JPS63191B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は直流モータにより駆動される電動ドラ
イバの締付トルクを２段階で制御するトルク制御
装置に関する。

従来、負荷電流が締付トルクに比例する特性を
もつた直流モータにより駆動される電動ドライバ
は、締付トルクを制御するため直流モータに流れ
る負荷電流を検出し、この負荷電流が所定値に達
した時直流モータに供給する電圧を遮断して締付
トルクの制御を行うよう構成されている。この種
の電動ドライバではねじの頭部座面が相手材に接
して、負荷電流が所望の締付トルクに対応した値
に達すると直流モータの回転は停止しようとする
が、ドライバービツトは慣性によりさらに回転す
る。この回転トルクが締付トルクとなつてねじに
加えられ、ねじに与えられた締付トルクは直流モ
ータの負荷電流で規定された締付トルク以上に達
し、トルク制御を正確に行い得ない欠点が生じて
いる。

本発明は上記欠点の除去を目的とするもので、
以下実施例を図面について説明する。第１図にお
いて、１は切換回路、２は第１電圧設定回路、３
は最終電圧設定回路であり、前記切換回路１はね
じ締めスタート信号により設定６に電圧供給部と
して第１電圧設定回路２を接続し、後記する比較
回路９の出力信号により前記直流モータ６に接続
される電圧供給部を、第１電圧設定回路２から最
終電圧設定回路３に切換えるように構成されてい
る。この第１電圧又は最終電圧は増幅回路を通じ
て駆動回路に伝えられるが、最終電圧は徐々に増
加するようコンデンサと抵抗とからなる遅延回路
１１を通るように構成されている。前記第１電
圧、最終電圧はそれぞれ無負荷時の直流モータ６
の回転数を規定し、直流モータ６が持つ最大回転
トルクを規定するもので、直流モータ６に加わる
負荷が大きくなるに従つて直流モータ６の回転が
低下していき、直流モータ６が停止して飽和状態
にある時、直流モータ６は前記最大回転トルクを
出力するよう構成されている。また、前記第１電
圧は本格的な作業開始前にあらかじめ直流モータ
６に適当に電圧を供給してねじ締め作業を行い、
ねじ締めに加えられた実際の締付トルクをトルク
レンチにより測定し、その測定値が所望の締付ト
ルクに達しないよう作業者が調整を繰返し行うこ
とにより設定される。この調整段階において、実
際の締付トルクは、直流モータの回転部の慣性の
影響を受け、その慣性も前記回転部の回転数に応
じ変化するため、所望締付トルクよりも適当に小
さくしておく必要がある。又、前記最終電圧は前
記第１電圧とは別回路から第１電圧よりも大きい
電圧を直流モータに加えて直流モータを回転さ
せ、第１電圧によるねじ締め作業後のねじを回転
させ、実際の締付トルクをトルクレンチで測定
し、その測定値が所望の締付トルクに達するよう
調整を繰返し行うことにより設定される。

前記駆動回路５は直流モータ６を駆動する電圧
を供給するよう接続されており、この直流モータ
６にはドライバービツト７が連結されている。さ
らに直流モータ６には負荷電流を電圧として検出
する電流検出回路８が接続されている。この電流
検出回路８は比較回路９に接続され、さらに前記
切換回路１に接続されている。この比較回路９に
は基準電圧設定回路１０が接続されており、前記
電流検出回路８の検出値すなわち負荷電流に対応
する電圧が前記基準電圧設定回路１０に設定され
た基準電圧に達すると、その一致信号により前記
切換回路１を作動させるように構成されている。
この基準電圧は前記第１電圧が直流モータ６に供
給される時に直流モータ６に流れる最大負荷電流
に対応した電圧を最大として設定されており、基
準電圧としては、前記直流モータ６の負荷電流が
大きくなつて最大負荷電流に近い値になり、直流
モータ６の回転が充分に低下した時の電圧が選択
されるように構成されている。即ち、前記基準電
圧はねじ締め完了直前の時点を検出するもので、
このねじ締め完了直前の時点で、前記第１電圧と
最終電圧とを切換えることが可能となるように構
成されている。又、この負荷電流は実際の締付ト
ルクとは第１電圧供給時には比例しないが最終電
圧供給時に比例する。

次に本発明の動作について説明する。本作業を
開始するねじ締めスタート信号が切換回路１に印
加され、第１電圧が増幅回路４で増幅されて駆動
回路５に印加される。この電圧に応じて直流モー
タ６に一定の駆動電圧が供給され、直流モータ６
は所望締付トルクよりも低い回転トルクで回転を
開始する。従つて、ドライバービツト７も同時に
回転し、被締結物のねじ締め作業が開始される。

被締結物にねじが螺入されると直流モータ６の
負荷電流が徐々に増加する。ねじの頭部座面が相
手材に当接し始めると、負荷電流が急激に増加す
る。この時のねじ実際の締付トルクは所望締付ト
ルクに達しない。負荷電流の増加に伴つて直流モ
ータ６及びドライバービツト７の回転数が低下
し、負荷電流が最大近くになると、前記回転数は
ほとんど零になる。この負荷電流が電流検出回路
８により電圧として検出される。この電圧が基準
電圧設定回路１０に設定された最大負荷電流に近
い値に対応する電圧になつて直流モータ６の飽和
状態すなわちねじ締め完了直前の時点が検出され
ると、比較回路９から切換回路１に一致信号が送
出され、第１電圧を最終電圧に切換える。従つ
て、この最終電圧が徐々に加えられて増幅回路４
で増幅され、駆動回路５に印加される。この最終
電圧に応じて直流モータ６に所定の駆動電圧が供
給され、第１電圧の場合よりも高い電圧で直流モ
ータ６を回転させる。この時直流モータ６及びド
ライバービツト７はほとんど停止の状態から回転
を開始するとともにドライバービツト７には負荷
が加わつているためドライバービツト７はゆつく
り回転してドライバービツト７の慣性トルクはほ
とんど加わらず、駆動電圧で規定される回転トル
クまで締付トルクが上昇し、ねじ締め作業が終了
する。ねじの締付トルクがこの回転トルクと等し
くなる時点でドライバービツト７は回転を停止す
るが、直流モータ６への駆動電圧はその後適当な
手段により遮断される。

以上説明したように本発明はモータへ供給する
電圧を２段階に設定し、ねじ締め完了直前まで所
望の締付トルクを得るに必要な電圧よりも低い電
圧をモータに供給し、ねじ締め完了直前からねじ
締め完了時点まで所望締付トルクを得るに必要な
高電圧をモータに供給し、しかもこの高電圧が
徐々にモータへ供給されるよう構成されているた
め、ねじ締め完了直前において全く慣性力が生じ
ないばかりか、ねじ締め完了時点においてもモー
タは回転を停止しており、全く慣性力が生じず、
モータへの供給電圧により決まる締付トルクが確
実に得られ、極めて正確なトルク制御が可能とな
る等の利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の動作を示すブロツク図であ
る。 １……切換回路、２……第１電圧設定回路、３
……最終電圧設定回路、４……増幅回路、５……
駆動回路、６……直流モータ、７……ドライバー
ビツト、８……電流検出回路、９……比較回路、
１０……基準電圧設定回路、１１……遅延回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 直流モータ６に供給される電圧を２段階に設
   定し、ねじ締め開始からねじ締め完了直前まで直
   流モータ６に第１電圧を供給し、ねじ締め完了直
   前からねじ締め完了まで直流モータ６に最終電圧
   を供給するとともに、ねじ締め完了直前の時点を
   直流モータ６に流れる負荷電流の値から検出する
   ように構成した２段階締付トルク制御装置におい
   て、 所望の締付トルクを得る電圧よりも低い第１電
   圧を供給する第１電圧設定回路２と所望の締付ト
   ルクを得る最終電圧を供給する最終電圧設定回路
   ３とを設け、直流モータ６に接続される電圧供給
   部を前記第１電圧設定回路２からコンデンサと抵
   抗とからなり徐々に電圧を加える遅延回路１１を
   介した前記最終電圧設定回路３に切換える切換回
   路１を設ける一方、前記直流モータ６に流れる負
   荷電流を電圧として検出する電流検出回路８を設
   け、第１電圧が供給される直流モータ６の最大負
   荷電流に近い値に対応する電圧を基準電圧として
   設定する基準電圧設定回路１０を設け、前記電流
   検出回路８の検出値と基準電圧とを比較してその
   一致信号により前記切換回路１を作動させる比較
   回路９を設けたことを特徴とする電動ドライバー
   における２段階締付トルク制御装置。