JPS6323266B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、模様や図柄などを有する金属蒸着フ
イルムの製造方法に係り、詳しくは、金属蒸着層
の抜き加工方法に関する。

従来から金属蒸着層の抜き加工においては、金
属蒸着されるべき表面以外の部分をテープなどで
被覆して真空蒸着されていたが、この方法では被
覆操作が非常に面倒であつた。これに代えて、特
公昭43−2600号公報に係る抜き加工方法が公知で
ある。これは、ベースフイルムの表面に水溶性塗
料によつて所要の模様を印刷し、この印刷面上に
金属真空蒸着層を設け、その後に印刷模様部の水
溶性塗料と同部の金属蒸着層とを水洗溶解させる
方法である。さらにこの方法を改善するものとし
て、特公昭56−38611号公報に係る抜き加工方法
があるが、これは上記方法において水溶性塗料の
印刷前に水不溶性の印刷模様を設けておくもので
ある。この方法では印刷模様と金属蒸着層との接
着性が弱く、塗膜がこすられて剥離し易いもので
あつた。

しかして、本発明は、上記各方法に代わる新規
な製造方法を提供するものであつて、ベースフイ
ルムに、熱硬化性樹脂に反応する基材を含む水溶
性ワニスをベースとした水溶性塗料層と熱硬化性
樹脂をベースとした水不溶性インキの印刷模様部
を設けた後に、強制乾燥して印刷模様部に対応す
る水溶性塗料層の対応部分を熱硬化反応し水溶性
ワニスに滲透させて水不溶性硬化層を得、その後
に全面に金属蒸着層を設けるとともに硬化層以外
の水溶性塗料層およびこの水溶性塗料層上の金属
蒸着層を溶解除去することを特徴とし、接着性の
よい金属蒸着層の抜き加工を行なえるようにした
ものである。

以下、本発明を図示する一実施例に基いて説明
する。

まず、透明な合成樹脂のベースフイルム１の片
面全面に、水溶性樹脂ワニスをベースとした水溶
性塗料層２を設けたのち、その上に熱硬化性樹脂
をベースとした水不溶性インキで所望の印刷模様
部３を設ける。

水溶性塗料層２のベースとなる水溶性樹脂ワニ
スとしては、ポリビニールアルコール、カゼイ
ン、アラビアゴム、CMC、メチルセルローズ、
エチルハイドロオキシ、エチルセルローズ、水溶
性アクリル樹脂などが挙げられる。これらのベー
スに対してヘキサメチレンテトラミン、または、
この代わりに、スルフアミン酸系、イミドジスル
フオン酸系、アルカノールアミン塩系など、ある
いはこれらの誘導体を添加する。ヘキサメチレン
テトラミンは、10％〜20％の範囲で添加される。
このような水溶性塗料を公知の方法により全面に
塗布するか、適当な手段により印刷する。印刷に
より、所望の印刷模様部を形成してもよい。水溶
性塗料層２は10μ〜20μの範囲で形成されること
が適当である。このときの水不溶性インキとして
は、熱硬化性のノボラツクフエノール樹脂をベー
スとする。印刷模様部３は、例えばグラビア印刷
により形成され、その厚さは10μ〜20μの範囲が
適当である。

しかして、その後に、100℃〜170℃の温度範囲
で熱乾燥させる。このとき、水溶性銃脂ワニスと
グラビアインキで熱硬化反応をおこし、水溶性樹
脂ワニスを硬化させて水不溶性の硬化層２ａを形
成する。硬化層２ａは、印刷模様部３′の対応部
分の水溶性塗料層２に形成され、水溶性塗料層
２′の広さ方向に拡散することはなく、印刷模様
部３′と一体重層構造となる。強制乾燥により、
水溶性塗料層２′および硬化層２ａは0.5〜1μの薄
さとなる。また、水不溶性の印刷模様部３′は1.5
〜3μの薄さとなる。

また、ヘキサメチレンテトラミンの代わりに前
記スルフアミン酸系などを添加する場合には、
0.1〜0.5％の範囲とする。この場合には、水不溶
性インキには、メラミン樹脂、尿素樹脂などを用
いてベースとし、130〜140℃で乾燥させると、水
溶性ワニスに上記メラミン樹脂などが滲透して急
速に反応硬化する。

上記のごとく、水溶性塗料層２′に水不溶性の
硬化部２ａを形成した後に、この上から全面に真
空蒸着により金属蒸着層４を設け、これを水洗い
して硬化部２ａ以外の水溶性塗料層２′およびこ
の水溶性塗料層２′上の金属蒸着層４ａを溶解除
去する。溶解除去に際しては、アルカリ洗いする
ことができる。

この方法によれば、水不溶性の印刷模様部３′
に対応する水溶性塗料層２′に水不溶性の硬化層
２ａを形成することができ、印刷模様部３′が硬
化層２ａと一体重層した金属蒸着層４ｂの抜き加
工を行なえ、立体感のある金属蒸着層４ｂを有す
るフイルムを製造できた。この方法において、ベ
ースフイルム１に水不溶性の印刷模様部３を設け
た後に、水溶性塗料層２を設けることができ、上
記方法と同様の効果を達成できる。

次に、上記方法の実験例について説明する。

実験例 １ 水溶性樹脂ワニスとして （量部） ポリビニールアルコール（部分鹸化） 5.0 ヘキサメチレンテトラミン 12.0 水 73.0 メタール 10.0 計100.0 熱硬化性フエノール樹脂ワニスとして ノボラツク型アルキルフエノール樹脂35.0 RS1/2秒ニトロセルローズ 5.0 トロール 30.0 MEK 30.0 計100.0 上記水溶性樹脂ワニスをベースとした水溶性塗
料層２と、上記熱硬化性フエノール樹脂ワニスを
ベースとしたグラビアインキの印刷模様部３と
を、乾燥温度100℃〜140℃で３〜５秒の間乾燥さ
せたところ、ノボラツク型アルキルフエノール樹
脂とヘキサメチレンテトラミンとが反応して、硬
化層２ａの形成が確められた。

実験例 ２ 水溶性樹脂ワニスとして ポリビニールアルコール 5.0 イミドジスルフオン酸 0.1 水 79.9 メタノール 15.0 計100.0 熱硬化性メラミン樹脂ワニスとして メチロール化メラミン 20.0 RS1/2秒ニトロセルローズ 10.0 トロール 28.0 酢酸エチル 28.0 IPA 14.0 計100.0 上記実験例２において、乾燥温度130℃〜140℃
で３〜５秒の間乾燥させたところ、イミドジスル
フオン酸とメチロール化メラミンとが反応急激に
反応して、硬化層２ａが形成された。

以上説明したように、本発明によれば、印刷模
様部に対応して水溶性塗料層を水不溶性の硬化層
に熱硬化させて一体重層構造とすることができる
うえ、重層部分の上に金属蒸着層の模様を形成で
き、立体感があり、２層の組合せによる美麗な模
様付金属蒸着フイルムを提供できた。このフイル
ムにあらかじめ剥離層を介在させておけば、スタ
ンピングフイルムなどの用途に利用できる。

とくに、乾燥後に蒸着を施しているので、真空
蒸着性が良いうえ、硬化層と印刷模様部との一体
重層化によつて容易に剥離することのない模様付
金属蒸着を行なうことができた。

なお、水溶性塗料層は、全面塗布または印刷の
ほかに、部分的な印刷模様とすることができ、後
者の場合には水不溶性インキの印刷模様部と一致
あるいは不一致とすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面第１図Ａ〜Ｄは、本発明に係る模様付金属
蒸着フイルムの製造方法の一実施例を示す説明図
である。 １……ベースフイルム、２，２′……水溶性塗
料層、２ａ……硬化層、３，３′……水不溶性の
印刷模様部、４……金属蒸着層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ベースフイルム上に、熱硬化性樹脂に反応す
   る基材を含む水溶性ワニスのベースにヘキサメチ
   レンテトラミンを添加した水溶性塗料層と、熱硬
   化性のノボラツクフエノール樹脂をベースとした
   水不溶性インキの印刷模様部とを設け、強制乾燥
   により印刷模様部に対応する上記水溶性塗料層の
   対応部分を熱硬化反応させて一体重層構造の硬化
   層を得た後、全面に金属蒸着層を設けるとともに
   硬化層以外の水溶性塗料層およびこの水溶性塗料
   上の金属蒸着層を溶解除去することを特徴とする
   模様付金属蒸着フイルムの製造方法。