JPS6317787Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、屋上等に施工される防水シートの脱
気口に取付けられ、上記防水シートの脱気効率を
向上させる蓋体に関する。

（従来の技術） 従来におけるこの種のシート防水工法として
は、接着剤を用いて施工する接着工法があるが、
この方法は、下地の乾燥が不充分な多湿状態のま
ま施工した場合や、接着剤の溶剤残留分が温度上
昇に伴つて膨張することに起因して、施工後シー
トにフクレを生じる惧れがあつた。この為上記フ
クレを防止する手段として、屋上面に部分的に円
筒状の脱気搭や円板状の脱気盤を配置して脱気を
行なう方法が採用されたが、脱気搭を配設する場
合には、脱気搭が円筒形状のため歩行障害とな
り、また脱気盤は、防水シート表面からの高さが
10数ミリと低いので、排水効率の悪い屋根では脱
気盤が水没することがあり、脱気盤に取付けられ
ている換気孔より雨水が浸入することも考えら
れ、周囲の水密的処理が必要とされる等の欠点を
有しており、いずれにしても満足できるものでは
なかつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案が解決しようとする問題点は、下地面が
多湿状態のまま防水施工された場合の下地面の残
留水分や、接着剤中の溶剤残留分を、施工後脱気
口から外部に確実に脱気し得、外部からの水の浸
入をも確実に阻止し、しかも歩行障害とならない
防水シートの脱気口蓋を得ることにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、円形板状の蓋基板の片面に、円形凹
部と該円形凹部から外周縁に通じる凹溝とを穿設
し、この蓋基板の上記片面に、微細孔を多数開穿
してなる円形合成樹脂シートとドーナツ形のパツ
キングシートとを順次積層したものである。

（作用） 本考案は、防水下地面より揮発せる水分を、防
水シートの脱気口から円形合成樹脂シートの微細
孔を通つて蓋基板の円形凹部に至らせ、該円形凹
部内で水滴下して凹溝を伝つて外部に放出させ
る。

（実施例） 本考案の実施の一例を図面に基いて説明する
と、１はポリ塩化ビニル、加硫ゴム等のプラスチ
ツク、又はアルミニウム等の金属からなる直径10
cm〜15cm、厚さ５mm〜20mm程度の円形板状の蓋基
板であり、その片面に、直径５cm〜10cm、深さ
2.5mm〜10mmの円形凹部ａを、蓋基板１と同心円
上に穿設すると共に、該円形凹部ａから蓋基板１
の外周縁に通じる凹溝a′を数本穿設してある。

２はポリ塩化ビニル、加硫ゴム等の円形合成樹
脂シートであり、直径が基板１と同径で厚さ0.2
mm〜1.0mm程度に形成され、全面に多数の通気用
微細孔ｂを開穿してある。微細孔ｂは、太さ約
0.5ｍ／ｍの針により機械的に約２ｍ／ｍ間隔で
１m²当り25万個程度設けられ、JISL−1004に規
定された通気性、耐水度試験で測定したところ通
過空気量0.37（cm³／cm²／sec）、耐水度（水圧法）
40ｍ／ｍを示した。

３は塩化ビニル、加硫ゴム等のパツキングシー
トであり、中央に中抜空所を有するドーナツ形に
形成されている。

斯る蓋基板１の円形凹部ａ及び凹溝a′穿設側片
面に、円形合成樹脂シート２と、パツキングシー
ト３とを順次積層接着して一体化せしめる。この
場合、蓋基板１と円形合成樹脂シート２及びパツ
キングシート３とが、プラスチツク同士であれば
液溶着法、熱溶着法を用いるが、異なる材質の組
合せではブチルゴムの如きゴム系接着剤若しくは
エポキシ系接着剤を使用する。

次に、上記の如く構成してなる脱気口蓋を防水
シートの脱気口に取り付ける場合について説明す
ると、防水下地であるコンクリート躯体イの表面
に通気性を有する接着テープＸを貼着して防水シ
ートロを敷設するシート防水施工における立上り
部に、直径８cm〜13cm程度の脱気口ロ′を開口し、
この脱気口ロ′に上記脱気口蓋を凹溝a′が下向に
位置するようにして接合し、防水シートロの脱気
口ロ′周辺とパツキングシート３とを熱溶着又は
液溶着により接着する。

したがつて、防水下地面イより揮発した水分
は、脱気口ロ′から通気用微細孔ｂを通つて円形
凹部ａに至り、該円形凹部ａ内で水滴下して凹溝
a′を伝つて外部に放出される。

（考案の効果） 本考案によれば、円形板状の蓋基板の片面に、
円形凹部と該円形凹部から外周縁に通じる凹溝と
を穿設し、この蓋基板の上記片面に、微細孔を多
数開穿してなる円形合成樹脂シートと、ドーナツ
形のパツキングシートとを順次積層してなるの
で、以下の利点を有する。

施工時に予想不可能であつた防水シートの耐
水圧以上の負荷がかかつても、脱気口内へ水が
逆流することがない。

蓋基板により円形合成樹脂シートが保護さ
れ、外的影響を受けにくく耐候性が増し、防水
施工保証期間を延長し得る。

揮発水分が、円形凹部内で一担拡散されるこ
とにより、水滴下し、凹溝を伝つて流出するた
め、内部に滞留しない。

パツキングシートの介在により防水シートと
の接合部を水密処理し得る。

依つて、本考案は所期の目的を達成し得るもの
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は一部
切欠してなる正面図、第２図は第１図の−線
に沿える断面図、第３図は積層構造を分解して示
す斜視図、第４図は蓋基板の正面図、第５図は施
工状態を示す断面図である。 尚、図中、１……蓋基板、２……円形合成樹脂
シート、３……パツキングシート、ａ……円形凹
部、a′……凹溝、ｂ……微細孔、を夫々示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円形板の片面に円形凹部と該円形凹部から外周
   縁に通じる凹溝とを穿設せしめた蓋基板の上記片
   面に、微細孔を多数開穿してなる円形合成樹脂シ
   ートと、ドーナツ形のパツキングシートとを順次
   積層してなる防水シートの脱気口蓋。