JPS6319338Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、タオルのパイル構造に関するもので
ある。

従来、タオルはタオル地に綿素材のパイル糸を
織り込んで吸水性、通気性を保有せしめている
が、かかるタオルでは、皮膚を摩擦した際に皮膚
への刺激が少なく、乾布摩擦を行うには不適当で
あつた。また、健康促進用として合成樹脂素材で
形成された布等もあつたが、この布では皮膚を摩
擦した際の皮膚への刺激は大きいが、吸湿性が悪
く、汗を吸収し難いので、健康的な乾布摩擦用と
しては不充分であつた。

本考案では、タオル地に綿素材と、熱収縮すべ
き合成樹脂素材とよりなる混紡パイル糸をループ
状に植立し、熱処理により収縮したループ部の合
成樹脂素材を綿素材と捲糸状にからめてパイル糸
のループ部を構成して、吸湿性と刺激性の相乗効
果によつて、健康促進用の乾布摩擦タオルとして
有効に使用しうるタオルのパイル構造を提供せん
とするものである。

本考案の実施例を図面にもとづき詳説すれば第
１・２図におけるＡは片面パイルのタオルの一部
を示しており、このタオルＡは綿素材の地経糸
１・２、地緯糸３により織成されたタオル地Ｍ片
面に綿素材と合成樹脂素材とよりなる混紡パイル
経糸４によるループ部４′が多数形成されるよう
に織成したものであり、ままた第３・４図におけ
るＢは両面パイルのタオルの一部を示しており、
このタオルＢは、タオル地Ｍ両面に混紡パイル糸
４によるループ部４′が多数形成されるように織
成したものである。

混紡パイル経糸４は、綿繊維５と熱収縮性の合
成樹脂繊維６とを混紡しており、しかも綿繊維５
と合成樹脂繊維６とが互いに捲糸状にからんだ状
態に形成しており、ループ部４′は全体に歪曲し
て収縮したループ構造となつている。かかるタオ
ルＡ，Ｂの織成工程においては、タオル地Ｍ織成
時に混紡パイル経糸４を同時に織成しておき、同
状態でタオルＡ，Ｂを熱処理することによつて熱
収縮性の合成樹脂繊維６を熱収縮せしめて、同合
成樹脂繊維６を収縮しない綿繊維５にからみつけ
た状態として、全体が収縮したループ構造を形成
するものである。即ち、ループ部４′は綿繊維５
と合成樹脂繊維６との、からみついた構造によ
り、タオル地の特徴たる綿繊維５による吸湿性を
保持しながら、合成樹脂繊維６による摩擦刺激性
をも兼備しうるよう構成されている。

尚、合成樹脂繊維６は熱収縮時に軟化し、溶着
効果を誘起する熱可塑性の素材を使用すれば、ル
ープ部４が一体に溶着して硬化し、摩擦時に異な
つた質感のものを得ることができると共に、ルー
プ部４′の基端において、タオル地Ｍの地経糸
１・２、地緯糸３と一体に溶着し、ループ部４′
の抜けを防止しうるものである。

また合成樹脂繊維６としては融点150〜160℃程
度のポリプロピレンを芯材７とし、融点120℃程
度のポリエチレンをコーテイング層８とした二重
構造のものを用いている。また、合成樹脂繊維と
しては、芯材７に融点200〜270℃程度のポリエス
テル素材を用い、コーテイング層８に融点150℃
程度のポリエステル素材を用いたものでもよい。
またループ部４′の先端部を切断等して、混紡パ
イル経糸４をループ状でなしに毛状に形成しても
よい。またパイル経糸として綿繊維表面に粒体状
の合成樹脂等を付着した状態で同樹脂を熱収縮又
はそのままとして摩擦刺激性を高めてもよい。

本考案の実施例は上記のように構成されてお
り、タオルＡ又はタオルＢのループ部４′が形成
された面で皮膚を摩擦した場合、合成樹脂繊維６
で皮膚表面に適当な刺激が与えられ、かつタオル
地Ｍ、綿繊維５で適当に汗を吸収し、かつ通気が
良好に行われるので、健康的な乾布摩擦が行われ
るものである。更にループ部４′は歪んだ状態で
形成されているので、摩擦時の倒伏方向が一定せ
ず、またループ部４′の先端は曲率半径の異なる
ものが様々形成されているので、刺激の強さ、方
向等が不規則に分布され、より効果的な乾布摩擦
が行える。また、ループ部４′基端は地経糸１・
２、地緯糸３に一部溶着された状態となつている
ので、同ループ部４′が抜け落ちることがない。
更にまた熱処理時の温度を高めにしてループ部
４′の硬度を大としたり、温度を低めにしてルー
プ部４′の硬度を小とする等の処理を行えば、使
用目的に合わせたものもできる。また、タオル地
の一方面側に硬めのループ部４′を、他方面側に
柔めのループ部４′が形成されるようにすれば、
一枚のタオルで使い分けができる。

また、タオル地Ｍの一面に硬めのループ部を、
他面に柔めのループ部あるいは綿のみのループ部
を植立しておけば、一枚のタオルで使い分けがで
きる。更にタオル地Ｍの一面又は両面において、
半面に混紡パイル糸のループ部４′の植立面４″残
り半面に綿素材のみのループ部の植立面９を分け
て植立したり、また両側部分に綿素材のみのルー
プ部の植立面９残りの中間部分に混紡パイル糸の
ループ部４′の植立面４″をそれぞれ植立したり、
また、綿素材のみのループ部の植立面９と、混紡
パイル糸のループ部４′の植立面４″をストライブ
状に形成したりする等様々応用してもよい。

本考案によれば、タオル地に綿素材と、熱収縮
すべき合成樹脂素材とよりなる混紡パイル糸をル
ープ状に植立し、熱処理により収縮したループ部
の合成樹脂素材を綿素材と捲糸状にからめてパイ
ル糸のループ部を構成したので吸湿性と刺激性の
相乗効果によつて、健康促進用の乾布摩擦タオル
として優れた効果を奏するものである。

混紡パネル糸を構成した合成樹脂繊維を、両方
とも合成樹脂であるが、高融点の芯材と芯材より
も低融点のコーテイング層とで構成したことで、
合成樹脂繊維に熱収縮ばかりでなく、綿繊維及び
地経糸、地緯糸との熱溶着を行つて、異なる質感
を得たり、ループ部の抜け防止をすることがで
き、かかる熱処理の際にも、芯材の融点が高いの
で、コーテイング層が充分に熱溶着する温度で熱
処理しても、合成樹脂繊維が切れたり、全部綿素
材に吸収されてしまうという失敗が防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の片面パイルタオルの織
成状態を示す組織図、第２図は−断面図、第
３図は本考案実施例の両面パイルタオルの組成状
態を示す組織図、第４図は−断面図、第５図
は本考案実施例の混紡パイル経糸の断面図、第６
図は同例の合成樹脂繊維の断面図、第７図イ，
ロ，ハは同例の応用例平面図である。 Ａ：片面パイルのタオル、Ｂ：両面パイルのタ
オル、Ｍ：タオル地、１・２：地経糸、３：地緯
糸、４：混紡パイル糸、４′：ループ部、５：綿
繊維、６：合成樹脂繊維。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 綿素材よりなる地経糸１，２と地緯糸３により
   織成されたタオル地Ｍに、綿繊維５と高融点の合
   成樹脂繊維の芯材７の外周を同芯材７よりも低融
   点の合成樹脂のコーテイング層８でコーテイング
   した合成樹繊維６よりなる混紡パイル糸４をルー
   プ部４′を形成して植立し、熱処理により収縮し
   たループ部４′の合成樹脂素材を綿素材を捲糸状
   にからめて、パイル糸のループ部４′を構成して
   なるタオルのパイル構造。