JPS6318490Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、トラクタ等移動農機に搭載する油タ
ンクにおける油抜き装置に関するものである。

一般に、燃料タンク等の油タンクには、油を抜
き取るドレン部と、油をエンジン等の部材に供給
する油供給部とが設けられているが、機体の整備
修理などのために機体から油タンクを取外さなけ
ればならない場合がしばしばある。この様な場合
には、油供給部とエンジン等の被供給部材との間
に介装した油パイプを外さなければならないが、
従来、どんなに注意して油パイプを外したとして
も、油供給部から油が漏洩してしまうため、あら
かじめドレン部から油タンク内の油を全部抜き取
つてからでなければ油タンクを外すことができな
かつた。しかも、油パイプ内にも油が残留してい
るため、油パイプを外した際に、該油パイプ内の
油が外部に洩れて周囲を汚してしまう欠点があつ
た。

本考案は、上記の如き実状に鑑みこれらの欠点
を一掃すべく創案されたものであつて、点検整備
等のため油タンクを機体から取外したりする際
に、油タンク側の油は抜き取ることなくそのまま
の状態でしかも油パイプが油供給口側の油も漏洩
させることなく油タンクを外すことができる油タ
ンクにおける油抜き装置を提供することを目的と
したものである。

本考案の構成を、図面に示された一実施例に基
いて説明すれば、１は農用トラクタ本体であつ
て、前部のボンネツト２内には油タンクとしての
燃料タンク３及びエンジン４が装備されている。

燃料タンク３の底面３ａにはドレン筒口５が突
設されているが、該ドレン筒口５の中間部には油
供給口６が分岐形成してある。ドレン筒口５の内
周面は、油供給口６を境として下部側はネジ溝が
刻設されたネジ部５ａに構成され、上部側はネジ
部５ａの内径よりも小径な筒状に構成されてい
る。７はドレンバルブであつて、該ドレンバルブ
７には、前記ネジ部５ａに螺合する螺子部７ａの
上端にドレン筒口５の内周面よりも小径の小径部
７ｂが形成されており、該小径部７ｂの先端には
ドレン筒口５に嵌入する大径部７ｃが延設されて
いる。螺子部７ａと大径部７ｃとの関係は、小径
部７ｂの長さを所定長に設定することにより、ド
レンバルブ７はドレン筒口５に緊締状に螺入した
固定位置（第２図参照）では、大径部７ｃはタン
ク底面３ａから間隙ａを存して燃料タンク３内に
突出しドレン筒口５の開口位置に位置しており、
燃料タンク３内の燃料は上記間隙ａから小径部７
ｂとドレン筒口５との間に形成される通油路８を
経由して燃料タンク３と連通状態となつた油供給
口６に供給されるようになつている。また、前記
固定位置からドレンバルブ７を抜取る抜取位置
（第５図参照）に至るドレンバルブ７の弛み経路
において、第３図に示す如く大径部７ｃ上面がタ
ンク底面３ａと略面一となる如く弛めた位置で
は、螺子部７ａは依然としてネジ部５ａに螺合状
態となつて通油路８の下側は閉塞されているが、
通油路８の上側はドレン筒口５に嵌入した大径部
７ｃによつて油供給口６の上方位置が閉塞されて
いる。そして、第４図に示す如くドレンバルブ７
をさらに弛めて、螺子部７ａがネジ部５ａから抜
け出る位置で、大径部７ｃは油供給口よりも依然
として上位に位置するようになつている。

尚、図中、９はエンジン４と油供給口６とを連
通連結する燃料パイプ、１０は大径部７ｃに装着
したＯリング、１１はパツキンである。

次に、叙述の如く構成した本考案の作用につい
て説明する。ドレンバルブ７をドレン筒口５に緊
締せしめた固定状態では、燃料タンク３内の燃料
は、大径部７ｃ下面とタンク底面３ａとの間の間
隙ａから通油路８を経由して油供給口６に至り、
燃料パイプ９を介してエンジン４に供給されるこ
とになる。一方、ドレンバルブ７をドレン筒口５
から抜き取ると、燃料タンク３内の燃料はドレン
筒口５から完全に抜き取ることができるのは従来
どおりである。

ところで、機体の点検整備等の都合で燃料タン
ク３を機体本体１から取り外す場合、ドレンバル
ブ７を固定位置から弛めて、第３図に示す如く大
径部７ｃがドレン筒口５の上部に嵌入する弛み位
置に位置せしめる。この状態では、通油路８は、
上側が上記大径部７ｃによつて閉塞され、下側が
ネジ部５ａに螺合する螺子部７ａによつて閉塞さ
れているため、燃料タンク３内の燃料がドレン筒
口５から流出されないことは勿論であるが、油通
路８内の燃料も漏出することはない。従つて、燃
料タンクの取り外し作業は、燃料タンク３内に燃
料を収容したままで、しかも通油路８あるいは燃
料パイプ９内の燃料を漏洩せしめることなく行な
うことができる。

また、ドレンバルブ７をさらに弛めて第４図に
示す如く、螺子部７ａがネジ部５ａから外れた位
置で大径部７ｃが油供給口６よりも依然として上
位位置にあるように位置せしめた場合にあつて
は、エンジン４から外した燃料パイプ９内の燃料
を、通油路８内の燃料とともにドレン筒口５から
流出せしめることができて、燃料パイプ９の交換
作業等、燃料パイプ９を取り外す燃料パイプ９内
の燃料を漏洩することなく悉くドレン筒口５から
捕集できる利点を奏するものである。

以上要するに、本考案は、油タンクの底面に開
設したドレン筒口にドレンバルブを螺装するよう
にした油タンクにおいて、上記ドレン筒口には油
パイプ装着用の油供給口を分岐形成し、ドレンバ
ルブはドレン筒口に螺合する螺子部と、ドレン筒
口内周面よりも小径の小径部と、これに延設され
てドレン筒口に嵌入する大径部とで構成すると共
に、上記小径部は、ドレンバルブがドレン筒口に
緊締状に螺装された固定位置では大径部が油タン
ク内に突出して油タンクと油供給口が連通状態と
なり、ドレンバルブがドレン筒口に弛み状に螺装
された弛み位置では大径部がドレン筒口に嵌入し
て油供給口よりも上位でドレン筒口を封止する長
さに設定したものであるから、ドレン筒口と油供
給口とを連通状にしたものでありながら、機体の
整備修理などをする場合において機体本体から外
す際等には、ドレンバルブを固定位置から弛めて
中間の弛み位置に位置せしめれば、大径部がドレ
ン筒口上部に嵌入して油タンクと油供給口とを結
ぶ油供給路が閉塞されるため、油タンク内の油は
何ら抜くことなくそのままの状態で油パイプを外
しても、油タンク内の油が外部に漏洩することな
く油タンクを取り外すことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る油タンクにおける油抜き
装置に一実施例を示すものであつて、第１図は本
考案を実施した農用トラクタの全体側面図、第２
図は固定状態を示す作用説明図、第３図は弛み状
態を示す作用説明図、第４図はさらに弛めた場合
の作用説明図、第５図は抜き取つた場合の作用説
明図である。 図中、３は燃料タンク、３ａは底面、５はドレ
ン筒口、６は油供給口、７はドレンバルブ、７ｂ
は小径部、７ｃは大径部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 油タンクの底面に開設したドレン筒口ドレイン
   バルブを螺装するようにした油タンクにおいて、
   上記ドレン筒口には油パイプ装着用の油供給口を
   分岐形成し、ドレンバルブはドレン筒口に螺合す
   る螺子部と、ドレン筒口内周面よりも小径の小径
   部と、これに延設されてドレン筒口に嵌入する大
   径部とで構成すると共に、上記小径部は、ドレン
   バルブがドレン筒口に緊締状に螺装された固定位
   置では大径部が油タンク内に突出して油タンクと
   油供給口が連通状態となり、ドレンバルブがドレ
   ン筒口に弛み状に螺装された弛み位置では大径部
   がドレン筒口に嵌入して油供給口よりも上位でド
   レン筒口を封止する長さに設定してあることを特
   徴とする油タンクにおける油抜き装置。