信号を防止するために、従来から記録
再生ヘツドの両側部に消去ヘツドを配置した形式
の磁気ヘツドが知られている。一方の消去ヘツド
はトラツクを覆つて主トラツクの一方の側部を限
定し、他方の消去ヘツドは同じ主トラツクの他方
の側部を限定する。記録動作中は記録再生ヘツド
および消去ヘツドは共に付勢され、これによつて
記録動作と同時にトラツクの両側を所定の巾で消
去していく。消去ヘツドによつて消去すべき巾は
磁気ヘツドの所定のトラツク上への位置調整を行
うための位置決め機構の精度に依存する。近年、
磁気記録・再生装置の小形化の要望にともない、
高密度記録のためにトラツク密度も高くなつてき
ている。

このような組合せ型磁気ヘツドとして、第１図
に示すトンネルイレーズ方式の磁気ヘツドおよび
第２図に示すストラドルイレーズ方式の磁気ヘツ
ドがあり、それぞれ利点および欠点を有してい
る。第１図のトンネルイレーズ方式のものは、消
去ヘツド１，２の消去ギヤツプ３，４が磁気媒体
の走行方向に対して直角の方向に延在している。
なお、矢印は磁気媒体例えば磁気テープの記録再
生時の走行方向を表わす。消去ギヤツプ３，４か
ら磁気媒体の走行方向上流側にずれた位置に記録
再生ヘツド５の記録再生ギヤツプ６が形成されて
いるが、この方式では記録再生ギヤツプ６および
消去ギヤツプ３，４がともに平行である。この構
造の利点は後述する第２図のストラドル方式のも
のに比較して製造がやや容易であることである。
しかし、この構造では、消去ヘツド１，２の有効
ギヤツプに生じた磁束が記録再生ヘツド５による
有効ギヤツプ６の磁束に影響を与え、さらに消去
ギヤツプ３，４をこの位置とすることは記録再生
ギヤツプ６によつて記録された信号を再生する場
合に不適当である。消去ヘツド１，２と記録再生
ヘツド５の両者の磁束は同じ方向であるため、こ
れらの磁束間に相互の干渉が起る。さらに記録再
生トラツクの側縁に消去ギヤツプ３，４による消
去磁束を集中させるのが困難である。これに対
し、第２図のストラドルイレーズ方式の磁気ヘツ
ドは、記録再生ヘツド５の両側部にギヤツプ形成
用の非磁性材例えば樹脂、ガラス、チタン箔など
を介して消去ヘツド１，２を配置したものであ
り、消去ギヤツプ３，４は磁気媒体接触面におい
て磁気媒体の走行方向に平行して延在し、記録再
生ヘツド５のギヤツプ６に対して直角となつてい
る。記録再生ギヤツプ６と消去ギヤツプ３，４の
磁束方向は同方向でなくなり、したがつて記録さ
れた信号に対する消去ギヤツプの磁束の影響およ
び記録再生ヘツドの磁気回路に対する干渉は最小
となる。この構造の利点は消去ヘツドとして強固
なコアを形成することが可能なことであり、また
磁気ヘツド自体の製造も比較的容易なことであ
る。しかしながら、この第２図の構造のものは、
再生すべきトラツクの巾が狭い場合、即ち高密度
トラツクの場合は大きな難点がある。実際上消去
されたトラツクの両側には常に遷移部が生ずる。
この部分は記録再生トラツクの外縁部から少なく
とも記録再生トラツクに隣接する消去ギヤツプの
巾に等しい距離だけ記録再生トラツク内に延在す
る。この遷移部においては記録されたトラツクの
磁化分布は次第に縁部に向けて減少する。記録再
生トラツクの両側にこの遷移部があるため、記録
された信号の相対的強度にとつて極めて好ましく
ない影響を与えることになる。

本考案は、上述した２つの形式の組合せ型磁気
ヘツドのもつ利点を生かしながらそれらの欠点を
除いたものであつて、位置決め誤差があつても狭
い消去ギヤツプによつて遷移部の巾を記録再生ト
ラツクの巾に比し無視し得る程度に小さくするこ
とができ、しかも製造も容易である組合せ型磁気
ヘツドを提供することを目的とするものである。

本考案は、記録再生ヘツドと消去ヘツドとを組
み合せた磁気ヘツドにおいて、記録再生ヘツドの
両側部に、磁気媒体との接触面からみて円弧状の
消去ギヤツプをもつ消去ヘツドを配置して成るも
のである。

以下、本考案を、図面を参照しながら、実施例
について説明する。

第３図は本考案に係る組合せ型磁気ヘツドの例
を示した概略図である。なおこの図は磁気ヘツド
の前部即ち磁気テープとの接触面側からみた図で
ある。また第４図は本考案の実施例に係る組合せ
型磁気ヘツドのコアの組付状態を概略的に示した
斜視図である。記録再生ヘツド５は第１図および
第２図に示す構造と同じであり、磁気テープ（図
示省略）の走行方向（矢印で示す）と直角にのび
る記録再生ギヤツプ６が形成されている。この記
録再生ヘツド５の一部には、例えばチタン酸バリ
ウム磁器等の非磁性材からなる補強材９を接合さ
せる。この記録再生ヘツド５の両側の側部に第３
図および第４図に示す如く消去ヘツド１，２を配
置してある。各々の消去ヘツド１，２にはその側
方に各々後部コア１３を取り付け、このコア１３
に各々消去コイル１４を装着する。なお、第３図
において矢印は記録再生時の磁気テープの走行方
向を示している。なおコア１５は両側の消去ヘツ
ド１，２間を磁気回路とするものであつて巻線１
６が形成されており、独立して電流を流してもよ
く、さらに、前記消去ヘツド１，２の巻線からな
る各消去コイル１４と直列または、共通の電源か
ら供給する方法等の手段で実施もできる。この各
コイルの接続は、いずれの接続でも本考案の作用
効果が得られるものである。前記消去ヘツド１，
２は、第３図に最も明瞭に示すように、磁気テー
プ進行方向に対向する方向に凸となるような円弧
状の消去ギヤツプ７，８を有する。このような形
状をもつ消去ギヤツプ７，８はその磁束の方向が
記録再生ギヤツプ６の磁束の方向と一致しないの
で、この消去ギヤツプによる磁束は記録再生ヘツ
ド５の磁気回路に干渉することが少ない。またこ
の円弧状ギヤツプの巾はｔであるが消去トラツク
巾は図示Ｔの如く広くなる。このように消去トラ
ツクの巾が大きいにも拘らず消去ギヤツプの実際
の巾が狭いために記録再生トラツクに対する消去
磁束の影響は小さい。さらに消去ギヤツプの巾ｔ
が狭いことから消去電流は小さくてよい。しかも
効率も優れている。記録再生トラツク内の遷移部
は消去ギヤツプが記録再生ギヤツプ６に直角とな
つている構造のものよりはるかに小さい。さらに
直線形のギヤツプに比べて円弧状のギヤツプは限
られた領域で有効ギヤツプ長を長くとることがで
きるのでそれだけ密度の高い磁束が得られ、この
結果全体として小型に構成できることとなる。円
弧状ギヤツプによる消去磁束は記録再生ヘツドの
側縁に集中するので高い消去効率が得られる。磁
気ヘツドの製造も第１図のトンネルイレーズ方式
のものに比較して容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来の組合せ型磁気ヘツ
ドの例を示した概略図、第３図は本考案に係る組
合せ型磁気ヘツドの実施例を示した概略図、第４
図は本考案の実施例に係る磁気ヘツドの内部構造
を概略的に示した斜視図である。 １，２……消去ヘツド、５……記録再生ヘツ
ド、６……記録再生ギヤツプ、７，８……消去ギ
ヤツプ、９……補強材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 記録再生ヘツドと消去ヘツドを組み合せた磁気
   ヘツドにおいて、記録再生ヘツドの両側部に、磁
   気媒体との接触面からみて円弧状の消去ギヤツプ
   をもつ消去ヘツドを配置したことを特徴とする組
   合せ型磁気ヘツド。