JPS63195367A - 内燃機関用シリンダボア - Google Patents

内燃機関用シリンダボア

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Publication number
JPS63195367A
JPS63195367A JP2782887A JP2782887A JPS63195367A JP S63195367 A JPS63195367 A JP S63195367A JP 2782887 A JP2782887 A JP 2782887A JP 2782887 A JP2782887 A JP 2782887A JP S63195367 A JPS63195367 A JP S63195367A
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JP
Japan
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dead center
top dead
wear
alloy
cylinder bore
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Application number
JP2782887A
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English (en)
Inventor
Shinji Kato
真司 加藤
Muneya Takagi
高木 宗谷
Minoru Kawasaki
稔 河崎
Kazuhiko Mori
和彦 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2782887A priority Critical patent/JPS63195367A/ja
Publication of JPS63195367A publication Critical patent/JPS63195367A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B77/00Component parts, details or accessories, not otherwise provided for
    • F02B77/02Surface coverings of combustion-gas-swept parts
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F1/00Cylinders; Cylinder heads 

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は自動車用ディーゼル機関等の内燃機関に用い
られるシリンダボアに関し、特にピストンリング上死点
付近におけるボア面の摩耗対策を講じたシリンダボアに
関するものである。
従来の技術 ディーゼルエンジン等の内燃機関のシリンダボア内面、
特にピストンリング上死点付近は、ピストンリングおよ
びカーボンスーツによって機械的摺動摩擦を受けると同
時に、燃焼ガス中に含まれる302に起因する硫酸露点
腐食を受け、それらが相乗的に作用して局部的に摩耗が
早期に進行することが知られている。このようにピスト
ンリング上死点付近でシリンダボアの局部的摩耗が進行
すれば、その部分に局部的な凹部が形成されて圧縮不良
による出力低下をもたらすから、このような摩耗は極力
抑制する必要がある。
ところで従来のシリンダボアにおける摩耗対策としては
、例えば特開昭80−260789号、実開昭60−1
73648号、あるいは実開昭60−194145号な
どに示されるように、鋳鉄製シリンダボアの内面の所定
の部位に焼入れあるいは再溶融急冷凝固処理等の硬化処
理を施す方法が知られている。ここで、再溶融急冷凝固
処理は、レーザやTIGアーク、電子ビームあるいはプ
ラズマアーク等の高密度加熱エネルギを局部的に照射し
てその部分の表面層を急速溶融させ、引続いてその加熱
エネルギの照射停止もしくは照射位置移動により溶融層
の熱を母材側へ急速拡散させて、急冷凝固させる処理で
あり、鋳鉄母材の場合はその処理層がチル化されて硬さ
が著しく高くなり、またその他の金属においても急冷に
より組織が微細化されて硬さが高くなる。また最近では
特開昭61−116056号などに示されるようにレー
ザ等の高密度エネルギ加熱源を用いてNi基合金等の耐
食耐摩耗合金を局部的に肉盛溶接する方法が知られてお
り、またこの方法を実際に適用する場合には、摩耗が進
行し易い部分の仝而、すなわちコンプレッションリング
の上死点からオイルリング上死点付近までにがけてを同
一の耐食耐摩耗合金で必要幅全面に肉盛することが行な
われている。
発明が解決すべき問題点 前述のようなシリンダボアの摩耗に対する従来の対策の
うち、焼入れや再溶融急冷凝固処理等の硬化処理を施す
方法は、機械的な1習動摩擦による摩耗についてのみ考
慮したものであって、硫酸露点腐食に対しては効果がな
く、そのため腐食摩耗の進行を充分に抑えることは困難
であった。
これに対しN1基合金等の耐食耐摩耗性合金を肉盛溶接
する方法では硫酸露点腐食に対しても有効であり、した
がって前述のような焼入れや再溶融急冷凝固処理等の硬
化処理と比較して格段に摩耗量を少なくすることができ
る。しかしながら従来のこの方法では、コンプレッショ
ンリング上死点付近からオイルリング上死点付近にかけ
て同一材料で必要幅全面に肉盛している関係上、次のよ
うな不都合があった。
すなわち、各ピストンリングのうちでも、コンプレッシ
ョンリングの上死点付近とオイルリングの上死点付近と
では摩耗のメカニズムが相違し、そのため全てのリング
による摩耗に対して最適な材料を選定することが困難で
あり、そのため摩耗防止にも限界がおったのが実情であ
る。
この点についてざらに詳細に説明すると、シリンダボア
内面の摩耗は、硫酸露点腐食と機械的な摺動摩擦が原因
となっているが、このうち硫酸露点腐食は、燃料に不可
避的に含有される硫黄(S)に起因して燃焼により生じ
たS02ガスが、燃焼室壁面に付着したV2O5やFe
2O3などの酸化物による触媒作用によってSO3に変
化し、そのSO3が燃焼によって生じるN20と反応し
て温度の低いシリンダヘッド壁面に硫酸として結露し、
ざらにその硫酸がシリンダヘッド壁面からシリンダボア
内面に流れ込んでシリンダボア内面を腐食させる現象で
あり、このように硫酸露点腐食は、シリンダヘッド側か
らシリンダボアに流れ込む硫酸に起因する関係上、各ピ
ストンリング上死点のうちでも特にシリンダヘッドに近
いコンプレッションリングの上死点付近で最も大ぎく摩
耗を促進する作用を果たす。これに対しシリンダヘッド
から離れたオイルリング上死点付近では、硫酸露点腐食
の影響は余り受けず、もっばら機械的摺動摩擦による摩
耗が主体であり、特に一般の内燃機関ではオイルリング
の面圧がコンプレッションリングの面圧よりも格段に高
くなるように設定しているため、機械的摺動摩擦の影響
が強い。したがってシリンダボア内面の摩耗のメカニズ
ムを、腐食摩耗と機械的摩耗に分ければ、コンプレッシ
ョンリング上死点付近は腐食摩耗が主体であり、一方オ
イルリング上死点付近は機械的摩耗が主体となっている
ところでN:基合金のようにシリンダボアの摩耗を防止
するために肉盛される耐食耐摩耗合金において、機械的
耐摩耗性を向上させるためには、炭化物やケイ化物等の
硬質粒子を析出させ、硬さを高くすることが有効である
。しかしながらこの場合硬質粒子の析出により炭化物や
ケイ化物の周囲の固溶元素が消費されて、それらの固溶
元素のうち材料の耐食性を向上させる効果のある元素の
濃度が低下して、材料の耐食性は低下してしまうから、
一般には機械的耐摩耗性と耐食性とを同時に向上させる
ことは困難であった。したがって前述のような従来方法
では、腐食摩耗を重視して耐食性の優れた肉盛材料を選
定すれば、オイルリング上死点付近における機械的摩耗
を充分に防止することが困難となり、逆に機械的摩耗を
重視して硬質な肉盛材料を選定すればコンプレッション
リング上死点付近における腐食摩耗を充分に防止するこ
とが困難となり、いずれにしてもトータル的に摩耗を充
分に防止することは困難であった。
ざらに、前述のようにコンプレッションリング上死点付
近からオイルリング上死点付近までを同一材料で肉盛し
た場合、肉盛幅が相当に広くならざるを得ず、そのため
肉盛溶接時の冷却過程における収縮応力が大きいため、
内需溶接ビード割れが発生し易い問題があった。
この発明は以上の事情を背暖としてなされたもので、シ
リンダボア内面における腐食摩耗の影響を強く受けるコ
ンプレッションリング上死点付近およびもっばら機械的
摩耗の影響を営けるオイルリング上死点付近のいずれに
おいても摩耗の進行を充分に防止することができ1.シ
かも従来の肉盛による方法の如き肉盛溶接ビードの割れ
発生のおそれを少なくしたシリンダボアを提供すること
を目的とするものである。
問題点を解決するための手段 この発明のシリンダボアは、基本的には肉盛すべきシリ
ンダボアのコンプレッションリング上死点付近からオイ
ルリング上死点付近に至る部位を、腐食摩耗性の強い部
分と機械的摩耗性の強い部分とに区分し、それぞれの部
分の摩耗特性に最適な処理を施したもので必る。
具体的には、この発明の内燃機関用シリンダボアは、シ
リンダボア内面におけるコンプレッションリング上死点
付近に耐食耐摩耗合金が肉盛溶接されるとともに、シリ
ンダボア内面のオイルリング上死点付近に再溶融急冷凝
固層が形成されていることを特徴とするものである。
ここで、前記耐食耐摩耗合金としては、特に耐食性が優
れたN1基合金を用いることが望ましい。
ざらに、前記各耐食耐摩耗合金としてN1基合金を用い
る場合、そのNi基合金としては、比較的C含有量の少
ないN1基合金、すなわち炭化物形成元素(Cr、Mo
、W、Nb1Ta、V等)1〜30%、Si0.08〜
7%、BQ、1〜3.9%、C013〜0.6%を含有
し、かつ前記炭化物形成元素として、少なくともQrS
MOの1種または2種を1%以上含有し、さらに必要に
応じてFe0.1〜30%、Cu0.1〜2.3%の1
種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避的不純
物よりなる成分組成のNi基合金が用いることが望まし
い。
作   用 既に述べたように内燃機関用シリンダボアの内面におけ
る摩耗し易0コンプレッションリング上死点付近からオ
イルリング上死点付近にかけての部分のうち、コンプレ
ッションリング上死点付近の摩耗はシリンダヘッド内で
生成された硫酸に起因する硫酸露点腐食による腐食摩耗
の傾向が強く、一方オイルリング上死点付近は機械的(
囲動摩擦による機械的摩耗の傾向が強い。そこでこの発
明のシリンダボアにおいては、コンプレッションリング
上死点付近は主として耐食性に優れた耐食耐摩耗合金で
肉盛し、オイルリング上死点付近は機械的耐摩耗性の優
れた再溶融急冷凝固層を形成している。
再溶融急冷凝固層は、前述のように急冷凝固によるチル
化(鋳鉄の場合)や結晶粒微細化、ざらにはマルテンサ
イト変態などによって著しく硬化され、機械的耐摩耗性
が著しく改善されているが、耐食性は母材と比べてさほ
ど向上しない。一方シリンダボアの内面の肉盛に使用さ
れる耐食耐摩耗合金の代表的なものであるNi基合金な
どにおいては、既に述べたように同一の成分組成で耐食
性と機械的耐摩耗性との両者を極めて優れたものとする
ことは実際上困難であるが、機械的耐摩耗性は若干犠牲
にしても耐食性の極めて優れた成分組成とすることは比
較的容易である。したがって前述のように肉盛は腐食摩
耗性が強いコンプレッションリング上死点付近の部位の
みに行なうようにして、その肉盛合金として耐食性の極
めて優れた合金を用いることによりそのコンプレッショ
ンリング上死点の部分での腐食摩耗を充分に防止し、一
方オイルリング上死点付近には再溶融急冷凝固層を形成
することにより充分な機械的耐摩耗性を与えてその部分
での機械的摩耗を充分に防止し、これによって各ピスト
ンリング上死点付近の各部での摩耗をそれぞれ最大限に
防止することが容易に可能となるのである。換言すれば
、この発明によれば、肉盛を単独で施した場合、あるい
は再溶融急冷凝固処理を単独で施した場合のいずれの場
合よりも、トータルとしての摩耗を格段に減少させるこ
とが可能となったのである。
また、肉盛溶接はコンプレッションリング上死点付近の
みに行なうため、肉盛ビード幅は、コンプレッションリ
ング上死点付近からオイルリング上死点付近までの全幅
を同一材料で肉盛する従来法の場合と比較して狭くて足
りることになり、そのため肉盛溶接後の冷却過程におけ
る収縮応力が小さくなり、ビード割れが発生するおそれ
が少なくなる。
ここで、肉盛溶接に使用する耐食耐摩耗合金としてはN
:基合金が代表的であり、その望ましい成分組成は前述
の通りであるが、各合金元素の添加理由および望ましい
添加量の理由について以下に説明する。
炭化物形成元素: Or、Mo、VSNb、Ta等の炭化物形成元素は合金
中でCと結合して炭化物を形成し、硬さを上昇させて機
械的耐摩耗性を向上させるに寄与する。またこれらの炭
化物形成元素のうち特にCr、Moは耐食性の向上に寄
与する。これらの炭化物形成元素が合計量で1.0%未
満では耐摩耗性が充分に得られず、また炭化物形成元素
のうちOrlMOの1種または2種の合計量が1.0%
未満では充分な耐食性が得られない。一方これらの炭化
物形成元素の合計量が30.0%を越えれば靭性の低下
を招く。したがって炭化物形成元素は総量で1.0〜3
0.0%の範囲内が望ましく、かつそれらのうちcr%
MOの1種または2種が合計で1.0%以上含まれるこ
とが望ましい。なおMOC含有量6.5%を越えれば肉
盛溶接における冷却中にビード割れが発生し易くなるか
ら、MOを添加する場合のMolは6.5%以下とする
ことが望ましい。
Si: Slは合金に自溶性を与えて肉盛溶接時に良好なスラブ
を形成し、これにより肉盛層中の酸化物系介在物や気孔
を減少させるに有効な元素である。
Si添加量が0.08%未満では自溶性を与える効果が
少なく、一方7%を越えれば靭性が低下する。
したがってSi添加量は0.Oa〜7%の範囲内が好ま
しい。
B: BもSiとともに合金に自溶性を与えて肉盛溶接時に良
好なスラグを形成し、これにより肉盛層中の酸化物系介
在物や気孔を減少させるに有効な元素である。B添加量
が0.1%未満では充分な自溶性が得られず、一方3.
9%を越えれば靭性が低下する。したがってBは0.1
〜3.9%の範囲内が好ましい。
C: Cは炭化物形成元素と結合されて硬質な炭化物を形成し
、機械的耐摩耗性を向上させるに寄与する元素であり、
C含有量が多い程炭化物析出量が多くなって機械的耐摩
耗性が高くなる。しかしながら炭化物が析出する際には
周囲の炭化物形成元素を取込んで炭化物の周囲の合金濃
度を低下させる。炭化物形成元素のうち特にCr、MO
は固溶状態で耐食性向上に顕著な効果を有する元素であ
るが、C含有量が多くなって炭化物析出量が多くなれば
、これらの耐食性向上に有効なCr1M0の固溶母が炭
化物の周囲で少なくなり、耐食性を充分に発揮させ得な
くなる。したがってこの発明においてコンプレッション
リング上死点付近に肉盛される耐食耐摩耗合金としては
C含有量を比較的少量として耐食性を充分に発揮させた
ものを用いることが望ましい。但し、C量が0.3%未
満では炭化物生成量が極めて少なく、したがって耐食性
を重視する耐食耐摩耗合金としても機械的耐摩耗性が不
充分となり、一方0.6%を越えれば優れた耐食性が発
揮されなくなるから、C013〜0.6%の範囲内が好
ましい。
Fe: Feは耐焼付性を改善する効果を有するとともに、高価
なNiの使用量を減じてコスト低減を図る意味もあり、
必要に応じて0.1〜30%の範囲内で添加される。F
eが0.1%未満ではこれらの効果が少なく、一方30
%を越えれば耐食性が低下するから、Feを添加する場
合のFe量は0.1〜30%の範囲内が好ましい。なお
Feはその量が増大すれば耐食性が低下するから、コン
プレッションリング上死点付近で使用される耐食耐摩耗
合金としてはFelは10%程度以下が好ましい。
Cu: Cuは耐食性改善に効果のある元素であり、必要に応じ
て添加される。但しCulが0.1%未満では耐食性改
善効果はほとんど期待できず、一方CLJ添加量が2.
3%を越えれば、合金中のCUが肉盛溶接後のビード凝
固時に偏析して高温割れが生じ易くなる。したがってC
uを添加する場合のCu添加母は0.1〜2.3%の範
囲内が好ましい。
実施例 [実施例1] 第1図にディーゼルエンジンの鋳鉄製シリンダボアに適
用したこの発明の実施例を示す。なお第1図においては
、ピストン1がシリンダボア2に対して上死点にある状
態を示す。またピストン1は2本のコンプレッショング
3.4および1本のオイルリング5を備えている。
ピストン上死点位置でのコンプレッションリング3.4
に対応する位置(すなわちコンプレッションリング上死
点位置)のシリンダボア内面には円周方向に沿って溝8
が形成されており、その溝8の部分には、第1表の上段
に示す成分組成の合金Aがレーザ肉盛溶接法により肉盛
溶接されて、肉盛層6が形成されており、またピストン
上死点位置でのオイルリング5に対応する位置(すなわ
ちオイルリング上死点位置)のシリンダボア内面には円
周方向に沿ってレーザ照射による再溶融急冷凝固層7が
形成されている。なおシリンダボアの母材である鋳鉄の
成分組成は第1表の下段に示す通りである。
第   1   表 単位:11% 第2図に上記肉盛溶接合金Aおよび鋳鉄における再溶融
急冷凝固層の腐食」を示し、また第3図に合金Aおよび
再溶融急冷凝固層の硬さを示す。
なお第2図の腐食組番マ80℃、50%H2SO4水溶
液に1時間浸漬した時の腐食深さで示す。第2図、第3
図から明らかなように肉盛溶接合金Aは再溶融急冷凝固
層と比較して耐食性が格段に優れているが、硬さは再溶
融急冷凝固層より低く、そのため機械的な摺動摩耗に対
する耐摩耗性も再溶融急冷凝固層より低い。ここで、肉
盛溶接合金Aの硬さを向上させるためにC含有量を増量
するなどの手段により炭化物等の硬質粒子の析出量を増
加させれば、硬質粒子が析出する際に周囲の合金元素O
r、Moを取込むため硬質粒子周囲が低合金相となり、
そのため耐食性が低下してしまう。そこでこの実施例で
は肉盛溶接合金Aとして比較的C邑を少なくして耐食性
を充分に発揮させるようにしたものを用いている。−六
回溶融急冷凝固層は、肉盛溶接合金Aと比較して耐食性
は劣るが、チル化によって硬さが著しく高くなり、機械
的耐摩耗性が優れている。
第4図には、上述のように合金Aをコンプレッションリ
ング3.4の上死点位置に肉盛溶接し、かつオイルリン
グ5の上死点位置に再溶融急冷凝固層を形成した本発明
品1と、合金Aの肉盛溶接のみを行なった従来品1およ
び再溶融急冷凝固層のみを形成した従来品2について、
コンプレッションリング3の上死点、コンプレッション
リング4の上死点、およびオイルリング5の上死点での
摩耗量をそれぞれ調べた結果を示す。なおここで従来品
1および2は、第8図に示すようにコンプレッションリ
ング3.4の上死点からオイルリング5の上死点までの
全面を同一の合金(AまたはB)により肉盛溶接するか
またはその全面に対してレーザ再溶融急冷凝固処理を施
して、同一の肉盛層または再溶融急冷凝固層14を形成
したものである。
第4図に示すように、合金Aの肉盛のみを行なった従来
品1と再溶融急冷凝固層のみを形成した従来品2とを比
較すれば、コンプレッションリング3.4の上死点位置
では、耐食性に優れる合金Aを肉盛した従来品1の方が
再溶融急冷凝固層を形成した従来品2より摩耗量が格段
に少ない。これは、コンプレッションリング3.4の上
死点位置の摩耗は軽油燃焼ガスによる1−(2SO4の
腐食の影響を強く受けているためと思われる。逆にオイ
ルリング5の上死点位置では、機械的耐摩耗性に優れる
再溶融急冷凝固層を形成した従来品2の方が合金へを肉
盛した従来品1と比較して摩耗量が少ない。これは、オ
イルリング上死点の摩耗は、コンプレッションリング上
死点位−と比較してH2304による腐食の影響が少な
く、機械的)言動摩耗の影響が強いためと考えられる。
一方策1図に示す本発明品1の場合は、第4図に示すよ
うにコンプレッションリング3.4の上死点位置でも、
オイルリング5の上死点位置でもともに摩耗量を小さく
することができた。ここで、本発明品1と従来品2とは
、オイルリング上死点位置に再溶融急冷凝固層が形成さ
れている点では同じであるが、本発明品1においてはコ
ンプレッションリング上死点位置での摩耗が合金Aの肉
詰により減少することによって、コンプレッションリン
グによるオイルリング上死点位置付近での引きずりによ
る摩耗が減少し、そのためオイルリング上死点位置での
摩耗量は、再溶融急冷凝固層を形成しただけの従来品2
よりもさらに減少している。またコンプレッションリン
グ上死点位置での摩耗についても同様であり、本発明品
1においてはオイルリング上死点位置での摩耗が再溶融
急冷凝固層の形成により減少することによって、コンプ
レッションリングによるコンプレッションリング上死点
位置付近での引きずりによる摩耗が減少し、そのためコ
ンプレッションリング上死点位置での摩耗量も、合金A
の肉盛のみを行なった従来品1の場合よりも一層減少し
ている。
さらに、本発明品1と従来品1のビード割れ発生率を調
べたところ、次のような結果が得られた。
すなわちコンプレッションリング3.4の上死点位置か
らオイルリング5の上死点位置までの全幅を合金Aによ
り1ビードで肉盛した従来品1においては、ビード割れ
発生率が20%であったのに対し、本発明品1では、肉
盛溶接をコンブレツヨンリング3.4の上死点位置のみ
に行なっているためビード幅が狭く、そのため冷却によ
る収縮応力が減少し、ビード割れの発生率は0%となっ
た。
[実施例2] 前記実施例1と同様に第1図に示すようなディーゼルエ
ンジンのシリンダボアにこの発明を適用した。ここでシ
リンダボア内面のコンブレッヨンリング3.4の上死点
位置の肉Wt層6としては、第1表の中段に示す合金B
を用い、オイルリング5の上死点位置には実施例1と同
様にレーザによる再溶融急冷凝固層7を形成した。
第5図に、上述のようにコンプレッションリング3.4
の上死点位置に合金Bを肉盛しかつオイルリング5の上
死点位置に再溶融急冷凝固層を形成した本発明品2と、
合金Bのみを肉盛した従来品3、および再溶融急冷凝固
層のみを形成した従来品2について、コンプレッション
リング3の上死点、コンプレッションリング4の上死点
、およびオイルリング5の上死点での摩耗量を調べた結
果を示す。
第5図に示されたように、本発明品2も、コンプレッシ
ョンリング3.4の各上死点位置での摩耗と、オイルリ
ング5の上死点位置での摩耗がともに従来品と比較して
減少していることが明らかでおる。但し、本発明品2で
用いた肉盛溶接合金Bは、実施例1の本発明品1で用い
た肉盛合金AよりもC含有」が高く、そのため合金Aと
比較すれば耐食性が劣り、コンプレッションリング3.
4の上死点位置での摩耗量は本発明品1と比較すれば大
きくなっている。
なお本発明品2および従来品3について、ビード割れ発
生率を調べたところ、従来品3では100%であったの
に対し、本発明品2では0%であり、ビード割れの発生
を防止できることが確認された。
[その他の実施例] 第6図に示されるシリンダボア2は、肉盛溶接を行なう
際に、肉盛溶接ビード幅よりも幅の広いレーザビームを
照射して、肉盛層6の形成と再溶融急冷凝固層7の形成
とを同時に行なったものである。このような第6図の実
施例の場合は、シリンダボア内面に対する処理が1回で
済むため、工程数を少なくしてコスト低減を図ることが
できる。
第7図に示されるシリンダボアにおいては、コンプレッ
ションリング3の上死点位置およびコンプレッションリ
ング4の上死点位置のそれぞれに溝11.12が形成さ
れており、溝11および12の部分にそれぞれ耐食性の
優れた耐食耐摩耗合金からなる肉盛86.6が形成され
るとともに、オイルリング5の上死点位置に再溶融急冷
凝固層7が形成されている。このような第7図の実施例
においては、各肉盛ビード幅を第1図の場合よりもざら
に小さくすることができ、そのためビード割れの発生を
一層少なくすることができる。
なお実施例1においては肉盛溶接をレーザによって行な
うものとしたが、肉盛のための熱源はレーザに限られる
ものではなく、TIGアーク、プラズマアーク、電子ビ
ーム等を用いても良いことはもちろんである。また再溶
融急冷凝固処理の熱源としてもレーザに限らず、TIG
アークやプラズマアーク、電子ビーム等を使用しても良
いことはもちろんである。
また肉盛材料としても上記各実施例のようなNi基合金
に限られるものではなく、他の系の合金を用いても良い
ことは勿論である。さらにシリンダボアの母材としても
鋳鉄に限らず、アルミニウム合金等を用いることができ
、その場合にもこの発明の効果を得ることができる。
発明の効果 この発明の内燃機関用シリンダボアは、コンプレッショ
ンリング上死点付近を耐食耐摩耗合金によって肉盛溶接
するとともに、オイルリング上死点付近に再溶融急冷凝
固層を形成したものであり、したがって腐食摩耗性が強
いコンプレッションリング上死点付近は耐食性が著しく
優れた耐食耐摩耗合金の肉盛層によって摩耗を防止する
とともに、機械的摩耗性が強いオイルリング上死点付近
は機械的耐摩耗性が著しく優れた再溶融急冷凝固層によ
って摩耗を防止することができるから、コンプレッショ
ンリング上死点からオイルリング上死点までのいずれの
部分でも摩耗量を著しく少なくすることができ、またコ
ンプレッションリング上死点位置の肉盛溶接材料として
耐食性と機械的耐摩耗性の両者の優れたものを選ぶ必要
がなくなるため肉盛溶接材料の選択も容易となり、ざら
に肉盛ビード幅を小ざくすることができるため、肉盛溶
接時の冷却時の収縮応力を少なくしてビード割れの発生
を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明のシリンダボアの一例の要部を示す縦
断面図、第2図は実施例1で用いた合金Aと鋳鉄の再溶
融急冷凝固層の腐食性を示すグラフ、第3図は同じ〈実
施例1で用いた合金Aと鋳鉄の再溶融急冷凝固層の硬さ
を示すグラフ、第4図は実施例1における本発明品1お
よび従来品1.2の各ピストンリング上死点位置での摩
耗量を示すグラフ、第5図は実施例2における本発明品
2および従来品2.3の各ピストンリング上死点位置で
の摩耗量を示すグラフ、第6図および第7図はそれぞれ
この発明のシリンダボアの他の例の要部を示す縦断面図
、第8図は従来のシリンダボアの一例の要部を示す縦断
面図である。 1・・・ピストン、 2・・・シリンダボア、 3.4
・・・コンプレッションリング、 5・・・オイルリン
グ、6・・・耐食耐摩耗合金による肉盛層、 7・・・
再溶融急冷凝固層。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)鋳鉄からなるシリンダボア内面におけるコンプレ
    ッションリング上死点付近に耐食耐摩耗合金が肉盛溶接
    されるとともに、シリンダボア内面のオイルリング上死
    点付近に再溶融急冷凝固層が形成されていることを特徴
    とする内燃機関用シリンダボア。
  2. (2)前記耐食耐摩耗合金としてNi基合金が用いられ
    ている特許請求の範囲第1項記載の内燃機関用シリンダ
    ボア。
  3. (3)前記耐食耐摩耗合金として、炭化物形成元素1〜
    30%(但し、その炭化物形成元素のうち少なくともC
    r、Moの1種または2種を1%以上含むものとする)
    、Si0.08〜7%、B0.1〜3.9%、C0.3
    〜0.6%を含有し、さらに必要に応じてFe0.1〜
    30%、Cu0.1〜2.3%の1種または2種を含有
    し、残部がNiおよび不可避的不純物よりなる成分組成
    のNi基合金が用いられている特許請求の範囲第2項記
    載の内燃機関用シリンダボア。
JP2782887A 1987-02-09 1987-02-09 内燃機関用シリンダボア Pending JPS63195367A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02103147U (ja) * 1989-02-06 1990-08-16
JPH05140682A (ja) * 1991-11-15 1993-06-08 Kobe Steel Ltd 耐食、耐摩耗合金
JP2013148026A (ja) * 2012-01-20 2013-08-01 Hino Motors Ltd シリンダライナ

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