JPS6317449Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、生体腔内即ち胃、十二指腸等の内壁
の組織を採取する生体組織採取用鉗子或いは膵胆
管等に造影剤を注入する造影剤注入用チユーブ等
の内視鏡導通具の起上装置に関するものである。

内視鏡を利用した診断には、体腔内疾患部の観
察診断の他に、生体組織採取用鉗子によつて採取
した組織を調べる組織診断、或いは造影剤注入用
チユーブによつて膵胆管の管腔内に造影剤を注入
して行なうレントゲン診断等がある。

この為の内視鏡として、第１図に示すように、
導通具１を突出させる案内通路２の開口部３を観
察窓４に対して直列に即ち先端金物５の軸線上に
並べて配置し、ワイヤ等の操作で案内溝６に設け
た起上部材７を揺動させ、それによつて導通具１
を揺動させるものがある。このような内視鏡で
は、導通具１の揺動面が観察視野の中心線と一致
し、第２図に示すように導通具１の先端部が常に
観察視野の中心線上を移動するので、該先端部を
観察視野の中央部に位置させるのは容易である。
しかし、開口部３と観察窓４とを直列に設けた為
に、先端金物５の即ち先端硬質部の長さが長くな
り、内視鏡の体腔内挿入時に患者に与える苦痛が
大きく、加えて、十二指腸球部等の狭い管腔内を
充分に観察診断することが出来ないという問題が
あつた。

そこで、第３図に示すように、開口部３を観察
窓４に対して並列に即ち先端金物５の略同一周上
に並べて配置したものが考えられた。このような
内視鏡では、先端硬質部が短いので、患者の苦痛
も減少し、狭い管腔内における観察診断の際にも
満足のいく結果が得られる。しかしながら、この
ような内視鏡では、第３図からも解るように、観
察窓４の光軸と導通具１の揺動面とが平行であり
且つ導通具１の揺動面が観察視野の中心に対して
偏倚している為に、導通具１の先端部が観察視野
の中心から常に外れているので組織の採取等導通
具１の操作が行ないにくいという問題がある。

この問題を解決する為に、観察窓４の光軸に対
して導通具１の揺動面を傾けることによつて、導
通具の先端を観察視野の中央に位置させたものが
実公昭53−1832号公報にて提案されている。しか
しながらこのような内視鏡では、観察光学系の部
材と案内溝６或いは起上部材７とが平行ではない
ので、先端金物５内の各部材の配置が難しくデツ
ドスペースが多くなつてしまう。その為有効に利
用し得るスペースが減少し、導通具案内通路２を
細径化せざるを得ず、従つてより小さな組織採取
用鉗子、注入用チユーブ等の導通具１を用いなけ
ればならないという問題がある。加えて、一部の
部材や案内溝６を傾けて設けるのは、加工が難し
く、仕上がり精度も低下しがちである。

本考案は、上述した問題を解決する為になされ
たものであり、導通具１を突出させる開口部３と
内視鏡の観察窓４とを並列に設け、観察窓４の光
軸に対して案内溝６及び起上部材７を平行に設け
て導通具１の先端部を観察視野の中央部に位置さ
せることの可能な内視鏡導通具の起上装置を提供
するものである。

以下、添付図面に示す望ましい実施例に従い、
本考案を詳述する。

第４図は本考案の一実施例を一部切欠いて示す
斜視図、第５図は同実施例を示す横断正面図であ
る。本実施例では、開口部３と観察窓４とを並列
に即ち先端金物５の略同一周上に設け、案内溝６
及び起上部材７を観察窓４の光軸に対して平行に
設け、起上部材７を案内通路２に対して観察窓４
よりにずらして設けてある。起上部材７には、第
６図に示すように導通具１の突出を円滑にする為
の溝Ｌを設けてある。また、第４図及び第５図中
で、８は照明窓、９は観察用のプリズム、１０は
照明用光学繊維束である。

本実施例においては、第７図に示すように、案
内通路２から案内溝６へ達した導通具１は起上部
材７によつて弯曲され、先端金物５外部へと突出
される。その際に、導通具１を起上した状態で
は、導通具１は、起上部材７によつて案内通路２
の末端の管壁の頂点Ｍにて案内通路２と当接し、
起上部材７とはその溝部Ｌの末端Ａにて当接す
る。上述したように案内通路２と起上部材７とは
ずらして設けてあるので、導通具１は、第８図に
示すように起上部材７をずらした方へ即ち観察窓
４の方へ傾いて突出し、その先端を観察視野の中
央へ位置させることが可能である。

本考案の変更例として、起上部材７に設ける溝
部Ｌを観察窓側に傾けて斜めに設けてもよい。こ
の場合には、第１０図に示すように、Ａ点が第８
図の場合よりも図中左へずれるので導通具１の傾
きはより大きくなる。その他に、第１１図に示す
ように案内通路２の末端を変形させてＭ点を図中
右へずらすようにすれば導通具１の傾きを更に大
きくすることが出来る。

本考案に係る起上装置によれば、開口部３と観
察窓４とを並列に設けたので、先端硬質部が短い
為、患者に与える挿入時の苦痛も少なく狭い管腔
内での操作も良好である。

また、案内溝６と上記部材７とを観察窓４の光
軸に対して平行に設けたので、デツドスペースが
少なく加工性も良好である。第１２図に示すよう
に、案内溝６を観察窓４の光軸に対して平行に設
けた場合（破線図示）と傾けて設けた場合（実線
図示）とでは、先端金物５の外形が同一なら前者
の場合の方が案内通路２及び起上部材７をより大
形にすることが可能である。その為に本考案にお
いて採用した前者の場合には、より大径の導通具
１を使用出来るだけでなく、導通具１を挿通した
状態でも案内通路２から体内分泌物、出血液等の
吸引が可能であるという利点がある。

更に、案内通路２に対して起上部材７をずらし
て設けたので、導通具１を観察窓４の光軸に対し
て傾けて突出することが出来るので観察視野の中
央部に導通具１の先端を位置させることが可能で
あり、組織採取、造影剤の注入等を容易かつ正確
におこない得る利点がある。

加えて、溝部Ｌを逆方向に向けた起上部材７を
用いれば、導通具として患部までの距離を測定す
る検索子或いは患部の大きさを測定する導通具を
体腔内観察中に使用する場合に観察の邪魔になら
ないように、該導通具を観察視野の周辺部に位置
させることも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の起上装置を示す縦断側面図、第
２図は第１図図示の従来例について観察視野内の
導通具の像を表わす投影図、第３図は他の従来例
を示す横断正面図、第４図は本考案の一実施例を
一部切欠いて示す斜視図、第５図は同実施例を示
す横断正面図、第６図は同実施例の起上部材を拡
大して示す斜視図、第７図は同実施例の起上装置
の作動を示す縦断側面図、第８図は同実施例の作
用を説明する正面図、第９図は起上部材の変更例
を示す斜視図、第１０図は同変更例の作用を説明
する正面図、第１１図は他の変更例の作用を説明
する正面図、第１２図は本考案に係る実施例とを
比較して示す横断正面図である。 １……導通具、２……案内通路、３……開口
部、４……観察窓、５……先端金物、６……案内
溝、７……起上部材、Ｌ……溝部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 先端金物５に設けられた観察窓４に対し導通
   具１を突出させる開口部３を並列して設け、こ
   の開口部３に連らなり、導通具１を起上突出さ
   せる起上部材７を収容する案内溝６を前記観察
   窓４と平行に形成するとともに、導通具１を先
   端金物５に向けて導く案内通路２の開口端の上
   縁に対して前記起上部材７を前記観察窓４の側
   に寄せて設けたことを特徴とする内視鏡導通具
   の起上装置。 (2) 起上部材７上に設けられ、導通具１と接続す
   る溝部Ｌが起上部材７の作動外端部で観察窓４
   の側に寄つた傾斜溝として形成されている実用
   新案登録請求の範囲第(1)項に記載の内視鏡導通
   具の起上装置。