JPS6322013Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はパイプ等の外周面にテーパねじを切る
ために用いられるテーパねじ切り装置に関するも
のである。

（従来技術） チエーザを半径方向に出没自在に支持したダイ
ヘツド本体とチエーザに係合する渦状カムとを往
復台上に取付け、該ダイヘツド本体の先端を機台
に固着した案内板の上面に係合させて往復台の進
行につれてダイヘツド本体を渦状カムに対して回
転させることによりチエーザを後退させ、もつて
テーパねじをパイプ等の端部外周面に切るように
したテーパねじ切り装置は従来から知られている
が、従来のこの種装置はチエーザの進退を決定す
る案内面が上向きであるために切り粉が挟まり易
く、正確なテーパねじが切れない場合があるうえ
ダイヘツド本体にかかる切削力を案内板で受けて
いるために大径のパイプにねじ切りを行なうよう
な場合には過大な切削力が案内板にかかり、案内
板およびダイヘツド本体側の摩耗が著しくなる等
の問題点があつた。

（考案の目的） 本考案はこのような従来の問題点を解消して切
り粉の挟まりがなく常に正確なテーパねじを切る
ことができるうえに過大な力が案内板にかかるこ
とを防止してその摩耗を減少されたテーパねじ切
り装置を目的として完成されたものである。

（考案の構成） 本考案は往復台の一端に取付リングを枢着して
該取付リングにはチエーザを半径方向に出没自在
に支持したダイヘツド本体と該チエーザに係合す
る渦状カムを備えたカム板とを相対回転できるよ
うに取付けるとともに該カム板にはばねにより上
向きに付勢された腕部を持つカム保持板を取付
け、さらに、往復台の案内棒の外方に支持棒を取
付けて該支持棒にはダイヘツド本体が受ける切削
力により案内棒に固定される案内ブロツクを設け
て前記カム保持板の腕部の先端を案内ブロツクの
下向きの案内面に当接させたことを特徴とするも
のである。

（実施例） 次に、本考案を図示の実施例により詳細に説明
すれば、１は左右一対の案内棒２，２′に沿つて
パイプのような被切削物１００の回転軸方向に移
動する往復台であり、その一端に突設されたＵ字
状の受具３には取付リング４がピン５により枢着
されている。この取付リング４はダイヘツド全体
を支承するものであつて、第３図に示されるよう
にその内側にはリング状のカム板押え６が相対回
転できるように嵌着されており、このカム板押え
６には４本のボルト７によつて同じくリング状の
ダイヘツド本体８が一体に取付けられている。ダ
イヘツド本体８には４本のチエーザ９が半径方向
に出没自在に支持されており、各チエーザ９の側
面には渦状カム１０を備えたカム板１１が渦状カ
ム１０を各チエーザ９の側面に形成された凹溝１
２に係合させた状態でカム板押え６のまわりに回
転できるように設けられている。さらに、該カム
板１１と前記取付リング４との間にはカム保持板
１３が設けられており、このカム保持板１３とカ
ム板１１とは第４図に示されるようにカム板１１
に頭部が固定されたセツトボルト１５とその先端
に螺合させたハンドル付きナツト１４およびスペ
ーサ１５′とによつて固定されている。セツトボ
ルト１５は第２図に示すようにカム保持板１３に
形成された円弧状の長溝１６を貫通してカム板１
１に固着されていてカム保持板１３に対するカム
板１１の固定角度を変化させることができ、被切
削物１００の外径に合わせてカム板１１を回転さ
せ、ねじ切り開始時のチエーザ９の開きを調節す
ることができる。このように、ダイヘツド本体８
とこれに固定されたカム板押え６ならびにカム板
１１とこれに調節自在に固定されたカム保持板１
３とはそれぞれ取付リング４に相対回転できるよ
うに支持されている。そして、この取付リング４
に前述の如くその一端が往復台１の右側の受具３
に枢着され、また、その他端の突起１７が往復台
１の左側に突設されたＵ字状の受具１８に嵌入さ
れていてダイヘツド全体は図示の如く往復台１の
中心に保持されることとなる。１９は左側の案内
棒２の外方にこれと平行して取付けられた支持棒
であつて、該支持棒１９には第２図に示されるよ
うな断面形状を持つ案内ブロツク２０が回動およ
び摺動自在に支持されている。そして、ダイヘツ
ド本体８に形成された突出部２１に設けられたロ
ーラ２２がこの案内ブロツク２０の突部２３の上
面に当接されていてダイヘツド本体８が切削力を
受けて取付リング４のまわりに反時計方向の回転
モーメントを受けると案内ブロツク２０は支持棒
１９を中心として時計方向に押圧され、その下部
に形成されたくさび部２４が案内棒２に喰い込ん
で案内ブロツク２０は案内棒２上に固定され、こ
の案内ブロツク２０には下向きの案内面２５が設
けられている。一方、前記カム保持板１３には腕
部２６が突設されており、この腕部２６と往復台
１との間に設けられたばね２７の力によつて腕部
２６は常に上向きに付勢されてカム板１１を時計
方向即ちチエーザ９を開かせる方向に回転させよ
うとしているが、腕部２６の先端のローラ２８が
案内ブロツク２０の案内面２５に当接しているの
で、この案内面２５によつてチエーザ９の開きが
制御されることとなる。第５図は支持棒１９に対
する案内ブロツク２０の取付状態を示したもの
で、３０は往復台１の突出部、３１はこの突出部
３０に螺合する中空ねじ、３２は中空ねじ３１の
先方部に止め輪３３により取付けられた押圧ブロ
ツク、３４は廻り止め用ピンである。案内ブロツ
ク２０の基部３５は往復台１の一端４７との間に
張設されたばね３６の力によつて常に中空ねじ３
１の先端に当接されていて中空ねじ３１を往復台
１の突出部３０にねじ込めば案内ブロツク２０は
往復台１に対して右方向へ移動することとなり、
逆に廻せばばね３６に押されて左方向へ移動す
る。また、案内ブロツク２０の案内面２５は図示
のとおりの斜面となし、該案内ブロツク２０を左
右に調節することによつてねじ切り長さが後記す
るように調節できるようになつている。３７は押
圧ブロツク３２に設けられたスプリングピンで、
該スプリングピン３７は案内ブロツク２０の基部
３５の右側面に弾性的に係合し、ばね３６による
案内ブロツク２０の左方向への押圧力の不足を補
なつて中空ねじ３１を逆回転させたとき案内ブロ
ツク２０を確実に左方向へ移動させるためのもの
である。なお、図中３８は案内ブロツク２０のく
さび部２４が過度に案内棒２に喰い込むことを防
止するため往復台１に突設されたダイヘツド本体
受けであり、３９は案内ブロツク２０に設けられ
たハンドル、４０はカム保持板１３に設けられた
指掛け孔、４１はカム板１１を手で回転させるた
めカム板１１に設けられた突起であり、該突起４
１の端面にはねじ径合せの刻線４１′が形成され
ている。また、４２は取付リング４とカム保持板
１３との相対回転角度を一定範囲に制限するた
め、取付リングに形成された突起であり、４３は
カム保持板１３に突設されたピンである。さら
に、カム保持板１３とダイヘツド本体８との相対
回転角度をも一定範囲に制限するため、ばね２７
の後方にはカム保持板１３に上端を支持させると
ともに下端をダイヘツド本体８の一部に貫通させ
て抜け止めピン４４で止めた回転制限ロツド４５
が設けられている。

このように構成されたものは、チヤツク１０１
に被切削物１００をチヤツクしたうえ往復台１に
設けられたハンドル４６を操作して往復台１を案
内棒２，２′に沿つて被切削物１００の回転軸方
向に移動させ、往復台１の取付リング４に回転自
在に取付けられたダイヘツド本体８を被切削物１
００の端部に位置させ、次に、ハンドル付きナツ
ト１４を緩めカム保持板１３を第２図の位置に保
持したままカム板１１を右または左に回転させて
ダイヘツド本体８に半径方向に出没自在に支持さ
れたチエーザ９を被切削物１００の外径に合わせ
て開き、再びハンドル付きナツト１４を締めてカ
ム板１１とカム保持板１３とを固定する。そこ
で、被切削物１００を反時計方向に回転させれ
ば、チエーザ９が被切削物１００に切り込んでね
じ切りが開始されるが、ダイヘツド本体８はチエ
ーザ９が受ける切削力により反時計方向の力を受
け、ダイヘツド本体８の突出部２１に設けられた
ローラ２２が案内棒２の外方の支持棒１９に支持
された案内ブロツク２０の突部２３を下向きに押
圧し、そのくさび部２４を案内棒２に喰い込ませ
案内ブロツク２０を案内棒２上に固定する。しか
して、チエーザ９は往復台１とともに被切削物１
００に対してねじ切りを行ないつつ次第にチヤツ
ク１０１の方向へ進行して行くが、カム板１１に
取付けられたカム保持板１３の腕部２６の先端の
ローラ２８が案内棒２上に固定された案内ブロツ
ク２０の下向きの案内面２５にばね２７により当
接しているので、往復台１の進行につれて腕部２
６はばね２７の力によつて次第に上方へ押上げら
れ、カム保持板１３は取付リング４のまわりに時
計方向に回転してチエーザ９と係合する渦巻カム
１０を備えたカム板１１を回転させてチエーザ９
を徐々に開いて行き、従つて、被切削物１００の
外周面にはテーパねじが形成される。そして腕部
２６の先端のローラ２８が案内ブロツク２０の案
内面２５の左端に達して外れると、腕部２６はば
ね２７により急速に上方へ押上げられてチエーザ
９を全開してねじ切りは終了することとなる。な
お、ねじ切りが行なわれている間は案内ブロツク
２０は案内棒２上に固定されたまま往復台１のみ
がばね３６を圧縮しつつ第５図の左方向へ移動す
ることとなり、従つて、スプリングピン３７は案
内ブロツク２０の基部３５の左側へ移動すること
となるが、ねじ切り終了後はばね３６が往復台１
を案内ブロツク２０の方向に移動させた後手動で
元の状態に復帰させる。なお、ねじ切り長さを短
く設定したい場合には、中空ねじ３１を回転させ
て往復台１に対する案内ブロツク２０の位置を第
５図の右方向に移動させておけば良い。この場合
にはねじ切り開始時に腕部２６の先端のローラ２
８が案内面２５の途中に位置することとなるか
ら、往復台１が比較的短い距離を移動するだけで
ローラ２８が案内面２５の左端に達してねじ切り
長さは短かくなる。このようにしてねじ切りが終
了した後はチヤツク１０１の回転を止めて被切削
物１００を取外す。また、第７図のようにカム保
持板１３を持上げれば回転制限ロツド４５の作用
によりダイヘツド本体８も時計方向に回転し、取
付リング４もピン４３によつて持上げられるので
ダイヘツド全体をピン５を中心として往復台１の
右方へ揺動させることもできる。このようにダイ
ヘツド本体８が受ける切削力は案内ブロツク２０
を案内棒２に固定するために用いられているの
で、従来の如く過大な切削力が案内面に作用して
これを摩耗させることがなく、また、カム板１１
に取付けられたカム保持板１３はばね２７により
常に上向きに付勢された腕部２６を持ち、この腕
部２６の先端を案内ブロツク２０の下向きの案内
面２５に当接させているので、従来の如く切り粉
が案内面２５に挟つてねじ切り精度を低下させる
こともなく、常に正確なテーパねじ切じが可能と
なる。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、ダ
イヘツド本体が受ける切削力を案内ブロツクの固
定力として有効に利用し、従来の如く切削力を案
内面に作用させることがないので、大径の被切削
物に対するねじ切り等の際に生ずる過大な切削力
が案内面を摩耗させることがなく、また、カム板
の回転を制御する案内面を下向きとしてカム保持
板の腕部先端をばね力により下側から当接させた
ので切り粉の挟まりがなく、常に正確なテーパね
じを切ることができるもので、従来のこの種テー
パねじ切り装置の問題点を解決したものとして実
用的価値極めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
ダイヘツド部分の平面図、第２図は同じく一部切
欠正面図、第３図は第２図のＡ−Ａ断面図、第４
図は同じくＢ−Ｂ断面図、第５図は案内ブロツク
の取付部分を示す一部切欠側面図、第６図は第１
図のＣ−Ｃ断面図、第７図は第２図と状態を異に
して示す一部切欠正面図である。 １：往復台、２，２′：案内棒、４：取付リン
グ、８：ダイヘツド本体、９：チエーザ、１０：
渦状カム、１１：カム板、１３：カム保持板、１
９：支持棒、２０：案内ブロツク、２５：案内
面、２６：腕部、２７：ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 往復台１の一端に取付リング４を枢着して該取
   付リング４にはチエーザ９を半径方向に出没自在
   に支持したダイヘツド本体８と該チエーザ９に係
   合する渦状カム１０を備えたカム板１１とを相対
   回転できるように取付けるとともに該カム板１１
   にはばね２７により上向きに付勢された腕部２６
   を持つカム保持板１３を取付け、さらに、往復台
   １の案内棒２の外方に支持棒１９を取付けて該支
   持棒１９にはダイヘツド本体８が受ける切削力に
   より案内棒２に固定される案内ブロツク２０を設
   けて前記カム保持板１３の腕部２６の先端を案内
   ブロツク２０の下向きの案内面２５に当接させた
   ことを特徴とするテーパねじ切り装置。