JPS6323763Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はレコードプレーヤーのピツクアツプア
ームのブレーキ装置に関し、アームリフトによつ
てピツクアツプアームが持ち上げられたとき、こ
のアームの水平方向の回動に軽く制動をかけるこ
とにより、アーム下降時のアームの位置等が不用
意にずれないようにしたものである。

一般に自動演奏機能を備えたレコードプレーヤ
ーにおいては、演奏開始時にアームリフトにより
アームをもち上げ、その状態でアームを水平方向
に回動させて演奏開始位置まで移動させ、そこで
アームリフトを下降させて針先をレコード盤上に
乗せるようにしている。また手動操作する場合で
も、キユーイングレバーによつてアームリフトを
上昇させ、この状態でアームを水平に回動させて
演奏位置まで移動させ、そこでキユーイングレバ
ーを操作してアームリフトを下降させて針先を下
降させるようにしている。

ところが、上記いずれの場合においても、アー
ムをリフト上に乗せて演奏位置まで移動させ、こ
のアームをレコード盤に向けて下降させようとす
る瞬間にストツパの衝撃その他の何らかの外部振
動を受けると、アームが簡単に水平方向に移動し
てしまい、演奏開始位置に正しく下降させること
ができないという問題がある。

本考案はこのような問題を解決するために、ア
ームが上昇位置にあるとき、このアームの水平方
向の回動に軽く制動をかけることにより、わずか
な外部振動等によつてアームの位置がずれないよ
うにしたピツクアツプアームのブレーキ装置を提
供するものである。

以下本考案の一実施例を図面とともに説明す
る。

第１図はアームの回動中心部分を裏側からみた
状態を示している。第１図において、１はピツク
アツプアーム、２はその後端部に取付けられたバ
ランスウエイト、３はアーム１を垂直（矢印Ａ，
Ｂ）方向に上下動自在に支持する垂直架台、４は
上記アーム１を垂直架台３とともに支持するアー
ム支持部、５はこのアーム支持部の上面を蓋う基
板、６は基板５の一部に設けられた中心軸、７，
８は互に重なり合つた状態で上記中心軸６に矢印
CD方向に回転自在に取付けられた第１、第２の
ピツクアツプ固定板９は第１のピツクアツプ固定
板７に取付けられたカム、１０は第１のピツクア
ツプ固定板７の端部にほぼ円弧状に形成されたブ
レーキシユー、１１は上記ブレーキシユー１０の
近くに、ピン１２を中心に矢印EF方向に回動自
在に取付けられたほぼＬ字状のブレーキレバー、
１３はブレーキレバー１１の先端に取付けられた
フエルト、１４はピン１５を介して基板５の切起
しに矢印GH方向に回動自在に取付けられたキユ
ーイングレバー、１６はキユーイングレバー１４
の一部に設けられたピン、１７はキユーイングレ
バー１４のピン１６とブレーキレバー１１の後端
部の間に懸架されたコイルスプリング、１８はそ
の側面がコイルスプリング１７に圧接するように
して基板５に取付けられた偏心軸、１９はアーム
１の垂直架台３と第１のピツクアツプ固定板７と
を直接結合するビスである。なお第１、第２のピ
ツクアツプ固定板７，８は、前者に設けたカム９
のカム面に後者に設けたカムピン８ａを当接し、
両者間をコイルスプリング１９で引つ張ることに
より、常時一体的に回転するように構成されてお
り、カム９の回転位置によつて、アーム１の水平
方向の回動位置が調整できるように構成されてい
る。２１は第２のピツクアツプ固定板８とレバー
２２の間に懸架されたアウトサイドフオースキヤ
ンセル用のコイルスプリングである。

第２図、第３図は第１図を矢印Ｉ，Ｊ方向から
見た状態を概念的に示したものであり、第１図と
同一機能の部分には同一符号を付して説明を省略
する。２３は基板５に対して上下動自在に設けら
れたアームリフトであり、その一部に設けたピン
２４がキユーイングレバー１４の一部に係合され
ている。

上記構成において、レコード演奏を開始するに
先だちキユーイングレバー１４を矢印Ｇ方向に回
動させると、それに応じてアームリフト２３が第
３図矢印Ｋ方向に上昇し、このアームリフト２３
上に載つているピツクアツプアーム１を上方向に
回動させる。これと同時に、キユーイングレバー
１４の矢印Ｇ方向への回動に伴つてピン１６も矢
印Ｇ方向へ回動する。このためコイルスプリング
１７が矢印Ｌ方向へ引つ張られ、ブレーキレバー
１１をピン１２を中心に矢印Ｅ方向へ回動させ
る。その結果フエルト１３がブレーキシユー１０
の彎曲した側面に圧接される。このためアーム１
を演奏開始位置まで水平に移動させる期間中、ア
ーム１とともに回動するブレーキシユー１０に対
して軽く制動力が加わることになる。したがつて
アーム１を演奏開始位置までもちきたした状態で
アーム１に何らかの外力が加わつたとしても、ア
ーム１の水平方向の回動位置がずれるようなこと
はない。

そしてこの状態でキユーイングレバー１４を矢
印Ｈ方向に回動させると、それに応じてアームリ
フト２３が下降し、アーム１も下降して演奏が開
始される。このときキユーイングレバー１４の矢
印Ｈ方向への回動によつてコイルスプリング１７
が収縮するため、ブレーキレバー１１の後端部に
このブレーキレバー１１を矢印Ｆ方向に回動させ
るような押圧力が働き、フエルト１３がブレーキ
シユー１０の側面から離れる。このため演奏開始
後はアーム１の回動に対して制動力は働かず、ア
ーム１はレコード盤の音溝に沿つて順次ターンテ
ーブルの回転中心に向かつて回動してゆく。

自動演奏を行なう場合には、スタートレバーの
操作によつて第１図のキユーイングレバー１４が
上述と同様に操作され、第２のピツクアツプ固定
板８に設けたピン８ｂがプレヤー本体側に設けた
ストツパ（図示せず）に当接することによつてア
ーム１が演奏開始位置に停止されるが、この場合
にも上述と全く同様にアーム１の回動にブレーキ
がかかり、アーム１が停止した瞬間にアーム１が
ずれるのを防止することができる。

また、上記実施例のようにコイルスプリング１
７に当接する偏心軸１８を設けておけば、この偏
心軸１８の回動によつてコイルスプリング１７の
引つ張り力を可変し、ブレーキレバー１１による
制動力を調整することができる。さらにブレーキ
レバー１１の回動部分に粘性の高いグリース等を
塗布し、ブレーキのオンオフが緩慢に行なわれる
ようにすれば、より安定な動作が期待できる。

なお、上記実施例ではピツクアツプアーム１と
一体的に回動する回動部材を第１、第２のピツク
アツプ固定板７，８とブレーキシユー１０で構成
し、ピツクアツプアーム１を上下動させる上下動
部材をキユーイングレバー１４で構成し、付勢手
段をコイルスプリング１７で構成しているが、本
考案はこの構成に限られるものではなく、これら
と実質的に等価な機能を実現するものであれば他
の部品で構成してもよいことはいうまでもない。

以上のように本考案はピツクアツプアームと一
体的に回動する回動部材の近くにブレーキレバー
を回動自在に設け、アームを上下動させる上下動
部材と上記ブレーキレバーの間に付勢手段を設
け、上記上下動部材によりアームを上昇させたと
き上記付勢手段を介して上記ブレーキレバーを上
記回動部材に圧接するようにしたものであるか
ら、アームが上昇位置にある間、このアームの水
平方向の回動に対して軽く制動を与えることがで
き、演奏開始位置まで移動されたアームが外部振
動等によつて不用意にずれるのを確実に防止する
ことができる。さらに付勢手段に当接する偏心軸
を設けて偏心軸の回動によつて付勢手段の付勢力
を容易に可変調整でき、従がつて前記制動力を簡
単に調整できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の分解斜視図、第２
図、第３図はそれぞれ第１図を矢印Ｉ，Ｊ方向か
ら見た状態を示す概念図である。 １……ピツクアツプアーム、３……垂直架台、
４……アーム支持部、５……基板、６……中心
軸、７，８……第１、第２のピツクアツプ固定
板、１０……ブレーキシユー、１１……ブレーキ
レバー、１４……キユーイングレバー、１７……
コイルスプリング、１８……偏心軸、２３……ア
ームリフト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水平垂直方向に回動自在なピツクアツプアーム
   と、上記ピツクアツプアームと一体的に水平方向
   に回動する回動部材と、上記回動部材の近くに回
   動自在に配置されたブレーキレバーと、上記ピツ
   クアツプアームを垂直方向に上下動させる上下動
   部材と、上記ブレーキレバーと上記上下動部材の
   間に懸架された付勢手段とを備え、上記上下動部
   材により上記ピツクアツプアームを上昇させたと
   き上記上下動部材の変位に応じて上記付勢手段を
   変形させ、その付勢力で上記ブレーキレバーを回
   動させ、このブレーキレバーを上記回動部材の一
   部に圧接することにより上記ピツクアツプアーム
   の水平方向の移動に対して軽く制動力を加え、か
   つ前記付勢手段の一部に偏心軸の側面を当接さ
   せ、この偏心軸の回転度合により上記付勢手段の
   付勢力を調整するようにしたピツクアツプアーム
   のブレーキ装置。